其処は都内随一の高級ホテル、飛鳥達は其処で行われるパーティーに出席する為、ホテルまで車で来ていた。
「今回の目標は金城昇、現政党のナンバー2で前々から黒い噂の絶えない議員だが、先日摘発された人身売買組織の顧客リストに名前が有った、その裏取りの為の証拠集めが今回の仕事だ。」
後部座席の女性に声をかける。
甘栗色の長い髪に白いドレスを着込んだ年若い女性。
「分かってますよ、僕がその男に近づいて証拠を押さえれば良いんですよね?」
返ってきた声は女性と言うにはいささか低い声だった。
「にしても相変わらずスゲェ変装テクニックだよなお前、見た目だけなら完璧に女だぞ。」
「まあ、僕の特技ですから。」
そう、後部座席に居るのは女性では無く、女装した男性なのだ。
千葉新、黄龍の称号を冠するこの男は変装次第で男にも女にもなれるのだ。
「あと、お前は今回のクライアントの義理の妹でパーティーに出席出来ない兄に変わって出席した箱入り娘って言う設定忘れるなよ?」
「飛鳥君は?」
「俺はお前の婚約者らしい。」
2人が最終確認を終えると丁度ホテルの地下駐車場に着く。
入り口にはホテルのスタッフが招待状を確認している。
新は事前に渡された招待状をスタッフに見せる。
「伊藤岬様ですね?」
「はい、兄に代わって挨拶に参りました。」
その声は完全に女性のものに代わっていた。
おまけに対応した男性スタッフ達の顔はほんのりと赤くなる。
皆少し夢見心地の様な緩んだ表情になり、ボディチェックも無しに新を通してしまった。
これが彼の持つ超人的能力、新は超人的魅力と呼んでいるが、その正体は匂いにある。
本来人が異性に引かれる時、一番先に反応するのは容姿や声等ではなく匂いから始まる。
匂い=フェロモンと言うのは異性を魅了する一番の武器とも言える。
彼はその時の変装次第で様々な異性を魅了するフェロモンを精製出来るのだ。
新が歩くだけで周囲の男性の顔がだらしないものに変わって行く。
「お前一生それで生きて行けるよマジで…」
後から来た飛鳥が新に耳打ちする。
「嫌ですよ、僕人間苦手ですし。」
そう言う新の顔は一瞬だけ本気で嫌そうなものに変わる
2人の足はそのまま会場の中央に居た七三頭の男、金城の元に向かう。
「金城様、本日はお招き頂きありがとうございます。」
完璧な所作で金城に挨拶をすると金城が新の方を見た。
金城も他の男と同じ様に顔を赤くしながら近づいて来る
「君は確か…」
「兄の代理で参りました伊藤岬と申します、以後お見知り置きを。」
金城には伊藤と言う名前に聞き覚えが有った、その妹ともなれば興味も出る、何せ見た目は一級の美女なのだ、金城の鼻の下も伸びる。
(まあ、中身は男なんだけどなソイツ。)
飛鳥は内心で笑いながら金城から視線を外し会場を見渡す。
(さっきから此方に向けられてる視線、誰だ?)
会場に入った時から飛鳥達に向けられていた視線、その原因を探すが人混みに紛れて判別しにくい。
飛鳥は周囲を警戒しながらパーティーの輪に入って行った。
2時間程してパーティーも終わりを向かえようとした時、金城が新の方に近づいて来た。
「伊藤さん、少々お話したい事がありますのでお時間よろしいですか?」
欲を隠そうともしない視線に内心でため息を吐きながら新はにこやかに返す。
「ええ、今日は1日オフですので。」
その言葉に金城が小さくガッツポーズしたのを2人は見逃さなかった。
「お前は良い詐欺師になるよ」
「だから嫌ですよ僕!」
小声の2人の会話も舞い上がった金城には聞こえていない。
「では此方に。」
新の尻を撫でる様にしてエスコートして行く金城に2人共鳥肌を立てていた。
部屋に案内された新はソファーに座ると、直ぐ様グラスと酒を持って金城が戻って来た。
「お酒はお好きですか?」
「はい、大好きです。」
金城はあからさまにアルコール度数の高いウオッカをグラスに注ぐと新に渡す。
話しなど方便で酒に酔わせた女性を好き勝手したいと言う欲が丸見えだった。
(まあ、こんな酒くらいじゃあ酔わないんだけど。)
酒を注ぎ終わり葉巻に火を着けようとした一瞬の隙を見逃さず新が動いた。
ポケットに忍ばせた自白剤と睡眠薬をブレンドした物を金城の酒に入れたのだ。
怪しまれない様に酒を呷ると金城も酒に口を着けた。
効果はすぐだった。
金城はフラフラと前後不覚に陥り、台に突っ伏せる様に寝落ちした。
新は金城の側に近づいて行く。
「お前が関わった人身売買組織の資料は持っているな?」
「……カバンの…中…」
新が金城のカバンを調べる。
二重底になったカバンの中から薄型のパソコンを見つけた。
「他には無いか?」
「他には…」
そう言った瞬間新の背中に何か嫌な予感が走った。
新はパソコンを抱えて即座にその場から飛び退く。
次の瞬間、窓が割れ金城の頭が弾けた。
(狙撃!?)
新は部屋の隅に寄り、金城のカバンに近づいて行く。
バン!
もう1発の弾丸が金城のカバンを貫通した。
中に有ったディスクの様な物の破片が飛び散った。
(やられた、もう1つの証拠が!)
新は悔しがるが先程の音もある、もうすぐ人が来る、新は即座に入り口から飛び出ると1度トイレに駆け込み自分のカバンの中から男物の服一式を取り出し直ぐ様着替える。
カツラを外し持ち出したパソコンをカバンに詰めると即座に地下に向かう。
車の前には飛鳥が既に待機していた。
「どうした慌てて?てか女装はどうした?」
「金城が狙撃された!今すぐずらかろう。」
「はあ?」
飛鳥は慌てて車に乗り込むと車を急発進させた。
「狙撃って、死んだの?金城!」
「うん、恐らく金城と裏で繋がっていた誰かの差し金だと思う。」
後部座席でパソコンを開いた新はパソコンの中のデータを漁る。
其処には人身売買での売られた人間の戸籍や値段などが記されていた。
しかしなかなか組織に繋がるデータが見当たらない。
しかし最後のファイルに新は漸くガッツポーズした。
「飛鳥君、裏で糸を引いていた連中が分かったよ!」
「マジで?」
そのファイルの最後に数文字だけ記述が有った。
「龍汪会、中華系最大のマフィアだ!」
そして場所は変わり都内の高層マンションの屋上
其処には1組の男女がいた。
片方は黒髪で女性的な顔立ちの美丈夫と銀髪のロングで今、金城を狙撃した女性。
「当たったか?」
「ええ勿論、私の腕をお忘れですか?支部長。」
女の視線におお怖っとオーバーなリアクションを取る支部長と呼ばれた男は苦笑いをこぼす。
「お前の腕は俺が一番良く知ってるさ、翠。」
銀髪の翠と呼ばれる女性はライフルを片づけながら、しかし表情は少し不服そうだった。
「しかし一緒にいた女には逃げられました…」
悔しそうな翠の頭を支部長と呼ばれた男が撫でる。
「あれが噂の龍人なら仕方ない、遅かれ早かれバレるから仕方ないさ。」
「しかし!」
支部長は翠の頭をワシャワシャとおもいっきり撫でると真剣にその瞳を見返す。
「お前なら次は当てられるだろ?」
その言葉に翠の瞳に火が灯る。
「はい!」
「なら良い、今夜の仕事は終わりだ、俺の奢りだ何か食って帰ろうぜ!」
「ありがとうございます。」
そうして2人は夜の街に消えた。
今回は予告ではなく告知程度
そのうちになりますが仮面ライダーの読者参加型の物を現在考案中です。
内容としてはソロモン七十二柱をモチーフにした仮面ライダーで敵は天使。
ただ72人も扱いきれないので何名かに絞る予定。
とりあえずタイトルは仮面ライダーアモン。
また詳細が煮詰まったら募集掛けますのでよろしくお願いします