ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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この2人、ぶっ飛んでるくらいの精神的タフです。
どれくらい?
邪神直視しても問題ないレベル。
それと戦闘描写はまだ模索中です。
拙いのはご了承ください。
それではよろしくお願いします。


覚醒編第6話

「…ここは?」

 

「アイル君!?」

 

「!?…ルミアか」

 

俺達は同じ場所に出てきたらしい。

煌めく星々の夜空…いや違う。

 

「あれは…人の心?」

 

ルミアも気づいたらしい。

つまりここは…

 

「八次元…【意識の海】。集合的無意識の、第八世界」

 

これが…【禁忌教典(アカシックレコード)】。

ここには、全てがある。

全ての智がここには敷き詰まっている。

だけど、俺には…

 

「ねぇルミア。これいる?」

 

全く興味がそそられなかった。

端から全知全能なんて、全くの興味が無い。

だってそんなの…つまらないじゃん。

知らないからこそ、学ぶんだ。

届かないからこそ、挑むんだ。

 

「…アイル君は?」

 

「いらない」

 

「じゃあ、私も!さあ、帰ろう?」

 

…へぇ、面白い奴らだな…イヒヒ!

 

「「ッ!?」」

 

慌てて俺達が振り返ると、まるで闇が形になったみたいや奴がいた。

本能で理解する、コイツは…邪神だ。

 

「…アイル君」

 

「ああ…他にもいるな」

 

そう自覚した途端、色んな邪神が目に映る。

【炎王クトガ】、【金色の雷獣】、【風神イターカ】等。

そして目の前にいるのは

 

「【無垢なる闇】か」

 

イヒヒ…!姿を見ても尚、理性があるんだ…!

 

「うるせぇ、お前に用はねぇ。すっこんでろ」

 

そう言って俺達は背を向けて、走り出す。

全てを置き去って、やがて…

 

「っは!?」

 

「ここは…!?」

 

「おや?もう戻ってきたのかい?」

 

【タウムの天文神殿】だ。

そうだ、俺達はフェロードの力で…!

 

「それでは君達に聞くよ?僕と来る気は無いかい?」

 

そんなの答えは1つだ。

 

「「断る(わります)」」

 

「…即答かい?」

 

当たり前だ。

だって俺達は…魔術師だ。

 

「お前の目的と正当性は分かった。それでも関係ねぇ。ここでお前を倒す」

 

「私達の世界は、私達自身の手で守る!貴方の力なんて借りません!」

 

自分の望みは、自分の力で掴み取る。

 

「…最近勧誘に失敗してばかりだ。仕方ない。君達には…ここで消えてもらおう」

 

そう呟いた途端、あらゆるものが遠ざかる。

少し前までなら、何が起こったか分からなかっただろうが、今は直ぐに理解出来た。

 

「これは…!?距離を無限に伸ばされた!?」

 

「その通りだよ。これが君達が行き着いた神秘とは、真逆の到達点だよ」

 

真逆の到達点…つまり、これなら!

 

「フッ!」

 

俺が糸を放つと、フェロードは横に飛んで躱す。

 

「…よく気づいたね。そう、その糸でなら僕を攻撃出来る。その糸は今、あらゆる距離を消し飛ばしているからね」

 

ッ!?なんだ…!?

急に、体が動かない…!

 

「アイル君!」

 

何かが砕ける音と共に、体の自由を取り戻す。

 

「助かった…!」

 

そのまま俺は一気に肉薄して、糸を放つ。

それは躱されたので、次の糸を放つと、いつの間にか手にしていた杖で防がれる。

 

「接近戦は不利だね!」

 

「逃がすか!」

 

俺達の得物に、それぞれ銀の光が灯る。

 

「フッ!」

 

「ハァァ!」

 

お互いに放つ一撃は、空間断裂。

その力はお互いにぶつかり合い、対消滅した。

俺は逃げようとするフェロードに追いすがる。

フェロードは、追いかける俺に数々の魔術を放ってくる。

空間が俺を推し潰そうとするが、それはルミアが守ってくれる。

俺が空間を消し飛ばして踏み込めば、いつの間にか遠ざけられている。

そんなギリギリの均衡を保っていたその時

 

〖カッ!〗

 

突然、真っ白な少女が乱入して、フェロードが放った魔術を破壊した。

 

「お前は…スノリアの!?」

 

その正体は、スノリアでアルフォネア教授が保護した、女の子だった。

 

〖ルミア!合わせなさい!〗

 

振り返ると、ナムルスがルミアと合わせて何かしている。

よく見ると、いつの間にかグレン先生とシスティも起き上がっており、結界の力を弱めていた。

 

〖ここは私達で抑えるわ!〗

 

「先生達は先に行ってください!」

 

なるほど…そういう事なら…!

 

「よし!合わせろ!」

 

「そっちこそ!」

 

「「はァァァァァァァァァ!!!」」

 

俺と少女の2人がかりで、フェロードを足止めして、何とか先生達を天象装置まで連れていった。

俺は何となく先生達の方を振り返った。

ルミアも振り返っており

 

「「後は頼みます」」

 

俺達は、先生達を送り出した。

 

「ルミアァァァ!!アイルゥゥゥ!!」

 

「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

先生達が無事に飛んだ事を確認して、フェロードに向き直る。

 

「さてと…4VS2だぜ?どうする?」

 

精一杯強がった。

俺達がまだ1番弱い。

まだ完全に制御出来てないこの力では、いいとこアイツらの半分程度の力しか出せない。

だから実質、ほぼ僅差だ。

 

「…まあ、こっちとしても【レ=ファリア】の魂を定着させないといけないから、ここは退こう。それでは、またすぐに会おう」

 

そう言って、一瞬でいなくなるフェロード。

確実にいない事を確認してから、大きく息を吐いた。

 

「はぁ…何とかなった…」

 

「アイル君!怪我は無い!?」

 

「おう、何とかな」

 

〖しかし…驚いたわ。まさかあの辛気臭いなエステレラ家が、こんな切り札持っていたなんて〗

 

ナムルスが俺達に話しかけてくる。

おい、辛気臭いとは失礼な。

田舎者なだけだろ。

 

〖それにその【アリアドネ】。これまでの間に、随分と改造を施されてきたのね。まさかあの領域にまで達するなんて…〗

 

何を言っているかは分からないが、これでやっと先に進める。

 

「よし!ルミア!先を急ごう!」

 

「うん!」

 

俺とルミアが天象装置に向かおうとすると

 

「ダメ」

 

俺の服の裾を、少女が思いっきり引っ張った。

 

「おわぁ!?」

 

つんのめった俺は、後ろにぶっ倒れる。

頭いってぇ…!

 

「あ、アイル君!?」

 

「おい…!何しやがる…!?」

 

「貴方達は行ってはダメ」

 

「はぁ!?どういう意味だよ!?」

 

イラッしながら聞き返すと、ナムルスが機械を叩きながら、説明してくれる。

 

〖このポンコツ、あと1回しか使えないのよ。そうなれば、グレン達が戻って来れなくなるわ。直そうにも、資材も時間も技術も無い〗

 

…む、それはマズイ。

帰って来れなくなるのは、さすがにダメだ。

 

〖今フィジテに戻れば、最終決戦には間に合うわよ。どうするの?〗

 

戻るか…待つか…か。

どうする…どっちの方がルミアが安全だ?

 

「戻ろう、アイル君」

 

ルミアが毅然と言い切った。

その目は、強い光が灯っていた。

 

「今の私達なら、何か力になれるはず。だから、先生達が戻る場所を、守りに行こう!」

 

…叶わねぇな、ルミアには。

こう言われては、引く訳には行かない。

 

「よし!戻るか!」

 

〖そう。なら早くしなさい。今の貴方は、空間操作に関しては、世界で2番目の実力者よ。フィジテとここを繋ぐなんて、造作も無いはずよ〗

 

「私達はここでグレン達を待つ。早く戻れ」

 

このガキ…!

とはいえ、相手は竜の化身と思しき奴。

ゆっくりと息を吐き、転移する準備をする。

 

〖ルミア〗

 

「ナムルスさん?」

 

2人の話し声が聞こえる。

 

〖貴女が抱いたその思い。決して無くしてはいけないわよ。大切にしなさい。私のもう1人の可愛い妹(ルミア)

 

「…はい!」

 

「よし!準備出来たぞ!」

 

俺達は直ぐに方陣の上に立ち、魔力を流す。

 

「こっちは任せて」

 

〖だから、そっちは任せたわ〗

 

「「了解!」」

 

こうして俺達は、フィジテに凱旋した。

 

 

 

 

「…アリア」

 

(『復讐に駆られる気持ちは分からんでもない。ただ愚かだ』)

 

何とブーメランな事か。

俺自身もまた、その復讐に駆られた鬼であるくせに、他人の事を…ん?

 

「何だ?」

 

ふと上から声がする。

ここは外だ。

つまり上には空しかなく、その空から声が…?

 

「あれは…」

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!?」」

 

落ちてしたのは、1組の男女。

 

「わ、『我が手に星の天秤を』ぉぉぉぉ!?」

 

あのパニック状態から、何とか魔術を唱えて、事なきを得たらしい。

 

「あ、アイル君!?なんで空なの!?学院内に飛んだんじゃ無かったの!?」

 

「俺もそのつもりだったよ!?でも思いっきり座標間違えたんだよ!初めでだし!糸を使った【次元跳躍】とは別モンなんだよ!」

 

そんな不思議なやり取りをしている2人は、顔見知りであり、元同僚の教え子だった。

 

「エステレラ、ルミア=ティンジェル。何をしている?」

 

「「アルベルトさん!」」

 

 

 

 

「え?アルベルトさんが何でここに?」

 

「それはこちらの台詞だが」

 

まあ、そうだろうな。

【タウムの天文神殿】にいるはずの2人が、いきなり空から落ちてきたのだから。

 

「…グレン 達はどうした?」

 

当然の事を聞かれ、俺達は顔を俯かせる。

 

「それが…別行動というか、助けに行きたくても行けないっていうか…」

「色々、イヴさんに報告しなくちゃいけない事が…」

 

「…なら先を急げ。表通りは使うな。一部地域の市民別への避難勧告が出されている。それ以外の地域の市民達が、暴動1歩手前の状態だ」

 

一部地域の市民への避難勧告?

なんでそんな半端な事を?

 

「分かりました。ありがとうございます。ルミア、行こう!」

 

「うん!」

 

そうして俺達は、学院を目指して裏路地を走り抜ける。

所々で覗き込むと、たしかに警邏隊と市民がピリピリと睨み合っており、俺達は何とか誰にも見つからずに、学院にたどり着いた。

 

「疲れた…」

 

「変な緊張感だったね…」

 

俺達はぐったりとしながら、真っ暗な廊下を歩き、大会議室にある帝国軍総司令部に向かう。

早足で向かい、ノックをする。

 

「どうぞ」

 

「「失礼します」」

 

「ッ!?貴方達!」

 

イヴ先生が俺達を見て、すごく驚く。

とりあえず言う言葉は

 

「…ただいま、姉さん」

 

「…おかえりなさい、アルタイル、ルミア」

 

イヴ先生が俺達をまとめて抱きしめる。

俺達もそれを受けいれ、抱きしめ返す。

 

「…グレン達は?」

 

「その事で報告があります。出来たら女王陛下…お母さんにも」

 

ルミアが覚悟を決めた目で、イヴ先生を見る。

 

「…まだ起きてると思うわ。少し待って」

 

イヴ先生が陛下に、直通の連絡を入れ、話を通す。

それなら数分後、陛下がやってくる。

 

「…!エルミアナ!」

 

「お母さん!」

 

2人が抱きしめ合うのを確認して、俺達は話を切り出した。

 

「イヴ先生、陛下。重要な話があります。ですが…陛下にとっては大変気分が悪い話になりますが、ご容赦下さい」

 

そう前置きして、俺は2人に説明する。

あまりにも冒涜的内容に、話している俺自身が気持ち悪くなるが、陛下に比べたらマシだろう。

 

「…これが全てです」

 

「…報告…ご苦労様です…」

 

陛下が、顔を真っ青にして呟く。

ルミアも2度目とはいえ、顔色が悪い。

 

「陛下…大丈夫ですか?」

 

「ええ…大丈夫ですよ?それよりも、次は私達の状況を報告を。イヴ」

 

「はっ。いい、2人共。よく聞いて」

 

そうして話された内容に、俺達は目を見開いた。

そして思ったのが…

 

「またなんとも大胆な…」

 

でも不思議と、成功する気しかしない。

色々と不確定要素が多い中、俺達も戦線に参加する事になった。

俺達の役目は、最前線での戦闘だ。

さあ、既に賽は投げられた。

後は、勝つだけだ。




という訳で、20巻後半のフィジテ最終防衛戦に参戦させます。
イヴのカッコいいところ、いっぱい見ます!
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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