今回、アルタイルが神憑ります。
それではよろしくお願いします。
次の日、ついに俺達の初戦が始まる。
先生の話を聞きながら、隣にいるシスティを見る。
その目はどこかぼんやりとしてるようにも見てるが、恐らくその逆。
(半端ねぇ集中力だ。多分今、俺が見てるのも気付いてるだろう)
「…以上が今回のルールだ。ちゃんと聞いてたか、白猫」
「え?うん。…はい、大丈夫です」
皆しっかりと聞いてはいたらしいが、かなり緊急してるの、口数が少ない。
「…アルタイルは冷静ね」
突然、リゼ先輩が話しかけてくる。
そりゃあ、まあ
「今まで潜ってきた修羅場に比べればね。ただ、皆に見られるってのは慣れないです…よ?」
ん?何やら足音が…?
突然ドアが空いたと思えば、
「よぉ!皆!調子はどうだ〜!」
なんとカッシュ達2組生が来ていた。
「はぁ!?お前らなんで!?」
「レイディ商会の伝手で…ちょっとね?」
恐るべしレイディ商会…。
試合前にも関わらずワイワイしていると、係の人が呼びに来る。
「…よし!行くか!!」
俺の号令で、皆が一斉に動き出す。
そのまま部屋を後にしようとすると
「白猫、アルタイル。頼んだぞ」
グレン先生から声がかけられる。
「「まーかせて!お師匠さん!」」
俺達はおどけながらも、しっかりと目を見て答えてから、会場に向かった。
「さて、ルールを確認するわよ」
システィーナの一言で作戦会議が始まる。
今回は至ってシンプル。
・勝利条件はメイン・ウィザードの撃破。
・フィールドは環境変化魔術で作ったこの大自然。
・中には、殺さない程度に躾られた魔獣が放し飼いされたいる。
「つまり、如何に上手くシスティを守りながら、相手を倒すかった訳だが…どうするよ?リーダー」
俺はシスティを流し見ながら、尋ねる。
「…二手に別れましょう。どうせ、すぐにバレるわ。だったらコソコソせずに、積極的に有利な場所を確保、速攻で仕掛けるわ。掃討班は私をリーダーに、リゼ先輩、ジャイル君、フランシーヌ、コレット、マリアの6人。索敵班はアイルをリーダーに、レヴィン、ハインケル、ジニーで行くわ」
その迷いのない、自信に満ちた決断に、誰もが頷き、思う。
俺達のリーダーは、帝国のメイン・ウィザードは、システィーナ=フィーベル…彼女しかいないと。
その時始まりを告げる信号弾が上がる。
「…始まったわ!皆!力を貸して!!」
「「「「「「「「「応!!!」」」」」」」」」
全員の気持ちが一致し、ついに初戦が始まった。
⦅こちらアルタイル。3つ目の拠点を確保。丘からの援護射撃可能。どうする?⦆
⦅アルタイル、そこからサハラは見える?⦆
俺はシスティからの通信に、周囲を散策するが、特に見えない。
⦅いや…特に姿は見えない。場所は分かるが、流石にここからじゃ⦆
「アイルさん」
突然ジニーから声がかかる。
「うん?どうした?」
「あれ」
ジニーが指さした先にいたのは
「は?アディル?」
俺は直ぐにシスティに通信を繋ぐ。
⦅システィ!アディルがそっちに向かってる!単騎だ!⦆
⦅な…!?⦆
システィの動揺が、通信越しに伝わる。
マズイ…このタイミングで単騎特攻ってことは…!
アイツ、サシでやる気か!
そうなると、あと後詰めの連中が一気に…!
⦅探索班!全員今すぐ掃討班の方に合流するぞ!⦆
⦅⦅了解!⦆⦆
「ジニー!行くぞ!」
「了解ですよっと」
俺達はすぐに行動を開始する。
しかしこの時、既に場は混沌としていた事に、まだ気づいてなかった。
アディルによる、帝国チームの分断。
数の利を覆す、大胆不敵なサハラの戦略。
それを押し止める、リゼの戦略。
結界内の、メイン・ウィザード同士の衝突。
救援に駆けつける、アルタイル達の獅子奮迅。
会場は大盛り上がりする中
「悪いが脱落してもらうよ…システィーナ=フィーベル」
漆黒の悪意が迫っていた。
「どけぇぇぇぇぇ!!!」
目の前の魔獣の首を糸で切り飛ばす。
最短距離を最速で駆け抜ける。
魔獣は縄張りを犯さない限り襲ってこないが、今回は無視。
邪魔するなら、蹴散らすのみ。
「『吠えよ炎獅子』!」
「『雷帝の閃槍よ』!」
「フッ!」
レヴィンとハインケルの魔術が蹴散らし、ジニーのクナイが的確に急所を突く。
「よし!もうすぐだ!全員、会敵速攻!仕掛けるぞ!」
そう声をかけ一気に加速しようとした瞬間
ギャアオオオオオオオオオ!!!
「なんだ今のは!?」
ハインケルが、慌てて確認するとそこには
「馬鹿な!?【
その言葉に絶句する。
実は草食で、基本的には大人しいから、縄張りに入らないようすればいいだけ。
そう、縄張りに気をつければいいのだ。
「ここら辺はまだ、テリトリー外だろうが…!」
明らかに作為的な何かを感じるが、後回し。
「ハインケル!直ぐにシスティに連絡!俺達もすぐに向かうぞ!」
俺達はすぐに合流し直す。
たどり着いた瞬間、何かが迫る。
「ジニー!危ない!」
慌ててジニーを引かせて避ける。
今のは…
「アルタイル!!すぐに追って!!システィーナが!!」
今指揮権を持っているは、リゼ先輩だ。
その先輩からの命令なら、従う。
「了解!!皆無理はすんなよ!!」
とはいえ、アイツらの速度には、多分追いつかない。
【次元跳躍】も、魔力を温存したいので却下。
⦅システィ。1つ聞く。俺に…自分の命、賭けられる?⦆
⦅今そんな事聞く!?そんなの…とっくに賭けてるわよ馬鹿!!!⦆
そうかよ…だったら。
⦅なら今からやって欲しい事がある。…逆鱗、探してくれ⦆
⦅逆鱗?…まさか!?⦆
⦅そのまさかだ。逆鱗を撃ち抜く⦆
一瞬でも捕まれば死ぬ、そんな恐怖で体が止まりそうになるのを、何度も理性で押さえつける。
「どこ…!?どこなの!?逆鱗!」
…正直な所、逆鱗を撃ち抜くなんて、不可能だと思ってる。
しかし、同時にアイルならやってのける。
そう思っている自分もいる。
だから手にアイルが渡したお守りを持ちながら、必死探している。
「上もない、右もない、左もない…だったら下?」
私は一気に減速して、
勢い余って通り過ぎていく、
「あった…!!」
私は直ぐに、通り過ぎざまに、そこに糸を引っ掛ける。
これでアイルは、正確に場所が分かるようになる。
⦅アイル!引っ掛けたわ!⦆
⦅よし、そのまま北西に向かえ。そこだと何故か、飛龍の動きがおかしい⦆
確かにそうかも。
それは私も気づいていたので、既にグレン先生に合図を送っておいた。
⦅分かったわ!後は任せたわよ!!⦆
そう言って通信を切る。
やるべき事はやった。
後は…アイルに全てを託す。
「『疾ッ』!」
私は【
「…ありがとうシスティ。後は任せろ」
俺は確保した拠点の一つにいた。
指定したポイントまでは、距離約800メトラ。
ここからしか、狙えない。
「…来た」
システィと、
その空中戦を見ながら、機を待つ。
糸の反応をしっかりと追いながら、狙いを定める。
粘って、粘って、粘り続けて…ついに見えた、絶好の隙。
「『天翔ろ・雷槍』」
射程距離と、正確さを改変した【ライトニング・ピアス】を発動し、ついに
普通に撃っても、竜鱗を貫く事は出来ない。
しかし、弱点である逆鱗なら話は別だ。
雄叫びをあげながら落ちていく
「「「「…」」」」
「…嘘でしょう?」
大歓声に湧く会場と反して、私達は何も言えなかった。
システィーナの符丁を理解したグレンが、チェイスの正体を見破り、飛龍を止めるよう指示していた時だった。
指示通りにしようと、画面に目を向けたチェイスの動きが止まる。
何事かと思い私達と確認して、絶句した。
「アホかよ…。
アルタイルが、
あれは弱いとは言え、竜種。
しかも、学生が相手どれる様な魔獣じゃない。
ここに、新たなドラゴンスレイヤーの誕生だ。
そして、息のあったそのコンビネーションは
(まるで、グレンとアルベルトじゃない…!?)
愚者と星のコンビネーションを彷彿させる、実に息のあった連携だった。
「…どうやら、魔眼を解除する必要はなさそうだね」
そう言って霧となって消えていくチェイスを、私達は静かに見逃すしかなかった。
「…今はこれで良しとしなさい、グレン」
私はそうグレンに声をかけ、画面を見る。
次に映っていたのは、アルタイルが炎の津波を引き裂くところだった。
「やれやれ…君達、そろそろ諦めてくれないかな?死ぬよ?」
そう余裕の笑みでアディルが、帝国チームを焼き払おうとする。
チーム一丸となって、何とか防いでいるそんな最中、帝国チームのリゼが、笑った。
「確かにそうかもしれませんね。…ですが生憎と、うちのツートップは、諦めが悪いので!」
アディルの仲間が、ふと奥からなにか来るのが見つけた。
その瞬間、とんでもない寒気を感じた仲間が
「危ない!!」
アディルを突き飛ばした瞬間、炎の津波ごとアディルがいた場所を、なにかが引き裂いた。
さらに颶風が巻き上がり、アディル以外のサハラのメンバーを全員、吹き飛ばす。
「くぅぅぅ!!」
慌ててアディルが見た先には、類まれなる結界魔術で、炎を尽く防ぎ切るアルタイルと、この場の全ての風を支配するシスティーナだった。
「皆、おまたせ」
そう言って、皆の前に立った俺は、すぐに結界を張り、皆を守る。
「アルタイルせんぱ〜い!!!」
「…遅せぇよ…」
「おお、ジャイル。死にかけてんじゃん。マリア、頼むわ」
泣きつくマリアの頭を撫でながら、そう言って俺は空中にいるシスティを見る。
「…決めてこい!システィ!!!」
片や炎の支配者、イフリート。
片や風を支配する姫君、ジン。
それはまさに、神話の構図。
お互い消耗は酷く、残り一撃。
「『剣の乙女よ・空に刃振るいて・大地に踊れ』ぇぇぇぇぇ!!!!!」
システィが放つ、無数の真空の刃か。
アディルが放つ、魔神の巨大な炎か。
勝者は果たして…。
「くぅぅぅ!!」
システィが苦痛に顔を歪めながら、地面を滑る。
その左腕は酷い火傷があり。
「…見事だ。…君の勝ちだ…システィーナ」
血を吐くアディルは、右肩から左脇腹までバッサリと切り裂かれていた。
そのまま倒れ伏すアディル。
その直後、試合終了の信号弾が上がり、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
アルベルトぐらいでしょうね、こんな事出来るの。
ただ使わないのはあれなので、今回狙撃ネタを使いました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。