ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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お久しぶりです。
仕事が忙しくって…なかなか…。
今回はオリジナル話をひとつ。
ゆったりとした話をどうぞ。


小話1

おはようございます、ルミア=ティンジェルです。

今日は休日なのでシスティとお買い物です。

 

「うーん!いい買い物した!」

 

「そうだね!ついつい買っちゃった!」

 

私とシスティはウキウキで買い物を終え、フィジテの街をブラブラしていました。

さて、今はお昼時少しすぎたくらい。つまり

 

「お腹ペコペコだよ〜」

 

「ルミアって意外に食べるものね…」

 

「もう!システィ!それじゃあ、私が食いしん坊みたいじゃん!」

 

「朝、お代わりしてたじゃない」

 

「ウッ…だってお母様のご飯美味しいんだもん…」

 

そう、お母様はすごく料理上手でいつも食べすぎちゃうんです…。

私は不器用だから、あまり料理は得意ではありません。

やっぱり今からでもお母様に習おうかな…。

アイル君だってきっと料理上手の方が…。

って何でアイル君の事考えてるの!?///

関係ない!関係ないよ!///

 

「あれ?」

 

「ど、どうしたのシスティ?」

 

「今そこの路地裏から私達より少し上くらいの女性が…」

 

2人でその路地裏を見ると、何の変哲もない路地って感じ。

こんな路地裏から若い人が?

気になるな〜…行ってみたい!

 

「システィ!行ってみない?」

 

「えぇ?ここに?大丈夫かしら」

 

「ほらほら、速く!」

 

「ちょっと!?ルミア待って!」

 

私達はドンドンと奥に進んでいくと、何やら開けた道に出てきちゃった。

ここってもしかして…

 

「ねぇシスティ、ここって旧道?」

 

「そう見たいね、このフィジテはドンドン開発していって出来た街だから…」

 

ここは元々片田舎で学院と共に発展してきた街。

だから何回も区画整理や、上下水道整備されてきたんです。

そのため、たまにこういう場所があったりするんです!

…私は誰に対して説明してるんだろ?

そんな事を考えてると、いい匂いがしてきました。

 

「システィあっちからいい匂いがするよ!」

 

「本当ね!行ってみましょう!」

 

私達は旧道を歩いて数分後、レトロな見た目のお店が出てきました。

 

「あそこね〜!レトロそうでオシャレなお店ね!」

 

「早く行こ!お腹ペコペコだよ〜」

 

「ハイハイ…行きましょ?」

 

私達は中に入ると、少し閑散とした店内。

外見同様、レトロな置物が置いてある落ち着いた雰囲気の店内。

静かなジャズミュージックが流れていてゆったりとした空間。

私こういう感じ好きかも!

 

「ピーク過ぎちゃってるからかな?」

 

「多分そうじゃないかしら?ほら、奥でお皿をいっぱい洗ってるわよ」

 

「いらっしゃませ。2名様でよろ…」

 

店員さんが私達を案内しようとしてるけど、何で止まっちゃったんだろう?

顔を見てみよ。

メガネをかけたイケメン。

黒髪は右側をかきあげられた感じで整えられている。

スラッとした手足…待って。

この人見た事ある気がする。

しかもつい最近…というか、一昨日…学校で…

 

「まさか、アイル君!?」

 

「え!?嘘!アイルなの!?」

 

「ルミア、フィーベル…なんでこんな所に…」

 

「アイルこそ何で!?バイト?」

 

「バイトっていうか、ここが下宿先だから手伝いだよ」

 

「なるほどね…ていうか、何でメガネ?」

 

「雰囲気?どうよ?」

 

「似合ってるのが腹立つわね…そのドヤ顔…」

 

やっぱりアイル君だった!

いつも全然違って分からなかった!

いつも着崩した制服に見苦しくない程度に整えた髪だったから、今みたいなしっかり整えた姿初めて見た。

待って…さっき、アイル君の事何て評価した?

()()()()()()()()()()()()…っ!///

 

「ルミア!?顔真っ赤だけど大丈夫か!?」

 

近い!顔が近い!

何か男の子なのにいい匂いする!!///

 

「だ、大丈夫!///大丈夫だから!///」

 

「お、おう…本当か?」

 

「あ〜…アイル?大丈夫だから席に案内してくれる?」

 

システィが助け舟を出してくれた!

ありがとうシスティ!

そろそろ心臓がどうにかなりそう!

 

「了解…それでは、お客様、こちらの席へどうぞ」

 

あ、営業スマイル…カッコイイ…///

 

「アイル!普通にして!ルミアがポンコツになる!」

 

「普通にやってるだろ!?はぁ…それではお客様、こちらお水とメニューになります。お決まり次第、そちらの紐を下へお引き下さい。それでは失礼します」

 

アイル君は水とメニューを置いて、席を離れちゃった。

お話したかったのに…。

 

「ルミア、あっちも仕事なんだから。そんな顔してもダメよ」

 

そんな顔!?

どんな顔してるの私!?

 

「お腹ペコペコなんでしょう?早く決めましょ」

 

た、確かに…よし気を取り直して!

 

「何にし良いかな〜?どれも美味しそう!」

 

「そうね…迷っちゃうわね…」

 

システィは1度迷い出すと中々、決まらないから私もゆっくり考えよ。

あ、これ美味しそう。値段もお得だし決めた!

 

「よし!決めた!」

 

「私もこれにしよ」

 

あれ?システィにしては速い。

 

「システィ珍しく速かったね」

 

「迷うから目をつぶって勘で決めたわ」

 

システィ…何でこういう時は思い切りがいいのかな?

 

「じゃ、引くわよ」

 

そう言ってシスティは紐を引いた。

すると、厨房の方からベルの音が鳴った。

 

「なるほど…そういう仕組みなのね」

 

「見たいだね。表に見せないようにするのは大変かもね」

 

「お待たせしました。ご注文を承ります。」

 

「ランチセットでオムライス・ストレート・チーズタルト!」

 

「ランチセットでビーフシチュー・ストレート・ティラミスで」

 

「畏まりました。ビーフシチューのセットは何になさいますか?」

 

「パンで」

 

「畏まりました。お飲み物は、デザートと同じタイミングでよろしいでしょうか?」

 

「そうね。そのタイミングで」

 

「お願いします!」

 

「畏まりました。それでは失礼致します」

 

そう言ってアイル君は厨房まで引っ込んでいってしまいました。

その後ろ姿をぼぉ〜と見ていると、ふと周りに声が聞こえてきました。

 

やっぱりカッコイイよね…ウェイターさん

 

だよねだよね!彼女いるのかな?

 

大人っぽく余裕を持って話しかけるべきかしら?

 

私達は年下だし、甘えにいけば…

 

もしかして…ここの女性客って…

 

「大人気みたいね。アイル…ルミア!ここでアピっておかないとマズイわよ!」

 

「し、システィ!?アピるって何を!?」

 

「決まってるでしょ!自分自身の事よ!幸い、他の客よりは私達は近い立場なのよ!このアドバンテージは活かさないと!」

 

システィ!?

何を暴走してるの!?

 

「システィ!?落ち着いて!?ね?」

 

「私は十分落ち着いてるわよ!ルミア!ファイト!」

 

な、なんか私だって言うのは癪だな〜!

そっちそう来るならこっちは…

 

「そういうシスティこそ、グレン先生に素直にならないと!」

 

「はぁ!?なんであんなロクでなしが出てくるのよ!?」

 

システィ…本人がいない場所でも…

 

「先生だって人気なんだから、早めに素直になってアピールしておかないと!」

 

「だから私は!」

 

「何してるんだ2人とも?」

 

「「わぁ!?」」

 

アイル君!いつの間にいたの!?

 

「アイル貴方、いつから!?」

 

「今だよ。それよりも…お待たせしました。こちらオムライスと…ビーフシチューです。こちらセットのパンです。それではごゆっくり」

 

わあ〜!

トロトロ卵とデミグラスソースが美味しそう!

システィのビーフシチューも美味しそう!

盛り付けもすごく綺麗!

 

「「いただきます!」」

 

「あ、そうだ2人とも。」

 

ん?どうしたんだろう?

私達はスプーンを持つ手を止めて、アイル君を見る。

その顔はさっきまでの営業スマイルではなく、穏やかな優しい笑みだった。

 

「その服装、よく似合ってるよ」

 

「「〜ッ!///あ、ありがとう…///」」

 

ズルい!反則!

あんな笑顔反則!

 

「た、食べましょうルミア!美味しそうね!」

 

「そ、そうだねシスティ!美味しそうだね!あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「手紙かな?」

 

そこには

 

『2人にこれから予定がなければ頼みたいことがある。』

 

アイル君の字だ。

 

「アイル君から頼み事だって」

 

「何かしら?」

 

「まあ、後で聞こ?先に食べちゃおう!」

 

冷めない内に、私達はスプーンを動かした。

 

「「っ!美味しい!」」

 

「フワフワトロトロ!しかもソースの味も濃すぎず、薄すぎず!ご飯もベタついてないし! 美味しすぎるよこれ!」

 

「ビーフシチューも美味しいわよ!濃厚でお肉とホロホロ!パンもフカフカモチモチ!」

 

「〜!システィ!」

 

「ハイハイ、そっちもね!」

 

私達は一口ずつ交換しました。

感想?

もちろん

 

「「美味しい!」」

 

デザートまでしっかり堪能した私達は、お会計中にアイル君に手紙の事を聞いた。

 

「アイル君。手紙の事なんだけど…」

 

「それなら少し場所を変えよう。こっち来て」

 

そう言ってアイル君は私達を、お店の奥に案内してくれました。

そこには車椅子に乗った、私たちより5つぐらい離れてそうな、女の子がいました。

 

「この子は妹のベガ。ベガ、俺の友達のルミア=ティンジェルとシスティーナ=フィーベルだ」

 

「初めまして、ルミアです。よろしくね!」

 

「システィーナよ。よろしく」

 

「べ、ベガ=エステレラです。いつも兄様がお世話になっています…」

 

「ベガ…余計な事は言わない…」

 

妹のベガちゃんか。

儚げな雰囲気は深窓の令嬢って感じかな?

それでこの子と何が関係するのかな?

 

「実は…その…この子の下着類を見繕ってやって欲しいんだ…」

 

え?し、下着類!?

あ、あ〜…そういう事…

 

「こういう事はあまり人に頼む事ではないことは承知なんだけど…ここの婆さんも歳だし、店で手一杯でな。この子は1人では難しいんだ…」

 

「確かに…そうね…」

 

「本当にすまない!頼れるのがお前達以外いないんだ!頼む!」

 

そう言って頭を下げてくるアイル君。

確かに女性物の下着を買うのは周りの目がキツイのだろう。

 

「分かったよ!私達に任せて!」

 

「そうね、借りもあるし引き受けるわ」

 

私達は素直に引き受けることにしました。

だって困ってるんだもん。

放っておけないよ!

 

「「!ありがとう(ございます)!」」

 

2人とも頭を下げてくれる。

私達は慌てて頭を上げさせてから、アイル君から情報を引き継ぐ私達。

 

「じゃあ、頼む。いつも決まった場所で買うんだけど、店員は常連だからわかると思う。後ベガ、ちゃんと案内するんだよ」

 

「分かってます!任せて下さい!兄様!」

 

「それじゃあ、3人とも。気をつけてな」

 

「「「行ってきます!」」」

 

私達はベガちゃんを押しながらお店に向かった。

 

「あ、あの、すみません…私がこんな足で…」

 

「ううん、気にしないで!」

 

「その…失礼だけど何かあったの?」

 

大体の事は魔術で治るのでよっぽどの事があったのかな?

 

「実は、先天的なもので…内界マナを貯める場所が足の神経を圧迫してしまってるらしくて…」

 

そんな…つまり、魔術師としては素質は持っていても、体が追いついていかないという事?

 

「…ごめんなさい。答えずらい事を聞いてしまって…」

 

「いえいえ!気にしないでください!兄様も信用してるみたいですし、私もお2人を、信じてますから!」

 

そう言ってホワホワした笑顔を向けてくれるベガちゃん。

 

「〜っ!可愛い!」

 

思わず抱きしめちゃいました!

だって健気で可愛いんだもん♪

 

「はわ!?ルミアさん!?」

 

「そうね、こんな可愛い妹がいたなんて!私も欲しい!」

 

「システィーナさんまで!?」

 

2人で可愛がってから、また歩きだしました。

そんな時

 

「あの…お2人は兄様が好きなのですか!?」

 

何か爆弾発言落としてきたよこの子!?

 

「私はあくまで友人としてよ。私は!」

 

「システィーナさんは…ですか…」

 

「システィ!?何言ってるの!?私もあくまでゆ、友人として…して…///」

 

「ああ、そういう事ですか…」

 

「ええ、そういう事よ」

 

「どういう事!?」

 

 

その後私達は3人で買い物をしました。

途中かなりアダルティな下着を、勧められて恥ずかしかった…///

でも、とても楽しかったです!

名残惜しいけどそろそろ時間だし、返してあげないと。

そう思いレストランまで連れていくと

 

「!おかえり3人とも」

 

少しほっとしたような顔で私達を出迎えてくれるアイル君でした。

 

「ただいま戻りました!兄様!」

 

「おかえりベガ。手を洗っておいで」

 

ベガちゃんは奥に行く前に、私たちに手を振ってくれました。

私達も振り返してると、アイル君は安心したような顔で笑っていました。

 

「ありがとうな、2人とも。2人に任せて正解だったよ」

 

「気にしないで!これからも付き合うよ!」

 

「…!ありがとう。そうだ、今日の昼飯どうだった?」

 

「凄く美味しかった!これからも通っちゃおっかな〜!」

 

「美味しかったわ。マスターさんに伝えといて」

 

私達はそれぞれの感想を伝えると

 

「そうか。()()()()甲斐があったってもんだな」

 

…ちょっと待って。

今何やら、不穏な事を言わなかった?

 

「…()()()()ってどういう事?」

 

システィも同じ事を思ったらしい。

…まさか…

 

「ん?今日お前達に出した料理は全部、1から10まで俺が作ったやつだからな」

 

「…オムライスも?」

 

「おう」

 

「…ビーフシチューとパンも?」

 

「おう」

 

「…チーズタルトも?」

 

「おう」

 

「…ティラミスも?」

 

「おう」

 

「「…紅茶も?」」

 

「だから全部って言ってんだろうが!!」

 

…負けた。

女子力で負けてる。

あんな美味しい料理から紅茶、デザートまで作るなんて。

圧倒的女子力…!!

 

「システィ…」

 

「習いましょう…ルミア!」

 

思春期女子として!

やっぱり負けられない!

 

「ふ、2人とも?」

 

「なんでもないよ!すごく美味しかったよ!」

 

「ええ!また来させもらうわ!あと私の事も名前でいいわよ!」

 

「…お、おう?それでは…ありがとうございました。お客様。またのご来店をお待ちしております。」

 

そう言って恭しく一例しながら、中へ戻っていくアイル君。

私達は真っ直ぐ早歩きで家に帰って

 

「「お母様!私達に料理教えて(下さい)!!」」

 

こうして、お母様のスパルタ料理教室は定期的に、開催される運びとなりました。




ありがとうございました。
妹ちゃん初登場です。
兄っ子ですね、妹は。
そして、意外な女子力を発揮するアルタイル。
それではありがとうございました!
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