ホロライブラバーズ トロフィー『数多の業を振るう者』獲得実況プレイ   作:疾走

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テスト前ほど書けるってガチなんですね


奔るは黒白、奏でるは大業が白光

 

「ここは……」

 

 桜士郎に触れられた直後。目を開けば、奏人は違う世界にいた。

 

 荘厳と立つ鳥居。

 狛犬の代わりに置かれた狐。

 滾々と湧き出る聖なる泉。

 清き音を鳴らす本坪鈴。

 

 何処かの神社───或いは神域に現れた。

 

(世界が上書きされた……いや、俺が侵犯した……?)

 

 空間に満ち溢れる神威に身が震える。

 神霊堕ろしを通じてフブキから感じた物と同種──否、その階梯は遥か高みにあった。

 

【うむ───お主が星川奏人じゃな?】

「───ッ! ……白蔵、主……?」

【おぉ! 分かるか坊! 崇めても良いぞ?】

 

 本来なら、交わる筈が無かった二つの存在。既定が曲がりきったが故に、可能性(レール)が交差した。

 

【まさかあのうつけを介して人間が接続してくるとはのぉ……こんな馬鹿な真似をする者など普通おらんぞ?】

「あ、あの……何で俺ここに……?」

【ぬ? てっきりわらわの力目当てと思ったが──いや、何も教えられておらんのか】

 

 有無を言わせない威圧感。神と呼ばれるのに相応しい迫力、荘厳たる風格を放っている。

 

【簡単に言うならば、お主の今の状態は激ローじゃの

「なんて???」

 

 思わず聞き返した。

 迫力と発した内容の乖離(ギャップ)が激しすぎる。例えるなら、マッチ売りの少女がメイウェザーを殴り倒した様な、聞き流すには違和感が大きすぎる。

 

【分からぬか? ぬぅ……バッテリー0デカ肉0セルも0と言った方が分かるかの?】

「レジェンズじゃねぇか」

 

 例えが余りにも直球すぎる。そんなセリフを霊狐が崇める狐神が言ってきた。夢でもあり得ない内容に乾いた笑いが漏れる。それに物資零はなかなかに危ない状態だろ。

 

【なんじゃ? まさか坊貴様、EAを愚弄する気か! 温厚なわらわとて許せぬぞ!】

「落ち着いてくれねぇかなぁ! この神! 地雷が何処にあるか分かんねぇ!!」

 

 白蔵主は過剰にEAに信頼を置いていた。何なら、盲目的なEA信者だった。

 

【ハッハッハ。すまんの、ちと熱くなってしまった……あれじゃ、磁場が狂っていたというか……】

 

 言い訳の中でも最底辺を行くような杜撰な代物だった。緊迫した状況を吹き飛ばしかねない、いやもう吹き飛ばしている凶行に頭痛を払うように頭を振る。

 

気にするな、気にするなよ俺。……い、え。大丈夫、ですが、今いったいどういう状況で……?」

【おぉ、そうじゃった。そうじゃった。簡潔に言うと今のお主は燃料切れじゃの。魔力、体力、それに魂まで疲弊し切っておる。……ふぅむ、質の悪いガス欠じゃのう】

 

 度重なる戦闘。複数回の限界接触。意志を、感情を薪に焚べ負荷を無視して動かした多数の戦闘機動。

 限界を超越して酷使して、限界以上に力を行使した。それすらもあり得ないような奇跡。薪は全て灰へと変わり果て────限界突破の燃料すらも尽きている。

 

【いやマジで危ない状態じゃよ、お主? もう本当に何で戦えてたのか分からんぞ?】

「───ッ」

 

 意識が一気に緊迫を取り戻した。

 突きつけられた状態に、歯噛み以外を許されない──違う。

 あの顔が、涙を堪える表情が、脳裏から離れない。それを晴らしたい、それを守りたいと思った。だから、

 

「お願いします、俺に──力を貸してください」

 

 真っ直ぐに、只々純粋に、力を求めた。

 過去の淀みから抜け出す為では無く、大切を救ける為。

 

「無理を承知で頼みます。救けたいんです、フブキを。何時も手を引いてくれた彼女を」

 

 溢れる感情と共に希った。

 自分だけでは足らない────()()()()()()()。そんな傲慢極まりない人類が持つ宿業(カルマ)

 

「次は俺の番だ。助けないといけない、救けたいッ! 俺はどうなってもいい、身体が壊れても、吹き飛んでも構わない。だから、どうかッ」

 

 その時だった。

 神域に満ち溢れていた神威、其れが体内で循環を始めた。どこか優しく、温かい力の奔流。

 

【懇願を、嘆願を、受領した。──お主に、力の一端を貸し与えよう】

 

 神威が欠けていたナニかを補うように充填されていく。体内の魔導回路を沿うように駆け巡り燃え盛る白光の神威が骸の様に成り下がっていた身体を駆動させる。

 

【よし、ちゃんと稼働しておるの。ならば、もう行け】

「ありが──へ?」

 

 突然のそれに、感覚を合わせると同時に感謝を述べようとしていた奏人は間抜けな声を発した。

 え? なんか説明とかねぇの? つーか此処の出方どころか行き方も知らないんだけど俺? 

 そんな思考を遮るように白蔵主が突き出した手を鳴らす。

 

【ええい、開けゴマ! 魔界の扉が開かれた!】

「俗世に染まりすぎてる!!」

 

 色々と問題がありそうな言葉と共に足元の空間が歪み、地面に(ゲート)が開かれた。

 足場を失った奏人は当然、重力に従って落下を開始する。

 

【お主なら、お主だから、頼もう。──我が力の担い手を、クロを、任せたぞ】 

「───ッ、ォォオオアアァ!!??」

 

 一方的に告げられた願い。それに頷く暇も答える暇も無く浮遊感を味わいながらセカイの境界へと奏人は落ちていった。

 

 

 

 神威。それは上位存在、その中でも神聖属性を宿した存在が保持する権能起動エネルギー。魔力と似た性質を持つ其れが奏人の深奥を満たして、流れて、猛って────カチ、と音を立てて、()()()()()

 

 元から身体内部を循環していた魔力とは別種のエネルギー。それと体内に循環され始めた神威が歯車のように合わさる。

 意図的なものではない。無意識の領域で片方に合わせるように引き上げた。すると噛み合った。

 

 故に、其れが故に、あり得ざる権能が大業へと遷ろい────顕現する。

 

 

 

ん? あれ? え、なんじゃこれ? 

 

え、しょうもうをほてんするだけじゃったろ、わらわ。

 

まじでなんでけんのうにせつぞくされてるのじゃ。あっ、えっそういうことなの!? 

 

あやつべつぐちのあくせすけんもってるの!? えっなにそれまじめにしんいきしんぱんなんじゃけど!? 

 

ええ……なんでにんげんがあくせすできるんじゃ……こわ

 

 

 

 

 

 

「え、ちょま、え? なんでお前がその神威──いや、神霊堕ろし使ってんの!?」

 

 クロはめちゃくちゃ混乱していた。霊狐しか使用できない筈の秘術を何の縁も無い只の人間が使っているのだ。カプコン製のヘリが墜落しなかったと言われた方がまだ現実味がある。

 

「いや……なんか……こう、気合で」

「無理しかねぇぞそれ」

 

 そう言われてもできたもんはできたんだよ。

 そう言いたいが、正直自分でも大分無理がある事は分かっているので口を噤むしかない。

 

「────あぁもう!! 一旦、一旦それは置いて、手が欲しかったとこだ!」

 

 問い詰めたい衝動を飲み込みクロが叫ぶ。意味も道理も分からないが奏人の参戦で戦術幅は劇的に増えた。

 

「来たばっかで悪いが、少しの間一人で抑えられるか!?」

「…………()()()()()()?」

「不安要素がでかいし、不確定だが……」

 

 目を閉じ、息を吸う。

 目を開き、息を吐く。

 

「やる。必ずわたし達がアレを打破しよう。だから──」

 

「わたし達に、お前の全霊と命と明日を、全てを賭けてくれ」

 

 その力強い言葉に笑みを浮かべて。

 次に、目の前で呆然と座っているフブキを見て。

 

「それじゃあ、全力で応えようか───!」

 

 真白の神威が、最大まで奔り広がった。

 

 

 

 

「…………よし、急いで始めるぞ──っておい? フブキ?」

「……え、あぅ、ふぇ……?」

「なに惚けてんだ、さっさと立て!」

 

 何故か頬を赤く染めて言葉として機能してない音を発するフブキを頬を引っ張り強制的に起こす。

 

「──いったぁ! クロちゃん何するの!?」

「うるせぇ! あれにさっさと帰って貰うんだ。今のお前ならいけんだろ──()()()()

 

 言うと同時に高まり迸った黒光の神威が柱のように天を衝く。無秩序な放出では無い、秩序立った、なにかの前触れのようで──対を為すように白光の神威が迸った。

 

 源■闘争のみを観客に、白と黒──双極にして太極が混ざり合う。

 至高、天上、頂点、そのどれもがその威光を正しく示す言葉──否、その言葉ですら足りぬ程の神聖たる光輝。

 

「って、えぇぇ!? 何なんですかこれ!? 身体が勝手に!!」

「シロと深層まで接続してるからだ! 下手に抵抗すんな、()()()!」

「───ッ!」

 

 接続が理由なのか、何も知らない筈の()()についてが分かる。

 高まりきった神威を息と共に吐き出すように、口を開いて、隣の黒狐と同時に、その詠唱を紡ぎ始めた。

 

 

 

「「天幻せよ、遍く星界よ───夢想の願いに希望を宿して」」

 

 白と黒──同一にて対にあたる双極神威。

 二種の中、先に奔るのは────白。

 

 ◇

 

 空気の壁を突き破ることなく、超加速。

 脚部から放出された神威をアフターバーナーのように推力に転じさせている。

 その神威を纏っている限り、奏人もまた白蔵主の権能が使用可能だ。つまり、『加速時に空気抵抗を受けないと』、()()()()()

 

 加速を足に乗せて、全身で力を伝導させ、紅白の軌跡を描いて『紅牙征流』を振るう。

 互いのみに注力して、両者が攻防の嵐を形成する。

 

 ◇

 

 

「いつかの願い、我が仰ぎし狐神が想うは夢の理想。遥か遠き希望にしかし、悲嘆も欺瞞もありはしない」

 

 言葉の糸を以て紡がれるは儚くとも尊い、連綿と続く光の一片。

 誰もが願ったような、そんなありふれたが故に潰れていった願望を説く言葉。

 その言葉に反応するように世界全てを覆うように噴出した白の奔流が翼の形を作った。

 

 

 ◇

 

 

 回避行動に権能を混ぜる。即ち、『「灰」の攻撃は当たっていない』と攻撃に干渉する。

 完全に当たらない軌道への変更は不可能。それでも絶死の軌道は回避可能へと移り変わった。

 近くで高まり続ける同種の神威と共鳴するように全身が熱い。熱は瞳で燃え盛り、焔と化していた。

 

 

 ◇

 

 

「笑みが咲き誇る楽園こそ今も我が憧憬。世界を騙す幻惑が、尊き鑽火を浴びながら誰かを救う浄化に抱かれるのだ」

 

 説かれる言葉が続くたびに奔流は嘗て(白蔵主)の輝きを取り戻すように世界を軋ませた。

 白は全てを包むように視界を染めあげる。

 

「あぁ───道を共に歩む白狐よ、ならばこそ、眼の前に迫りし悪意を等しく幻界へと誘わん」

 

 神々しさを見せる白と、同じく神々しさを感じながらもその奔流は黒に染まる。

 反転したかのように真逆の色が白の隣で迸り──正中線を以て分かれ、太極図を描いた。

 

 

 ◇

 

「ラァァッッ!!」

 

 

 太極図が描かれると同時に「灰」の装甲各部が砲口へと変形。過剰エネルギーが多数の砲口から撃ち放たれる。

 灰色の極光に権能を全開にして干渉。その弾光の矛先全てを己に集中させる。

 世界に対して()()()()()()()、速度域を引き上げる。出力と引き出した現象が釣り合っていない、権能の過負荷に内から嫌な悲鳴が聞こえた。咆哮を上げて掻き消す。

 後ろに下げた左腕と、突き出した右脚。際限なく高まる神威を束ね炸裂し、その場で身体を独楽のように回転させる。

 回転一閃。軌道を全範囲に拡大するように神威が暴れ奔る。奏人を覆うように迸った極光を斬撃と神威が全て斬り落とした。

 

 

 

「「双理界融。双つの神性が権能を以て太極と為す」」

 

 

 

 それと同時、循環する神威が背後の双理の顕現を伝える。両足に神威を束ね狐たちの元に跳躍。落下した体が地につくと刹那のズレも無く、詠唱が終わりを迎える(完了する)

 

 

 ◇

 

 

「全てまやかしとて、この願いこそは永劫不滅の真実なりて。故に愛しい大切を、守り抜こう」

 

 引き上がり続けるギアに世界が啼く。出力が臨界を超え、術式という指向性を持った───条件は満たされた。既に権能は世界のルールを無視し、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「是非も無し───万物を騙そう、気高き黒狐。真実の幻が全てを包み込み、黒白の地平線へと疾駆する」

 

 背中合わせで片腕を突き出す。そこへ溢れていたエネルギーが吸い込まれ、逆位相の力が流れ込む。『力』という概念そのものを表すような黒白。両色が逆の色を掻き回し、渦とする。

 

 

「「双理界融。双つの神性が権能を以て太極と為す」」

 

 渦は円へと昇華された。展開された法則がその円へと圧縮されていく。

 渦巻き、吸い上げ、注ぎ込まれる。

 

 

「「其れが故に、象れ幻想。誓を果たす時が訪れた。輝く想いよ世界に満ちろ!」」

 

 詠唱完了の寸前、目の前で灰の極光が迸った。紡ぐことに全リソースを割いている今、向かってくれば全てが水の泡だ。

 それでも尚、焦りは無く。その極光の中で輝く白光に絶大の信頼を置いて神話が説かれた。

 

「灰」はその光景を余すことなく目の当たりにして───右腕を巨大な砲口に変形。

 その身に流れる莫大なエネルギー全てを砲身に集約する。

 真っ向から見に迫りし敗北を打ち壊さんと絶大な威力が集う。その灰光を真正面から睨み返し双神の神話は姿を顕す。

 

 

 両者、極光を放つ瞬間は同時。

 

 

 二つの理を説く二重螺旋が光輝と成る。

 其れは()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「「瑞獣双極・二天想幻──千変万化───貫禍滅相!!!」」

 

 

 

 

 

 

 黒白双極。太極神威。神なる瑞獣が極法の、形が一つ。

 黒白と灰が正面から鍔迫り合う。

 轟音、衝撃、閃光。今までの戦闘最大の暴風を伴う衝突。

 互いを喰らい合いながら拮抗を描く。

 

 

「く、うぅ…………!」

「くそっ! 押し切れねぇ……!」

 

 足りない。単純に、出力が灰を呑み込むまで達していないのだ。

 

 そうだ。

 力が足りなかった。

()が単一の強さに折れたように。

 

 追いつけなかったとしても。

 

 また走り出せる事を、彼が証明している。

 

 足りないなら、補完すれば(手を取り合えば)良い。

 

「全部、持ってけ!!」

 

 フブキの肩に手が乗る。振り向けばそこに、奏人が居た。

 接触した肩からさらなるエネルギーが流れ込む。白が、増幅する。

 星川奏人も、擬似的とはいえ白蔵主の担い手。白に引っ張れるように黒もまた増幅する。

 

 徐々に、加速的に、灰を黒白が押しのけ───掻き消す。

 そして、押し負けた「灰」を神話が呑み込んだ。

 正面に直進していた極光は突如、曲がる。その軌道の先は───未だ宙に存在するワームホール。

 もし「灰」を消し去れなかったとしても元いた場所に戻す必殺の一撃。ワームホールと奔流が接触した瞬間、超新星爆発を思わせるような、眩い莫大な光量が放たれた。その光はゆっくりと消えていき。

 全てが終わったそこには「灰」の姿は消えていた。

 

 

「…………流石に、終わったよな?」

 

 極光が通った破壊痕を見た後、奏人は跡形もなく消えたワームホールを見上げた。

 

「空の穴も消えて、あの「灰」の気配も感じねぇ──終わった、わたし達の勝ちだ」

 

 その宣言は胸に染み込み───脱力。足から力が抜けてびたん! と仰向けに倒れ込んだ。モロに打ち付けた背中から激痛が走る。

 

「か、奏人くん!?」

「あ……! いっ……!」

 

 叫ぼうにも声を出すたびに激痛は増していく。うめき声しか出せない。

 勝利の報酬にしては痛々しく、代償としては生々しい。

 

「フブ、キ…………」

 

 それでも、痛みが止まなくても声を出さなければいけない。彼女に、言わなければならない。

 

「全部、やろうとしなくてもいいんだ。出来ることだとしても、一人っきりで抱えようとしないでいいんだ」

「無理しなくても、いい。辛かったらさ、頼ってくれよ」

「お前が、フブキがそうするなら。俺も一緒に手伝うぐらいはできるから」

「───これからもよろしくな」

 

 一方的に気持ちを伝える。

 一人で全てを為さなくていい。君も人なんだから。

 

 そう、心のままに言って。

 

 それきり。

 意識は闇に閉ざされた。

 

 




(ホカ君死んで)ないです

次話で今章も終わりですよ。マジで長かったですが読んでくださりありがとうございます!
十個集めないといけないのにまだ一個なの勘弁して欲しい(白目)

ぶっちゃけ読者に厨ニな技名とか活動報告で求めたら書いてくれる

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  • 書かない
  • 恥ずかしい♡
  • おい、デュエルしろよ
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