ホロライブラバーズ トロフィー『数多の業を振るう者』獲得実況プレイ   作:疾走

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グラブルと原神が楽しかったです(白目)


焔と踊り、未来に手を伸ばす

『今回の防衛作戦、要となるのが星川様と大神様です。御二人はお嬢様の周囲でお嬢様を守っていただきます』

 

 ブリーフィングルームで奏人達は霞から作戦の詳細を伝えられていた。

 

「えっと……何でウチ達が重要なんですか? 正直、大人の人たちよりも出来ることは少ないと思うんですけど……」

「はい、通常ならそう思うのも当然でしょう。ですが今回、忘れてはいけないのは相手が()()()()()()()()()()事です」

「……相手はこっちの情報を当然集めている……いや、集め終わってる。……もしかしてこっちの兵数とかバレてたりします?」

「流石ですね、星川様。そうです、こちらの兵数は把握されていて相手はその兵を押さえながら逸早く───お嬢様が儀式を終わらせる前に仕留めにくるでしょう」

 

 相手は何枚も上手だった。

 こちらの思惑も努力も何もかもを踏み潰し確実に計画を達成しようとしていた。

 だが、

 

「───向こうは御二人については把握していませんでした。そこに穴が開く」

「そしてこちらの勝利条件は相手の殲滅では無くお嬢様の儀式終了まで持ちこたえることです」

「私の予想ですがお嬢様の周囲には誰も近づけないように相手はしてくるでしょう。だからこそ、自由に動ける御二人が要になるのです」

「ミオと奏人君の役割は一直線で白上の所まで来る筈の精鋭、いえ、錆下桜士郎の足止めですね」

 

 

 戦力差を考慮して出来得る事を見定めた。

 見定めた先に僅かな希望が差し込んだ。

 その希望に直進するしか、選択肢は無かった。

 

 

 

 

 

()()()()()

 

 敵数、推定()()

 予測していた最大敵数を大幅に超える数。

 こちらの兵数の優に倍。

 

 

誰も気づかない中辺りに霧が、立ち込め始めた。

 

 

「……これは……魔導回路の循環が阻害されている?」

「当たりだ。流石は'名無しの担い手候補'ということか。この斎場一帯には魔導回路の循環阻害と身体能力を減少させる術式が仕込まれている」

 

 辺りに敷かれた魔法陣はその効果を示すように光り輝いている。

 事前に登録してある魔力痕を持つ者以外には等しく効果を発揮させるそれは白上派の兵の力を削いでいた。

 徐々に、されど明らかに白上派の兵は押され始めた。

 

 

白に近い半透明の霧が下から這い出て辺りを侵食する。

 

 

「兵の質、量どちらも我々が優勢。貴方達に勝ち目は無い。───さしずめ頭領(桜士郎)以外はどうにでもなると思っていたのだろう」

「驕ったな。それが貴方達の敗因だ」

 

 最早、己等の勝ちは目に見えていた。

 それでも彼らの心中に驕りは無かった。

 このまま頭領が標的を討ち取り、長になる。その光景がはっきりと見えていた。

 

 

視認可能まで濃くなった霧が誰にも視認されずに辺りを覆った。

 

 

 

 先に言っておくと、錆下派に油断は無かった。

 脅威を正確に認識し最善手を突き詰めた。彼らは正しく有能だった。

 

 ただ、ほんの僅かに霞と対話を行ってしまった。

 戦闘から来る高揚が僅かに漏れた結果。時間にしてたったの数十秒。

 それだけ時間があれば、彼女が()()()を終わらせるのは欠伸が出るほど簡単だった。

 

「集められた兵数、用意周到な仕込み、脅威への正確な認識、どれも素晴らしいものです。称賛に値する程のものでしょう。()()()()()()()()

「は? 何を言って───」

 

 瞬間、錆下派は倒れ伏した。

 焦点のさだまらない瞳でもぞもぞとうごめいていた。

 辺りを見回そうとする。視界は黒に染まっている。視覚が無い。

 感覚を鋭敏にして索敵を試みる。無音、無臭の空間に包まれる。聴覚、嗅覚が無い。

 体に力を入れようとする。力を入れているかが分からない。触覚が無い。

 

 行った所業は五感の奪取。霊狐が持つ権能の一つ『幻術』を拡張させ続けた末の極技。

 幻術を霧として現に顕現させそれを媒介して対象を蝕み制御下に下ろさせる強力無比な、霞という存在の終点。

 

「さて、この術式を解除しなければ……おや?」

 

 残っている白上派を錆下桜士郎のも元に向かわせ術式の解析に取り掛かった霞は二つの術式の裏に隠れていた術式を見つけた。

 

「これは……! 奴ら、こんなものまで……!」

 

 隠れていたのは爆破の術式。見るにその範囲、威力は優にこの斎場を崩壊させる程。恐らくは『白狐神征』のサブプランだろう。

 

「…………下手に干渉すれば起爆する上、他の2つも片手間に解除出来る代物では無い……すみません、お嬢様。助けに行く事は出来そうにありません」

 

 自身の魔導回路を周囲に展開。

 思考回路を複数に分割。

 三つの術式の処理を()()()()()()()

 

「お嬢様は頼みましたよ、星川様、大神様」

 

 

 

 

 

 

 

「【フルミニス・ネット】……お? 魔力の流れが戻ってる?」

「本当だ。やっと本調子でいける」

 

 奏人とミオはフブキの周りで特攻を仕掛けてくる敵兵を止めながら飛来してくる魔法や投擲物を処理していた。

 敵は味方の攻撃を元から喰らっていたこともあり動きは鈍く対応は難しくはなかった。

 

 両手に持っていた斧槍から弓に持ち替え目先の敵の腕を射抜く。矢に射抜かれ武器を落とすのを尻目に脚部の魔導回路を展開、脚部限定で発動させた【ラウザルク】により増した速度で瞬時に接敵し右に握ったメイスで反撃の暇を与えずに昏倒させる。

 

「───ッ!? 奏人君! 横からなんか来る!」

 

 緊迫の声が耳に響いた。

 高速で迫ってくるナニカを避けようと足に力を込め、中止する。

 

「大神! これの狙いはフブキだ! 撃ち落とすぞ!」

「えっ──わかった!」

 

「機構発動。──魔壊斬(リジェクト)!」

 

『八式』に持ち替え起動言語(ランキー)を叫ぶ。それを承認した『八式』からラインが走りそれを追う様に魔力が流れ纏わりつく。

 発動直後に到達した炎狐に『八式』を振り抜いて斬り壊し、炎狐が来た方向に目を向けた。

 鈍色の髪、和服に包まれた長身の体躯、幾何学模様の線が走っているバイザー、悠然とした動作で、錆下桜士郎が現れた。

 その後ろには多数の白上派が倒れ伏している。恐らく、全員蹴散らされたのだろう。

 

「…………殺れ」

 

 会話は無く、殺意が辺りに充満する。

 新たに生成した炎狐をこちらに向かわせ桜士郎は魔導回路を展開し始めた。

 

 狙いは、フブキではなく自分達。障害の排除を先に行う気になったのか、どちらにせよその方が奏人も楽だった。

 

「【ラウザルク】 【フルミニス・チェイン】」

 

 出し惜しみが出来る相手では無いが【マナ・オーバー】と【出力臨界】は燃費が悪い。今の状況で無闇に使うのは得策では無いだろう。

 紫電を纏い炎狐の攻撃を捌くのと並行して辺りに雷鎖発動起点(ポイント)の設置を始める。

 起点と起点の間を流れる雷鎖に炎狐が引っ掛かるのを少しばかり期待していたが甘くはなく器用に避けながら攻撃を続行してくる。

 身体操作術を駆使した体捌き。滑るような回避機動で炎狐の猛攻を避けながら『八式』から持ち替えた短剣でカウンターを差し込んでいく。

 

(──いける! 前とは違って軌道がはっきりと見えるし体が軽い! 並行して、魔法の構築もできる! どうなってんだ!?)

 

 前回の炎狐との戦闘に比べその動きは格段にキレを増していた。今までずっと心に伸し掛かっていた迷いが晴れたことで視野が広がり身体への情報の伝達速度も()()能力まで戻っていた。

 故にその動きは至極当然のものであった。

 

 

 理想は【魔壊斬】を使った一撃一殺だが、炎狐達は大技後の間隙を逃しはしないだろう。それに桜士郎自身も炎線を使った広範囲への波状攻撃が可能。軽率な行動は、容易く死を招く。行えるのはカウンターによる攻撃の蓄積、魔法の構築。

 

 体当たりの裏に隠れた噛みつきを飛び退くことで回避しつつ横で炎狐を捌くミオに念話──霞に貰ったネックレスによるもの──で話しかける。

 

 [大神、避けろ!]

「【グラキエース・ショット】!」

 

 空中で拡散していく氷弾の砲撃を放ち炎狐を後退させミオのすぐ横に立つ。これ以上の炎狐との継戦は不味い。桜士郎自身は未だ攻撃をしてこないが高まった魔力をひしひしと感じる。

 

 [大神、さっき炎狐からの攻撃を察知──予知してたよな? 原理はこの際どうでもいいけどもう一度出来るか?]

 [うん。フブキの神威に当てられるのかな、精度も上がってる]

 [なら、炎狐が一箇所に集まるタイミングを予知して教えてくれ。魔法で拘束して一気に叩く]

 

 そう言い残し再度炎狐の猛攻の中へ飛び込む。原理はよく知らないが予知をするなら集中出来る方が良いだろう、炎狐の敵意を一心に受け止める。

 全方位からの攻撃はさながら檻のように奏人を囲っていた。

 武器を短剣と手斧に替えて零距離での白兵戦に真っ向から応じる。

 飛び掛かってくる炎狐を切り払い、射出された炎球を撃ち落とし、紙一重で爪撃を避ける。

 

 

「グッ、待機解除(ディレイ)──【グラキエース・シールド】!」

 

 背後からの攻撃を氷壁で防ぎ、体を翻し壁を蹴りつけて得た推力で攻撃の檻を抜け出す。強引な退避で崩れた体制をぶっつけ本番の空中機動で立て直し射出された炎球を切り払う。しかし、その代償かガクンとまたしても体制が崩れる。

 それを観測した一体の炎狐が飛び出し──

 

瞬息展開(モーメント)───【マナ・オーバー】【出力臨界(リミテッド・ゼロ)】──【刃影】」

 

 振り抜かれた八つの斬撃に斬り刻まれた。

 崩れた体制は(ブラフ)

 放ったのは最大強化が乗せられた豪速の斬撃。

 繰り出した技巧は秒数の限定による身体負荷を抑えた身体強化。

 

 [──奏人君! 集まる! ]

 

 仲間が倒されたからか残りの炎狐が一斉に奏人に飛びかかった。

 思考回路をより高速で回して炎狐が集まる瞬間を観測する。

 並行して地面に展開した魔導回路を励起させ魔法の構築を完了させる。

 

「【グラキエース・レストレイン】」

 

 地面から生み出た氷の柱がうねりながら炎狐達を一箇所に拘束する。

 炎狐に触れた場所から氷は溶けていくが問題はない。

 集まれば、後は叩くだけ。

 

「機構発動、──魔壊斬(リジェクト)!」

 

 二回目の機構発動。

 刀身が唸りを上げながら内部の魔壊機構を起動させた。

 大上段からの唐竹割り──『一煌』を伴用。

 

「──おおおっッ!!」

 

 一瞬の抵抗、抵抗を潰し一気に『八式』を振り抜いた。

 自身を形成してした術式を壊された全ての炎狐の体が粒子へと変わり、爆散。

 振り切った体制での残心を解き再度臨戦態勢に移行する──

 

 

「──跳んで!!」

「────ッ!」

 

 声が響くと同時、半ば反射の領域で地面を蹴り跳ぶ。

 瞬間、奏人のいた所を音に迫る速度で炎線が通り抜いた。

 振り抜かれた炎線を軌道上にある一切を焼き切る。

 速度は限界まで高めた知覚でぎりぎり捉えられるほど。

 

「やっとお出ましか。……ラウンド2ってか?」

「ああ、そうかもな。貴様らは、オレの予想以上に手強いようだ」

「……へぇ。それは光栄だな」

 

 手に持つ武装は『八式』一本。他の武器はさっきの炎狐との戦闘でガタがき始めている。

 あの炎線を防ぎながらの継戦はこれ以上期待できない。

 

 冷や汗が全身を伝う。

 正直な所、自分が勝利する未来が想像し難い。

 根本として、()()()()()()

 積み上げてきた年月が違う。

 駆け抜けた戦闘経験が違う。

 

(前提として俺一人だと炎線を超えられない。最大まで強化しても、足りない)

 

 奏人の機動力では伸縮自在にして高速で駆ける炎線の波を超えられないだろう。

 ギリギリの知覚では隠されたフェイントを見抜けない。そして見抜けなかった先にあるのは死だけだ。

 

(ミオの予知、連携、切り札全部使わねぇと潰される……!)

 

「……【マナ・オーバー】、【出力臨界(リミテッド・ゼロ)】」

 

 燃費が悪かろうと使わないという選択肢は無かった。全身の感覚が鋭敏になり魔導回路の循環が速まる。

 

 [大神、お前の予知が頼みの綱だ。頼むぞ、終わったら何でもするから]

 [うん、任せて。……じゃあ帰ったらクレープ奢ってね? 駅前に美味しそうなお店があったんだ]

 [おう、幾らでも買ってやるよ] 

 

 軽口を叩く過程で弱気と震えは消し去った。

 たとえ勝利の糸が細くても、諦めることなど出来やしない。

 守りたいと思ったから、譲ることなど出来やしない。

 

 

「──【フルミニス・ペネトレイト】!」

 

 一条の雷が放たれると同時に二人は飛び出した。フブキに攻撃が向かず、かつ即座に守れる位置取り。

 確認する限り炎線は四本。

 伸縮自在で変幻自在、戦闘鉄線(バトルワイヤー)の要領で行使されるそれは率直に言って強い。

 

 矢の様に突き出された炎線を『八式』で軸を逸らして避け、多方向からの斬撃を転げ回る様に回避していく。

 攻撃と攻撃の合間が短い、苦し紛れに放った【グラキエース・ショット】も造作もない様に炎線が焼き切りその影に隠れ二本目が脚を狙う。

 飛び跳ねて回避した先で待ち構えている炎線を弾き、その反動で独楽のように回転し絡め取るように切り払う。

 横から迫る炎線をかち上げる様に叩き上げ返す刀で裏からの炎球を切り裂きバックステップで即座に移動する。

 一瞬前までいた場所に炎球が落とされ爆発する。当たっていれば損傷による機動力の低下は免れないだろう。

 

(クッ、ソ! 反撃の糸口が掴めねぇ! 雷網(フルミニス・ネット)氷壁(グラキエース・シールド)も抵抗もできないで壊される、せめて一瞬でも気を引ければ近づけそうなのに──)

 

 そんなジリ貧に追い詰めらていた時だった。

 

「──む、これは……奴らめしくじったな」

(──攻撃の間隙が増えた……? 全体的に速度が遅くなってる)

 

 なんの予兆もなく、炎線の速度が低下した。何だ、と思いつつもまたとないチャンスに奏人の思考は高速回転を始める。

 

 今現在の奏人には知る由もないが突然の弱体化には霞が深く関わっていた。霞は術式の解除をする傍らで仕掛けてあった『循環阻害』と『身体能力減少』の術式を反転、即ち発動対象を登録されていない魔力痕を持つ者から登録されている魔力痕を持つ者へと改造を施していた。その術式が発動されたことで桜士郎の動きは鈍くなっている。

 

「──フゥゥ。大神、一気に決めよう」

 

 深く息を吐き全身の感覚と思考を連結させる。

 猛り狂う感情の熱が四肢に満ち感覚がクリアになる。

 炎線を潜り抜けミオの隣まで一気に距離を詰める。

 緻密に作戦を練り照らし合わせる時間は無い。炎線は今にも動き出せるように空間を踊っていた。

 回復薬──露天に売っていた「こよ印」とやら、かなり怪しい──を服用しながら単純明快(シンプル)な策を伝える。

 

「──突っ込むぞ」

「え!? それだけ!? えっ、本当に!?」

「いや、流石に略しすぎたな……要は大神に炎線の軌道を予測してもらってどっちかの最大威力で防御を突き破ってどっちかが最大威力をぶつける……ってとこだな。炎線の速度が遅くなってるから予測しやすくなってるっておもったんだけど、そこらへんどう?」

「確かに予知はしやすくなってるね。今なら奏人君にも戦いながら伝えられる……と思う」

「ならよし。斧槍を投擲するからそれを合図に、行くぞ──」

「話はそこまでだ」

 

 頭上から高速で迫る炎線をバックステップで避ける。

 出力は依然として低下しているが動きのキレ自体は戻っている。あの短時間で調整を終わらせたのだろう。 

 

「おいおい、もっと余裕を持てよ。大人だ、ろっ──!」

 

 回避後、低い体勢を維持したまま手に呼び出した斧槍を投げ飛ばし、直後に地面を蹴り距離を詰める。

 

「ならガキはガキらしく家に帰ったらどうだ?」

「言っ、てろ!」

 

 ミオの指示の下、己を斬り刻まんとする炎線を潜り抜け、避けきれない場合は魔法と【魔壊斬】で防ぎ、今まで踏み込めなかった至近距離まで近づいた。

 

「──炎よ集え」

「チィィ──!」

「奏人君! ウチが破る!」

 

 剣域に入り込める──その寸前、炎線が集約し盾へと、変形した。元の炎線の性質上、固定されているのではなく動き回るだろう。

 だが、その炎盾にミオは真っ向から突撃していく。

 

(相手も炎使い、なら耐性は絶対にある! ウチが本人を叩いても効果は薄い、だから!)

 

 魔導回路を全身展開(フルオープン)し焔を吹き荒れさせる。そしてその焔を右腕に集中、空間が歪むほど高まった魔力が炎へと変換され迸る。

 

「──ハァァッ!」

 

 肘部分の焔を()()

 本来は拳打着弾時に放出し衝撃(インパクト)を増加させる強化、過重機構。

 それを加速機構へと転じさせた豪速の炎撃。

 

 衝突した焔と焔がせめぎ合い爆発音を響かせる。

 拮抗は束の間のみ、ミオの纏う焔の出力が感情に呼応するように増していき──炎盾を突き破った。

 

「──奏人君!」

「おう!!」

 

 炎の残滓が周囲を覆い隠している中、地面を蹴り砕き、加速。

 今まで隠していた切り札を開放する。

 

機構、発動(スタート)。────収束開始(コンバージョン)

 

 仕組まれた第二の能力。

 鍛冶屋に頼んで付けてもらった収束機構。

 刀身が唸りを上げながら周囲の残留魔力を束ねていく。

 炎が、雷が、氷が、刀身に集い過負荷に軋みを上げる。

 

収束完了(コンプリート)────収束解放(バースト)!!」

 

 振り下ろされた全力の斬撃は──ガキン、と硬質な音を響かせ動きを止めた。

 

「ここまで本気をださせられるとはな……喜べ星川奏人。()()()()2()だ」

 

 手に薙刀を持ち斬撃を防いだ桜士郎は獰猛な笑みを浮かべそう告げた。

 

「──ッ! ……ああそうかよ!!」

 

 鍔迫り合いとなった刃と刃が火花を散らし猛っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

 

 神祀りの儀式を行っていたフブキは気づけば霧の中にいた。

 辺りを見渡せど濃霧は全てを隠して何も見ることはできなかった。

 夢見心地、呆然、稼働しない脳は当てにならずフブキは自然と前へと進んでいた。

 怪しい場所、されど妙な確信の元()()()に示されるように見えない道を進んでいく。

 

 

 やがて、何かが先に見えた。

 何かと思い足早に近寄ると、姿が見て取れた。

 

 荘厳と立つ鳥居。

 狛犬の代わりに置かれた狐。

 滾々と湧き出る聖なる泉。

 清き音を鳴らす本坪鈴。

 

 霧は晴れ蒼い晴天が広がっている。

 

「こ、こは……」

 

 フブキは神社の前に佇んでいた。

 頭の片隅にちらつく既視感。それを必死にたぐり寄せ──気づく。

 

【そうじゃ。お主の想像通りじゃよ。ここはわらわの心像世界じゃ】

 

 声が聞こえた。

 声を辿るように上を向く。

 そこに、いた。

 白い着物に身を包んだ小さな少女──されどその身から溢れる神威は絶大。

 

 語り継がれ祀られてきた、霊狐の神。

 白蔵主が、そこにいた。

 

 

 

 ひどく長く思えた階段も登ってみたら呆気がなかった。

 

「白、蔵主様……」

【うむ、わらわが白蔵主じゃ。久しぶりじゃのう、ここに人が来るのも……本当に、似ておる】

 

 懐かしむ様に目を細める白蔵主に動揺しつつもフブキは口を開く。

 

「あ、あのっ、白蔵主様っ──」

【ん? ああ言わんでもよい。分かっておるわ、お主が『黒天狐』の封印を解こうとしていることぐらい。わらわ、これでも神じゃぞ?】

 

 けたけたと笑いながら軽く白蔵主は言う。

 

【ここならあやつも呼び出せるじゃろう。試してみよ】

「えっ……本当だ。クロちゃんの力、強くなってる……!」

 

 目を瞑りフブキは己の内側に意識を落とす。

 己の中で眠る友人を呼ぶため。

 

「起きて────クロちゃん!」

 

 黒いヴェールが、靄と共に溢れ出す。

 ヴェールは徐々に輝きを増していき比例するように神威が吹き荒れる。

 輝きが極点に達した瞬間、光は一転して収まり静謐が漂う。

 その中心に一人の少女が立っていた。

 

 長い黒髪、赤い瞳、鋭い空気。

 姿から服装まで、白上フブキを反転させた様な少女。

 霊狐の歴史において白蔵主と共に語られる落神、黒天狐が現れた。

 

【……ふぁ〜〜。……んだよフブキ。ワタシは寝てたんだぞ】

「……クロちゃ──ん!!! 久ぶり!!」

【うおっと、突然どうした】

「えへへ、また会えて嬉しくって」

 

 キャッキャとはしゃぐフブキに困惑する黒天狐──クロは懐かしい気配を感じ、振り向く。

 

【……久しぶりだな、シロ】

【そうじゃのうクロよ懐かしいのう】

 

 会話はそこで途切れる。

 語らずとも伝わる何かが彼女たちには、あるのだろう。

 

【さて、我が力の担い手──フブキと言ったかの】

「は、はい!」

【結論を先に言うと、わらわは封印を解いても良いのじゃ】

「ほ、ホントです──」

【じゃが、解くだけの価値がお主たちにあるかは、別じゃ】

 

 今までの親しみやすい雰囲気が一変する。

 霊狐をまとめ上げた稀代の傑物、その眼差しは万物を切り裂く程に、鋭い。

 

【いや、そういうのいらねぇから。フブキ、こいつは力を見せろって言ってんだよ】

 

 求められるのは力。『黒天狐』という特異点(イレギュラー)となる存在がいても霊狐をまとめ上げられる様な実力の証明。

 

【ほれ、構えよ。武器は念じれば出てくるぞ】

「……フゥゥ。行こう、クロちゃん」

【おう。寝起きの運動には丁度いい】

 

 武器を構え、気力を四肢に充満させ、眼に闘志を乗せ、戦いに挑む。

 

 神なる白に、黒白が立ち向かった。

 

【む、向こう(現実)ではおのこ(星川奏人)が奮闘しているようじゃぞ。応援ぐらいしてやったらどうじゃ? お主の恋人じゃろ?】

「にゃっ!? ち、ちち違いましゅよ!? た、唯の幼馴染みでしゅ!!」

【動揺しすぎて噛んでんじゃねぇか。さっさと落ち着けよ】

 

 

 

 

 

 …………立ち向かった!! 

 

 

 




最低でも後5話ぐらいかかる事が分かり怒り狂ってます。
戦闘描写の言い回しとか迫力のある戦闘が書きたいです。

ぶっちゃけ読者に厨ニな技名とか活動報告で求めたら書いてくれる

  • 書く
  • 書かない
  • 恥ずかしい♡
  • おい、デュエルしろよ
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