2回目の時もそうでしたが、吐きました。
吐くものなくても吐きました。
…本当にツラタンでした。
それではよろしくお願いします。
「はぁ!?
あら、やっぱりその反応。
まあ、想定通りだな。
「はい、私達で盛大に祝いませんか?」
「各方面には、既に話は通してあります」
俺達はある目的のために、この
「お前らなぁ…」
「まあ、本当は別の事を祝って欲しいですが…」
「ん?どうした白猫」
「な、なんでもありません!」
ん?…ああ、そうか。
「…誕生日なら、来年やればいい」
「そうだよ。来年ならきっと」
「ふ、2人共!?何言ってるのよ!?」
だってそんな顔されたらねぇ…?
俺はルミアと目を合わせ、クスクスと笑う。
「お前らなぁ。ちっとは状況考えろよ?」
そう言って先生がめくった裾の下には、一丁の火打ち式拳銃だ。
グリップ部分には『汝、正位置の愚者たらんことを』と、掘られている。
「それは確か…【アリシア三世の手記】から持ってきたやつ」
「そう、魔銃【クイーンキラー】。解析したから使えるぜ。それにこれ」
そう言ってポケットから取り出したのは、
【イクスティンクション・レイ】発動用の触媒だ。
「へぇ…随分と作ったんですね。徹夜したんじゃないですか?」
「そうそう、本当に疲れたぜ…セリカが」
慌てて取ってつけたような、アルフォネア教授の名前。
「それに今晩、イヴに相談があるんだ。上手くやりゃ、エレノア辺りは暗殺出来るかもしれねぇしな」
「暗殺…」
その言葉にシスティが、項垂れる。
この人が俺達の前でそんな事言うなんてな…。
相当追い詰められてる証拠だ。
「…今だからだよ、先生。今だからこそ、やるの」
俺は先生の目をしっかりと見て言い切る。
俺の言葉に、ルミアが続く。
「その通りです、先生。だって…来年出来るか、分からないから」
そう言われたら、グレン先生も何も言えなくなる。
そんな先生の背中を、システィが軽く叩く。
「大丈夫ですよ!先生!私達は後ろ向きな気持ちで、やるつもりはありません。むしろ逆です!」
「来年も絶対、皆で揃ってパーティをやろう。そういう気持ちでやるんですよ」
「ま、未来への決起集会みたいなもんですよ」
「ん、グレン。苺タルトもいっぱい出る。だからやろう?」
そんな俺達にやっと折れたのか
「分かった分かった。俺も出るよ。仕方ねぇな〜」
やっと先生も出るって言っくれた。
これでファーストステップはクリア。
まあ、一度出させてしまえば
「うぉぉぉぉお!!食い溜めじゃあぁぁぁぁぁ!!」
「計画通り」
「アイル君…すごく悪い顔してるよ…?」
と、こんな感じで1番はしゃぐに決まってる。
主に飯方面で。
「それにしても…意外に集まったわね…」
「それだけ皆先生の事が、大事なんだよ」
ルミアとシスティの話を聞いて、俺も周りを見渡す。
ここには俺達2組生だけじゃなく、フランシーヌやコレットやジニー、ハインケルやレヴィン、ジャイルやリゼ先輩もいる。
最初この計画を話した時、一定数の反対意見もあった。
しかし、俺達の本来の目的を説明したら、皆二つ返事でOKを出したのだ。
「まだ来るぜ…。ほら来た」
俺が目線を向けた先には、イヴ先生を筆頭にバーナードさん、クリストフの姿がある。
「イヴさん!?どうして!?」
「何よ。もし仕事が片付いて、万が一余裕があったら出るって言ったでしょ」
そう言って不機嫌そうにそっぽ向く。
本当になんて天ノ弱なんだ…。
「何言ってるの?いつも以上に、コキ使ってきたくせに」
「クカカカ、そうじゃぞ?そんな事言ってイヴちゃん、今日は鬼気迫る勢いで仕事を…ゴフォ!?ひ、肘ぃ!」
イヴ先生の肘がバーナードさんの鳩尾にいい感じに刺さる。
「フフ、システィーナさん。今日はお招きありがとうございます。こういうのは士官学校以来です。ワクワクしますね」
「クリストフ、あっちに美味いもんいっぱいあるぜ。行こう!…イヴ先生に捕まる前に」
「あ、アルタイル!?」
「待ちなさい、アルタイル」
よし、こういう時は…
「三十六計逃げるに如かず!」
「だから僕まで巻き込まないでって!…それと、アルベルトさんから。『グレンを頼む』だって」
「…ま〜かせて!」
そんなこんなで、こんな時でも騒がしい俺達なのだった。
「…あ、雪」
誰がそう呟き、外を見ると雪が降っている。
「ほう…ホワイト・ノエルか。こりゃ縁起がいい」
その時、鐘の音が鳴る。
終了予定時刻になったのだ。
「…もう終わりか。何だか名残惜しいな…」
フッ…ここからだっつーの。
「何言ってるんすか!先生!」
そう言って俺は、アルベルトさん顔負けの変装の速さで、着替える。
俺が着替えたのは、少しパンクなサンタ服。
「お楽しみかここからだぜ!な、システィ!」
「そうですよ!」
先生が振り返ると、同じくサンタ服に着替えたシスティ。
「お前達いつの間に!?」
「気にしない、気にしない!」
そう言って俺達は一気に壇上まで走り乗る。
「皆さん!
「だが、俺達は魔術師。『汝望まば、他者の望みを炉にくべよ』。…要するに、欲しいものは、自分の力で掴み取れって事だ。そこで…」
俺が指をパチンと鳴らすと、同じくサンタ服に着替えたルミアと、トナカイの服に着替えたリィエルが、抽選機を持ってくる。
「「これより!ビンゴ大会を開催しまぁぁぁぁぁぁぁす!!!」」
「「「「ワアァァァァァァァァ!!!」」」」
「…なぁにこれ?」
唯一状況に着いて来れないグレン先生が、呆然としている。
まあ、そうだろうね。
あの人だけ知らないもん。
「ルールは簡単。ただのビンゴ大会よ!以上!」
「いや適当か!?最初の『自分の力で掴み取れ』はどうした!?」
「適当だ!」
「言い切った!?」
俺と先生の寸劇に周りは笑っている。
「でも、これは特別!なぜなら、この優勝プレゼントには、魔法がかかってるから!」
そう言ってシスティが掲げるのは、今回の景品の小箱だ。
「この袋には、
(はあ?魔法?何言ってんだアイツら)
グレン先生がそんな事を考えてるだろうなって顔している。
それを確認してから
「それじゃあ、始めるぞぉぉぉ!!」
俺が思いっきり宣言して、早速大会を始めた。
とはいえ、これは普通のビンゴ大会。
だから、特に変な仕掛けはなく
「お、ビンゴだ」
「おめでとうございます!」
「優勝は、グレン先生です!」
そう言って、先生を壇上に呼び、袋を渡す。
「はい、どうぞ」
システィが小箱を渡す。
その中に入っていたのは…
「ッ!?これ…は…!?」
先生が震える手で取り出したのは、赤魔晶石のペンダント。
その昔、
そして…何故か真っ二つに割れてしまっていたのを、リィエルに直させたのだ。
「言ったでしょう?『欲しいものは自分の力で掴み取れ』って」
「先生、私達のことは気にせずに、アルフォネア教授を救いに行ってあげてください。これが私達から先生に送る
「なっ!?一体どういう…!?」
皆が先生を優しく見守る中、俺はあるものを取り出す。
それは…
「それは…セリカの置き手紙…!?」
「ごめん、先生。勝手に忍び込んで、パクってきた。事情も粗方ナムルスから聞いた」
「本当は、先生の事で、教授に相談しようとしに行ったんですが…」
実は俺達4人は、アルフォネア邸の鍵を知っているのだ。
「行ったら誰もいないし、その石は砕けてますし…」
「ちなみに、直したのはリィエル」
そう言ってリィエルを見ると、褒めてオーラがすごい。
つまるところ、これはこの為に仕組まれた事。
このビンゴもこうなるように仕組んだ。
全部…この為に用意した舞台だ。
「やれやれ…お前ら暇人かよ…」
「そう言うって事は…やっぱり私達の為に残る気だったんですね」
「当たり前だろ、おめおめと逃げれるか。セリカの事は…まあ、何だ。仕方のねぇ事なんだよ…」
そんな風に力無く笑う先生に対して
「そんな訳ねぇだろ!?そんな嘘つくなよ!」
「そうですわ!わたくし達は見ましたのよ!先生達が本当に、家族のように仲がいいのを!」
「教授は、先生にとって大切な人のはず…」
「先生の為にも…行ってください…!」
「俺達の事は気にすんな!」
次々と、先生の背中を押す言葉が、投げかけられる。
その言葉を受け、たじろぐ先生だったが…
「お前らは何言ってるんだ!甘いんだよ!これから起こるのは、ガチの戦争だぞ!お前らが決意を固めたのは立派だが、戦争は英雄ごっこじゃねぇんだぞ!俺がお前らの傍にいてやらねぇでどうするんだよ!?」
…やっと見えてきた、先生の本音が。
つまるところ、この人は…
「それに俺はもう逃げねえ!昔、正義の魔法使いに憧れ、夢に破れた俺を受け入れてくれた場所が…ここなんだ!
「そう言いながら、今まさに逃げてるんだろうが!!!」
俺は先生の襟首を掴み上げ、怒鳴りつける。
「偉そうな綺麗事ペラペラ並べやがって!何が『逃げない』だ!自分の心から逃げてるのは、アンタだろうが!!」
「ッ!?」
そう、この人は失う事に酷く臆病なのだ。
だから…少しでも多く残そうとする。
自分の宝物を手元に取っておきたい。
そう思ってる…それこそが、逃げなんだ。
「『欲しいものは、自分の力で掴み取れ』…グレン=レーダス!!アンタの心は!?アンタが望むのは!?アンタが1番欲しいのは!?」
「…俺は…」
「本当に欲しいなら、欲張れよ!!俺達も!!教授も!!
俺の言葉に、かなり揺れ動く先生。
俺の言いたい事は言った。
後は、チェンジだ。
「先生…
「先生はアルフォネア教授を助けに行くんですよね?それは…逃げるって事なんでしょうか?」
「ん。グレン、何か変」
システィとルミアとリィエルが、それぞれの思いを言う。
「だが…お前達だって…」
「確かに、システィの両親や私の姉さんは、すぐにどうこう出来る問題ではありません。ですが…教授は、今しかありませんよね?」
「ッ!?」
「先生、もう一度それを見てください。本当にそれでいいんですか?」
先生がペンダントを見つめる。
今度声をかけたのは、かつての同僚達。
「ま〜だ、引き摺ってるんかいな。かつてお主が逃げ出してしまった事…居場所を失ってしまった事を…」
「大丈夫です、先輩。先輩が大切な人を守る為に、この場を離れたとしても、ここは守ってみせます」
「じじい…クリストフ…」
あと一息だな…!
「さあ、行ってください!グレン先生!」
「アルフォネア教授を助ける為に!」
「俺達はどれだけ離れてても1つだろ!」
システィが、ルミアが、2組の皆が背中を押す。
「まあ?セリカ=アルフォネアがいれば、戦術的にかなり楽になるし?」
「生徒達なら、君の代わりに僕が残ろう」
イヴ先生のツンデレが、フォーゼル先生の意外な申し出が胸を打つ。
「こんばんは、グレン。いい夜ですね。…私からもお願いします。私の友を…セリカを助けてあげてください」
「女王陛下!?」
あ、来れたんだ。
一応声はかけたんだけど、ナイスタイミング。
「どうして…どうして、こんな俺の為に…?」
何言ってんだが。
「決まってるでしょ?先生が、俺達のために走り続けたからですよ。だから…今度は俺達が頑張る番。さあ、グレン先生。貴方の望みは?」
しばらく黙り込んだ先生は、不意に思いっきり自分の頬を叩いた。
「そうだよな…いつも分不相応の願いを持って、十を救おうと足掻く…。それが俺だよな…。セリカも救う。フィジテも救う。でも両方は出来ない。だから…皆を頼ってもいいんだよな?」
その小っ恥ずかしい物言いに、俺達は思わず苦笑い。
「俺はセリカを救う!そんでもって皆がヤバい時に、フィジテも救う!これでいいんだろ!?いや〜!美味しいところ俺が持っていっていいのかなぁ〜!アハハハハハ!!」
やっと先生が本調子に戻ってくれた。
これで、もう大丈夫だろ。
「さてと…いよいよ締めますか。それじゃあ、グレン先生、締めの一言という事で、勝利の祈念として、乾杯の音頭を!」
「仕方ねぇな〜。準備はいいか?」
それぞれのグラスが行き渡った事を確認して
「俺達の、フィジテの…そして、祖国の勝利を祈って…乾杯」
「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」
アルタイルのサンタ服は、GE2RBの男版のサンタ服の着崩してる方のイメージです。
名前は忘れました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。