ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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最近気付いた…。
自分は、姉キャラ好きだなって事に…!
女兄弟いないからかな?
それではよろしくお願いします。


炎の一刻半編第3話

この異界に逃げ込んで2日間、俺は療養に務めていた。

というのも、2日前の強行軍が、かなり応えており、かなりボロボロだったのだ。

 

「…やっと動ける」

 

「でも、病み上がりなんだから、忘れないでね」

 

そう厳しく言うのは、ルミアだ。

戦況を聞いた後、無茶をした俺に対して、結構はお説教をしたのだ。

そんな俺達はというと、将校達に言われて、陛下にお茶を持ってきているのだ。

ルミアがノックする。

 

「はい?」

 

「アルタイルとルミアです」

 

「お茶をお持ちしました」

 

「ああ、ありがとうございます。どうぞ」

 

そうして入っていく。

そもそもこの異界は、俺達の拠点となっているホテルを元に、ルミアの力で作り上げたものだ。

だから、部屋の作りとかは全部、あのホテルが参考になっている。

陛下に割りあてられた部屋は、当然1番いい部屋だ。

 

「アルタイル、体は大丈夫ですか?」

 

「はい、ルミア達のおかげで、バッチリです!」

 

「そうですか。…ふふ、あの時のアルタイルは、格好良かったですよ?私が後10年は若かったら…ふふ!」

 

「あ、アハハ…」

 

え、陛下って…何歳なの?

本当に若々しいよな…この人。

正直20半ばでも納得だし、ルミアの姉ですって言っても通じるだろうな。

いやまあ、実際にルミアには姉がいるけど。

 

「アイル=クン?」

 

「ルミア=サン!?」

 

考え事してるうちに、ルミアが滅茶苦茶怖いし!

ていうか、笑ってないで助けてよ陛下!

 

「フフ、ごめんなさい、エルミアナ。少しからかってしまったわ」

 

「もう!お母さん!」

 

ここには俺達しかいないし、元々立ち入れる人も限られている。

ここ入れるのは、俺達5人+リゼ先輩とイヴ先生、後は女中さん達だ。

女性というのあり、基本的に男性は入れない。

しかし、笑っていた陛下の顔がどんどんと暗くなる。

 

「…芳しくありませんか?」

 

俺は直球で尋ねる。

 

「…ええ、何から何まで足りません。不甲斐ないばかりです」

 

「お母さん…」

 

陛下のその顔は、苦悩に満ちており、俺達では推して測る事すら出来ない。

 

「…イヴはどうですか?」

 

逆に俺がイヴ先生の事を聞かれる。

俺は首を横に振る。

 

「…ダメですね。まだ引き篭ってます」

 

「そうですか…。ところでアルタイル。貴方2日前、イヴの事を『姉さん』と呼んでいたけれども、どういう関係なのかしら?」

 

「…あ」

 

しまったァァァァァァ!!

あの時の俺のバカァァァァァァァ!!

 

「…アイル君。どういう事なのか、教えてくれないかな?」

 

いつもと変わらない笑顔が…さっき以上に怖い。

仕方ないので、同居してる事を話した。

知ってるのは、グレン先生と、リック学園長だけだ。

 

「むぅ…」

 

ふてくされてはいるが、俺の言い分に納得してくれたらしい。

 

「そうですか、事情は分かりました。…さて、また軍議です。貴方達も無理をしないようにね」

 

そう言って部屋を出ていく陛下を、俺達は黙って見つめるしか無かった。

 

「…俺、イヴ先生のところ寄っていくよ」

 

「うん。私は下で治療を手伝ってくるね」

 

法医呪文を得意とするルミアの存在は、掛け値なしに、俺達の生命線だ。

こういう時、本当に頼りになる。

俺達は別れて、それぞれの目的地に向かう。

部屋まで辿り着いた時、突然中から、イヴ先生が出てくる。

 

「!?イヴ先生!」

 

「…アルタイル」

 

そう呟くと、突然手を伸ばして、俺の頬を撫でる。

 

「…?イヴ先生?」

 

「…ねぇ、アルタイル。また姉さんって呼んでくれない?」

 

「はぁ!?何言って!?///」

 

「お願い」

 

…こんな小っ恥ずかしい事を、なんでこんなに真剣に…。

はぁ…仕方ない…。

 

「…い、イヴ姉さん…///」

 

クソ…やっぱ恥ずかしい…!///

 

「…ありがとう。私、頑張るわ」

 

「…うん。行ってらっしゃい、イヴ姉さん」

 

そのままツカツカと、陛下のいる大会議場まで歩いていく。

そして俺は、真っ暗なイヴ先生の部屋を見る。

そしてその中にいるだろう人に、声をかける。

 

「立ち直らせたんだったら、最後まで付き添ってね、グレン先生」

 

「…仕方ねぇな〜」

 

そう言ってイヴ先生の後を追う。

もう…大丈夫そうだな。

 

「さてと…力仕事でも手伝うか」

 

ルミアのいる場所まで、歩き出す。

その足は、少し軽かった。

 

 

 

 

「陛下、我がイグナイト家の行った罪、そして我が一時の迷い。我が素首を捧げて贖罪したき所存です。ですが…今はどうか、暫くの猶予を。我が父アゼル=ル=イグナイト、我が姉リディア=イグナイト。両名の誅伐を、どうかこの私にお任せ下さい」

 

「貴女は、それで良いのですか?最早、イグナイト家の改易は免れません。貴女にとって、イグナイトという家名がどれだけ大事かは、私もよく知っています。…それでも、やるのですね?」

 

「…はい。それがイグナイトの責務です」

 

「…本当に皮肉ですね。本分を忘れ、傲慢と堕落を重ね続け、ついぞ落ちるところまで落ちた時、ようやく()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて…。イヴ、私は貴女の決意と覚悟、尊い黄金の精神に、無限の感謝を」

 

「ッ!?」

 

「どうか力を貸してください、イヴ。未来の為に…そして、世界の為に」

 

「御意に。この命の最後の一滴を燃やし尽くす所存です」

 

 

 

 

そして…イヴ先生の立てた作戦は、軍事歴史上において、【イヴ=ディストーレ】の名と共に、こう語り継がれる事になる。

【炎の一刻半】と。

まあ、そんな感じではあるけれども、恋する乙女というのは、無敵なものだ。

 

「ドドドドド、どういう状況なのこれ!?」

 

「焚き付けた俺が言うのもあれだけど、落ち着けシスティ」

 

こんな戦況でも、大量の賊軍を前にした時より、恋敵の急な躍進に、危機感を感じているのだから。

 

「そ、そうだよシスティ!落ち着いて!声を落として!」

 

「ん、イヴ。なんか…ズルい」

 

「え?まさかのリィエルまで!?」

 

俺達は、たまたまグレン先生に用があって、探し回っていた。

しかしちょうど、イヴ先生との密会を目撃。

あまりの雰囲気の良さに、結界まで張って、出歯亀する羽目になったのだった。

 

なあ、ルミア。まさか…リィエルもか?

 

「う、う〜ん…。どうなんだろう?リィエルの場合は…どっちか分からないかも…

 

そうなんだよな〜。

リィエルの場合、兄貴分をとられた妹的感情なのか否か、そこが分かりにくいんだよな〜。

 

「しっかし、恐るべしグレンダービー。ここまで荒れ狂うとは…」

 

アルタイルダービーも、かなり激しいけどね…

 

ルミアが何かぼそっと呟いたが聴き取れず、

 

「ルミア?何か言っ…ってうぉ!!?エルザ!!?」

 

「「「え!?」」」

 

「皆さん、何してるんですか?」

 

ルミアの方へ振り向けば、すぐ後ろにエルザがいた。

エルザは、外で斥候として、情報収集を行っていたはずだ。

 

「いつの間に!?」

 

「『恐るべし、グレンダービー』の辺りですね」

 

ついさっきか…油断しすぎたか?

そう思っていると、エルザがルミアに耳打ちしており、ルミアの顔が一気に赤くなる。

 

「ルミア?どうした?大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫だよ!?///問題なし!!///」

 

いや大ありの顔だけど…?

ていうかこのやり取り、前にもしたよな?

 

「それにしても…アルタイルの疑いが晴れて良かったぜ…」

 

「ええ、本当にホッとしたわ」

 

ん?俺の疑い?何故に?

 

「まあ、あのタイミングで、イヴの事を姉呼びしちまったらなぁ」

 

「あの子も、それだけ切羽詰まってたって事ね」

 

…あちゃ〜…寄りにもよってその話。

これは…やらかした…!

 

「…アイル。どういう事!?」

 

ルミア以外の3人が俺を振り返る。

三者三様の反応だが…システィよ、何故にそんな鼻息荒い。

俺はため息をついて、事情を説明した。

 

「アンニュイ気な美人女教師と、学園の人気者の男子高校生…!秘密の同居生活からの禁断の恋愛話…滾ってきたわ!!!」

 

「何がだよ!落ち着けよ!!この駄作家!!」

 

「何ですってぇ!!」

 

「ふ、2人共…!そんなに騒ぐと!?」

 

「うん?…何してんだお前達」

 

「「「「「あ…」」」」」

 

思いっきりバレました。

俺達は唖然とした顔で、2人を見ている。

とりあえず誤魔化す為に、はぐらかす事にした。

 

「そ、その!俺の疑いって何?」

 

疑われる要素が全く思い浮かばない。

何やらかしたっけ?

 

「その…あれだ。お前がイヴを姉呼びするから、他の将校達が、お前もグルなんじゃねぇかって怪しんでたんだよ」

 

「でも、陛下自身が自ら説明して下さってくれたから、何とかなったのよ」

 

「ああ、なるほど…。そういう…」

 

あの質問の意図はそこだったのか。

大人って…怖ぇ…。

 

「その…イヴさんと、アイル君の関係は!?」

 

「ルミア!?説明したよな!?」

 

いきなりぶち込んできたな!

焦るわ、かなり!

 

「そうね…姉弟よ。ベガも含めて私の弟妹かしら」

 

そう言いながら、俺の頭を撫でるのは何故?

 

「頭を撫でないでください」

 

「あら?貴方は割とやってると思うけど」

 

「やるのとやられるのは別なの!」

 

「たまにはやられなさい。弟なんだから」

 

「キャラ変わりすぎじゃない!?」

 

この人なんなの?

劇的ビフォーアフターなんだけど?

…何言ってるんだ俺。

 

「そ、その!エルザさんはどうしたの!!?」

 

自分から振っておいて、動揺しまくりのルミアが、次はエルザに振る。

 

「それが…お2人に言伝が。とても重要な」

 

エルザから伝えられた2つの情報は、あまりにも衝撃的で。

しかしもう、歯車は止まらない。

既に賽は投げられた、人事も尽くした。

ならば…天命を待つのみ。

いや、掴み取るのみだ。




イヴしかり、リゼしかり…姉キャラに弱い時分ですね。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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