異世界転生したけど男として終わった件   作:ash.w

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幕間 謝罪の仕方

聖女「はい、そこまで」

 

聖女が主人公の口を塞ぐ

 

主人公「ムグッ⁉

 

聖女「ここからは、わたしたちの役目」

 

聖女「入ってきてください」

 

大扉がきしんだ音をたてながら開く

 

開いた向こう側にいたのは男性一人と女性九人

 

父「はぁ、やりすぎだ」

 

近づいてくる男性にお嬢様は発狂の度合いを強めた

 

お嬢「ああぁぁあ、いやぁぁーーーーー!!!!」

 

その男性こそ、彼女にとっての理想でしかし、存在しないもの扱いした

 

十夜月勇男

 

その人であったからだ

 

父「私の娘が申し訳ない」

 

お嬢「え?」

 

マグリアに近づいた勇男が行ったのは謝罪だった

 

そして崩れて座るマグリアと正座して視線を合わせ

 

父「君のことは前々から知っていた」

 

父「おかれている環境も、今ここにいられる理由も」

 

父「三○新設に伴い、何らかのしがらみを振り切りたい新人が流れてくるということは判っていたんだ」

 

父「事実私の娘がそうだしね」

 

父「君だけじゃない、実働部隊の八割が何かしらの問題をかかえているんだ」

 

父「だが、問題解決にはもう少しかかるはずだったんだけどね」

 

父「あのバカがやらかしてくれたお陰で、○○部隊の膿を取り除くきっかけになったんだ」

 

父「君の母親の行方もきっと掴める」

 

ただ諭すように告げる言葉が一つまた一つと染み込んでいく度に、呆けていた彼女の心に光がさす

 

父「だから、今君が覚えることはただ一つ」

 

父「許されない罪への謝罪の仕方だ」

 

お嬢「許されない罪ですか?」

 

父「そう、君は始めに誰に謝っていたんだい?」

 

お嬢「誰に?それはアリスさんに」

 

父「そう確かにそうだ、でもそれは遮られた」

 

父「なぜだかわかるかい」

 

首を力なく横にふり

 

お嬢「わかりません、私はアリスさんに謝って」

 

父「君自身が勘違いしているようだけど」

 

父「許されるチャンスはあったんだ」

 

顔を上げるマグリア、勇男は優しく微笑み

 

父「娘の父親が自分の語る理想の父親だって気づいて、その上で謝って欲しかったんだ」

 

父「でも、君の根底にそんな父親はいない、いるはずがないって刻まれているんだ」

 

父「それで娘も荒療治として一回がっつり負かそうとしたわけだ」

 

父「本当はもう少し穏便に、やり過ぎないようにって頼んでいたんだけどね」

 

父「でも君は一切気づかず」

 

父「挙げ句、聖に言われるまで気がつかなかった」

 

父「そして即座に、自分の理想の父親だから謝罪」

 

お嬢「あ」

 

父「気づいたかい、だから娘は謝罪を受け入れないと言ったんだ」

 

父「当然だ。君は、アリスの父親に謝っていないんだ」

 

お嬢「わた、私は、そ、そんなつもり」

 

父「だろうね、でも事実君が謝った相手は」

 

父「理想の中の父親だ」

 

父「私ではないんだ」

 

お嬢「ッ‼」

 

理解した、自分がどれ程相手を傷つけたのか

 

父「さあ、理解できたね」

 

お嬢「で、でもどうすれば」

 

父「お手本なら、あちらに見えるあの方達を参考にすればいい」

 

勇男が指差した先には、始まりの三人が頭を下げる姿があった。

 

友達「今更だろ、お袋寝込んでるし、親父は今でも職探してる」

 

友達「たった一度あいつ遊びに行くと拒否したくらいでこんな仕打ちうけて、今更だろうが!!」

 

激昂するミノーに対して、けっして頭を上げない

 

友達「なんで、なんでだよ。あんたたちが頭下げるような大事じゃないだろ」

 

長女「確かに大事ではないかもしれません」

 

友達「なら」

 

長女「ですが、私達か頭を下げないですむ事態ではないのです」

 

長女「英雄の軽い言葉は誰かの人生を変えるほど重いと常々言っていたのです」

 

長女「にもかかわらず、このような事態を引き起こした」

 

長女「十分頭を下げる事態です」

 

長女「許されざることをしたのです」

 

長女「しかし、そこで頭を下げる事をしないというのは、私達が貴女に謝る様なことをしたわけではないという逃げです」

 

三女「事をしでかしたのは、私のTの一族の一人」

 

三女「私達の名を持つ者のやらかしは私達の罪」

 

三女「始めから決めていたこと」

 

頭を下げる彼女達に言い訳はない

それに比べ自分の謝罪のなんと軽いことか

 

父「やるべき事はわかったね」

 

お嬢「はい」

 

父「とはいえ、今は謝れる状況じゃないからね」

 

指差した先にはねこ車を押し土砂を運んでいるツナギを着て安全ヘルメットを被ったアリスの姿だった

 

イッチ「地ぃねぇ遠いよ~。もっと近くに土砂つくって~」

 

地「だーめ、ここをこんなに穴だらけにした罰も兼ねてるんだから」

 

地「ほら早くしないと、もっと遠くに作っちゃうよ」

 

イッチ「はーい」

 

お嬢「え、あ、あのいったい何故?」

 

父「やりすぎだからね、妻が罰として穴を埋めさせているんだ」

 

父「明日も使うんだからね」

 

 

 

 

イッチ「あ、実況がなんか別なのに変わってる」

 

イッチ「取り敢えず一言」

 

989:去らば相棒

寝不足確定

 

――閲覧注意を終了します――


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