クロストリガー   作:スカーレット・ウィング

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全国60人の皆様、お待たせしました(二回目)


不定期ですが完結目指してやっていきたいと思います(二回目)


29話

 

 

とある建物の屋上

 

 

 

「本部、聞こえるか?」

「ああ、聞こえている。」

 

忍田本部長が応答する。

 

「戦況はどうだ?」

「どこも厳しいな。かろうじて押さえている場所がほとんどだ。余裕のある所はない。」

「一応起死回生の一手がある。」

「それは本当か!」

「ただ、ボーダーの管理下にないトリガーを使う、城戸司令の許可は取ってあるから問題はねぇ。だが、この後落ち着くまで通信はできないから言っておこうと思いましてね。」

「そうか…このままでは巨兵に打つ手はない。君に頼るしかないのは心苦しいが頼むぞ。」

「ええ、なんとしてでも倒しますよ。」

「君の実力を疑うわけではないがくれぐれも注意してほしい。君もボーダーの一員だ。」

 

 

 

 

 

建物の屋上で九斬は隣に男を呼びつける。

「交代だ。俺がでる。」

「そうそうに交代って戦時かよ。」

「何いってんだ。戦時だろ。おまけに窮地だがな。」

「それはおっかねぇ。さっさとおさらばしてぇな。」

「向こうの狙いは俺たちだ、逃げても追いかけてくるから腹くくれ。」

「だな。こここからは相棒がアレで巨兵をやるとしてオレは何をする?」

 

 

「別行動で敵を倒せ。ボーダーには合流しなくていい。」

「おいおい、それだとオレ攻撃されるだろ。」

「そん時は逃げろ敵兵に擦り付けろ。この戦況だ、わざわざ悠長に鬼ごっこするほどの余裕のある部隊はもうないはずだ。深追いはできない。安心して逃げ回れ。」

「そうかい。じゃあオレから一つだけ。」

「んだよ。時間がないから早くしろ。」

「の割には結構話が長いような気がするがまぁいい、絶対死ぬなよ。」

 

九斬は驚いた表情を見せ、

 

「あ?何言ってんだ、俺がコイツを使って負けたことがあるか?」

「ねぇけど、もう使わないとしまい込んだアレを使うって相当追い詰められているだろ?」

「安心しろ速攻でケリをつける。分岐点すらねぇよ。」

「そうか…じゃあ後で必ず。」

「ああ、あとは任せた。」

 

 

 

九斬はトリガーを起動し飛び去って行った。

 

 

 

「その言い方、あの時と同じじゃねぇかよ。まだオレは頼りにならないのかよ…」

 

怒りか諦めか真意は誰にもわからない。

 

 

 

 

 

斧と戦斧が激しいぶつかりを見せる。

打ち合いの間を縫って迅と薫が攻撃を仕掛けるが硬い鎧を前に傷をつけるので手一杯だ。

 

(「全然崩れないわ。迅、ちゃんとやってるでしょうね。」)

二人がかりでも一向に崩せない守りに小南は憤る。

(「やってるって。踏み込んだらやられるのは小南もわかってるでしょ。」)

(「小南ちゃんのいう通りだね。この調子だとこちらが力尽きてしまうよ。」)

 

小南の意見を肯定するように薫が言う。

 

(そうはいうけどね。)

迅は全体的な利益を選ぶ癖がある。それは小南も薫も十分理解しているし多くの者が残った方がボーダーにとっても個人にとっても良い結果となる。だが、自分の身に危険が迫る中最後まで徹しきれるものは少ない。特に打ち合いを続けて疲労が多い小南から愚痴がこぼれるのも仕方のないことだろう。

 

 

(あたしたちがこいつを倒さないと巨兵は誰が止めるっていうのよ。)

 

小南の焦りはもっともだ。現状どの部隊も自分の担当区域の防衛で手一杯だ。休息や作戦を練る程度の余裕はあるが他の区域、部隊へ回せるほどの余裕はない。そんなことができるのは遊撃している九斬と援護部隊の狙撃組位だ。文字通り総力を結集して臨んでいる。自分たちがボーダーでも精鋭中の精鋭であることは理解している。だからこそ巨兵を何とかしなければならない。

 

(どうして迅はもっと攻勢にでないのよ。)

 

頭は相当苛立ちを感じているが体は冷静に戦っている。

状況を確認しようと見渡すと一筋の飛行物体が巨兵に向かって飛んでいくのが見えた。

 

 

(「あれは…隊長の秘密兵器だったかな。」)

(「本当!」)

小南は歓喜の声をあげる。

(「ああ、飛行機能を持った高機動アーマーだと聞いている。ただ消耗が激しいから使用時間が短いらしいから分岐点と見たのだろう。僕たちもそろそろ勝負にでる頃合いだろうね。」)

(「迅、聞いてた?ここから勝負よ。さっきまで見たいな情けないのはなしよ。」)

(「わかってるって。」)

 

 

(そうは言ったけどこの人は九斬さんの協力者だ。どうしたらいいのかな、ここで俺たちが勝っても負けても未来に影響はないけど…)

 

未来が見えることは必ずしも良いことだとは限らない。

 

 

 

 

 

 

「二穂ちゃんすごいわね。あなたの言うとおりにしたらここまでできちゃうなんて。」

「いや、これは先輩方の指揮があってこそだ。私だけではここまではいかないだろう。」

 

 

加古隊、那須隊を中心としたこの戦線は他と比べて余裕のある状況になった。

二穂が自ら囮を買って出て釣り野伏を成功させたのだ。

 

 

「いくらトリオン兵が設定された動きしかしないとしても実際に襲われれば攻撃手でも二穂ちゃんたちほど堂々としてはいられないわ。」

「そうか?あたしはこれでも社長令嬢。度胸がなければやってはいけん。」

「二穂様がするのであれば従うのがメイドの務めですわ。」

「あら、令嬢にしてはお転婆が過ぎないかしら。」

「お前もいうか。まぁ社長になる気はないからどうでも良いがな。」

「そうね。今はいったん本部に状況を報告するから待機よ。」

 

 

(「こちら加古ひとまず落ち着けそうよ。」)

(「それは本当か!」)

(「ええ、二穂ちゃんが体張ってくれたからよ。褒賞ものだと思うわ。少し余裕ができたから二部隊くらいまでなら融通できそうよ。」)

(「そうか!では…」)

 

 

「二穂、大丈夫?」

「雪枝、大丈夫だ実際戦闘はほとんどしていないそれにしてもこの程度で引っかかるとはおもわなかったな。」

「え!そうでしたの!」

「それは私も思った。少し動きが訓練で出てくるものより悪いように感じたし。」

「あまり考えたくはないが罠の可能性もあるな。どこも余裕はない、ここで上手くいった思わせればここから食い破ることも可能か…」

「でも、使える物資って限りがあるでしょ。いくら陽動とはいえここまでするでしょうか?」

「不可解な点はあるが我々にはまだ指揮権がない、できるのはせいぜい局地的にしかできない。ひとまずこの戦いを超えることにしよう。」

「はい。」「そうだね。」

 

 

戦いは終盤へと向かう

話の結合(一話と二話をつなげて一話とする)

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