変身ヒロインは悪の組織に捕まりたい   作:牧村九天

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第7話「汚染される心」

モーゲン帝国海底基地。謹慎中のベルベットのもとをイレーネが訪ねていた。

 

「ベルベット、ラティシアがスタッグ将軍の副官になっていることをどう思いますか?」

 

「恐らく裏にいるのはローゼンブラッドです……ラティシアはアレに心酔してましたから……」

 

「そうですね……すでに奴に地球に来ている可能性が高い……恐らく将軍は捨て駒。そして私たちも……」

 

イレーネは皇帝の考えを悟り嫌悪した。自分と将軍を使ってラック・ラックをはじめとする地球侵略の邪魔となるものたちを消耗させ、ローゼンブラッドが全ての手柄を独り占めする。皇帝のお気に入りである彼女の皇位継承をより確実とする為にだ。

 

「この状況を打開する方法を考えなければ……」

 

イレーネは孤島基地内の研究室に籠もり、強化アーマーの改良に取り組んでいたが、その表情には焦りが見え始めていた。

 

そんなとき部屋の扉が開き、スタッグ将軍とラティシアが入って来た。

 

「ただいま戻りました地球軍司令官殿」

 

わざとらしく敬礼をする彼女を睨みつけるが、今は無駄な体力を使わぬほうがいいと自分に言い聞かせた。

 

そんな様子を見てラティシアは笑う。

 

「ラック・ラックも風前の灯ですよ……私の術でじっくり料理してあげます。今は下ごしらえです」

 

「彼女を甘く見ない方が良いですよ?」

 

警告するイレーネにラティシアは微笑を浮かべると、彼女の部屋から出て行く。

その時の彼女の顔は獲物を前にした捕食獣のような目をしていた。

 

「奴が何を考えているのかわからんな……」

 

将軍もラティシアの扱いには頭を悩ませていたが、実力の高さから放任していた。

 

「あれを理解できる存在はローゼンブラッドぐらいでしょうね……」

 

イレーネはそれとなくラティシアの裏にローゼンブラッドがいることを示すが、将軍は理解できないようだ。

 

「まあ良い、私は皇帝陛下の命令通り、地球制圧の邪魔者を抹殺するだけだ。あの女がやってくれるならそれで良しだ」

 

それが自身の破滅に繋がる事も理解せず将軍は笑いながら研究室から出ていく。

 

イレーネはそんな将軍を横目に強化スーツの再設計を続けていたが、設計データがコピーされて持ち出されていることに気づく。

 

「あの女の仕業? でも何故……」

 

あのスーツは変身能力の無いイレーネが自分用に設計した物で、

変身能力のあるラティシアやローゼンブラッドには用が無い物の筈だ。

 

そもそも皇帝がこのスーツに興味がある以上、遅かれ早かれデータは各部隊に提供される。

イレーネはラティシアが何故こんな行動をしたのか理解できなかった。

 

 

その夜遅く、狒々山の屋敷の寝室で望は悶えていた。

ラティシアの幻覚に夢の世界が支配されていたのだ。"もっと苦しめ、そして壊れろ"と誘うように。

 

夢の中でヘルメットを外されたラック・ラックの姿で望は蜂型の戦闘員たちに取り押さえられ拷問部屋へと連行される。

 

そこにはラティシアが待っていた。

 

「よく来たねラック・ラック……戦闘員のみんな、まずはそこの磔台に拘束してくれ」

 

指示を受けた戦闘員たちはラック・ラックを手早く磔にする。

 

「最初はどんなことをして欲しいんだい? 君のして欲しい事をしてあげる」

 

「くっ! 誰が!」

 

「へーまだそんな口を利ける元気が有るなんて凄いな~。これはお仕置きが必要だねぇ」

 

そう言うとコントロールパネルを操作しエナジードレイン装置を作動させる。

 

「これでも元気が保てるかな?」

 

「ああぁ!!ぐぅう、はあぁ……」

 

エネルギーを吸収されてラック・ラックが悶える。

 

全身に激痛と倦怠感が広がりまともに動くことも出来ない。

それを見たラティシアが妖艶な笑みを見せる。

 

「フッフッ、これで分かっただろう? もうお前は終わりだって」

 

ラティシアは笑いながらラック・ラックの苦痛の声を聞いている。

 

ラック・ラックの視界が一瞬暗転すると別のシーンに切り替わった。

今度は拘束椅子に座らされていた。

 

「さあ、言う事を聞かない悪い娘はこうだ!」

 

ラティシアがそう言うと精神操作装置が作動しラック・ラックの精神を作り変えていく。

 

彼女は自分が何をされているのか分からない。

ただ、自分の心の中に今までとは違う何かが生まれようとしていた……。

 

「君はモーゲン帝国の兵士として生まれ変わるんだよ」

 

「違う! アタシは嬲られたいけど悪に寝返るつもりはない!」

 

望は最後の瞬間まで正義のヒロインとして嬲られることを望んでいる。

それこそが彼女のヒロイン像であり、絶対であるものなのだ。

 

「極めておバカな宣言ありがとう。

 面倒くさいオタクみたいな拘りを捨てればすぐに楽になるのにね」

 

「嫌!アタシは最後まで正義を貫くの!!」

 

「ふ~ん。そっか。まあいいわ。それなら今度は電気ショックだね」

 

ラック・ラックは必死に逃げようとするが拘束具により動けない。

 

「無駄だよ~ほれスイッチオン!」

 

「ぎゃあアァ――!!」

 

電撃によって強制的に体を痙攣させてしまうラック・ラック。

ラティシアの笑みを見ながら苦しみは続く。

 

 

「僕は暴力的な拷問は好きじゃないんだよね〜君も精神操作や自白装置で虐められるのが好きだろう?」

 

笑うラティシアがラック・ラックに尋ねる。

望は現実的な苦痛より、地球の科学では実現不能な責めで自分を壊してもらいたいと願っている。

だからこそ悪の組織に捕まることを夢見ていたのだ。

 

「知るか……」

 

「あんまり強情を張るとオシオキだよ?」

 

電気椅子から解放されたラック・ラックに怪人体に変身したラティシアが襲い掛かる。

必死で応戦するラック・ラックだが、傷ついた状態では相手の動きに対応できない。

 

「ハハッハ、こんなにボロ雑巾みたいになって可哀想〜」

 

ラティシアは嗜虐的な表情でラック・ラックを追い込み、彼女の心がどんどん絶望に染まっていく。

 

倒れこんだラック・ラックの首根っこを掴んで無理矢理起こしたラティシアは彼女に何度も平手打ちを喰らわせていく。

 

「どうしたんだい? 正義のヒロインがこんなザマとは……」

 

「ぐぅう……」

 

ラック・ラックは痛みに悶えながらラティシアを睨む。

 

「まだそんな目ができるなんて大したものだよ。だけど、僕には勝てなかったようだね」

 

「アタシの心はまだ屈してねえよ……」

 

「変な信念のあるドMだから面倒だよね君。その信念も心も壊してあげるよ」

 

毒針サーベルを構えるが、残念そうな表情を浮かべる。

 

「そろそろお目覚めの時間だ……また夜に会おうね」

 

その瞬間、望の意識が覚醒する。

だが、その精神はこれまでのように晴れ晴れしたものでは無い……

心が自分以外の誰かによって支配されつつあるのだから。

 

望の心は揺れ動いていた。もしまたラティシアと遭遇すれば確実に負ける。

そうすれば自分の望みが叶い、あの夢が現実となる。

 

「どうすりゃ良いんだ……」

 

自分の夢と正義のヒロインとしてのプライドの板挟みになって苦しむ彼女。

 

(そうだ……このまま悪に染まってしまえば……。でもそれで本当に幸せになれるのだろうか?)

 

しかし、今の苦しみから逃れることができると言う思いも心のどこかに有った。しかしそれでも……。

 

「薬……飲んどこ……」

 

明日美の組織に提供された薬で幻覚を抑えることは出来る。

しかしそれは変身していない場合だ。変身するか眠ってしまえば幻覚が望の頭の中を支配せんと襲ってくるのだった。

 

「どうしよう、こんなの誰にも相談できない」

 

望は頭を抱えた。今の状態で正義と悪の境界を歩いているような状態で誰かに相談などできるはずもなかったからだ。

 

そんなことを考えている間にもモーゲン帝国の攻撃が始まった。

 

ラティシアが送り込んだマンティスモーゲンが町を我が物顔で荒らしまわっていた。

 

「我が鎌に切れぬもの無し……」

 

巨大な大顎と鋭利な牙を持つ昆虫怪人が町を切り刻んでいく。近くに到着した望だが、変身すればまたあの幻覚に襲われる。

 

それに恐怖して足がすくんでしまうのだが、自分が正義のヒロインであるという気持ちが勝った。

 

「アタシはヒロインなんだ!引き下がるものか!」と自分に暗示をかけて「求めよ!女神の加護を!」と叫ぶ。

 

そして変身ヒロインとなったラック・ラックが姿を現すと同時にマンティスモーゲインへ殴りかかる。

一方、マンティスモーゲインは巨大かつ鋭いカマを振るう。

剣で受け止めたラック・ラックだが、本来ならかわすことが出来た攻撃。

ラティシアの幻覚が頭に浮かび全力が出せなくなっているのだ。

 

「うぐっ、なんで……」

 

マンティスの攻撃を受け止めたラック・ラックだが衝撃までは抑えきれず後方へ吹き飛ぶ。

 

「お前のことは聞いている……ラティシア様の躾でだいぶ弱っているようだな……」

 

マンティスモーゲンがゆっくりと近づいてくる。

だが、本調子が出せないと言ってもラック・ラックが勝てないほどの相手ではない。

彼女はマンティスの顔に向けて火炎を放射すると一気に切りかかる。

 

マンティスはその炎に耐えながら剣をカマで払いのける。

 

「まだだ!」

 

ラック・ラックがそう叫ぶと剣が炎に包まれ、再びマンティスの体に剣が叩き込まれる。

 

マンティスはそのまま体を真っ二つに引き裂かれたが、「これで終わらないさ……」という不気味な声を残し爆発することは無かった。

 

そしてマンティスの体から細長い何かが飛び出しラック・ラックに巻き付いた。

 

「私のしもべを倒したぐらいでいい気にならないでもらおう……」

 

締め付けているものの正体にラック・ラックは感づいた。

 

「ハリガネムシか……くぅ……」

 

「ご名答、私はゴルドイドモーゲン」

 

そう言いながらゴルドイドは巨大なハリガネムシから人型に変態する。

その間も巻き付いた触手がラック・ラックの体を這いまわって締め付けている。

 

「諦めるんだな……ラティシア様がお前に会いたがっているぞ……」

 

その言葉を聞いたラック・ラックの頭の中で幻覚の支配力が増していき……"堕ちろ……堕ちろ"と誘う。

 

それに抵抗するために必死で精神を保つラックだが徐々にその力は増していく……しかしその時、上空から放たれたエネルギーの刃が触手を切断する。

 

「大丈夫ですか!?」

 

そう言いながらレディYが空から降りてくる。

 

礼を言うラック・ラックに微笑むとレディYは杖を構えてゴルドイドに立ち向かう。

幻覚に支配されていたラック・ラックだったが、なんとか意識を取り戻しつつあった。

 

混乱する頭の中でも精神を何とか集中させエネルギーを剣に集めた彼女は敵に拡散ビームを放って足止めし、その隙にレディYが必殺技を放つ構えに入る。

 

「ファイナルアタック……エナジーチャージ……シュート!!」

光の矢がゴルドイドに向かって飛んでいき、その体を貫く。ゴルドイドは断末魔を上げながら消滅していった。

 

レディYはそれを確認するとすぐに変身を解除し望の元へ駆け寄った。

 

「大丈夫ですか望さん!?」

 

変身を解除して倒れ込んだ望を心配そうに抱き上げる幸子。

 

「心配かけてごめん……最近睡眠不足気味で体力が落ちてるみたい……」

 

変身を解除したことで幻覚は頭から消えたが、体力をかなり消耗している。そんな彼女を幸子が支えようとするが……

 

「大丈夫、1人で歩けるよ」

 

「無理しないでください」と言う幸子を振り切って1人歩き出す。これ以上彼女の負担になって迷惑をかけたくないからだ。

 

 

一方のラティシアは海辺の町にある喫茶店にいた。

向かいの席に座っているのは人間体のローゼンブラッドだ。

 

「例のデータを持ってまいりました……」

 

「ご苦労様……」

 

「しかし、何でこんなものを?」

 

イレーネと同じ疑問をラティシアも懐いていた。

自分たちにはこんなものは必要ないからだ。

 

「地球人の協力者に提供するのよ……協力のお礼としてね……」

 

「地球人ですか?」

 

「えぇ……空上支配会って奴ら……下等動物にしては面白い技術があるから今度の作戦に必要なブツの製造の下請けをさせたのよ」

 

「それならば我らモーゲン帝国のほうが良いではありませんか!? なぜ地球の下等生物に!!」

 

ラティシアは自分のプライドを傷付けられ、憤慨した様子だった。

 

「あの連中の精神操作技術は相当な物よ……地球の技術とは思えない……

 多分、地球外の技術を取り入れてるとは思うけど……」

 

「つまり、私より優れた精神操作を使えるという事でしょうか?」

 

ラティシアの目が怪しく光った。彼女も人並み外れた精神操作力を持つ自信があった。

 

「そういう事になるわ……」

 

「その連中と私も会ってみたいですねぇ……」

 

「今はダメよ……貴女はあくまでスタッグ将軍の副官なんだから……

 あの脳筋ゴキブリが死んだ後じゃないとね」

 

「しかし、その前にラック・ラックは私の奴隷になってるかもしれませんよ?」

 

「その時はレディYって奴に例のブツを使うだけよ」

 

自分の術に絶対の自信のあるラティシアは怪しく笑うが、ローゼンブラッドは軽く答えるのであった。

 

実際、ラティシアの精神操作は空上支配会に劣るものではない。

彼女の精神操作は対象の人格への影響を最低限に操作を行う。

 

これはかなり高度な術で空上支配会は苦手としている。

彼らが得意としているのは対象者の心を封印して新しく作り出した人格に上書きする手法だ。

どちらも恐ろしい力ではあることに変わりは無いが。

 

「まぁいいわ、とりあえずこれで目的は果たせたし……私はそろそろ戻ることにするわ」

 

そう言うとローゼンブラッドは自分の分の会計を済ませて店を出ていく。

残されたラティシアは追加の注文を店員にするのであった。

 

 

それから何度もインセクトモーゲンが送り込まれラック・ラックとレディYに撃退された。

 

本来ならラック・ラックは一般怪人なら負ける事は無い実力者だが、ラティシアの幻覚で弱っている状態では大いに苦戦を強いられた。

 

そして望自身も心の中で"もしラティシアがいたら"と言う恐怖に襲われていた。

この状況でラティシアに勝つことはできないからだ。だが、ラティシア自身が現れることは無かった。

無論、それも敵の作戦である。徹底的に精神を弱らせてから仕留めるためだ。

 

そして夜になって眠れば夢の中でラティシアによって拷問され、最後は怪人体に変身したラティシアによって嬲られることを毎日繰り返していた。

 

「どうしたんだいラック・ラック? 正義の味方が弱腰じゃあいけないなぁ」

 

そう言いながらラティシアの左腕に装備されたオオスズメバチの顎を模した武器でラック・ラックの剣を受け止める。既に何度も打ち合ったが互いに傷はない。

 

しかし、ラティシアはまるで余裕そうだ。それどころか攻撃の手数が増え始めている。

 

一方、こちらはすでに息が上がり始めた頃合でとてもじゃないが立ち向かえるような状況ではない。

 

(これが……悪夢の中だというのか……!)

 

「そろそろ強烈なの行こうかな?」

 

そう言いながら全身に装備された毒針を一斉に放つラティシア。

それを回避したラック・ラックだが、次の瞬間にはラティシアが背後に現れ、毒針サーベルを突き刺した。

 

その威力は絶大であり背中を貫かれたラック・ラックは悲鳴を上げることすらできないまま倒れ込む。

 

「安心して……ただの君の心を開くためのお薬だからさ……」

 

そう言って笑いながら倒れたラック・ラックを蹴飛ばす。

 

「そう言えばまだ催眠音波使ってなかったよね。この毒と組み合わせれば効果は抜群さ」

 

そう言うとラティシアの羽から催眠音波が放たれ望の頭を支配し始める。

 

「さあ、変身なんか解いて本当の君を見せておくれよ」

 

そう言いながらラティシアは人間体へと戻る。

 

「僕は変身を解いたよ。君も変身を解かないと失礼じゃないのかい?」

 

倒れ込んだラック・ラックの中ではラティシアの言葉に従おうとする心と抵抗する心が戦っていた。

 

「僕は人間に戻った君をなぶり殺しにしようなんて思ってないんだよ……」

 

そう言いながらラティシアは倒れたラック・ラックを抱き起し愛おしく抱きしめる。

 

「ほら、早く変身を解きなって……そうしたら優しくしてあげるから……」

 

「ぐぅう……!」

 

それでもラック・ラックは変身を解除する事を拒んでいた。

 

「君が心から僕に屈服すれば君の望むような理想の虐め方をしてあげるよ……」

 

耳元で誘うように言うラティシア。しかし、ラック・ラックは耐え続けた。

 

「仕方がない……ならばこれはどうかな?」

 

ラティシアは右手でラック・ラックの頭を撫でる。

するとラック・ラックは目をトロンとさせ、ラティシアに身を委ねようとする。

 

(ああ……夢を叶えたい……でもこいつに屈したら駄目だと心の奥で言ってる……)

 

「あれぇ?まだ抵抗できるなんて驚きだな。

 もうとっくに心が折れちゃったと思ってたんだけど……」

 

ラティシアは意外そうな顔をするがすぐに元の笑顔に戻った。

邪悪な笑みを浮かべながらラティシアは怪人体へと姿を変えラック・ラックを投げ飛ばすと倒れ込んだ彼女を踏みつける。

 

望は夢から覚めることで何とかこの悪夢から逃げられたが、彼女の精神状態は限界を迎えつつあった。

 

「アタシ……もう駄目かも……」

 

今の望の前にラティシアが現れただけでも屈してしまうだろう。それこそラティシアの足元に縋りついて許しを許しを請う姿が望の頭の中に浮かんでしまう。

 

それほどまでに弱っていているのだ。"実力で敗北して囚われてこそ美しい敗北ヒロインである"という自身の美学さえもはや風前の灯火であった。

 

その頃、某高級ホテルのロイヤルスイートルーム。ルームサービスの料理を食べながら占い師の女とサンダーデストロイが今の望の様子を見ていた。

 

「面白いことになっている……」

 

「しかしご主人様……これは貴女様の筋書きとは異なるのでは?」

 

怪しく笑う占い師にサンダーが尋ねる。

 

その問いかけに対し、妖艶な微笑と共に占い師の女は言った。

 

「問題ないよ……アタシの目的はラック・ラックが闇に堕ちる事で、過程はそれほど重要じゃない。アタシが干渉したことで歴史が変わったかもしれないねぇ。アタシの見た未来にはラティシアなんていなかったからさ」

 

「それはそれで問題では?」

 

サンダーの疑問に占い師の女は妖しく笑うのだった。

 

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