クロストリガー   作:スカーレット・ウィング

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時系列的には二月下旬なので大学は終了で高校はしてない


今回、ちょっとアレな描写があるので注意っす


18話

 

「さすがに射程持ちがいるとはかどるぜ。」

「なら隊長じきじきに変更したらどうだよ。結構余裕あんだろ?」

「バカ言え、俺は作戦を考えるからやるなら堤だ。」

「自分、なかなか厳しいです。」

「なら機動ましましはどうだ?遠距離捨てて。」

 

「ただでさえ長距離よえぇのに捨ててどうすんだよ?」

「だからだよ。いっそ潔く諦めろ。密集陣形の隊に爆弾投げられたらことだろ。機動装備入れとけば緊急脱出にも使えるしリポジションも早くなる。射手なんて射手なんてすぐに育たないしセンスのポジションだ。笹森が育つまではやめとけ。そこまで器用じゃないだろ。」

 

雑談をしながらトリオン兵を倒していく。

夕暮れにさしかかり次のシフトと交代する時間が近づいてきた。

 

「諏訪、堤。バッグワームを貸せ。」

突然これまでとは異なる緊張した声色で言う。

 

「あぁ。ついに迅の野郎が言ってた隠すもんか。」

任務開始直後に話していたことを思い出す。

 

(「瑠唯、薫はいるか?」)

(「ええ、いるわ。今訓練室で台本を読んでいるわ。」)

(「そうか。なら今からすぐに治療セットを持ってこさせてろ。」)

(「了解。すぐに向かわせるわ。」)

 

通信をしながらトリオン兵の中にある何かをバッグワームに包んで運び出す。

そして二人を連れて近くの民家に運び込んだ。

カーテンを閉めて外から様子を見えないようにした。

包んでいたものを解く。

 

「「っ。」」

二人は絶句した。中には小学生低学年ほどの少女が寝ている。意識はないが胸部が動いており、すこし線が細いことをぞ除けば大きな問題はないように見える。

 

「こいつには爆弾が仕掛けられれている。今から薫が処理する道具を持って来るから説明する。」

「多分子宮に仕掛けられているから処理は難しいものではない。ただそうとう面倒なことになる。」

 

結論をいきなり言った。

 

「は?どういうことだよ。」

「こいつは簡潔に言うと先兵。敵国からの攻撃だ。」

「こんな幼い奴がか?」

「ああ、子供が流れ着いたと油断したところで爆発させたところを、というやつだろう。」

「ふざけんなよ!」

 

あまりに非道な扱いに諏訪はキレた。

 

「幸い爆弾は取りやすい場所にある。あとは爆弾をしっかり管理すれば問題ないはずだ。これ以上は見てみないとなにも言えない。」

 

手を付けられず悶々としていると

 

「待たせたね。持ってきたよ。」

薫が到着した。

 

薫からカバンを受け取ると道具を取り出し少女の服をめくり陰裂に差し込み広げる。

その動きに諏訪と堤はとっさに目を背ける。

 

 

十五分ほど作業をしたのち手を突っ込む。少女の狭い陰道に苦戦しつつも全体で見れば三十分もかからないうちに処理を終えた。

 

爆弾と思われる筒を箱にしまうと

「これで処理は終わりだ。ただ本部にこれを説明すると思うと気が重い。」

 

山場を越えた安堵からか九斬の口から軽口がでる。

「本部には一報入れたから運ぶぞ。」

 

 

 

「お待たせしました。」

司令室には令室には司令である城戸、本部長をはじめとした幹部に風間、東といった有力隊員が揃っていた。

 

「こいつに説明するのやなんだけど。」

「それってもしかしておれのこと?」

 

迅の顔を見るとすぐに口撃する。

 

「テメー以外に誰がいんだよ。未来みた内容を全部話してくれればこんなことしなくてもよくなるし、」

「し?」

「うぜぇ顔を見なくて済む。」

「おそろしく私情で話すね。」

「独断専行が過ぎるのわかってんなら説明をしてからにしろ。意図から計画まで全部な。」

「それは…」

 

迅は言葉に詰まる。信条として知った故により危険な未来へ動くことに恐怖を感じているためいくら信頼していようと話すことができなかった。

 

 

「まぁ、そんなことより今は近くにある脅威への対処だな。」

「では話たまえ。少女との関係を。」

 

「じゃあまず少女に関しては正直どうでもいい。」

「どうでもいい、とは?」

 

「簡単に言えばどこの者でも構わないし関係ない、ってこと。所詮は兵器。自国の貧民だろうが敵国の王族だろうが同じってこと。」

「そんなことが許されていい訳がないだろ。幼い子供にこんなことをさせて。」

忍田が怒鳴る。

 

「逆だよ。幼いからこそ。こいつに爆弾が入ってるって誰が想像できる?子供に難民のふりをさせるところもあるしうちだって子供を兵士にしてる。そうとやかくいえる立場ではない。勝つためにどんなことでもするさ。略奪だってそうだ。市民を傷つけることで敵軍の信用を貶める。何も不思議じゃない。」

 

「ここからは妄想と憶測のカーニバルになるが俺の予想を話しておくとだな、少女は尖兵、見つけたらまず保護をするだろう。で、ここのミソは兵士に使えそうなやつにしておくことで殺されないようにする。」

「で、攻撃を開始する直前に送り付けたやつに仕込んだ爆弾を起爆する。それで本陣を崩して立て直すまでに略奪パーティーだ。これが実際に起きたときの被害だが推測で

 

五年前をはるかに超えるレベルの被害が出るだろう。下手をすれば街一つ消えることになる。

 

 

「それは本当…なのか…。」

信じられない様子で忍田は尋ねる。

 

「割と少なめにの話なんで実際は青天井。最悪ボーダー解散して橋頭保確保が最悪だと考えてる。」

「おい、そんなことがありえるのか。」

「簡単な話家族を盾従わないとどうなるかわかるよな?とかされてまず無理でしょう。全滅まで戦わせられるほど基盤も強くない。正隊員が十人くらい消えたら戦闘力が半減すると思っている。」

 

「だが、そんな重い話ばかりするでないわ。問題は敵をこちらの戦力で太刀打ちできるかじゃろう。何か情報はないのか。」

重苦しい雰囲気のなか鬼怒田が口を開く。

「どのみちその戦いで我々が負けるようなことがあれば三門市だけの問題ではなくなる。そうなれば世界中の人間にネイバーの脅威が襲い掛かることになる。そうなれば娘にも会えんくなるのは御免じゃ。」

怯えた者たちを奮い立たせるためか自身のためか鼓舞する言葉を口にする。

 

 

「じゃあまずおそらくの仮想敵の情報を出します。作戦はそれからにしましょう。」

 

「敵は科学国家シャフト、捕えた敵兵や自国民で人体実験を繰り返す国だ。まず満足で帰ってくることはない。ですが、多くの傘下を抱えておりその動員によって兵力は大きく前後します。」

「前後するといわれてもおおよその検討は付いているのだろう。もったいぶらずに早く言え。」

「単体の抱える戦力は約300名、全員を投入はできないが最低10はくると思ったほうがいい。傘下も含めれば1000はいると聞いたことがある。そこにトリオン兵が万はいると見ていい。戦況次第では新型の投入もあり得るだろう。問題はアフトクラトルのように五体満足で捕える必要がない点だ。アフトクラトルは兵士にしようと考えていたからあまり死傷者がでなかったが向こうは実験まで生きていればだから手足の切断もあるだろう。それに薬漬けで精神崩壊した連中もある。まぁ使い捨てようだからそこまで強くはないが精神的なダメージはあるだろう。そうなって少しでも判断が鈍れば儲けものだ。雑兵で敵の正規兵を倒せるからな。心構えが必要になるな。何にせよこれから準備にかなりの時間を費やさないと遠征どころか本拠地を失うことになる。備えなんかは完全に根付さんと唐沢さんにどうにかしてもらうとしてももっと鍛えないといけないのか、しんどっ。いろいろ計画とかやり直しなんであとは皆さんでどうぞってことで。じゃ失礼しました。」

 

話を打ち切り出ていこうとする、そして立ち止まり

 

「数年前のことなんで今のことはさっぱりなんで聞かれても困るんで。」

 

忠告のように言って部屋を出た。

 

 

 

 

「あぁぁぁぁ。もう来るのか。時間がねぇ。早くケリをつけないと、だな」

 

 

話の結合(一話と二話をつなげて一話とする)

  • した方が良い
  • しなくていい

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