自分は、姉キャラ好きだなって事に…!
女兄弟いないからかな?
それではよろしくお願いします。
この異界に逃げ込んで2日間、俺は療養に務めていた。
というのも、2日前の強行軍が、かなり応えており、かなりボロボロだったのだ。
「…やっと動ける」
「でも、病み上がりなんだから、忘れないでね」
そう厳しく言うのは、ルミアだ。
戦況を聞いた後、無茶をした俺に対して、結構はお説教をしたのだ。
そんな俺達はというと、将校達に言われて、陛下にお茶を持ってきているのだ。
ルミアがノックする。
「はい?」
「アルタイルとルミアです」
「お茶をお持ちしました」
「ああ、ありがとうございます。どうぞ」
そうして入っていく。
そもそもこの異界は、俺達の拠点となっているホテルを元に、ルミアの力で作り上げたものだ。
だから、部屋の作りとかは全部、あのホテルが参考になっている。
陛下に割りあてられた部屋は、当然1番いい部屋だ。
「アルタイル、体は大丈夫ですか?」
「はい、ルミア達のおかげで、バッチリです!」
「そうですか。…ふふ、あの時のアルタイルは、格好良かったですよ?私が後10年は若かったら…ふふ!」
「あ、アハハ…」
え、陛下って…何歳なの?
本当に若々しいよな…この人。
正直20半ばでも納得だし、ルミアの姉ですって言っても通じるだろうな。
いやまあ、実際にルミアには姉がいるけど。
「アイル=クン?」
「ルミア=サン!?」
考え事してるうちに、ルミアが滅茶苦茶怖いし!
ていうか、笑ってないで助けてよ陛下!
「フフ、ごめんなさい、エルミアナ。少しからかってしまったわ」
「もう!お母さん!」
ここには俺達しかいないし、元々立ち入れる人も限られている。
ここ入れるのは、俺達5人+リゼ先輩とイヴ先生、後は女中さん達だ。
女性というのあり、基本的に男性は入れない。
しかし、笑っていた陛下の顔がどんどんと暗くなる。
「…芳しくありませんか?」
俺は直球で尋ねる。
「…ええ、何から何まで足りません。不甲斐ないばかりです」
「お母さん…」
陛下のその顔は、苦悩に満ちており、俺達では推して測る事すら出来ない。
「…イヴはどうですか?」
逆に俺がイヴ先生の事を聞かれる。
俺は首を横に振る。
「…ダメですね。まだ引き篭ってます」
「そうですか…。ところでアルタイル。貴方2日前、イヴの事を『姉さん』と呼んでいたけれども、どういう関係なのかしら?」
「…あ」
しまったァァァァァァ!!
あの時の俺のバカァァァァァァァ!!
「…アイル君。どういう事なのか、教えてくれないかな?」
いつもと変わらない笑顔が…さっき以上に怖い。
仕方ないので、同居してる事を話した。
知ってるのは、グレン先生と、リック学園長だけだ。
「むぅ…」
ふてくされてはいるが、俺の言い分に納得してくれたらしい。
「そうですか、事情は分かりました。…さて、また軍議です。貴方達も無理をしないようにね」
そう言って部屋を出ていく陛下を、俺達は黙って見つめるしか無かった。
「…俺、イヴ先生のところ寄っていくよ」
「うん。私は下で治療を手伝ってくるね」
法医呪文を得意とするルミアの存在は、掛け値なしに、俺達の生命線だ。
こういう時、本当に頼りになる。
俺達は別れて、それぞれの目的地に向かう。
部屋まで辿り着いた時、突然中から、イヴ先生が出てくる。
「!?イヴ先生!」
「…アルタイル」
そう呟くと、突然手を伸ばして、俺の頬を撫でる。
「…?イヴ先生?」
「…ねぇ、アルタイル。また姉さんって呼んでくれない?」
「はぁ!?何言って!?///」
「お願い」
…こんな小っ恥ずかしい事を、なんでこんなに真剣に…。
はぁ…仕方ない…。
「…い、イヴ姉さん…///」
クソ…やっぱ恥ずかしい…!///
「…ありがとう。私、頑張るわ」
「…うん。行ってらっしゃい、イヴ姉さん」
そのままツカツカと、陛下のいる大会議場まで歩いていく。
そして俺は、真っ暗なイヴ先生の部屋を見る。
そしてその中にいるだろう人に、声をかける。
「立ち直らせたんだったら、最後まで付き添ってね、グレン先生」
「…仕方ねぇな〜」
そう言ってイヴ先生の後を追う。
もう…大丈夫そうだな。
「さてと…力仕事でも手伝うか」
ルミアのいる場所まで、歩き出す。
その足は、少し軽かった。
「陛下、我がイグナイト家の行った罪、そして我が一時の迷い。我が素首を捧げて贖罪したき所存です。ですが…今はどうか、暫くの猶予を。我が父アゼル=ル=イグナイト、我が姉リディア=イグナイト。両名の誅伐を、どうかこの私にお任せ下さい」
「貴女は、それで良いのですか?最早、イグナイト家の改易は免れません。貴女にとって、イグナイトという家名がどれだけ大事かは、私もよく知っています。…それでも、やるのですね?」
「…はい。それがイグナイトの責務です」
「…本当に皮肉ですね。本分を忘れ、傲慢と堕落を重ね続け、ついぞ落ちるところまで落ちた時、ようやく
「ッ!?」
「どうか力を貸してください、イヴ。未来の為に…そして、世界の為に」
「御意に。この命の最後の一滴を燃やし尽くす所存です」
そして…イヴ先生の立てた作戦は、軍事歴史上において、【イヴ=ディストーレ】の名と共に、こう語り継がれる事になる。
【炎の一刻半】と。
まあ、そんな感じではあるけれども、恋する乙女というのは、無敵なものだ。
「ドドドドド、どういう状況なのこれ!?」
「焚き付けた俺が言うのもあれだけど、落ち着けシスティ」
こんな戦況でも、大量の賊軍を前にした時より、恋敵の急な躍進に、危機感を感じているのだから。
「そ、そうだよシスティ!落ち着いて!声を落として!」
「ん、イヴ。なんか…ズルい」
「え?まさかのリィエルまで!?」
俺達は、たまたまグレン先生に用があって、探し回っていた。
しかしちょうど、イヴ先生との密会を目撃。
あまりの雰囲気の良さに、結界まで張って、出歯亀する羽目になったのだった。
「なあ、ルミア。まさか…リィエルもか?」
「う、う〜ん…。どうなんだろう?リィエルの場合は…どっちか分からないかも…」
そうなんだよな〜。
リィエルの場合、兄貴分をとられた妹的感情なのか否か、そこが分かりにくいんだよな〜。
「しっかし、恐るべしグレンダービー。ここまで荒れ狂うとは…」
「アルタイルダービーも、かなり激しいけどね…」
ルミアが何かぼそっと呟いたが聴き取れず、
「ルミア?何か言っ…ってうぉ!!?エルザ!!?」
「「「え!?」」」
「皆さん、何してるんですか?」
ルミアの方へ振り向けば、すぐ後ろにエルザがいた。
エルザは、外で斥候として、情報収集を行っていたはずだ。
「いつの間に!?」
「『恐るべし、グレンダービー』の辺りですね」
ついさっきか…油断しすぎたか?
そう思っていると、エルザがルミアに耳打ちしており、ルミアの顔が一気に赤くなる。
「ルミア?どうした?大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ!?///問題なし!!///」
いや大ありの顔だけど…?
ていうかこのやり取り、前にもしたよな?
「それにしても…アルタイルの疑いが晴れて良かったぜ…」
「ええ、本当にホッとしたわ」
ん?俺の疑い?何故に?
「まあ、あのタイミングで、イヴの事を姉呼びしちまったらなぁ」
「あの子も、それだけ切羽詰まってたって事ね」
…あちゃ〜…寄りにもよってその話。
これは…やらかした…!
「…アイル。どういう事!?」
ルミア以外の3人が俺を振り返る。
三者三様の反応だが…システィよ、何故にそんな鼻息荒い。
俺はため息をついて、事情を説明した。
「アンニュイ気な美人女教師と、学園の人気者の男子高校生…!秘密の同居生活からの禁断の恋愛話…滾ってきたわ!!!」
「何がだよ!落ち着けよ!!この駄作家!!」
「何ですってぇ!!」
「ふ、2人共…!そんなに騒ぐと!?」
「うん?…何してんだお前達」
「「「「「あ…」」」」」
思いっきりバレました。
俺達は唖然とした顔で、2人を見ている。
とりあえず誤魔化す為に、はぐらかす事にした。
「そ、その!俺の疑いって何?」
疑われる要素が全く思い浮かばない。
何やらかしたっけ?
「その…あれだ。お前がイヴを姉呼びするから、他の将校達が、お前もグルなんじゃねぇかって怪しんでたんだよ」
「でも、陛下自身が自ら説明して下さってくれたから、何とかなったのよ」
「ああ、なるほど…。そういう…」
あの質問の意図はそこだったのか。
大人って…怖ぇ…。
「その…イヴさんと、アイル君の関係は!?」
「ルミア!?説明したよな!?」
いきなりぶち込んできたな!
焦るわ、かなり!
「そうね…姉弟よ。ベガも含めて私の弟妹かしら」
そう言いながら、俺の頭を撫でるのは何故?
「頭を撫でないでください」
「あら?貴方は割とやってると思うけど」
「やるのとやられるのは別なの!」
「たまにはやられなさい。弟なんだから」
「キャラ変わりすぎじゃない!?」
この人なんなの?
劇的ビフォーアフターなんだけど?
…何言ってるんだ俺。
「そ、その!エルザさんはどうしたの!!?」
自分から振っておいて、動揺しまくりのルミアが、次はエルザに振る。
「それが…お2人に言伝が。とても重要な」
エルザから伝えられた2つの情報は、あまりにも衝撃的で。
しかしもう、歯車は止まらない。
既に賽は投げられた、人事も尽くした。
ならば…天命を待つのみ。
いや、掴み取るのみだ。
イヴしかり、リゼしかり…姉キャラに弱い時分ですね。
それでは失礼します。
ありがとうございました。