ー音也sideー
来栖翔こと、ライディーンファルコンが仲間に入った翌日の放課後。
ライディーンになるようになってから、変身する度に衣服が破けてしまうので、新しい服を買いに街に出掛けた音也はソコで、ベンチに座り、万年筆で紙の束に何かを書いている那月を見つけた。
「あ、那月! どうしたの?」
「・・・・」
「(あっ、眼鏡をかけてない)」
顔をあげた那月は眼鏡をかけておらず、いつもの那月とは思えない鋭い目で睨んできた。
が、すぐに視線を紙の束に戻して、再びサラサラと書き込む。
「?・・・・な、那月?」
「どけ、影だ」
「えっ? あ、ゴメン!」
音也の影が、紙の束、曲が書かれた紙の影になっていた。音也が退くと、那月?は再び書き込む。
「あ、あのさ、那月?」
「消えろ。作曲中だ」
「えぇっ!? (那月、いつもと雰囲気が違いすぎる・・・・!)」
と、そこで通りすがりの若者二人が音也の後ろを通った時、ベンチの隣のゴミ箱にゴミを投げたが、それがゴミ箱ではなく、那月?の頭に落ちた。
「ぁ、ちょっと・・・・!」
音也が声をかけたが、二人は気づかず歩き去ろうとした。
「もう、那月大丈・・・・え?」
那月?に顔を向けると、那月?は身体をフルフルと震わせ、ベキッ! っと、曲を書いていた万年筆をへし折った。
「!」
那月?は先程の二人に走りより、顔面の横に拳を振り抜け、後ろの壁の一部を砕いた。
「ええっ!?」
「ひぃっ!?」
「・・・・・・・・」
那月?の顔は、静かに、しかし恐ろしい威圧を放っていた。若者二人はその迫力に、滝のような汗を流す。
「・・・・・・・・」
那月?は若者の一人の胸ぐらを掴んだ。
「ゴミはゴミ箱にちゃんと捨てろ。お前も一緒に捨ててやろうか?」
「ーーーー!!」
そう言って、若者が捨てたゴミを、若者の口に押し込むと、若者は顔を青ざめた。
「な、那月! やり過ぎだよっ!」
「見つけたーーーー!!」
「えっ? 翔!?」
と、ソコで駆けつけた翔が、那月?の顔に眼鏡をかけた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
「・・・・ん? あっ、あれ? 音也くんどうしてここに?」
「えっ?」
さっきまでの威圧的な雰囲気が無くなり、いつもの那月に戻っていた。
那月が若者二人に目を向けると、二人の顔が青ざめた。
「ん・・・・あぁっ!!」
那月が腰を抜かした若者の一人の鞄につけていたヒヨコのゆるキャラ『ピヨちゃん』のキーホルダーを見つけた。
「何て愛らしいピヨちゃん何でしょう! 実は僕も、ピヨちゃんの大ファンなんです!」
那月が上着の背中を捲ると、Tシャツの背中にピヨちゃんがプリントされていた。
「「???」」
「・・・・?」
「・・・・はぁ」
若者二人と音也と周囲の人達が唖然となり、翔だけはため息を吐いて頭をかいていた。
◇
その場を離れて、翔もライディーンとなると服が無くなるから、新しい服を買いに来ており、那月はそれについてきたのだ。
カフェでお茶を飲んでいると、那月がおしゃれなパフェを見て、笑みを浮かべた。
「ウフっ、可愛い♥️」
「・・・・」
目をパチクリさせている音也に、翔が耳打ちする。
「分かったろう。今の状態が那月で、眼鏡を外すと全くの別人、『砂月』になっちまうのさ」
「『砂月』・・・・?」
「んむ。美味しい~♥️」
「子供の頃、俺と出会う前に何かあったか知らないけど。砂月を怒らせて病院送りにされた奴はいっぱいいるぜ。とにかく、マジギレさせたら最後、那月に戻さないとエライ事になる。それと、以外と作曲の才能があって、暇さえあれば曲を書いている。世に言う天才さ」
「へぇ、凄いんだ! ちょっと話をしてみたいな」
「ムリムリ。砂月は人と話さないし、那月に戻っても砂月だった時の記憶は無いんだ。知らないんだよ那月は」
「あれだけ滅茶苦茶やったのに・・・・」
「音也くん・・・・」
「ん?」
パフェを食べ終えた那月が、音也に話しかけた。
「ごめんなさい」
「えっ? 何が?」
「ライディーンの事です・・・・」
「あぁ」
「僕は、例え怪物の『超魔』であっても、誰かを傷つける事は、したくないんです・・・・」
「気にしなくて良いよ。戦うのがイヤなら、それはそれで仕方ないよ」
「・・・・ありがとうございます」
そう言って、那月は紅茶を飲もうとするが、湯気で眼鏡が曇った。
「おや」
那月が眼鏡を外そうとした。
「うわっ! め、眼鏡は取るな那月!」
「えっ?」
「俺が冷ましてやっから! ふー! ふー!」
「親切ですねぇ、翔ちゃんは」
と、ソコで、那月の鼻がムズムズとしてーーーー。
「は、はっくしょん!」
「「あっ!」」
くしゃみの勢いで、眼鏡が外れ、顔をあげると、砂月へと変わっていた。
「ウザいんだよ・・・・!」
「うわわわわ!」
「ひぇぇぇぇ!」
「何がライディーンだ。俺は那月と違ってお人好しじゃない。俺の前で、コソコソーーーーするな!」
ドン!・・・・ビキビキ、ズジーン!!
『きゃー!』
砂月が後ろの街路樹を殴ると、音を立てて倒れ、周りの人達が、悲鳴をあけだ。
「あわ、あわわわわわわわ!」
「ふん! 分かったら俺の前から消え「お前は引っ込め!」ん? あれ? あれ??」
翔が眼鏡をかけると、那月に戻った。
「(も、もしも砂月がライディーンになったら、凄く心強いけど、凄く大変だ・・・・!)」
「どうしました音也くん? 何か顔色が悪いような」
「えっ!? イヤイヤ! 元気だよ! ね! 翔!」
「えっ? あ、あははははははははは!」
「あは、あはははははははははは!」
「???」
不自然に笑う二人を見て、那月は首を傾げるだけだった。
ー翔sideー
「たくっ、那月の奴・・・・」
その夜。ファルコンに変身した翔は一人、〈南都〉に向かって飛翔していた。明後日の休日には〈南都〉で、『超魔』の目的が分かると、シャイニング・早乙女に言われたからだ。
翔はファルコンの飛行速度のトレーニングと下見も兼ねて、〈南都〉が向かっていた。そして、〈南都〉の首都『ウィッチーズシティ』が見える所まで来た。
「あれが〈南都〉の『ウィッチーズシティ』か。〈東都〉の早乙女学園からここまで片道10分足らずか。あんまりかからねえな。・・・・ん?」
ファルコンの視界の端に、1人の女の子が近づいてきた。
銀髪の肩口に伸ばし、緑色の瞳をした翔よりも年下っぽい、素朴な可愛らしさがある何処か儚げな雰囲気の少女だった。
足にプロペラ付きのユニット、〈時空管理局〉の魔法と異なる『魔法力』を使うウィッチにしか使えない特殊装備『ストライカーユニット』を着けた、魔女<ウィッチ>のようだ。
「あ、あの・・・・君は?」
「・・・・あなた誰? ここは〈南都〉の領空だけど?」
「あぁ、お、俺は・・・・ライディーンファルコン。通りすがりの正義の味方さ。じゃあな!」
「あっ・・・・」
ファルコンはそう言うと、少女の前から飛び去って行った。そのあまりの速度に少女、『サーニャ・V・リトヴャク』は呆気に取られていた。
◇
そしてその翌日の、〈東都〉郊外の人気の全く無い山の開けた場所にてーーーー。
「はぁぁぁぁっ!!」
「おぉぉぉぉっ!!」
「りゃぁぁぁっ!!」
「ふっ!!」
イーグルとホーク、そしてファルコンの3人は現在、『宇宙最強の殺し屋 金色の闇』であるヤミと手合わせをしていた。
「たぁっ!」
「音也。勢いがあるのは良いですが、ライディーンの力に頼りすぎです!」
「うぁっ!」
イーグルソードでヤミに斬り込むが、ヤミはその一撃を回避して手をハンマーに変えてイーグルを殴り飛ばす。
「つぁっ!」
続いてホークがホークフレイルを二つに分割して迫るが、ヤミは両手を剣に変えて受け止める。
「聖川真斗。あなたの戦い方は優等生過ぎます。だから虚を突いた攻撃には弱いのです!」
ヤミが髪の毛を拳にしてホークをイーグルの近くに殴り飛ばす。
「ぐぅっ!」
「ホーク! くっそ!」
最後はファルコンがファルコンアローを棒のように振り、ヤミを攻撃するが、
「来栖翔。あなたの場合は突撃戦法ばかりです。だから攻撃が分かりやすいのです!」
ヒラリと回避したヤミが髪の毛パンチの連打を繰り出し、ファルコンはイーグルとホークの近くに転がった。
「あぁぁぁぁっ!!」
「さらにダメ出しです」
ヤミが髪の毛の拳を無数に変えると、一斉に、雨のようき降り注いだ。
「「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
「くっ!」
ホークとファルコンはその攻撃を受けて倒れるが、伊達に中学時代の半分の経験があるイーグルは、全て一重に回避した。
「ふぅ・・・・」
「すぐに気を抜かない」
ドゴンッ!
「うわぁあああああああああっ!!」
攻撃が終わり、気が抜けたイーグルに、ヤミがハンマーを振り、イーグルは空高く飛ばされ、
「ぐっはっ!!」
地面に落下した。ヤミはそれを平静に見下ろし。
「三人とも、今日の訓練はここまでです。明日はいよいよ〈南都〉に行きます。超魔と戦う事になったら、先ほど言った事を復習し、その戦闘に生かしてください」
「お疲れ様です、ヤミちゃーーーーん!!」
「っ!」
「わ~い!」
遠巻きで見ていた那月が、三人に大きめのバスタオルを渡し、ヤミに抱きつこうと両手を広げて迫るが、ヤミはギリギリのところでヒラリと回避した。
「う~ん、ヤミちゃんはギュゥッってさせてくれませんねぇ」
「女の子に馴れ馴れしく抱きつこうとしないでください」
「でも、ナナちゃんはさせてくれましたよ?」
「・・・・あれはプリンセス・モモが身代わりにしただけです」
那月がいた所には、白目を剥いてグッタリするナナと、そのナナを介抱している美柑とララ、春菜と唯、そしてモモがこちらを見ていた。
今日初めて会う那月は、年下組の可愛らしさに、思わずハグをしようとしたが、ヤミが美柑を連れて回避し、モモはニッコリ笑顔のまま、ナナを身代わりにして逃げた。
【ナナちゃん! ギュゥ~~ッです!!】
【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!】
と、ソコで全身から、バキバキッ! と、何かが砕ける音を響かせ、ナナは気を失ってしまった。
「そ、それにしても、ライディーンを三人も相手にして余裕とは、流石は宇宙最強の殺し屋・・・・」
「こんなのに一年半も命狙われて、音也お前、良く無事だったな・・・・」
「あ、あはははは、う、運が良かったんだよ・・・・」
変身解除した三人は、腰にバスタオルを巻いて、人目のない林の影に隠れ、服を着て戻る。
「・・・・四ノ宮那月」
「何ですかヤミちゃん?」
「あなたは、戦わないのですか?」
「・・・・・・・・」
「ヤミ!」
「音也。超魔がどれ程の相手なのかは、私も二回も遭遇しているので分かっているつもりです。しかし、現在ライディーン戦士はあなた達三人だけ。仲間が増えるならば、増やすに越した事はありません」
「・・・・・・・・僕、は」
「止めろヤミ。戦う気のない人間を無理矢理戦わせても、意味はない」
「面倒だって言ってライディーンをやらない奴に比べたら、こうして手を貸してくれる那月の方が、数倍マシだぜ」
「・・・・皆さんがそう言うならばこれ以上は言いませんが。明日はいよいよ〈南都〉です。私の『ルナティーク号』で行きますから、準備をしておいてください」
そう言って、ヤミは美柑達の元へと歩いていった。
那月は、ヤミから言われた言葉が、心に突き刺さっていた。
◇
そして、いよいよルナティーク号で〈南都〉に到着した一同は、何処か数十年前、昭和初期のような町並みを物珍しそうに見ていた。
「これが〈南都〉か・・・・」
「流石は、侵略者『ネウロイ』との最前線地域と言った所か・・・・」
「町並みも、レトロな感じですね」
「こんな所に、『超魔』の目的があるって言うのか?」
「あの早乙女学園長<妖怪>の言葉が真実ならですが」
「つーかさ・・・・////」
ナナが周りの女性の服装ーーーーと言うか、下半身を見て、顔を赤くした。
何故なら、〈南都〉の女性は、スカートやズボンと言った衣服をーーーー穿いていないのだ。
下半身はほとんど露出しており、ストッキングやスパッツ、もしくはパンツ丸出し状態なのだ。
音也と真斗、翔と那月はなるべく見ないようにし、ララとモモは珍しそうに見て、春菜と唯とナナとヤミと美柑は顔を赤くした。
「本当に、この〈南都〉はえっちぃ所です・・・・/////」
「まぁまぁヤミさん・・・・」
「それで、俺達は何処に行けば良いんだよ?」
「学園長の話では、『ストライクベース』に行けば良いって言ってたよ」
『ストライクベース』。『ネウロイ』と対抗する魔女の部隊、『ウィッチーズ』の1部隊、『第501航空小隊ストライクウィッチーズ』の基地である。
「では、私達はそこで清掃員として潜入します。皆さん。準備は宜しいですか?」
『おおーーーー!』
ヤミの言葉に答えた一同は、清掃員の格好になり帽子を目深に被るとストライクベースへと向かい、衛兵に紹介状(早乙女学園長が準備した物)を見せて、中に入った。
と、ソコでララとモモとナナは格納庫を、唯と春菜は食堂を、美柑とヤミは浴場を、音也と真斗、那月と翔はーーーーウィッチーズの部屋をそれぞれ掃除していた。
「「・・・・・・・・・・・・」」
音也と真斗は、部屋に充満するゴミの山を見て、愕然となる。
「スゴいな、一十木、これは・・・・」
「どこをどうやったら、こんなにゴミが積まれるのかな・・・・」
愕然となる二人だが、すぐに気を引き締めて。
「やるぞ! 一十木!」
「うん! やってみよう!」
「「うおおおおおおおおおおおおお!!!」」
二人はその部屋をピカピカにしようとしていた。
そして那月と翔はーーーー。
「ふぅ、翔ちゃん。こっちのお掃除は終わりましたよ!」
「こっちもだぜ」
音也達とは別の部屋の掃除を終えた所で、茶髪の短髪に小柄な年下っぽい少女が近づく。
「あ、清掃の人達ですか? ご苦労様です!」
「おや、あなたは?」
「私、この前この501航空小隊ストライクウィッチーズに入った、『宮藤芳佳』軍曹です!」
「はじめまして。僕はーーーー「馬鹿っ!」むぐ!?」
那月が自己紹介しそうになったが、翔が止めた。
「えっ?」
「わ、悪いな! 俺達、まだ掃除が残っているから!」
慌ててその場から去る二人。芳佳は首を訝しそうに首を傾げていると。
「宮藤!」
黒髪をポニーテールに結わえた右目に眼帯を付けた凛々しい女性『坂本美緒』少佐が声をかけた。
「『坂本さん』!」
「これからミーティングだ。直ぐに会議室に行くぞ」
「はい!」
ー芳佳sideー
二人は会議室に入ると、赤い長髪をしたストライクウィッチーズの隊長の『ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ』中佐。
茶髪を後ろに二つに結わえた『ゲルトルート・バルクホルン』大尉。
オレンジ色の長髪に大きな胸元をした『シャーロット・E・イェーガー』大尉(通称シャーリー)。
金髪の短髪をした『エーリカ・ハルトマン』中尉。
銀髪の長髪をした『エイラ・イルマタル・ユーティライネン』中尉。
金髪の長髪に眼鏡をかけた『ペリーヌ・クロステルマン』中尉。
褐色の肌に黒髪をツインテールにした最年少の女の子『フランチェスカ・ルッキーニ』少尉。
茶髪の長髪を三つ編みにして頭のてっぺんにちょこんと伸びたアホ毛をした『リネット・ビショップ』軍曹(通称リーネ)。
そして先日、ファルコン<翔>と遭遇した『サーニャ・V・リトヴャク』中尉が揃っていた。
隊長のミーナが口を開く。
「全員揃ったわね。じゃ、これを見て頂戴」
ミーナが部屋を暗くして映像を見せた。〈西都〉の『ISシティ』。〈東都〉の『東都中央病院』。そこに現れた異形の怪物と、それと戦う鳥人間のような人物達が映し出されていた。
「これは、最近〈西都〉と〈東都〉に現れた。『ネウロイ』とは違った怪物達と、その怪物と戦い、倒している存在達よ。〈時空管理局〉も、この二つの存在に対して調査を進めているらしいわ」
「管理局、何で調査しているんだろう?」
「あの上から目線のいけすかねぇエリート気取り連中のこった。自分達の魔法と違った存在が気に食わねぇんじゃねぇのか?」
「同じ魔法を使っていてモ、質量兵器を使う私達のウィッチの事ヲ、犯罪者でも見るようなイヤな目で見てくるモンナ!」
ルッキーニに疑問にシャーリーとエイラが悪態を吐いた。
管理局の魔法がほとんど通じない侵略者『ネウロイ』から人々を守っているウィッチ達を、質量兵器を使っていると言う理由だけで、管理局は何かにつけて文句や非難やらが来ているから仕方ないと言える。
口には出さないが、まだ入隊して間もない芳佳以外は、二人の言葉に同意するように頷いた。
「管理局の事はどうでも良いとして、実はこの内の一人が、先日この〈南都〉領空近くに現れたの。そうよね、サーニャさん?」
「はい、このピンクの鳥人間と同じ姿をした人が現れました」
立ち上がって映像に近づくサーニャが、『東都中央病院』でサラマンダー<怪物>と戦うファルコンを指差した。
「コイツ、か・・・・」
「ん? バルクホルン。何かあったの?」
「あぁ。実は、妹のクリスが、この『東都中央病院』に入院していてな。ソコが火事になってしまい。逃げ遅れた自分を、【天使様が助けてくれた】って言っていてな。他の人達に聞いてみると、クリスはこの鳥人間に助けられたと」
「天使様、ねぇ・・・・」
エーリカが映像に映る鳥人間達を見て、天使と呼ぶには少し勇まし過ぎでしょう、と言わんばかりの目だった。
「妹さんは大丈夫でしたか?」
「ああ宮藤。今は〈南都〉の病院に入院している」
「とりあえず皆、管理局が調査している彼らが、もしかしたらこの〈南都〉にも現れる可能性があるわ。異形の方は破壊活動もするようだから、気をつけておいて」
『了解!』
と、会議が終了して、全員が会議室を出るとーーーー。
『・・・・・・・・え?』
全員が唖然となった。何故なら、基地の廊下が埃一つ無いほどに、清掃されていてピカピカキラキラと輝いていたのだ。
「基地の廊下って、こんなに綺麗だったけ?」
「ま、眩しいですわ・・・・!」
リーネとペリーヌが、あまりに美しく清掃された廊下に目を瞑る。
それから、全員が自分の部屋を見ると。
「な、なななな!? わ、私達の部屋が、ハルトマンが散らかしまくってゴミ部屋となっていた私達の部屋が、整理整頓されているっ!? しかもハルトマンが部屋のあちこちに放っていた勲章とかもキチンと飾られて・・・・!」
「おぉ~」
バルクホルンが驚愕と感動が混ざった顔を浮かべ、エーリカも感心したような声をあげた。
「ほ、他のみなさんの部屋も綺麗に清掃されて、整理整頓もされてます!」
「せ、清掃業者の人達が来ているとは聞いていたけど・・・・」
「これは少々・・・・嫌、かなり凄まじいな・・・・」
清掃業者を探して基地を歩いていると、食堂も、浴場も、果てはトイレですらピカピカに掃除されていた。
そして格納庫で自分達のストライカーユニットにワックスをかけている清掃員の男女達を見つけた。
「あ、あの、あなた達が清掃の人達?」
「あ、はい! 俺達が清掃しました!・・・・あの、もしかして、何か不備がありましたか? 俺達、一生懸命頑張ってみたんですけど・・・・」
「し、死ぬかと思った・・・・!」
ナナが肩で息をしており、どれだけ掃除に気合いを入れていたのか容易に想像できる。
「いえその、不備なんかまったく無くて、むしろ、あの程度の賃金でここまでしてもらって、こっちが申し訳ない程です・・・・」
ミーナがふと見ると、ストライカーユニットもピカピカに輝き、まるで新品のようであった。他のウィッチーズも、真斗達やララ達にお礼を言っていた。
がーーーー。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!!
『っ!』
基地に警報が鳴り響くと、ウィッチーズ達の目が鋭くなり、格納庫に設つられたスピーカーから、声が響いた。
《ストライクベースから南西2キロにて、『ネウロイ』の出現を確認。ストライクウィッチーズは直ちに出撃せよ! 繰り返すーーーー》
「ね、『ネウロイ』・・・・!?」
「あなた達、私達は出撃します! ここから離れてください!」
『は、はい!』
音也達が離れると、ウィッチーズ達がそれぞれ声をかけた。
「基地を綺麗にしてくれて助かった。礼を言う」
「ハルトマンが汚くした部屋をありがとう・・・・!」
「綺麗にしてくれてありがとねー」
「ストライカーユニットもピカピカにしてくれてサンキューな!」
「ありがとー!」
「あなた達も避難して・・・・」
「すぐに倒しているやル」
「・・・・基地を綺麗にして頂き、ありがとうございますわ」
「そ、その、失礼します!」
「私達が守りますから!」
そして出撃したウィッチーズを見送ると、目深に被っていた帽子を脱ぐ。
「どうする?」
「音也。私、『ネウロイ』を直接見てみたい!」
「・・・・良し。少し外壁から見てみよう。もしもの時は、俺が守るから!」
「俺達、だろ?」
音也の言葉に、翔が少し訂正すると音也は頷き、一同は基地の外壁の上へと向かった。
ー芳佳sideー
黒く戦闘機のようなフォルムに、赤い光を放つ不気味な軍団、この存在こそ、『世界最強の兵器IS』も、『管理局の魔法』も通じない未知の侵略者、『ネウロイ』である。
これに対抗しうるのは、『魔法力』と言う特殊な魔法を使う、ウィッチーズだけである。
数は少しあるが、何の事はない。それぞれが武装で倒していき、全滅させると、固有魔法『空間把握能力』を持つミーナ隊長が、何かを検知してピクンっと、肩を震わせた。
「っ! 皆! 三機のネウロイが別方向から基地に向かっているわ!」
『っ!』
全員がピクッと反応すると、三機のネウロイが基地に到達していた。そして基地の外壁に、先ほどの清掃員達がいたのが見えた。
「まずい!」
「逃げてー!」
美緒と芳佳がそう叫ぶが、清掃員の中から、赤い髪の少年と青い髪の少年、金髪の小柄な少年が前に出てーーーー。
「「「『超者・降臨』!!」」」
三人がそう叫ぶと、それぞれ赤、青、ピンクの光に包まれ。
ザシュン! ズガァン! バシュンッ!
光が収まると、三機のネウロイは斬られ、貫かれ、撃ち抜かれ、消滅した。
『えっ・・・・?』
ウィッチーズ達が唖然となると、空を飛ぶ三人の少年達の姿が、今さっき会議に出ていた鳥人間の姿となっていた。
次回、ライディーンと遭遇したウィッチーズは?