閲覧注意。
sideアリス・S・十夜月
呼吸を一つ整える。
恐れるものはなにもない。
いつの間にか手の中にある白い面を被る。
「『私は何者にも染まる、世界も何もかも分別なく』」
「『故に善悪なく我、かのものを真似る』」
「『
自分の姿が変わっていくのがわかる。
髪の毛が短くなって色が変わり、手足が伸びる。
そして、自分の視界がクリアになったとき。
私の姿は、ミソラ=ファーレストと同じ姿になっていた。
「な、なぁお前、アリスでいいなだよな」
「間違ってないよ、目の色だけは変えてないしね」
これが私の固有ユニーク能力スキル『マネルモノ』。
数多の分身もこの能力の一部に過ぎない。
適応の究極系、それは世界に適応している誰かに姿形性質を変えること。
やると後がめんどくさいんだけど。
なんにせよもう一発、あの攻撃をぶち込めのだ。
「でもどうしますの?あの消える行動をされたら、先ほどの二の舞ですわよ」
「それについては大丈夫、予想がついてる」
「じゃあ、何が起きたって言うんだよ」
「過程の喪失かな」
「「過程の喪失?」」
基本的にあの烏賊擬きは、触手攻撃しかしていない。
ならばあれも、『海中に潜った後奇襲』でしかないのだ。
本来墨もはけるはずだが喪失しているようだ。
空間的に盆地であり逃げ場がないあの空間で出来ることは、それだけだ。
言葉足らずで先走らせたのは、失敗したとしか言えない。
あの空間は陸地でありながら、海としての情報も持っていることになる。
私達にとっては浅瀬でも、あれにとっては海だ。
そして、驚異を前にして潜るという過程を無くすことで、消えたように見えた訳だ。
事実を知れば、なんてことないが初見殺しの性能は非常に高い。
何せ当たるはずの必殺の一撃が外れるのだ。
はずしたあとの無防備な相手を狩るのは容易い。
では、どうすればいいのか。
これは簡単だ。
海の中から引きずり出せばいい。
幸い、海の情報を引き継いでいる。
なら、通電しやすいはずだ。
956:名無しの異世界人
さて、イッチの能力も判明しました
けどなんでか知らないが、寒気がした
957:名無しの異世界人
こっちをみている気がしたからだろうな
958:名無しの異世界人
見直してもそんなことあるはずないんだけどね
だって、見直しても寒気しないから
959:去らば相棒
まじで怖い話やめれ
これからも使うんだから
イッチ「各班に通達、これより銛を投げ込む」
イッチ「合図したら、繋いだコードに雷を流し込め」
イッチ「各班の奮戦に期待する」
お嬢「大丈夫ですの?」
イッチ「問題なし」
960:名無しの異世界人
イッチもエクスカリバーやるつもりだ
イッチの周囲に風が渦巻き始めた
961:名無しの異世界人
対する烏賊の方も、さっきの攻撃する気満々だ。
962:名無しの異世界人
イッチ大きく飛んで、振り下ろす
っかさっきと展開が一緒だな
963:名無しの異世界人
烏賊も消えた、と同時に銛が土塁の向こうから
降ってきたけどこれも当たらない
というよりは、刺すことが目的じゃないよな
964:名無しの異世界人
コードを伝って電流が水をバチバチいわせとる
これに突っ込む気だ!!
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side怪物
生まれてすぐ理解した。
ここは狭い。
しかし、何をどうすればいいのかわからない。
わからないがここにいられない。
どこか広いところへ行きたい。
どうやって?
わからない。
うるさい、邪魔をするな。
お前はさっき、潰したはずだ。
なのになぜ邪魔をしてくる?!
ならばもう一回、潰すだけだ。
同じことを繰り返すだけだ。
ほら、避けた。
なら、また―ー
?!
なんだ、なぜこんなに情報が溢れる。
全身から訳のわかない情報がくる。
逃げろ、からだが叫ぶ。
逃げろ、心が命じるままに、
上へ‼
そして、何かと目があった。
あれはべ――
*******
965:名無しの異世界人
イッチえげつねぇ
分身にもエクスカリバー使わせて
初撃を回避誘発に使わせたよ
もぐったところで分身ごと電撃
分身すぐ消えたけど
水面めっちゃバリバリいってるよ
966:名無しの異世界人
んで、でできたら、過程を吹っ飛ばすから、からだの中ほどから真っ二つですよ
今、サラサラ粒子になってきれいだけど、ガチでバケモンだわ、あの烏賊
967:去らば相棒
イッチ「アババババ……」
イッチ「ストップ、ストーーーップ」
お嬢「助けに行きますか?」
友達「無理だろ、助けに行った奴もああなるから、海が消えるまで――」
主人公「大丈夫ですか、今助け――アババババ」
二人「「ほっとくか/きましょう」」
968:名無しの異世界人
やること一緒とか仲いいな
あれ、お姉ちゃんどこ行った?
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side?????
全て終わった。
捕らわれた私には、見ていることしかできなかった。
見ていることこそ罰なのだ。
せっかく『暁の福音』を見つけたというのに、
「理解できる?あれが貴方達の求めた『暁の福音』」
「そして、そんなものありえないって」
「あれがそうなら、世界全てを――」
「無理!!」
強く否定された。
彼女の言っていることがわからない。
彼女が『暁の福音』ならば世界を救えるはずだ。
余剰エーテル全て取り込むことで。
それを見た彼女は、まるで出来の悪い生徒に言って聞かせるように言葉を発した、
「いい?さっきも言ったけど、不明瞭領域は『溢れた状態を維持したワイングラス』なの」
「私達バランサーは、更に情報をぶつけ、『零れた後のワイングラス』にしているの」
「そして零れた液体を除去することで正常に戻すの」
「さて、話は変わるけどここで質問」
「貴方は何杯飲んだ?」
ささやく彼女が見せつけるのは空のワイングラス。
空なのになぜか何かを飲んだように腹にたまっていく。
「今ので15杯目です」
「うんうん、そうだね。苦しいよね」
天使の微笑みが、そこにはあった。
「それが答え」
しかしその声は私を破滅へ誘う悪魔の囁きだ。
「有限は無限にならない」
「有限には限界がある」
「無数に分身できる私達も有限」
「貴方たちが求める『暁の福音』も有限なの」
「博士が実験した結果」
「有限の我々では、絶対に不可能なの」
諭すような優しい声は、されど地獄から聞こえる閻魔の判決で。
「そんなはずはない、だって」
「デモンストレーションは成功したから?」
「ええ、そうです。それが成功したなら――」
例え有限であっても世界を救えるはずだ。
それが『暁の福音』なのだから。
そう伝えると、彼女はまるでコントを見たようにお腹を抱えて笑いだした。
「貴方最高よ‼自分が使ったものの正体も知らないのに『暁の福音』なんて馬鹿げたものにすがり付く」
「いいわ、笑わせてくれたお礼に教えてあげる」
「情報爆弾の作り方を」
聞くな、本能が叫ぶ。
心が知ることを拒む。
しかし、それでもなぜか聞きたくなってしまう。
地獄の門が開こうというのに、
「作り方は簡単」
「『エーテル貯蔵庫』にギリギリのエーテルを詰めこみ」
「そして、それを越えるエーテルを外部から流し込める装置をつけ」
なぜ、いなくなった仲間を思い出す。
あいつは抜けようとした。
「後は、それらを密閉できる容器に積めるだけ」
私は悪くない。
閉じた記憶が悲鳴をあげて、開き始める。
見ていたんだ。
わたしもあんなものにされる?
嫌だ、そんなものになりたくない。
「ね、簡単でしょ」
「でもね、実は『エーテル貯蔵庫』って、規制が厳しくてなかなか手に入れられないの}
「じゃあ、あなた達が簡単に手に入れられる『エーテル貯蔵庫』ってなに?」
いやだいやだいやだ。
私は悪くない。
あいつがわるいんだ。
だから、わたしを
壊さないで
願いは、
「それは――
デモンストレーションは何が使われた?
デモンストレーションはどのように行われた?
じゃあじゃあじゃあ、私が見つけたものは?
有限、溢れたらどうなる?
やめて、お願いです。
私は知らなかった/違う知ってた。
起動したらどうなるかなんてわからなかった。
違うわかってた。
――人間だよね」
通じなかった。
バンッと扉が開く音がした。
でもそんなおときにならない、もう――
――わたしこわれちゃった。
side十夜月聖
なぜか施錠されていない扉を開いた時には、全ては終わったあとだった。
縛られて座らせられている職員は、謝罪を垂れ流す機械になっていた。
そして、その隣に立っているのは、
「アリスちゃん?……いいえ、雰囲気が違う。貴方、誰?」
アリスちゃんと同じ髪色、瞳の色。
服は私の神官服を動きやすくした服だ。
姿は全く同じでもその笑顔は全く別だ。
あんな嘲るような笑い方はしない。
無垢というか、ほんわりと笑うのだ。
お姉ちゃんの鑑定眼をなめないでもらいたい。
「はい、私はアリスと呼ばれる少女ではありません/でもあります」
声が重なった。
重なった声は、アリスちゃんと金属を引っ掻くような声の二つ。
アリスちゃん自身ではないけど、アリスちゃんと近いもの。
「分身が自我を持った?」
顔から血の気が引くのがわかった。
愛せるだろうか、このアリスちゃんを。
「大丈夫です」
優しく、懐かしむような慈しむような声で、
「私達は、ただの残骸。あの子の力を利用しているだけのただの死んでいる人」
手を握る、優しく、
「でも、助けてほしいの。あの子に似た子を」
「私達はこんな存在だから、いつ消えてもおかしくないのに、消えない、消されないの」
「こんな残骸にあの子をさせたくない」
「だから、私達を救わないで***」
「え?」
その名前は、あの頃にしか使われなかった名前で知ってるのは――
「貴女まさか――」
「じゃあね」
光となって弾けて消えた。
「救わないで?」
その意味はわからなかった。
ただ言い様のない、もやもやが残った。
次章以降の伏線張りつつ、終了です。
この後、二人はしこたま怒られます。
お姉ちゃんなんで動かないんだろうに、答えが出た回です。
作者自身もそうなのか~と思ってしまいます。
ほんとに自分の頭どうなっているのやら。
ちょっとした話と設定を挟んで本格的に三〇の話が動きます。
頭の中に浮かんだアニメを、投影する機能が欲しい。