この世界は幾度となく危機が訪れていた。そんな地球を守るため、地球の意思により力を授かった人々が変身ヒーローや変身ヒロインとして人知れず戦っていた。
そして今も宇宙からの侵略者モーゲン帝国が地球を狙っていた。
そんな地球を守るため、新たな変身ヒーローや変身ヒロインが戦う。
これはそんなヒロインの1人が歩む奇妙に物語である。
とある山にある屋敷。そこで棒術のトレーニングをしているショートカットの少女がこの物語の主人公である。
名前は
そんな彼女には2つ秘密があった。それは変身ヒロイン、ラック・ラックの真の姿であること。
そしてもう一つは彼女には破滅願望があり、悪の組織に囚われて自分の尊厳を徹底的に凌辱されたいという願いがあったのだ。ラック・ラックという名前も拷問台を意味するRackと不足・欠乏を意味するLackを合わせた物だ。
今日も彼女はそれを願いながらモーゲン帝国の送り込む怪人と戦うが、
そんな彼女の望みを阻む最大の壁は彼女自身であった。
なぜなら彼女は強いのだ。物凄く強いのだ。
元々、習い事として格闘技を習っており、同年代の少女の中では身体能力が高い方であった。それが変身により強化されたことや格闘技の経験が手伝ってとても高い戦闘力を持ったのだ。
しかも戦いの中でその実力が磨かれ、日本で5本の指というほどではないものの、ベスト30程度には入る程度の実力者となったのだ。
捕まりたいならわざと降伏すれば良いものを、彼女には実力で敗北して囚われてこそ美しい敗北ヒロインであるという常人には理解しがたい美学を持つ。自分を打ち負かせる怪人が現れるのを待っているのだ。
そうこうしている内にどんどん強くなってしまい現在に至る。
「アタシを屈服させるような強い奴はおらんのか早く来い来い侵略者」
一般人にとっては迷惑な話である。なお、実力による敗北以外で彼女が認めるのは一般人を人質にとられて囚われるのみである。
そんな事を言っていると本当に侵略者が現れたことを変身アイテムであるメイデンブレスから放たれた光が伝える。どうやらすでに他のヒロインが向かっているようだが、自分も行ってみることにした。
「求めよ、女神の加護を!」と叫ぶと彼女の体は銅色のアーマーに身を包んだヒロイン、ラック・ラックに変身した。頭に装備されたバイザーから敵の位置を確認すると走り出すラック・ラック。
※
町のスタジアムの前では、新米ヒロイン、レディYが現れたバラ型の怪人ローズモーゲンと戦っていたが、怪人は体の茨をダーツのように無数に飛ばして彼女の体を傷つけ、さらには蔦で彼女を打ち付け、時には首を締め上げるのだ。
全身が傷だらけになったレディYはローズモーゲンの蔦に体を巻き取られていた。
レディYは白と金を基調としたファンタジー作品の神官のような姿をしているが、それも攻撃を受けてボロボロにされていた。美しい銀髪も同様で汚れ切っていた。
「観念しろ小娘!」と彼女の心臓を貫かんと迫る怪人。
そこに駆けつけてきたラック・ラックが立ちふさがり、彼女を拘束していた薔薇の蔦を蹴り飛ばすことで解放することに成功する。
「大丈夫?」
尋ねるラック・ラックに対して、「ありがとうございます。助かりましたわ」とお礼を言うレディYだった。
「あんたは弱いんだから無理しない事よ」
「何者だ貴様! その小娘は私の獲物だ」と怒るローズモーゲン。
「アタシはラック・ラック、その娘を手を出すのはアタシを倒してからにしな!」と武器である大剣を構えながら大見を切る。
その内心では(おお、茨の鞭だ良いなぁ、全身のトゲも良い、あれで捕まえて基地に連れ帰って欲しい)と淫らな願望が満ちていた。
しかし、手を抜かないのが彼女のモットーである為、全身全霊をかけてローズモーゲンに戦いを挑むラック・ラック。まずはジャンプキックをお見舞いするが当然の様にかわされる。
さらに連続で繰り出すパンチやハイキックもことごとく回避された。
(このままじゃダメね、あいつは動きを読んでくるタイプみたいだし、ここはあえて力押しで攻めるか?)と考え始める。
(待てよ、ここはあえて動かずに行けば)と制止する彼女。それを見たローズモーゲンは勝利を確信し、一気に倒さんと飛び込んでくる。
それが彼女の作戦であり、飛び込んできた相手を大剣で切り裂き、勝負は決まった。
「他愛もない。もっと強い奴はいないのかしら?」と余裕を見せるが、
「油断は禁物ですよ」という声と共に無数の光弾が降り注ぐ。
とっさにレディYを抱きかかえて回避したラック・ラックが視線を攻撃があった方向を見るとそこには金髪ロングの女性が立っていた。
「私の名前はイレーネ。つい先ほど地球制圧軍の司令官に就任いたしました。以後お見知りおきを」
名乗りを上げたこの女性はモーゲン帝国の幹部の1人である。
改造手術の名手としてその名を轟かせているが、地球人は知る由もない。
「ふん、また雑魚か……ってなんだ!?お前は、女幹部だと!!」驚くラック・ラック。
「ああ、麗しいですね。あなたのような美しく気高き女性を私は待ち望んでいたのです。是非とも我が組織に入っていただきたい」と勧誘を始める始末であった。
「美人からのお誘いは嬉しいけど、そんな勧誘受ける人間が変身ヒロインになるかよコノヤロー」
武器を構えるラック・ラック。レディYもそれを肯定するように頷く。
戦闘が開始された。
1対2の状況であったが、レディYは殆ど2人の戦いについていけず、事実上、ラック・ラックとイレーネの勝負であった。
この2人の実力は互角に等しいが、パワーではラック・ラックが勝り、スピードではイレーネに分があるといった所である。
そのような状況での戦闘であるが、ラック・ラックはレディYを守りつつ戦うように立ち回っていた。
その為、常に一方的な戦いではなく、時間切れで引き分けに終わった。
「今日のところはこの辺にしておいてあげます。
ですから、今度会うときはどうか、歓迎の準備をしておいてください」
「そうだな、地獄行きの豪華客船を用意してやるよ」
捨て台詞を残し、姿を消す敵を見送った。
「実力を考えずに怪人に挑んだら無駄死にするって何度言ったらわかるのよ!」
ラック・ラックがレディYに詰め寄る。
ラック・ラックがレディYを助けたことは今回が初めてではないのだ。
「しかし今回は危ないところでしたわ、本当に感謝いたしますわ」深々と頭を下げる彼女に慌てるラック・ラックだったが、「まあ別にいいけどさ」と言って頭をかくしかないのだ。
「それでこれからどうするんだ? まだ怪人探しを続けるつもりかい?」
「もちろんそのつもりです」
「あんまり深入りするんじゃないよ。
そもそもあんたは支援技が得意なんだから、誰かと組んだほうが良いよ」
そう言って去ろうとするのだが、彼女はこう尋ねた。
「あなたはどうしてそこまでしてくれるんですの?」
その質問に対して、少し考えて、答えを口に出す。
それは彼女自身も今まで考えた事の無い回答だった。
だが、自然とその言葉が出た。ただそれだけの理由である。だから素直に伝えた。
「やれることは常に全力でやるってだけよ。次に会う時にあんたが死体になってないことを祈ってるわ」
「次に会った時は負けません。次はもっと強くなってみせます。
それまでご壮健でいて下さいましね。
それと、私の本当の名前はまだ秘密でございますので、その時が来るまでしばしのお別れです」
「あんたの名前なんか知りたくないよ」と笑いながらラック・ラックは帰っていくのであった。
※
望の家は駅近くのマンションである。彼女はこの家に一人暮らしだ。
実家の祖父が死去したことから両親が実家を継いだことが理由である。
「あーあ、今日も捕まえてくれなかったなぁ。薔薇の鞭もあのイレーネって奴も冷徹に責め立ててくれそうだったのに」とベッドに寝転がりながら嘆く望。そもそも破滅願望のあるヒロインがいるなど敵も知らないのであるが。
「夢の中で良いからアタシを責め立ててくれ」と眠りにつくのであった。
※
「油断しましたね、ラック・ラック」と言いながら拘束椅子に座らされたラック・ラックを見下ろすイレーネ。
「う、うるさい、黙れ!!」
「そんな口を聞けるとでも?」
コントロールパネルを操作するイレーネ。それと同時にラック・ラックの頭上にある装置から強力な光線が降り注ぐ。
光の柱の中に閉じ込められ、焦げ臭い匂いが立ち込める中ラック・ラックが絶叫をあげる。全身を焼かれるような痛みが襲い掛かるが声すらまともに出ない様子であった。
しばらくすると光が収まると同時にラック・ラックが倒れたまま動かなくなる。既に意識はないようだ。
「起きなさい」と平手打ちを何発も浴びせて彼女の意識を呼び戻す。
「くそっ、こんなものでアタシが」
「捕まってるのに強がっても滑稽なだけよ。もう一度光線を浴びる? それとも鞭? スライム責め? 私は優しいから好きな責めを受けさせてあげる」
「な、なんでもありません。大人しくするので許して下さい」と涙目になりながらも命乞いをした瞬間、またしても光線を浴びせられ、ラック・ラックが絶叫を上げる。
「あんな大口をたたいておいてすぐに命乞いとは面白くないじゃありませんか」と光線の出力をどんどん高くするイレーネ。声にならない声を上げ続けるラック・ラック。
だが、その瞬間に彼女の意識は現実へと戻る。
「夢か……正夢だと良いなぁ」と起き上がった望は一日の生活をスタートさせるのであった。
※
「何だか寒気がします」
モーゲン帝国の基地で白衣姿のイレーネが悪寒に襲われていた。
よもやラック・ラックが破滅願望持ちの変態とは思うまい。
AIのべりすと様のおかげでここまで形にできましたわい。
書くのが苦手な戦闘シーンやら展開に詰まった時に思いもよらぬ展開を示してくれて助かります。
この作品のセカンドユニット監督はAIのべりすとですよ。アクションシーンやらはセカンドユニットの担当ですからねぇ。
ちなみにイレーネさんはAIが考えたキャラをもとに肉付けしました。