ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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エレンは殴ったらこう言うだろうな、っていう想像して書きました。
あと本の世界に入るイメージは、Fate/EXTLACCCのあの場面を想像してください。
それではよろしくお願いします。


魔術祭典編第7話

準決勝を逆転勝利に終え、控え室に帰ってきた俺達を待っていたのは

 

「「「「「決勝進出おめでとう!!!」」」」」

 

観戦組からのお出迎えだった。

その中には、イヴ先生やリィエルやエルザ…ん?

リィエルにエルザ?

 

「あれ?リィエルとエルザ、いつの間に?ていうか、エルザお前!その服って!」

 

「女王陛下から俺達への護衛だ。それとエルザは、特務分室の執行官だ」

 

「改めて、執行官NO.10【運命の輪】エルザ=ヴィーリフです!よろしくね、アイル君!」

 

「お、おう…よろしく」

 

マジかよ…!?

諸事情で来れなかったとは聞いていたが、まさか特務分室に!?

いや、まあ…リィエルと同等の剣技だし納得だけど…。

 

「ちょっと!アルタイル君!」

 

「ん?何だよ?エレン」

 

振り返ると、エレンが怒ったように…というか怒ってるな、これ。

 

「何でシスティ殴ったのよ!この人でなし!!」

 

「いや、そっちがキツイのくれって」

 

「だからって殴る普通!?システィになんかあったら…マジでこう、だからね?」

 

チョキを閉じたり開いたりするその仕草に、股下がヒュってする。

 

「何をだよ!?何をどうする気だよそれ!?」

 

「…」

 

「笑ってねぇで答えろ!このガチレズ2号!」

 

「何ですってぇ!?」

 

俺とエレンがいがみ合っているとふと、よく見ると、サクヤと細目君がいた。

 

「お。サクヤに細目君じゃん?元気?」

 

俺はキャンキャン吠えるエレンを無視して、サクヤ達に歩み寄る。

 

「はい、普通にしてる分には、特には」

 

「細目君って…自分にはシグレって名前があるんやけど…?」

 

あ、シグレって言うんだ。

初めて知った。

 

「で?なんの用?【呪言】の件?」

 

「なっ!?なんでそれを!?」

 

「知ってたし、ていうか気付いてたし」

 

一応、陰陽術齧ってるし、それにベガに言霊を教えるのに、一通り勉強したからな。

 

「…ほんま、アンタらには敵いませんわ」

 

そんな話をしていると、システィとサクヤが何やら話している。

 

「…ふふ、頑張って下さいね、システィーナさん」

 

「ふぇ!?なんの事!?///」

 

おや?いつも間にか楽しげだな。

というか、システィよ。

いい加減自覚出来たろう?

 

「そうだ!皆さん!実はいい物があるんです!」

 

突然マリアが、手を叩いて取り出したのは、マイ写生機だ。

アイツ、何であんなデカいものを…?

 

「いやー、このミラノにある聖堂の御姿を、写真に収めようかと…」

 

「やっぱ観光目的じゃねぇか!一体何しに来たんだお前は!?」

 

あ、マリナがグレン先生にお仕置きされてる。

結局、そのまま勢いに乗せられた俺達とサクヤ達、更にはお祝いに来たサハラのアディル達をも巻き込んで、大撮影会が行われた。

まだ、一戦あるのだが、それはともかく。

その時撮られた写真は俺らにとって、かけがえのない、一生の宝物になった。

 

 

「いい湯だった…」

 

その日の夜、俺は温泉から出て、自室に戻って来たのだが、隣が騒がしい。

その部屋はグレン先生の部屋であり、覗いてみると、イヴ先生とフォーゼル先生が何かしていた。

その先には…眠っているグレン先生。

 

「グレン先生!?何があったの!?」

 

俺は慌てて部屋に入り、駆け寄る。

 

「アルタイル!いい所に!貴方は直ぐに、この方陣を組んで!私はあの子達呼んでくる!」

 

そう言ってメモを投げ渡してくる。

それをざっと流し見て、直ぐに作業を始める。

 

「待たせたわね、アルタイル!用意は!?」

 

「出来てる!何するの!?」

 

「貴方達には今からこの本、【アリシア三世の手記】の中に入っもらうわ。ここでグレンを助け出して来て。本当は私が行きたいけど…私達は、ここで貴方達をピックアップする作業をしなくちゃいけないから」

 

なるほど、確かにそんな複雑な術式、俺達には無理だな。

 

「OK。任せて」

 

「はい!任せてください!」

 

「先生は私達が絶対に!」

 

「ん、私はグレンの剣」

 

「…フッ。頼もしい限りね。さ、準備しなさい!」

 

俺達には力強い返事を聞いて、イヴ先生が笑ってから、直ぐに術式を展開する。

 

「さあ!行ってきなさい!」

 

そのまま光に包まれて、気付いたら周りは暗くなっていた。

 

「皆!いるか!?」

 

「アイル君!いるよ!」

 

「私もいるわ!」

 

「ん、無事」

 

よし、皆いるな。

それはともかく、先生は何処にいるんだ?

徐々に降下してる感じはするが…。

 

「暗すぎて何が何だか…」

 

「アイル君、【アリアドネ】で追えないの?」

 

ルミアの質問に俺は首を横に振る。

 

「無理だ。ここでのグレン先生は、精神体か霊体だ。実体無きものに物が持てるはずは無い」

 

「しばらくは成り行きに任せるしかないって事ね…」

 

俺達はそのまま自然落下に任せて降りてゆき、やがて一番下に辿り着く。

 

「…?ここで終わり?」

 

「行き止まりだよ?」

 

俺達はしばらく周辺を調査していると、不意にグレン先生の声が聞こえた。

 

「シッ!先生の声が聞こえた!」

 

「え!?何処!?」

 

「…下からだ!」

 

それは俺達の足元から聞こえてきていた。

 

「アイル!ここ壊すわよ!」

 

「だな!リィエル!一気にやるぞ!」

 

「ん、任せて」

 

「皆、私の力、受け取って!」

 

ルミアの力で、魔力を一気にはね上げた俺達は、それぞれ構えて、

 

「「いっせーのーで!」」

 

「『我が手に星の天秤を』!!」

 

「『我に従え・風の民よ・我は風統べる姫なり』!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺達の全力の一撃が、床を叩き壊して、真下にいた、影みたいな怪物を押し潰した。

 

「先生ぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

システィが真っ先に駆けつけ、先生の隣に立つ。

続いて俺がルミアを抱えて降り立つ。

ん?あの奥にいる奴…何者だ?

 

「へっ。そろそろ来ると思ったぜ!お前ら!」

 

まあ、正体は後で先生に聞けばいいか。

 

「信頼どうも。とりあえず、ぶっ飛ばすよ!」

 

先生が、詠唱してる間に俺達は、守るように、黒い怪物を蹴散らす。

 

「なるほど…【黄昏の剣士】に【イターカの神官】、【愛しの我が天使】に【継人】か。それに君は…。おめでとう、グレン=レーダス。君は新たな可能性を切り開く、正位置の愚者だったようだ。しかし…目覚めるのが、遅すぎた」

 

しかし、そんな訳分からない言葉を、先生は無視してついに、呪文を完成させる。

 

「吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

先生の放つ【イクスティンクション・レイ】の閃光が、全てを白く染めあげて…

 

「はっ!?」

 

気付いたら、元の部屋に戻っていた。

周りを見ると、皆同じタイミングで目を覚ましたらしく、それから少し遅れて、グレン先生も目を覚ます。

 

「良かった…」

 

「先生…」

 

「ヒヤヒヤしましたよ、全く…」

 

「ん」

 

俺達はそれぞれホッとしていると、後ろからフォーゼル先生が、グイッと近づいて

 

「それで!?一体何を見た!?何を知った!?さあ早く!」

 

「『ちょっとは・自重・しろ』!!」

 

あ、イヴ先生が、ブチ切れて燃やしてる。

まあ、いいか。

 

「で?何見たんですか?もちろん、俺達にも教えてくれるんでしょ?」

 

そう言って俺達は、じっと先生を見つめる。

そんな俺達を見て、微笑んだグレン先生は、首を鳴らしながら答えた。

 

「そうだな。この魔術祭典が終わったら、お前達には話すさ。そん時は、頼りにするぜ?」

 

そう言われた俺達は、ニッコリ笑うのだった。

 

 

翌日、ついに迎えた決勝戦。

相手はあのレザリアだ。

まあ、だからどうという訳では無い。

 

「ふん…来たな、異端者共」

 

会場に向かう廊下のT地路、そこで偶然にも、レザリアの連中と鉢合わせた。

 

「よく勝ち上がってきたね。褒めてあげるよ。そして、この巡り合わせを…そして主の思し召しを感謝しているよ。何せ…公衆の面前で堂々と、君達裏切り者に、聖伐出来るのだからね」

 

まーた訳分からんことを…ていうか、マジ興味ないし。

 

「そう、じゃあ、精々頑張ってよ。…出来るものなら」

 

「そうね、正直貴方がどう思っていようが、どうでもいいわ。私はただ、貴方の魔術がどういうものか、私がどう対応するか、それが凄く楽しみなだけ。そして私達は…貴方達に勝つ。ただそれだけ」

 

俺達は不敵に笑いながら、話かけてきた少年を流し見る。

しかし俺達の態度が、酷く気に入らなかったのだろう。

顔を真っ赤にして、怒り出す。

 

「どうでもいいだと…!君達は、僕達の信仰を無意味だと…無価値だと!そう言うのだな!!」

 

「そうじゃないわ。ただ魔術の腕を競う場に、思想や宗教は関係ないわ。それだけ」

 

「テメェが何をどう信仰するかは、知らねぇよ。勝手にやってろ。ただ、それだけ」

 

そう言って俺達はすれ違う。

その時、ふと気づいたので、それを指摘した。

 

「ところでお前…()()()()()?」

 

 

 

ついに始まった決勝戦。

今回のステージは、変化なし。

ただの競技場だ。

ルールもシンプル、真正面からのガチンコバトル。

ノックアウトで戦闘不能。

そんな掛け値なしの、本気のバトルに、柄にも無く熱くなってきたまさにその時。

突然、レザリアの選手達が、軒並み苦しみ出して、血をまき散らし、死んだ。

そんな光景に、俺達も、観客も唖然としながら見ていた。

 

「今…のは…まさか…まさか!!!?」

 

「【天使の塵(エンジェル·ダスト)】だと!!!?」

 

唯一、この光景に見覚えのあった俺とシスティだけが、ステージの上で、体を震わせながらも口を開けた。

 

「あ、アルタイル先輩…!?これ!?これって一体…!?」

 

俺にすがりつくマリアの背中をさすってやりながら、皆に怒鳴りつける。

 

「最大警戒!!!何か起こるぞ!!!ボサっとするな!!!」

 

その声で全員がハッとなり動き出した瞬間。

ヒラリと何かが舞った。

それは白い羽根…そして、見覚えのある羽だった。

 

「なんのつもりだ…ルナ!!チェイス!!」

 

そう、上からやってきたのはルナ=フレアーと、チェイス=フォスターだ。

コイツらは、あの時俺達に関わらないって…!

 

「チッ!!クソッタレが…!!」

 

俺は糸を展開して迎撃しようとした瞬間

 

「させないよ」

 

気づけばすぐ目の前に現れたチェイスに腕を捕まれ、そのまま膝を打ち込まれた。

 

「ゴフッ…!こんのぉぉぉ!!」

 

ふらつきながらも、カウンターにハイキックを叩き込む。

予想外のカウンターにふらつかせるくらいは、出来たらしい。

 

「…頑丈だね、君は。ああ、身体中にその糸を巻き付けてるのか。でも…」

 

「ッ!?」

 

俺は咄嗟に後ろに裏拳を叩き込むも、あっさりと防がれ、そして首を掴まれ、そのまま地面に叩きつけられる。

 

「ガハッ…!ルナ…!」

 

「あの金髪の子がいないと、強化されないんでしょ?だったら勝ち目は無いわ。全く…『大会が中止になれば、大会中に手を出した事にはならないだろ?』…アイツの理屈は全く分からないわ」

 

俺を押さえつけたまま、ルナはため息をつく。

その隙に、チェイスがマリアを捕まえてしまう。

 

「さてと…来てもらうよマリア=ルーテル。いや…【無垢なる闇の巫女】、()()()()=()()()()()()

 

「…え?カー…ディス…?」

 

システィが一歩踏み込んで、マリアを助けようとするも、それはあっさりと躱される。

 

「ルナァァァァァァァァァァ!!!」

 

グレン先生達がこっちに走りよるが、それはあまりに遠く、

 

「や、やだぁ!!先生ぇ!!アルタイル先輩ぃ!!助けてください!!!」

 

「ま、マリア…!!!」

 

「マリアァァァァァァァァァァ!!!」

 

先生がその手を伸ばすも虚しく、マリアがルナとチェイスに攫われたしまったのだった。




マリア…!
まだ本編でも書かれてないので、分かりませんが無事でいて欲しいですね…。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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