うたの☆超者さまっ♪   作:BREAKERZ

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女尊男卑の世界

ー音也sideー

 

「へぇ、君もウィッチーズか。光栄だね。こんな可愛らしい子羊ちゃんが、僕達を守ってくれているなんて」

 

「あ、あの、その・・・・!////」

 

「神宮寺くん。うちの隊員を口説かないでいただけるかしら?」

 

「あ、あの・・・・ルッキーニ様?/////」

 

「どうだルッキーニ!? エーリカ!?」

 

「おぉっ! アイリと箒はリーネ以上、シャーリー未満! シャルロットはミーナ隊長くらい! セシリアはバルクホルンくらい!」

 

「鈴音とラウラはペリーヌくらいだね〜」

 

「「どういう意味よ(ですの)このセクハラウィッチトリオ!!」」

 

ここはストライクウィッチーズの基地の食堂。

新しいライディーン戦士となったレンとその従者のアイリを紹介しようと、音也達とララ達、そして改めて顔合わせをしようと、〈西都〉のISシティから箒達を連れてやって来たのだ。

そして挨拶を交わし合うと、レンはリーネを口説きに行き、色気が凄い男性に、リーネはアワアワとなり、ミーナが半眼になって引き剥がそうとし、シャーリーはルッキーニとエーリカをけしかけて、箒達とアイリの胸を揉みまくった。結果、鈴音とペリーヌに三人まとめてグリグリ攻撃をされていた。

 

「ーーーー全く!」

 

「失礼にも程がありますわ!」

 

「お、おおおおぉぉぉぉ・・・・!」

 

「あ、頭がシェイクされた・・・・!」

 

「うわ~ん! 鈴音とペリーヌがグリグリしたぁ〜!」

 

「自業自得だな」

 

頭を押さえるエーリカと泣き出すルッキーニに、バルクホルンが冷たい視線で言う。

さて、そんな中、他の面子は。

 

「ラウラちゃん♪ カワイイです! ギュ~させて下さい!」

 

「断る」

 

「良いじゃないラウラ。折角知り合ったんだし」

 

「・・・・少しだけなら」

 

「わぁい!」

 

那月がラウラをハグしようとするが、ラウラが断り、シャルロットが説得すると渋々だが承諾し、ハグされた。

 

ーーーーギュゥゥゥゥゥ〜〜〜〜!

 

「ぐぁ!? お、おい、四ノ宮・・・・! 少し加減を・・・・!!」

 

「ラウラちゃん! 可愛くてカッコいいです! 真斗くんもきっとメロメロになりますよ!」

 

「な、なに!? そう、思う、か・・・・?」

 

「はい! では更に、ギュゥゥゥゥゥ!」

 

ーーーーギリギリギリギリ!!

 

「あ、ああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うわぁ! ラウラの身体から何か聞こえてはいけない音が!!」

 

「顔色も悪くなってる・・・・」

 

「何か鯖折りされてるとしか見えないナ・・・・」

 

身体が曲がってしまいそうになるラウラに、シャルロットが慌てて那月を引き剥がそうとし、サーニャとエイラは苦笑と呆れながら見ていた。

 

「そうか、箒ちゃんとアイリさんって、リーネちゃんより大きいんだ・・・・」

 

「な、何を見ているんだ、芳佳・・・・?」

 

「芳佳。お前目がちょっと危ないぞ」

 

芳佳が箒の胸元をジッと見つめ、何処か息を荒げながら見てとり、箒は胸元を隠し、翔は芳佳の首根っこを掴んで離れさせた。

 

「皆すっかり打ち解けてるね♪」

 

「まぁ、元々〈西都〉のISと〈南都〉のウィッチは協力体勢にあるからな。ウィッチの訓練校やIS学園とは、合同訓練と言う交流もあるからな」

 

「そうなんだ。それで、坂本さん。俺達に話って?」

 

「・・・・ああ。ーーーーミーナ」

 

ララの言葉に美緒が応え、音也の質問に、僅かばかり眉根を寄せながらミーナを呼ぶと、レンをリーネから引き剥がしたミーナも溜め息交じりに肩を竦めてから近づき、食堂の壁に設られたテレビに録画したニュースの映像を見せた。

その映像に映された女性キャスターが報じた・・・・。

 

 

 

 

《ーーーーでは、次のニュースです。先日〈北都〉のホテル・アグスタに、〈東都〉、〈西都〉、〈南都〉に現れた未確認生物と同じタイプの生物が二体も現れましたが・・・・“『時空管理局』の機動六課の魔導師達が撃破しました”》

 

 

 

 

と、報じると、次に映像が映し出された。

『時空管理局三大美女』であるフェイト・T・ハラオウンがミノタウロスをスピードで撹乱し、機動六課の隊長 八神はやての魔法で石化した所で、高町なのはの砲撃魔法でミノタウロスを爆散させた。

巨大超魔‹キマイラ›の方は、犬耳を付けた男性魔導師‹ザフィーラ›があっさり倒され、シグナムとヴィータの一撃で巨大超魔が倒された映像が流された。

〈MKネットワーク〉の独占放送であり、ネットでも時空管理局やこの魔導師達の評価はうなぎ上りの状態だ。それだけでなく、これまで超魔達と戦ってきた音也達ライディーンの事は、超魔と並んで危険な存在であると報じられた。

 

「何だよこれ! 全部でっち上げだろう!」

 

ニュースを見て、ナナが怒鳴り声を上げた。

そして、ヤミがホテル・アグスタでの戦いの本当の記録、ルナティーク号で撮影していた映像をモモのスマホに転送し、モモがあの場にいたリーネも美緒とセシリア以外のウィッチ達や代表候補生達に見せた。

魔導師達の魔法はまるで通じておらず、まるでハエでも払うかのように簡単に、あっさりとボロ雑巾のようにされて、地べたを這いつくばっている魔導師達であった。

そして、超魔達はレンのライディーンスワローとゴッドバードチェンジしたイーグルが撃破していた。

 

「何だ、これは・・・・!?」

 

「映像と全然違うよ!?」

 

「唯一事実の映像は、男性魔導師が倒された所だけか」

 

「何でこんな映像だけ残したのよ!?」

 

「・・・・多分、女尊男卑主義者達が多い〈北都〉政府からの指示でしょうね」

 

「成る程。これを見せて、『男性は無能だけど、女性はこんなに優秀なんですよぉ』ってアピールしているのね」

 

「何と卑劣なプロパガンダ!」

 

箒と芳佳が目を見開き、ラウラと鈴、モモと唯が政府の指示であると見抜き、ペリーヌが顔を顰めて言った。

 

「リーネさんに美緒さん、セシリアさんはこの映像に何か言わなかったですか?」

 

モモが聞くと、リーネと美緒とセシリアも、顔を不快そうに歪めてから応えた。

 

「・・・・実は私達、超魔を撃破した那月くん達に武器を突きつけた魔導師達の邪魔をしちゃってね」

 

「それで〈南都〉政府から軍部に、『これは公務執行妨害に該当し、時空管理局と〈南都〉軍部との軋轢になる可能性か高いので、黙っておくように』、と『トレヴァー・マロニー准将』を通してお達しがあったのだ」

 

『トレヴァー・マロニー准将』。ストライクウィッチーズの所属する軍部の上層部にいる上官。本来は女性軽視の人物であるが、女尊男卑の今のご時世では、女性中心の軍部と政府に必死にゴマをすって保身をしている俗物である。

 

「わたくしの方でも、〈西都〉政府からIS学園を通してそう言われましたわ」

 

「俺達も、学園長からホテル・アグスタの事は他言無用って言われたが・・・・こう言う絡繰があったか」

 

「まぁ、下手な事をすれば、俺達がライディーンだって勘ぐられそうだから好都合だけどね」

 

セシリア真斗とレンがそう言った。完全にお上からの命令で時空管理局の、さらに言えば女尊男卑主義者達の良いように報道されてしまったと言う訳だ。

 

「・・・・何と言うか、恥知らずなものですね」

 

「お兄ちゃん達が戦ったと言うのに、そんなお兄ちゃん達を超魔と同一扱いするなんて・・・・!」

 

ヤミは吐き捨て、美柑は超魔と戦う兄達をこき下ろすニュースに不快感を露わにした。

 

「時空管理局の魔導師さん達、高町さん達は、どう思っているのかな? こんな風に自分達が扱われて・・・・」

 

「・・・・・・・・ご自分が『負け犬』ではなく、『英雄』として担ぎ上げられて、天狗になっているのでは?」

 

音也が何処か心配そうに魔導師達の事を言うが、アイリは冷めた目でニュースに映る魔導師達を見て、侮蔑を込めて吐き捨てるように言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー機動六課・隊長陣sideー

 

「・・・・・・・・な、何なの、これは・・・・!?」

 

機動六課の医務室のベッドで横なって、上体を上げているなのはとフェイト、シグナムとヴィータは医務室に設られたテレビで報道されているニュースを見て、毛布を握る手に力を込めていた。あのホテル・アグスタの戦いで負傷した身体を治療しているのだ。

そしてニュースでは、ホテル・アグスタに現れた二体の超魔を自分達が倒したように報じられていたのだ。

同じような反応をしているフェイト達を尻目に、シャマルは溜め息を吐きつつ話し出す。

 

「・・・・映像は全て、デバイス達やロングアーチの記録した映像を編集して作った物よ。あたかもなのはちゃんとフェイトちゃん、はやてちゃんが会場の超魔という怪物を倒し、シグナムとヴィータちゃんが巨大超魔を倒したようにしているわ。全て、〈北都〉政府や管理局上層部からの命令でね」

 

「・・・・では何故、ザフィーラだけが編集されていないのだ?」

 

シグナムは腸から煮えくり返る怒りを必死に抑えながら問う。報道されている映像の中で、唯一の真実は、ザフィーラが巨大超魔に一撃で地面に叩きつけられた光景だけであった。シャマルは不快感を隠さない顔で返す。

 

「危機的状況の映像もあれば、より緊迫感が増すからって言われているけど。大方、女性は優秀で男性は無能って事をアピールしたい。女尊男卑主義者が多くを占める〈北都〉政府のプロパガンダ目的ね」

 

「・・・・けんな・・・・ふざけんなッッ!!!」

 

ヴィータが近くのテーブルに置かれていたコップを手に取って、力を込めてテレビに向けて投げつける。

が、それを人間形態となったザフィーラが止めた。

 

「やめろヴィータ。テレビに当たり散らした所で何もならん」

 

「ザフィーラ! お前は良いのかよ!? こんな自分だけ無能扱いされるなんてよ!?」

 

「・・・・良い気分などせん。しかし、お前達の方がもっと屈辱的だろう?」

 

『っ!』

 

気遣うようなザフィーラの言葉に、ヴィータだけでなく、なのはとフェイトとシグナムも息を詰まらせた。こんな嘘八百の英雄扱いなんて、ザフィーラのようにはっきりと無能扱いされた方が何倍、否、何十倍もマシである。ザフィーラはそんななのは達の心情を慮ってそう言ってくれているのだ。

と、そんな時、医務室の扉が開き、部隊長のはやてが松葉杖を使い、リィンに支えられながら入ってきた。

 

「皆、見てもうたようやな」

 

『はやて(ちゃん/主)!!』

 

他の皆はまだ超魔にやられた傷が完治していない。しかし、ホテル・アグスタでの事後処理の為に、部隊長のはやてだけはすぐに動かなければならなかったので、重点的に治癒魔法を施されたのだが、それでもまだ完治に至っていない。

はやては、シャマルが持ってきたパイプ椅子に腰掛けて、仲間達を見渡すと頭を下げた。

 

「皆・・・・ほんまに、ごめんな・・・・。こんな、女尊男卑主義者達のプロパガンダに使って・・・・」

 

「はやてちゃん・・・・」

 

「はやて、どうしてこんな事に・・・・?」

 

「・・・・実はな、あの後すぐに、〈北都〉の政府の長坂美尋首相からお達しが来てな。こんな事になってもうたんや」

 

「首相が、ですか・・・・?」

 

「何でそんな・・・・?」

 

「ーーーー首相曰く」

 

【あなた達機動六課は時空管理局の上層部から煙たがれているそうね? もしも真実が公になれば、奴らはあなた達を糾弾してくるわ。ーーーー男は女が少しでも弱味を見せるとそこにつけ入ってくる卑劣な生き物なのだから】

 

「とな」

 

「でも、こんな放送をしても、あの現場を見ていた人達は・・・・」

 

「そっちにも既に手を回しとるようやわ。それに、アリサちゃんやすずかちゃんにも、な・・・・」

 

「アリサちゃん・・・・すずかちゃん・・・・」

 

小学校からの友達二人の名が出て、なのはは顔を俯かせる。

実は、ライディーン達を逃がしてすぐ、アリサ達にこう言われたのだ。

 

【なのは・・・・子供の頃、私がすずかをイジメていて、アンタが私を引っ叩いたわよね? 今のアンタ、あの時の私と同じじゃない・・・・!】

 

【あのライディーンって人達、なのはちゃん達を庇って怪我を負ったんだよ。そんな人達にあんな武器を突きつけるなんて、何か・・・・凄い、嫌だったよ】

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

あの時の二人の責めるような目と言葉が、なのは達の心に突き刺さる。が、ヴィータが口を開く。

 

「・・・・気にすんなよなのは。フェイトにはやても」

 

「ヴィータちゃん・・・・」

 

「お前の判断に間違いはねぇんだ。ライディーンってのも、超魔って怪物共も得体が知れねぇ。そんな奴等に何の警戒心も持たねぇ方が危険だ。なのは達の行動に間違いなんてねぇんだ」

 

「ーーーーあぁ。そうだ。それに、バニングスも月村も、結局口裏を合わせてくれたのですね主?」

 

「・・・・うん。首相が二人に、私達六課が上層部に煙たがられているって事を伝えたら、了承してくれたようや。それと、ウィッチーズとISのあの子(セシリア)の方も、政府の方で手を回したそうや」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

これで時空管理局の面子と、女尊男卑主義者の主張性が高まったと言えよう。仕方ないとは言え、心配をかけさせたくないから秘密にしていた事を暴露にされて、なのは達は複雑な表情を浮かべる。フェイトは話を変えようと声を上げる。

 

「そ、それで・・・・フォワード陣の皆は?あんな目にあって大丈夫なの?」

 

ロングアーチの記録した映像の中に、巨大超魔に踏み潰されそうになったフォワード陣を心配したように言うと、シャマルが口を開いた。

 

「一応、カウンセリングをしているけど、ティアナちゃんとスバルちゃん、そして特にキャロちゃんは、初めて経験した『死の恐怖』に委縮してしまっているわね。暫くは任務に参加させるのは無理よ」

 

言われて納得する。まだ実戦任務に付いて間もない新人が、目の前で高ランク魔導師達が為す術もなく倒され、危うく自分達も殺されそうになったのだ。心に深い傷‹トラウマ›を負ったのは当然と言えよう。しかし、ただ一人だけ名前が挙がっていない事に気付いたフェイトが話しかけた。

 

「? エリオは?」

 

「それがね。エリオくんだけは、問題なかったの。一応精密に検査をしてみたけど、エリオくんは他の三人より精神状態が落ち着いていて、今もトレーニングに勤しんでいるわ。それを見たお陰か、他のメンバーを少しずつトラウマを消化していって、自主練に励んでいるみたいよ」

 

「エリオが・・・・?」

 

フェイトが目を丸くした。キャロと並んで六課で最年少のエリオだけが問題無しな事に、少なからず驚いたのだ、

 

「兎に角や。フォワード陣の方のメンタルケアはシャマルに任せて、なのはちゃん達はゆっくり養生するんやで?」

 

はやての言葉になのは達は頷き、はやてはリィンに支えられながら医務室を出ていった。

そして、なのはは、否、フェイト達もレイジングハートの記録したライディーンの戦いを観る。

自分達を圧倒した超魔を討ち破るその姿を。

 

「(ギリッ)・・・・私だって、リミッターさえ無ければ・・・・!」

 

超魔を、と言うよりもライディーン達を、まるで親の敵のように見据えながら、ボソッとなのはの呟いた。

 

「(??? なのは?)」

 

一瞬、フェイトが訝しそうになのはを見るが、気のせいだと思い、映像に視線を戻した。

 

「「・・・・・・・・」」

 

同じような事を、シグナムとヴィータも感じた事も知らず。

 

 

 

 

 

 

ーはやてsideー

 

「・・・・・・・・」

 

六課の廊下をリィンに支えられながら歩くはやては、ふと自分を支えてくれるリィンに視線を寄越すと、ホテル・アグスタでライディーンに逃げられた時に聞こえた、『懐かしい声』が脳裏に過った。

 

【ーーーー残念と言うか、失望を感じました】

 

その声は、“十年前に消滅した筈の、家族の声”とよく似ていた。

 

「(何で・・・・何であないな事を言ったんや・・・・『リィンフォース』・・・・)」

 

消えた家族からの失望の声を聞いて、はやては唇の端を噛み締めた。

 

 

 

 

 

ー機動六課・FW陣sideー

 

そしてその頃、教導官であるなのはとヴィータが治療中なので自主練に励んでいるFW陣は。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・!」

 

ティアナは今までよりもトレーニングの難易度を上げ、明らかに過度な訓練を続けていた。

そして、通り過ぎる『的』が、巨大超魔に見えた。

 

「っ! ハァァァァァァア!!!」

 

精密性を欠いた射撃が当たる筈もなく、的が通り過ぎていった。

 

「・・・・くっ・・・・!!」

 

ティアナは悔しかった。

『ランスターの弾丸は外れる事ない』と証明したかった。しかし、ミスショットはしてしまうし、巨大超魔に完全に臆して何もできなかった。それを考えれば考える程、自分が情けなくて堪らない。これならまだ自分達を庇って前に出たエリオの方がずっと勇敢だ。ティアナは再び自主練に戻った。

 

「ハァァァァァァ!!」

 

その近くでは、スバルはシャドーボクシングのように、仮想敵に向かって拳と蹴りを繰り出していく。

が、その仮想敵がーーーー巨大超魔へと変貌した。

 

「ーーーーひっ!?」

 

スバルは小さく悲鳴を上げて拳を、否、身体全体を止めてしまう。

 

「・・・・!!」

 

すぐにスバルは、悔しくて歯を噛み締めてしまう。幼い頃の自分は泣き虫で弱虫で、『強い姉』の背中を見て育ってきた。

しかし、空港で大火災に合い、一人炎の中で泣いていた自分を助けてくれたのが、なのはであった。以降は、自分もなのはのようになりたいと思って鍛錬を続けてきたが、あのホテル・アグスタで巨大超魔に遭遇し、副隊長達が呆気なく倒され、その恐ろしさと『死』の恐怖で、自分は腰を抜かして座り込んでしまった。そんな中、エリオだけが果敢に飛び出し、自分達を守ろうとした。ーーーー自分よりも身体は小さい年下の幼いエリオがそれをしたのに、自分は何もできなかった。

 

「ーーーーうあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

スバルは自分を呪いたくなりそうな程に悔しい思いを拳に乗せて、再び仮想敵との戦闘を開始した。

 

「・・・・・・・・」

 

『キュル〜・・・・』

 

そして、キャロだけは未だに自主練に参加していない。

まだ巨大超魔の事がトラウマとなっているようだ。この後シャマルによるカウンセリングがあるが、その前に自主練をしている皆を見てれば、少しは気が晴れると思っていたが、ティアナとスバルはがむしゃらに訓練をしているようにも見えた。

が、そんな中、エリオは・・・・。

 

「・・・・・・・・」

 

少し休憩を挟んで、ティアナやスバルと違い、訓練後の心地よい汗を流してから、スマホに映された動画を観る。

ライディーンが現れてから、ニュースの映像や先日のホテル・アグスタで記録された映像である。

 

「・・・・・・・・良し、頑張ろう!」

 

しきりにライディーンの活躍の映像を見ると、気合いを新たにして訓練を行った。

余裕ゼロで只々がむしゃらに訓練しているティアナとスバルと違い、エリオの方が心に余裕があるように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

〈東都〉のあるマンションの一室。

そこに一人の少年が、壁に掛けられた姿見鏡に映る自分を見据える。別にその少年がナルシストと言う訳ではない。

 

「・・・・・・・・っ!」

 

少年の姿を映す鏡に異変が起こった。突然鏡面に映っていた少年の姿が・・・・『黒いライディーン』となっていたのだ。

目を見開く少年に向かって、ライディーンが声を発した。

 

『既に超魔は復活し、仲間達は次々と覚醒している。お前も私となり、超魔と戦うのだ・・・・』

 

「・・・・私は・・・・私は・・・・!!」

 

『お前は私となるのだ・・・・一ノ瀬トキヤ!』

 

「っ!! 私は、ライディーンにならない!!」

 

ーーーーガシャァァァァンン・・・・。

 

その少年、一ノ瀬トキヤは『黒いライディーン』を殴ると、鏡が砕け、フローリングに刺さったりしながら落ちていった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

トキヤは、どうにもならない感情に苛立ちを感じてならなかった。

 

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