ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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お久しぶりです。
書く暇がなくて、ストックが無くなってきました。
SAOはしばらく貯める作業に入ります。
ロクアカも本編は終わらせたいです。
それではよろしくお願いします。


フィジテ防衛戦編第7話

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「〜〜〜〜ッ!!」

 

激しくぶつかり合う、リィエルとエリエーテの剣。

エリエーテの剣戟、【孤独の黄昏(トワイライト·ソリチュード)】が世界を焼き尽くさんばかりに、何発も放たれる。

対してリィエルが放つのは、【絆の黎明(デイヴレーク·リンク)】。

エリエーテが放つ【孤独の黄昏(トワイライト·ソリチュード)】を、尽く斬り払う。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「くぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

リィエルの【絆の黎明(デイヴレーク·リンク)】が、エリエーテを追い詰める。

今のエリエーテは、防戦一方なのが精一杯な状況だ。

そんな黄金を白銀が塗りつぶす光景を見て

 

「みんな…見えてるか…?」

 

涙を流しながら、カッシュが呟く。

 

「見えます…見えてますわ…」

 

「うん…あれが…リィエルの光…」

 

「とても優しくて…強くて…」

 

「理屈なんて、何も分からないのに…」

 

「涙が…止まらない…」

 

カッシュだけでは無い。

ウィンディにも、セシルにも、リンにも、ギイブルにも、テレサにも。

誰にでも、その光は見えていた。

しかしそれは同時に…

 

「でも…リィエル…大丈夫なのかな…?」

 

「「「「「…」」」」」

 

誰もが、同じ不安と予感を感じるということで。

 

「ただでさえ…ボロボロの体なのに…あれだけの…全力戦闘…。それに…あの光はまるで…リィエルの命を、燃やしてるようにも見えて…!」

 

肉体は語るに及ばず、その光に関しては、ただの予感でしかないが、それでも何故か魂レベルで理解してしまっている、そんな気がしている。

それはここにいるリンを除く5人もまた、同じ予感があった。

 

「それが…なんだよ…!」

 

それでもと、声を張り上げるのはカッシュだ。

 

「そうだとしても…今、俺達に出来るのは、リィエルを応援する事だけだろ…!そうだろ!?」

 

「…そうですわね…」

 

「「「「「「リィエル…!」」」」」」

 

6人の祈るような視線を受けながら、しかしそれには気づかず。

 

「でりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

リィエルはひたすら、剣を振るう。

エリエーテに、最早余裕は無く。

 

「こんな…こんなはずじゃ!?」

 

(僕は、あらゆる余分を斬り捨てて来た。そんな僕が、負けるはずが…!?)

 

エリエーテは自身を一振の剣として、磨き上げてきた。

今回も、自身を磨きあげることが出来る…そう思っていたが、結果は出来ていない。

それもそのはず。

リィエルが目指す剣と、エリエーテが目指す剣は、似て非なるもの。

そんな異なる2つで、勝敗を分けるのはたった一つ。

どちらの光が、より強いのか。

 

(ボクの光の方が…弱いというのか…!?)

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ッ!?ガハッ!」

 

今日1番の気迫と共に、【孤独の黄昏(トワイライト·ソリチュード)】がリィエルを吹き飛ばす。

血反吐を吐き、倒れるリィエル。

そんな絶好の機会を前に、エリエーテは何もせず、ただ宣言した。

 

「勝負だ!!リィエル!!君の光と、ボクの光。どっちが上か!決めようじゃないか!!!」

 

剣を杖代わりに立ち上がるリィエルを見て、エリエーテは剣を上段に構えて、【孤独の黄昏(トワイライト·ソリチュード)】を溜めて、自身最大·最高の一撃の込める。

対するリィエルは、最早剣を構える事も難しいのか、手足は震え、焦点が定まっていない。

灯る【絆の黎明(デイヴレーク·リンク)】は弱く、まさに最小·最弱の一撃になる。

 

「リィエル…!」

 

しかし、友の声が背中を押す。

 

「頑張れ…リィエルちゃん…!」

 

友の声が、【絆の黎明(デイヴレーク·リンク)】の光を強くする。

 

「負けないで、リィエル…!」

 

「勝って、リィエル!」

 

「また一緒に、先生の授業を受けよう!」

 

「アイルの手作り苺タルト、皆で食べましょう!」

 

「こんなところで、君が終わるなんて…許さないからな…!」

 

「どうか…負けないで…!誰よりも…貴女自身の為に…勝って!」

 

「「「「「「リィエル!!!」」」」」」

 

友の声が、ふらつく体を支える。

呼吸を整えさせ、腕に力が戻り、瞳に強い光が灯される。

そしてついに

 

「「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

黎明の銀と黄昏の金が、衝突した。

2つの光がせめぎ合う最中、エリエーテは自身の運命を悟った。

 

(あぁ…なんて綺麗な剣なんだ…)

 

その背中にいる余分…いや、仲間達。

その美しさと温かさは、なんと言うべきか。

一方の自分の後ろには何も無い。

なんと薄っぺらく、ハリボテなものか。

そんな自分の最強(さいじゃく)の剣と、リィエルの最弱(さいきょう)の剣の結果なぞ、考えるべくもなく。

 

(あぁ…そうだったな…)

 

【剣の姫】エリエーテは、かつて自身が最強を夢みた理由を思い出しながら、消滅したのだった。

 

 

「「「「「「リィエル!!」」」」」」

 

前のめりに倒れたリィエルを、カッシュ達は駆け寄って抱き起こす。

 

「み…んな…わたし…勝ったよ…」

 

ニコリ、と。

リィエルが笑った…心から笑った。

 

「あぁ…あぁ…!」

 

「すごいよ…リィエル…!心から尊敬する…!」

 

「貴女はあの…【剣の姫】に、勝ったんですわ…!」

 

それと同時に。

 

「ん…それは…よかっ…た…」

 

リィエルの身体から、致命的な何かが…抜けていく。

それが、残酷なまでに、分かってしまう。

 

「わたし…がんばった…本当に…がんばった…グレン…褒めて…くれるかな…?…アイル…喜んで…くれるかな…?」

 

「あぁ…当たり前さ!」

 

「きっと、食べきれないくらい、苺タルトを量産しますわ」

 

皆がボロボロと涙を流す中、リィエルの瞼が、ゆっくりと落ちていく。

その呼吸が弱まっていき…その身体が冷たくなっていく。

 

「…すごく…眠い…少し…寝る…ね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…パウエル」

 

「ほっほっほ。…致命傷ですな、アベル」

 

アルベルトが血反吐を吐きながら壮絶な表情で、パウエルの顔を鷲掴みにしている。

…しかし、その胸には、パウエルの貫手が刺さっているが。

 

「礼を言うぞ、ルナ=フレアー。お前のおかげで、パウエルを捉えた。ここからは、俺の仕事だ」

 

そのルナは、見るも無惨な姿で倒れており、最早、生きてるか死んでるかも、判断がつかない。

 

「やれやれ…まだその右眼で、私を理解する気ですか?…いいでしょう、やってみなさい。貴方の我は、私の深淵を捉えられるでしょうか」

 

そんなパウエルを無視して、アルベルトは再び、パウエルの闇を解き明かすべく、彼の中に潜り込んだ。

 

 

 

(どれくらい経ったのか…)

 

理由もなく襲いかかる、恐怖と絶望。

アルベルトはそれらを意識の力で捩じ伏せ、進み続けた。

しかし、どこまでも深い深淵に、少しずつ呑まれだしていた。

進み続けて…ついにアル■■■は、我が崩れている事を認めてしまう。

無理もない。

 

(俺ノ我ハ…偽リダ)

 

■■■である事に耐えきれず、名乗り、演じ、作った、偽りの英雄■■■■■=■■■■■だから。

 

(スマナイ…ホントウニスマナイ)

 

■■■■■は、■■■へ意味の分からない謝罪をしながら、闇の中に溶けかけていく…。

その時だった。

 

ーーううん。例え貴女が偽りの存在だったとしても…私は、貴方を誇りに思うわ、■■■。

 

女の声が聞こえた…気がした。

 

(誰…ダ…?)

 

ーー大丈夫だよ、私が…私達が見てる。たとえ、貴方が自分を見失っても…私達が、貴方を見てる。

ーー頑張れ!■■■お兄ちゃん!

ーー負けないで!

 

子供の声がする。

他にも沢山…9人ほどの子供の声だ。

 

ーーほら、皆が■■■の事を見てるよ。

 

女の優しく包み込むような、■ル■■トに語り掛けてくる。

 

ーーねぇ、■■■。この世界に無駄なことなんてないの。貴女が歩んだ苦難の道は、無駄で無意味なものじゃないの。悩み、苦しみながらあるいた道に、中途半端なんて言葉、存在しないの。偽りの英雄として生きて、足掻き続けてきたから、この深淵に、挑む強さを得た。それでも■■■を捨てなかったから、私達は貴方を見つけられた。貴方の全ての葛藤が、貴方をここに立たせている。

 

不意に、何かが光った。

それは、アル■■トが付けている、銀十字の聖印だ。

まだ■■■だったころ、姉から貰った、形見の品。

その弱々しくも強い光が、どこかに導くように光っている。

 

ーーもう少しだよ、頑張って■■■。貴方を信じて、託した友達がいるんでしょう?

 

(…ああ)

 

ーー彼らの期待、裏切りる訳にはいかないよね?

 

(…そうだな)

 

ゆっくりと確実に。

アルベル■は、銀十字の光をを頼りに進み続ける。

アルベルトは深淵を進み続ける。

そして…。

 

 

 

それは、アルベルトにとって、永遠に近い出来事。

されど、現実時間では、1秒にも満たない刹那の時間。

 

()()()()()()()()()!!!」

 

ついに、深淵を捉える。

鷲掴みにしている左手に、稲妻を生み出す。

 

「ギャアァァァァァァァァ!!!?」

 

苦悶の悲鳴をあげ、飛び退くパウエル。

 

「怪物は…人に理解されないこそ、怪物になり得る。その本質を理解されたお前は、怪物じゃない…!十分に滅ぼせる相手だ…!!!」

 

「バカな…!?何故人の身で、我が深淵を理解出来たのですか…!?」

 

苦痛にもがきながら、パウエルはある事に気づく。

銀十字が薄く光った事に。

 

「…そういうことですか!?あの孤児院の9人の子供達とアリアを、契約悪魔として我が深淵に飼っていた!そのアリア達が!」

 

「理屈はどうでもいい…!御託ももういい…!貴様は…俺が斃す!!アベルとして!!何より、アルベルト=フレイザーとして!!!」

 

アルベルトは右眼を輝かせ、突貫する。

パウエルが最後の抵抗と言わんばかりに、姿を変えてえ襲い掛かる。

その姿はまさに、【貌のない闇】だ。

 

「視えてる。そして…容易(イージー)だ」

 

ズドンッ!!!

 

稲妻を纏わせた左拳のカウンターが、闇を貫く。

 

「消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

全身全霊の魔力で放たれる稲妻が、世界を白く染めあげ。

ナニカの悲鳴をあげながら、パウエルは消滅したのだった。

 

 

 

 

 

フィジテの外で戦うアルタイル&ルミアと、フェロード&レ=ファリア。

 

「オォォォォォォォォォォォ!!!」

 

「グゥ!?」

 

アルタイルの気迫に満ちた拳が、フェロードをガードの上から吹き飛ばす。

 

「ハァァァァァァ!!!」

 

〖この…!〗

 

ルミアの【銀の鍵】によって流れ出す無限エネルギーに、レ=ファリアも負けじと空間を歪めて守る。

 

「『雷槍よ』!『穿て』!『貫け』!」

 

「クッ!『■■■』」

 

吹き飛ばされるフェロードに、【ライトニング·ピアス】の追撃を放つも、フェロードは転がりながら、防御する。

 

シュン!

 

「…な!?」

 

転がっていたはずのフェロードが、アルタイルの足元まで戻ってくる。

 

(しまった…【次元跳躍】!さっき、どこかに糸を巻き付けられた!?)

 

フェロードが仕組みを考えた隙に。

 

「『我が手に星の天秤を』…オラァァァァァァァ!!!」

 

「ゴホォッ!!!?」

 

アルタイルは、ボールを蹴り飛ばす要領で、フェロードを全力で蹴り飛ばした。

 

〖マスター!!〗

 

レ=ファリアが慌てて、フェロードの元まで飛び、その体を受け止めた。

 

「ゲホッゲホッ!ゴボッ!」

 

血を吐き出すフェロード。

 

(クソ…肋を折られたかな…!)

 

血を吹き出しながらも、しっかり立ち、身構えるアルタイル達。

同じく血を吐きながらも、立ち上がるフェロード達。

そんな緊迫した空気が張り詰める中、不意にフェロードが弾かれたようにフィジテを見た。

 

「「…?」」

 

アルタイルとルミアは警戒心を解かないようにしながら、同じくフィジテを見る。

2人の目には特に変化はない。

しかし次のフェロードの一言で、現状を知る。

 

「…エリエーテとパウエルが…倒された…!?」

 

「ッ!リィエル…!」

 

「アルベルトさん…!」

 

2人が仲間の勝利を喜び、自分達も続こうとした時

 

「でも…終わりだよ」

 

「「ッ!?」」

 

どこか自信に満ちたフェロードの声に、ハッとフィジテに視線を戻す。

魔術で強化された視界に見えたのは、

 

「あれは…!?」

 

「魔将星!?」

 

〖アハハ!久しぶりに見たわ!死霊の支配者!冥府の大公!【冥法死将】ハ=デッサ!!アイツが出てきたからには、貴方達はもう終わりよ!!!〗

 

レ=ファリアが高々に笑いながら、絶望を告げる。

しかし

 

「シッ!」

 

「ハァ!」

 

「〖ッ!?〗」

 

アルタイルとルミアは、少しも気にせずに襲い掛かる。

慌てて防ぐフェロードとレ=ファリアは、思わず声を荒立てながら答える。

 

〖なんなの貴方達!?頭おかしいわよ!!〗

 

「あれを見ても、分からないかい?もう君達は終わりなんだよ…!?」

 

「は?何が?」

 

「貴方達こそ、分からないんですか?」

 

アルタイルとルミアは、2人を弾き飛ばして、堂々と宣言した。

 

「あれ…エレノアなんだろ?」

 

「あそこにいるのは、イヴさんです」

 

「だったら、勝敗は決まってる。なぁ、ルミア?」

 

「うん、アイル君。あの戦い…」

 

「「勝つのは、イヴ姉さんだ(イヴさんです)」」




21巻、本当に激アツで大好きです。
22巻が待ち遠しいです。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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