ソードアート・オンライン〜Irregular player〜   作:mikuroさん

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第9話「思わぬ救援」

トレックを出てから約15分が経過した今、例のダンジョンの前にいる。

本来この時間では到着しているはずだったのだが、運悪くも敵と多々エンカウントしてしまい、

予定より遅れてしまった。しかし、もう少し遅れていたところが二人・・・アスナ、ミウが奮闘したおかげで早く切り抜けることに成功した。

ここからも目的のボス部屋までダンジョンを攻略していかなければならない。

 

「いきましょう・・・」

 

 

アスナが張り詰めた表情でダンジョンの中に進む。それに続きミウもアスナに続く。

俺も二人に続くべくダンジョンの中に進む・・・前にメッセージの確認をする。

新着メッセージはない状態だ。返信がないので気づいていないのか、もしくはダンジョンに入っているのかもしれない。

無い物ねだりは無駄だと思い、二人の後を追いかける。

 

 

―――――「ふっ・・・!」

灰色のマントに包まれている《パスト・リメンランス》の右斜めに振りかざしてきた剣を体を右にぐっと捻り元の体制に捻りを戻そうとする反動で右斜め下から剣を振る。

リメンランスと俺の剣が衝突し交差する0.1秒くらいに感じる硬直を感じつつ、次の行動にここからチェーンさせ俺の左手が赤いライトエフェクトが生まれ真正面のリメンランスの腹に加速された拳が突き出される。

《体術》スキル基本技、単発突き《閃打》。

リメンランスの体力を一割程削り取る。

リメンランスは痛々しげな表情をし、スタンが発生する。そこを逃すわけにはいかない。

 

「アスナ、スイッチ!」

 

俺は床を蹴り後ろへと下がり、アスナと交代する。

アスナはジャストのタイミングに前に飛び出す。そして細剣が白い光を放つ。

細剣用ソードスキル《ストリーク》が放たれる。

目にも止まらぬ速さで、リメンランスを斬りつける。

HPバーが残りわずかから0へと変わり、リメンランスの動きが固まり、無数のヒビが体に入り破裂した。大量のポリゴンを出始めと同時にアスナは剣を腰の鞘にキンッと音をたて収める。

それと同じく俺も背中に愛剣を収める。

ミウも剣を収める。それと同時に三人は再び走り出す。

 

「・・・間に合うかしら」

 

アスナの表情は焦りが現れていた。

正直、怪しい。偵察隊が勿論ボスモンスターに討伐に行っていなければ問題は無いのだが、突入しているという確証もしていない確証も得られない。

 

「だとしても今は全力で走って追いつくだけさ」

 

これだけの時間経過だと希望は少ないが。しかし、一向に腑に落ちない。

なぜ偵察隊は少人数でダンジョンに突入したんだ?

だれかの命令?もしくはレアアイテムへの欲か?

前者は先程ダンジョンに入る前にアスナとミウに確認した。

しかし、2人が言うには団長――つまりヒースクリフの許可なく偵察は今までないらしい。

ではこの可能性は捨てる。ならば後者はどうだろうか。このゲームはオンラインゲームであり、自分の強さを示したくなるのはネットゲーマーなら普通の感情ではあるが、ましてや今までとは違う生死がかかったゲームでそんな感情を命と天秤にかけるだろうか。

もし、ヒースクリフと同じもしくはそれ以上の《ユニークスキル》など何かしらを持っていて絶対に死なない自身があるのだろうか。

しかし、今現在はヒースクリフ以外の《ユニークスキル》の存在は発見されたとの情報は無い。

なら何なんだ?一体何の考えで・・・

 

その時、俺の背中に嫌な戦慄が走る。

確証は無い。だが、誰かに見られている感覚。

 

「っ!!」

 

すぐさま背中の剣に手をかけ抜きそのまま後ろを振り返りつつ剣を縦に振りかざす。

その同タイミングで投擲ようの投剣が目の前に迫っていた。

キーンと音をたて投剣を弾き俺の足元に回転しながら地面に突き刺さった。

その小さな刀身には黄色のような液体がドロリと塗られている。

音に驚き、前方で走っていた二人は足を止め、それぞれの剣を抜刀する。

 

「誰だっ!」

 

そう短く投剣が投げられてきた方向に叫ぶ。

あの投剣には麻痺効果のある毒が塗られていた。周りには他のプレイヤーも見当たらないため、完璧に俺に向けて投げてきたものだ。

 

「ちっ、なんで弾くかなぁー・・・」

 

岩陰からのそのそとゆっくり出てきたのは一人のプレイヤーだがただのプレイヤーなんかではなかった。

 

「レッドプレイヤー・・・」

 

俺の視界で捉えたプレイヤーは緑のカーソルでは捉えず、赤のカーソルで捉えている。

つまりは、プレイヤーに手をかけた証拠である。

 

「ヒヒッ、すごいねぇ君。勘で斬ったのかなぁ・・・やべえーつよそー・・・ヒヒヒ」

 

ヒヒッと気味の悪い笑いをしている。風貌は赤と黒を混ぜたかのような色をしたフードを深く被っており、腰には先程投げつけてきた投剣と同じものが3つ確認できる。その反対側には短剣が皮の鞘に収められている。

 

「悪いな、今急いでるんで相手をしている場合じゃないんだが、まあお前を放っておく事も出来ないが。」

 

そう言いつつ俺は剣を構える。

 

その時アスナが俺の前に出る。表情を切り詰めながら真剣な表情で、

 

「こいつは私が戦うから、先に2人共行って!」

 

「な!?そんな訳には・・・」

 

「いいから早く!!」

 

確かに急がないといけないが・・・ただアスナがやられるとは思えない。だが・・・・

 

「わかった」

 

ミウが突然言い俺の手を掴み走り出す。

 

「待てっ!アスナ一人でも危険だろうが!」

 

「私は知ってる。アスナは強い。それはユイルくんも知ってるでしょう?だから私は信じる。それにまだ偵察隊に間に合うかも知れないから!」

 

アスナの方を振り返って見る。既に戦闘体制に入ってる彼女の姿が見える。

自分の考えを叱咤し進むべき方向に走り出す。

 

 

 

―――――「ヒヒッ、女一人に何ができるのやら・・・あの男をも情けねえぜ・・・」

 

 

「人を殺めているあなたの方が断然情けないわ。それにあなたなんて私だけで十分よ」

 

「ヒヒヒッ!言うねぇ・・・だが俺は一人なんて一言も言っちゃあいないぜ。ヒヒ」

 

「!?」

 

奥の岩陰から一人二人と、もうひとつの反対側からの岩の後ろからも一人出てくる。

 

「いいねぇ、いいねぇ!その焦る表情・・・たまんないなぁ・・・いくら副団長様でも4人同時相手はキツいだろぉなぁ・・・ヒヒッ」

 

その時一番奥にいた男が急に吹き飛ばされる。

 

「ぐあッ!?」

 

薄暗いダンジョンに青白い光がVの軌跡を描いていた。

《片手剣》ソードスキル2連撃技《バーチカル・アーク》

 

「こっちも誰も1人とは言っていないんだがな。」

 

その言葉を放ったのはいつの間にか立っていた黒いコートを着た人物だった。

 

 

 

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