ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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最近、3回目のワクチンを打ちました。
2回目の時もそうでしたが、吐きました。
吐くものなくても吐きました。
…本当にツラタンでした。
それではよろしくお願いします。


覚醒編第2話

「はぁ!?聖夜祭(ノエル)〜!?」

 

あら、やっぱりその反応。

まあ、想定通りだな。

 

「はい、私達で盛大に祝いませんか?」

 

「各方面には、既に話は通してあります」

 

俺達はある目的のために、この聖夜祭(ノエル)を利用する事にしたのだ。

 

「お前らなぁ…」

 

まあ、本当は別の事を祝って欲しいですが…

 

「ん?どうした白猫」

 

「な、なんでもありません!」

 

ん?…ああ、そうか。

 

…誕生日なら、来年やればいい

 

そうだよ。来年ならきっと

 

「ふ、2人共!?何言ってるのよ!?」

 

だってそんな顔されたらねぇ…?

俺はルミアと目を合わせ、クスクスと笑う。

 

「お前らなぁ。ちっとは状況考えろよ?」

 

そう言って先生がめくった裾の下には、一丁の火打ち式拳銃だ。

グリップ部分には『汝、正位置の愚者たらんことを』と、掘られている。

 

「それは確か…【アリシア三世の手記】から持ってきたやつ」

 

「そう、魔銃【クイーンキラー】。解析したから使えるぜ。それにこれ」

 

そう言ってポケットから取り出したのは、虚量石(ホローツ)

【イクスティンクション・レイ】発動用の触媒だ。

 

「へぇ…随分と作ったんですね。徹夜したんじゃないですか?」

 

「そうそう、本当に疲れたぜ…セリカが」

 

慌てて取ってつけたような、アルフォネア教授の名前。

 

「それに今晩、イヴに相談があるんだ。上手くやりゃ、エレノア辺りは暗殺出来るかもしれねぇしな」

 

「暗殺…」

 

その言葉にシスティが、項垂れる。

この人が俺達の前でそんな事言うなんてな…。

相当追い詰められてる証拠だ。

 

「…今だからだよ、先生。今だからこそ、やるの」

 

俺は先生の目をしっかりと見て言い切る。

俺の言葉に、ルミアが続く。

 

「その通りです、先生。だって…来年出来るか、分からないから」

 

そう言われたら、グレン先生も何も言えなくなる。

そんな先生の背中を、システィが軽く叩く。

 

「大丈夫ですよ!先生!私達は後ろ向きな気持ちで、やるつもりはありません。むしろ逆です!」

 

「来年も絶対、皆で揃ってパーティをやろう。そういう気持ちでやるんですよ」

 

「ま、未来への決起集会みたいなもんですよ」

 

「ん、グレン。苺タルトもいっぱい出る。だからやろう?」

 

そんな俺達にやっと折れたのか

 

「分かった分かった。俺も出るよ。仕方ねぇな〜」

 

やっと先生も出るって言っくれた。

これでファーストステップはクリア。

まあ、一度出させてしまえば

 

「うぉぉぉぉお!!食い溜めじゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

「計画通り」

 

「アイル君…すごく悪い顔してるよ…?」

 

と、こんな感じで1番はしゃぐに決まってる。

主に飯方面で。

 

「それにしても…意外に集まったわね…」

 

「それだけ皆先生の事が、大事なんだよ」

 

ルミアとシスティの話を聞いて、俺も周りを見渡す。

ここには俺達2組生だけじゃなく、フランシーヌやコレットやジニー、ハインケルやレヴィン、ジャイルやリゼ先輩もいる。

最初この計画を話した時、一定数の反対意見もあった。

しかし、俺達の本来の目的を説明したら、皆二つ返事でOKを出したのだ。

 

「まだ来るぜ…。ほら来た」

 

俺が目線を向けた先には、イヴ先生を筆頭にバーナードさん、クリストフの姿がある。

 

「イヴさん!?どうして!?」

 

「何よ。もし仕事が片付いて、万が一余裕があったら出るって言ったでしょ」

 

そう言って不機嫌そうにそっぽ向く。

本当になんて天ノ弱なんだ…。

 

「何言ってるの?いつも以上に、コキ使ってきたくせに」

 

「クカカカ、そうじゃぞ?そんな事言ってイヴちゃん、今日は鬼気迫る勢いで仕事を…ゴフォ!?ひ、肘ぃ!」

 

イヴ先生の肘がバーナードさんの鳩尾にいい感じに刺さる。

 

「フフ、システィーナさん。今日はお招きありがとうございます。こういうのは士官学校以来です。ワクワクしますね」

 

「クリストフ、あっちに美味いもんいっぱいあるぜ。行こう!…イヴ先生に捕まる前に」

 

「あ、アルタイル!?」

 

「待ちなさい、アルタイル」

 

よし、こういう時は…

 

「三十六計逃げるに如かず!」

 

「だから僕まで巻き込まないでって!…それと、アルベルトさんから。『グレンを頼む』だって」

 

「…ま〜かせて!」

 

そんなこんなで、こんな時でも騒がしい俺達なのだった。

 

「…あ、雪」

 

誰がそう呟き、外を見ると雪が降っている。

 

「ほう…ホワイト・ノエルか。こりゃ縁起がいい」

 

その時、鐘の音が鳴る。

終了予定時刻になったのだ。

 

「…もう終わりか。何だか名残惜しいな…」

 

フッ…ここからだっつーの。

 

「何言ってるんすか!先生!」

 

そう言って俺は、アルベルトさん顔負けの変装の速さで、着替える。

俺が着替えたのは、少しパンクなサンタ服。

 

「お楽しみかここからだぜ!な、システィ!」

 

「そうですよ!」

 

先生が振り返ると、同じくサンタ服に着替えたシスティ。

 

「お前達いつの間に!?」

 

「気にしない、気にしない!」

 

そう言って俺達は一気に壇上まで走り乗る。

 

「皆さん!聖夜祭(ノエル)といえば、サンタニコラウスから、プレゼントを貰う日。そうですよね!」

 

「だが、俺達は魔術師。『汝望まば、他者の望みを炉にくべよ』。…要するに、欲しいものは、自分の力で掴み取れって事だ。そこで…」

 

俺が指をパチンと鳴らすと、同じくサンタ服に着替えたルミアと、トナカイの服に着替えたリィエルが、抽選機を持ってくる。

 

「「これより!ビンゴ大会を開催しまぁぁぁぁぁぁぁす!!!」」

 

「「「「ワアァァァァァァァァ!!!」」」」

 

「…なぁにこれ?」

 

唯一状況に着いて来れないグレン先生が、呆然としている。

まあ、そうだろうね。

あの人だけ知らないもん。

 

「ルールは簡単。ただのビンゴ大会よ!以上!」

 

「いや適当か!?最初の『自分の力で掴み取れ』はどうした!?」

 

「適当だ!」

 

「言い切った!?」

 

俺と先生の寸劇に周りは笑っている。

 

「でも、これは特別!なぜなら、この優勝プレゼントには、魔法がかかってるから!」

 

そう言ってシスティが掲げるのは、今回の景品の小箱だ。

 

「この袋には、()()()()1()()()()()()()()()()()()()

 

(はあ?魔法?何言ってんだアイツら)

 

グレン先生がそんな事を考えてるだろうなって顔している。

それを確認してから

 

「それじゃあ、始めるぞぉぉぉ!!」

 

俺が思いっきり宣言して、早速大会を始めた。

とはいえ、これは普通のビンゴ大会。

だから、特に変な仕掛けはなく

 

「お、ビンゴだ」

 

「おめでとうございます!」

 

「優勝は、グレン先生です!」

 

そう言って、先生を壇上に呼び、袋を渡す。

 

「はい、どうぞ」

 

システィが小箱を渡す。

その中に入っていたのは…

 

「ッ!?これ…は…!?」

 

先生が震える手で取り出したのは、赤魔晶石のペンダント。

その昔、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして…何故か真っ二つに割れてしまっていたのを、リィエルに直させたのだ。

 

「言ったでしょう?『欲しいものは自分の力で掴み取れ』って」

 

「先生、私達のことは気にせずに、アルフォネア教授を救いに行ってあげてください。これが私達から先生に送る聖夜祭(ノエル)の贈り物です」

 

「なっ!?一体どういう…!?」

 

皆が先生を優しく見守る中、俺はあるものを取り出す。

それは…

 

「それは…セリカの置き手紙…!?」

 

「ごめん、先生。勝手に忍び込んで、パクってきた。事情も粗方ナムルスから聞いた」

 

「本当は、先生の事で、教授に相談しようとしに行ったんですが…」

 

実は俺達4人は、アルフォネア邸の鍵を知っているのだ。

 

「行ったら誰もいないし、その石は砕けてますし…」

 

「ちなみに、直したのはリィエル」

 

そう言ってリィエルを見ると、褒めてオーラがすごい。

つまるところ、これはこの為に仕組まれた事。

このビンゴもこうなるように仕組んだ。

全部…この為に用意した舞台だ。

 

「やれやれ…お前ら暇人かよ…」

 

「そう言うって事は…やっぱり私達の為に残る気だったんですね」

 

「当たり前だろ、おめおめと逃げれるか。セリカの事は…まあ、何だ。仕方のねぇ事なんだよ…」

 

そんな風に力無く笑う先生に対して

 

「そんな訳ねぇだろ!?そんな嘘つくなよ!」

 

「そうですわ!わたくし達は見ましたのよ!先生達が本当に、家族のように仲がいいのを!」

 

「教授は、先生にとって大切な人のはず…」

 

「先生の為にも…行ってください…!」

 

「俺達の事は気にすんな!」

 

次々と、先生の背中を押す言葉が、投げかけられる。

その言葉を受け、たじろぐ先生だったが…

 

「お前らは何言ってるんだ!甘いんだよ!これから起こるのは、ガチの戦争だぞ!お前らが決意を固めたのは立派だが、戦争は英雄ごっこじゃねぇんだぞ!俺がお前らの傍にいてやらねぇでどうするんだよ!?」

 

…やっと見えてきた、先生の本音が。

つまるところ、この人は…

 

「それに俺はもう逃げねえ!昔、正義の魔法使いに憧れ、夢に破れた俺を受け入れてくれた場所が…ここなんだ!()()()()()()()()()()()!()!()だから逃げねえ!!もうあんな思いはゴメンだ!!今度こそ…」

 

「そう言いながら、今まさに逃げてるんだろうが!!!」

 

俺は先生の襟首を掴み上げ、怒鳴りつける。

 

「偉そうな綺麗事ペラペラ並べやがって!何が『逃げない』だ!自分の心から逃げてるのは、アンタだろうが!!」

 

「ッ!?」

 

そう、この人は失う事に酷く臆病なのだ。

だから…少しでも多く残そうとする。

自分の宝物を手元に取っておきたい。

そう思ってる…それこそが、逃げなんだ。

 

「『欲しいものは、自分の力で掴み取れ』…グレン=レーダス!!アンタの心は!?アンタが望むのは!?アンタが1番欲しいのは!?」

 

「…俺は…」

 

「本当に欲しいなら、欲張れよ!!俺達も!!教授も!!()()()()()()()!()!()()()()()()()()()()!()!()()()()!()!()!()()()()()()()()!()!()!()

 

俺の言葉に、かなり揺れ動く先生。

俺の言いたい事は言った。

後は、チェンジだ。

 

「先生…()()()()()()()()()()

 

「先生はアルフォネア教授を助けに行くんですよね?それは…逃げるって事なんでしょうか?」

 

「ん。グレン、何か変」

 

システィとルミアとリィエルが、それぞれの思いを言う。

 

「だが…お前達だって…」

 

「確かに、システィの両親や私の姉さんは、すぐにどうこう出来る問題ではありません。ですが…教授は、今しかありませんよね?」

 

「ッ!?」

 

「先生、もう一度それを見てください。本当にそれでいいんですか?」

 

先生がペンダントを見つめる。

今度声をかけたのは、かつての同僚達。

 

「ま〜だ、引き摺ってるんかいな。かつてお主が逃げ出してしまった事…居場所を失ってしまった事を…」

 

「大丈夫です、先輩。先輩が大切な人を守る為に、この場を離れたとしても、ここは守ってみせます」

 

「じじい…クリストフ…」

 

あと一息だな…!

 

「さあ、行ってください!グレン先生!」

 

「アルフォネア教授を助ける為に!」

 

「俺達はどれだけ離れてても1つだろ!」

 

システィが、ルミアが、2組の皆が背中を押す。

 

「まあ?セリカ=アルフォネアがいれば、戦術的にかなり楽になるし?」

 

「生徒達なら、君の代わりに僕が残ろう」

 

イヴ先生のツンデレが、フォーゼル先生の意外な申し出が胸を打つ。

 

「こんばんは、グレン。いい夜ですね。…私からもお願いします。私の友を…セリカを助けてあげてください」

 

「女王陛下!?」

 

あ、来れたんだ。

一応声はかけたんだけど、ナイスタイミング。

 

「どうして…どうして、こんな俺の為に…?」

 

何言ってんだが。

 

「決まってるでしょ?先生が、俺達のために走り続けたからですよ。だから…今度は俺達が頑張る番。さあ、グレン先生。貴方の望みは?」

 

しばらく黙り込んだ先生は、不意に思いっきり自分の頬を叩いた。

 

「そうだよな…いつも分不相応の願いを持って、十を救おうと足掻く…。それが俺だよな…。セリカも救う。フィジテも救う。でも両方は出来ない。だから…皆を頼ってもいいんだよな?」

 

その小っ恥ずかしい物言いに、俺達は思わず苦笑い。

 

「俺はセリカを救う!そんでもって皆がヤバい時に、フィジテも救う!これでいいんだろ!?いや〜!美味しいところ俺が持っていっていいのかなぁ〜!アハハハハハ!!」

 

やっと先生が本調子に戻ってくれた。

これで、もう大丈夫だろ。

 

「さてと…いよいよ締めますか。それじゃあ、グレン先生、締めの一言という事で、勝利の祈念として、乾杯の音頭を!」

 

「仕方ねぇな〜。準備はいいか?」

 

それぞれのグラスが行き渡った事を確認して

 

「俺達の、フィジテの…そして、祖国の勝利を祈って…乾杯」

 

「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」




アルタイルのサンタ服は、GE2RBの男版のサンタ服の着崩してる方のイメージです。
名前は忘れました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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