ソードアート・オンライン〜Irregular player〜   作:mikuroさん

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第5話「責任」

――しまった、流石に八つ当たりが過ぎた

 

あれから、20分経過したがどうするか。

インスタントメッセージを飛ばしてミウに謝ろうか・・・

とりあえず・・・

シャラーンと綺麗な鈴の音を鳴らしながらメニューが出現する。

 

午後三時

 

《会議》開始まで後一時間。

その時後ろから聞き覚えのある声がした。

 

「ユイル君・・・」

 

そこにはミウが立っていた。

 

「・・・なんで、ここにいることがわかったんだ?」

 

「私とフレンドになってるでしょ?」

 

なるほど、フレンドだと場所がわかるのか

 

「その、さっきはごめん。つい、カッとなってしまって」

 

「ううん、私も少しやり過ぎたから。隣座ってもいい?」

 

「あぁ」

 

「ねぇ、聞いてもいいかな。あの過ちを繰り返すっていうのはどいうことだったの?差し支えなければ教えて欲しいんだけど。」

 

リアルのことを聞くのはどうなのだろうと普段なら思うが、なぜかこの時は何もためらいもなく話した。

 

「・・・俺には、二人の妹が居たんだ。」

 

「居た?」

 

「うん。一人は無邪気でいつもはしゃいで、うるさくってさ。親にいつも静かにしなさい!って言われてるよ。」

 

「フフッ。うるさいほうが楽しいと思うけどなー」

 

まあ、騒がしいのでいつも家が明るいのは事実だが

 

「で、もう一人の妹が少しズルがしっこくてさ、でも外ではすごい物静かで本ばっか読んでたっけな。」

 

「個性があっていいじゃない。」

 

「ある日、三人で公園で遊んでたんだ。よく遊んでる公園なんだけど、滝とか崖とかあって結構広いんだよ。そこで俺はちょっとしたことで、妹・・・あぁ、物静かな方ね。喧嘩してしまってさ。」

 

あの時は確か鬼ごっことかくれんぼで喧嘩したんだっけ・・・本当にどうでもいいな・・・

 

「で、俺は妹を泣かしてしまった。そしたら急に走ってどっか行ってさ。まあ、さすがに兄としてこれは俺が譲るべきだなって思ってさ。謝ろうと思って妹をもうひとりの妹と一緒に追いかけた。そして追いかけた先は見晴らしのいい大きな石がいっぱいある崖だった。まだ泣いてたから、とにかく謝った。「ごめん」ってそしたら、急に笑い出してさ。一本取られたんだよな。演技だったんだ。「別に怒ってないよ、じゃあかくれ鬼ごっこしよ」って言ってこちらに近づいて来た。けどその日は雨の次の日だったから、雨で石がぬかるんでたんだろうな。妹はそこで足を滑らせた。」

 

「ッ!?」

 

ミウが息を呑む

 

「そこで、妹は崖から落ちた。幸い下は滝がある池だったため奇跡的にも外傷は軽く済んだ。だけど、脳にダメージがあったらしい、いくら呼びかけても妹は目覚めなかった。」

 

「今、妹さんは・・・?」

 

「未だ眠ってるよ。確か目覚めなかったときは初めて無邪気な妹は大泣きしたっけな・・・親には怒られるどころか、慰められるばかりだった。怒られる方がマシだったのに、どんどん罪を突きつけられている感じだった。」

 

「・・・」

 

脳に妹―栞菜の笑顔がフラッシュバックする。それに俺は耐えれず、涙が溢れてくる。

 

「俺が妹を眠らせてしまったんだ・・・俺が、あんな事で喧嘩しなければ・・・妹は今も遠くへいかず、一緒に生活していたはずなのに・・・」

 

突然、ミウが俺の肩を持ち自分に引き寄せる。

 

「安心して、私は遠いところなんかに行かない。死んだりもしない。妹さんも絶対に目覚める。だから安心して」

 

それは俺の過去の罪を完璧に洗い流す言葉ではなかったが、少しだけ、ほんの少しだけ許された気がした。

 

 

―――「ありがとう、ミウおかげで少し楽になったよ。」

 

「それは良かった。まさか、ユイル君の泣き顔が拝めるなんて思ってなかったよー。」

 

「・・・男として何か恥ずかしいよ」

 

しかし、時間が結構経ってしまった。

今は・・・三時五十分

 

「よし、じゃあ、《会議》の所まで走るか!」

 

「ええ!」

 

俺たちは会議の場所まで出来るだけの速さで走った。

 

 

―――午後四時、《会議》の噴水広場まで来たものの、これだけか・・・

人数は四十弱といったところだろうか。

SAOではパーティーが最大六人、それを八つ束ねて、計四十八人の連結パーティーを作ることができる。ミウに聞くところフロアボスを死者無しで倒すにはレイドを二つ組んで交代制がベストらしいのだが、これはレイドの上限に到達していない。

 

「まずいわね。少しは少ないと思ってはいたけど、ここまでとは・・・」

 

「だよなぁ・・・これでフロアボス突破できると思うか?」

 

少し表情を曇らせる。

 

やっぱりキツいのか。おそらく突破はできるだろうが、死者無しは難しいってところか。

 

周りのプレイヤーを確認していく。

もちろん知っている人など居ないのだが・・・あれは

 

「あれってキリト君じゃない?」

 

どうやらミウも気づいたらしい。しかしあの隣のフードじゃなくて、あれって何ていうんだっけな

 

「あのフーデッドケープを着た人は誰なんだろ?パーティーは組まないって言ってたのにね?」

 

お前は俺の心が読めるのか・・・

 

そんなツッコミを心の中で入れておき

 

「おーい、キーリトー」

 

キリトがこちらに気づいた。

 

「お前たちも来てたのか。」

 

「もちろん。この層を突破しないといけないからな」

 

突然、叫び声が聞こえた。

 

「はーい!それじゃ、五分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!みんな、もうちょっと前に・・・そこ、あと三歩こっち来ようか!」

 

・・・何か良さげな人だな。あの人がリーダーだろうが、結構指揮など出来そうだ。てか、イケメンだな、おい・・・

髪も青、確かあれってレアアイテムじゃなかったっけ

そんな他愛もない事を考えていると、爽やかな笑顔で言った。

 

「今日は、オレの呼びかけに応じてくれてありがとう!知っている人もいると思うけど、改めて自己紹介しておくな!オレは《ディアベル》、職業は気持ち的に《ナイト》やってます!」

 

すると、噴水近くの一団がどっと沸き、口笛や拍手に混じって「ほんとは《勇者》って言いてーんだろ!」

 

確かSAOには《職》は存在しなかったはず・・・いや、一応《鍛冶屋》とかは《職》なのかな・・・

 

「さて、こうして最前線で活動してる、言わばトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は、言わずもがなだと思うけど・・・」

 

ディアベルが演説を再開し、青髪の騎士は、さっと右手を振り上げ、町並みの彼方にうっすらそびえる巨塔―――第一層迷宮区を示しながら続けた。

 

「・・・今日、オレたちのパーティーが、あの塔の最上階へ続く階段を発見した。つまり、明日か、遅くとも明後日には、ついに辿り着くってことだ。第一層の・・・ボス部屋に!」

 

おぉ・・・見つけたんだ。俺とミウは十八階くらいでレベリングをしていて十九階まではマッピングされているとは知っていたが、まさかその先もされていたとは。

 

「一ヶ月、ここまで、一ヶ月もかかったけど・・・それでも、オレたちは、示さなきゃならない。ボスを倒し、第二層に到達して、このデスゲームそのものいつかきっとクリアできるんだってことを、はじまりの街でマッテルみんなに伝えなきゃならない。それが、今この場所にいるオレたちトッププレイヤーの義務なんだ!そうだろ、みんな!」

 

再びの喝采、オレも軽く拍手を送っておく。これはいいリーダーになりそうだ。

まとめ役に関しては一番適してると思っていると

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

そんな声が低く流れた。

歓声はぴたりと止まり、前方の人垣が二つに割れる。

空隙の中央に立っているは、小柄ながらがっちりした体格の男だった。

 

頭、サボテンかよ・・・

 

その男はトゲトゲの茶色の髪型をしていたので、心の中でサボテン頭と呼ぼうと考えたのだった。

 

「そん前に、こいつだけは言わしてもらわんと、仲間ごっこはでけへんな」

 

ディアベルは笑顔で、手招きをしながら言う。

 

「こいつっていうのは何かな?まあ何にせよ、意見は大歓迎さ。でも、発言するならいちおう名乗ってもらいたいな。」

 

「・・・フン」

 

サボテン頭は盛大に鼻を鳴らすと、一歩、二歩と進み出て、噴水の前まで達したところでこちらに振り向いた。

 

「わいは《キバオウ》ってもんや」

 

なんか、戦隊モノの六人目の新たな仲間でいそうな名前だな

周りのプレイヤーをキバオウが確認していくとき、キリトのところに視線が少し止まった気がした・・・が気のせいだろう

 

「こんな中に、五人か、十人、ワビぃ入れなあかん奴らがおるはずや」

 

「侘び?誰にだい?」

 

背後で噴水の縁に立ったままの《騎士》ディアベルが、様になった仕草で両手を持ち上げる。そちらを見ることなく、キバオウは憎々しげに吐き捨てる。

 

「はっ、決まっとるやろ。今までに死んでった二千人に、や。奴らが何もかも独り占めしたから、一ヶ月で二千人も死んでもたんや!せやろが!!」

全員が押し黙り、静まり返る。ここで、俺も理解した。

 

「・・・キバオウさん。君の言う《奴ら》とはつまり・・・元ベータテスターの人たちのこと、かな?」

 

腕組みをしたディアベルが、今までで最も厳しい表情を浮かべて確認した。

 

「決まっとるやろ」

 

ベータテスターか・・・そういえばミウがベータテスターだっけ。

横にいるミウを横目で見ると、こちらも表情を厳しくしていた。

 

「ベータ上がりどもは、こんクソゲーが始まったその日にダッシュではじまりの街から消えよった。右も左も判らん九千何百のビギナーを見捨てて、な。奴らはうまい狩場やらボロいクエストを独り占めして、ジブンらだけぽんぽん強うなって、その後もずーっと知らんぷりや。・・・こん中にもちょっとおるはずやで、ベータ上がりっちゅうことを隠して、ボス攻略の仲間に入れてもらお考えてるこ狡い奴らが。そいつらに土下座さして、貯め込んだ金やアイテムをこん作戦のために軒並み吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けられんし預かれんと、わいはそう言うとるんや!」

 

俺はベータ上がりではないが、ネットで誰よりもSAOの知識をあさって手に入れていた。ベータテスターよりは情報は劣るものの、少しは俺にも責任があるのではないだろうか・・・

 

「発言、いいか」

 

その時、豊やかな張りのあるバリトンが、夕暮れの広場に響き渡った。

人垣の左端あたりからぬうっと進み出るシルエットがあった。

デカイ。俺なんかと身長を比べてもはなしにならないだろう。

なら、サボテン頭ことキバオウは子供サイズか・・・おっと、あまりこいうことは思っちゃいけないか

 

「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、あんたの言いたいことはつまり、元ベータテスターが面倒を見なかったからビギナーがたくさん死んだ、その責任を取って謝罪・賠償しろ、ということだな?」

 

「そ・・・そうや」

 

一瞬気圧されるように片足を引きかけたが

 

「あいつらが見捨てへんかったら、死なずに済んだ二千人や!しかもただの二千人ちゃうで、ほとんど全部が、他のMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ!アホテスター連中が、ちゃんと情報やらアイテムやら分け合うっとたら、今頃ここにはこの十倍の人数が・・・ちゃう、今頃は二層やら三層まで突破出来とったに違いないんや!!」

 

「あんたはそう言うが、キバオウさん。金やアイテムはともかく、情報はあったと思うぞ」

 

羊皮紙を綴じた簡易な本アイテムを取り出す。表紙には、丸い耳と左右三本ずつのヒゲを図案化した《鼠マーク》。

 

「このガイドブック、あんただって貰っただろう。ホルンカやメダイの道具屋で無料配布してるんだからな」

 

「・・・む、無料配布だと?」

 

キリトが驚きの顔で呟く。

 

「・・・わたしも貰った」

 

フーデッドケープの人物が囁いた。

 

「俺も貰ったぞ」

 

「私も貰ったよ?」

 

「ま、マジで?タダで?」

 

「道具屋さんに委託してたけど、値段が0コルだったから、みんな貰ってたわ。

すごく役に立った」

 

「ど・・・どうなってんだ・・・」

 

あの《鼠マーク》は情報屋アルゴのものだ。

俺もこれにお世話になった、まあ7割はミウに教えてもらったが

 

「―――貰たで。それが何や」

 

「このガイドは、オレが新しい村や町に着くと、必ず道具屋に置いてあった。あんたもそうだろ。情報が早すぎる、とは思わなかったのかい」

 

「せやから、早かったら何やっちゅうんや!」

 

「コイツに載ってるモンスターやマップのデータを情報屋に提供したのは、元ベータテスターたち以外には有り得ないってことだ」

 

プレイヤーたちが、一斉にざわめいた。キバオウがぐっと口を閉じ、その背後で騎士ディアベルがなるほどとばかり頷く。

 

「いいか、情報はあったんだ。なのにたくさんのプレイヤーが死んだ。その理由は、彼らがベテランMMOプレイヤーだったからだとオレは考えている。このSAOを、他タイトルと同じ物差しで計り、引くべきポイントを見誤った。だが今は、その責任を追求してる場合じゃないだろ。オレたち自身がそうなるかどうか、それがこの会議で左右されると、オレは思っているんだがな」

 

無言で対峙する二人の後ろで、噴水の縁に立ったままのディアベルが夕日を受けて紫色にそまりつつある長髪うを揺らしてもう一度頷いた。

 

「キバオウさん、君の言うことも理解できるよ。オレだって右も左も解らないフィールドを何度も死にそうになりながらここまで辿り着いた訳なんだからさ。でも、そこのエギルさんの言うとおり、今は前を見るべき時だろ?元ベータテスターだって・・・いや、元テスターだからこそ、その戦力はボス攻略のために必要なものなんだ。彼らを排除して、結果攻略が失敗したら、なんの意味もないじゃないか」

 

おぉ、すごい。一気に周りの雰囲気が変わった。

 

「みんな、それぞれ思うところはあるだろうけど、今だけはこの第一層を突破するために力を合わせて欲しい。どうしても元テスターとは一緒に戦えない、って人は、残念だけど抜けてくれて構わないよ。ボス戦では、チームワークが何より大事だからさ」

 

ディアベルが周りを見渡したあとキバオウを真顔でじっと見詰めた。

 

「・・・ええわ、ここはあんさんに従うといたる。でもな、ボス戦が終わったら、キッチリ白黒つけさしてもらうで」

 

サボテン頭がスケイルメイルをじゃらじゃらさせながら元いた場所に戻った。

 

「じゃあ、今からみんなにはパーティーを組んで貰いたい。それぞれパーティー申請をして六人のパーティーを作ってくれ」

 




こんにちは、今回長すぎて指が疲れている。私です。
さてさて、ユイルの過去が明かされました。妹が一人目を覚ましていないということ。そしてそこまで追いやったのを自分の責任と感じるユイル・・・
さてさて、これからどうなていくのやら
今回は会議がメインなのか、ユイルの過去がメインなのかイマイチですね。
まあ、会議に関しては特に変化は原作とではありません。となるとメインは過去の話になるのか・・・?
とりあえず、長文お疲れさまでした!次回は第一層ボス戦でございます。
なにやら、パーティー決めの時に・・・
ではでは、この先はまた次回!お疲れさまでした。end
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