うたの☆超者さまっ♪   作:BREAKERZ

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克服開始

ー翔sideー

 

「えぇっ!? 翔って高所恐怖症だったの?!」

 

「んんん、んな事、ねぇだろ・・・・!」

 

再び人気のない広間に集まった一同に音也が教えると、ララが驚いた声をあげて、一同に背を向けて、ガタガタと小刻みに震えている翔を見た。

 

「これは重症みたい・・・・」

 

「翔、不味くない? 映画、『断崖絶壁の王子さま』だし、ライディーンは飛行するんだよ・・・・」

 

「高い所はいっぱい出るし、高所恐怖症じゃどうにもならないわよ?」

 

「・・・・・・・・」

 

春菜と音也と唯がそう言って、真斗も肩をすくめた。

 

「うぅ、うっせぇな! ここ、これでも何とか、治そうとしてンだよ・・・・!」

 

「(あぁそれで・・・・)」

 

「水くさいです翔ちゃん! どうして僕に相談してくれなかったんですか!?」

 

「・・・・危険だからだよ」

 

「一切危険な事なんかありませんよ~」

 

にこやかな笑みを浮かべる那月だが、翔は嫌な気配しかせず、頭をかく。

 

「その微笑みがすでに危険だーーーーっ!!」

 

「じゃ、皆で協力して治してやろう!」

 

「え?」

 

音也がそう言うと、翔がピタッと止まった。

 

「そしたら、オーディションも受けられるし!」

 

「ライディーンをやる事もできるな」

 

「頑張りましょう」

 

「私も手伝います!」

 

ララと真斗、唯と春菜が協力すると言うと。

 

「面白そうな話をしているね」

 

『ん?』

 

と、ソコでいつの間にか広間にいたレンとアイリも話に加わった。

 

「ライディーンの話には乗らないけど、暇潰しにはなりそうだ。参加させてもらうよ」

 

「応援させていただきます」

 

「よし! じゃあ決まり!」

 

「・・・・・・・・皆が協力してくれるって言うなら、やって見ようかな」

 

が、翔はすぐに後悔した。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・ほ、ほんでいきなり、これかよぉおおおおおおっ!!」

 

克服訓練 その① 最上階からバンジージャンプ

 

「うわうわ! うわわわわわ!!」

 

「ショック療法が一番効くんですよぉ!」

 

翔の後ろで那月が言ってくる。

 

「お、音也くん、良いのかなぁ?」

 

「・・・・多分」

 

「頑張れ翔!!」

 

春菜が不安そうに聞くと、音也も自信なさげにそう答え、ララは応援していた。

 

「うぅ、あぁ、お、押すなよ! おぉ押しなよ! 絶対押しなよお前!!」

 

下を見ると、あまりの高さに目が眩んで叫ぶ翔。しかし、那月は笑顔で無情にもーーーー。

 

「はぁい!」

 

「うぇっ! うわわ! うわぁあ! 無理じゃねぇええええええええええええええええっ!!!」

 

背中を押され、まっ逆さまに落ち、悲鳴を上げる翔。

 

「う~ん。駄目でしたかぁ・・・・」

 

克服訓練 その①ーーーー失敗。

 

 

 

 

克服訓練 その② 高層ビルの窓拭き

 

「落ちる落ちる落ちる!!!」

 

『頑張れー!』

 

克服訓練 その②ーーーー失敗。

 

 

 

 

 

克服訓練 その③ 絶景橋を渡る

 

「何でも言う事聞くからーーーー!!!」

 

「頑張れー!」

 

克服訓練 その③ーーーー失敗。

 

 

 

 

克服訓練 その④ 海賊船の船首

 

「俺が悪かったからーーーー!!!」

 

「頑張れー!」

 

克服訓練 その④ーーーー失敗。

 

 

 

 

 

最終訓練 スカイダイビング

 

「テメエら!! 覚えてろーーーー!!!」

 

最終訓練ーーーー大失敗。

 

 

 

 

 

 

 

そして、訓練の結果は、惨憺たる物だった。

 

「ふへぇ~・・・・死ぃぬ~・・・・高ぇ~・・・・恐ぇ~・・・・死ぬ~・・・・」

 

「・・・・症状、悪化しているように見えるけど」

 

「過激だったかな・・・・」

 

「潮時かな?」

 

ベンチに横になりうなされていた。春菜とアイリがハンカチで仰ぎ、音也がやり過ぎだと思い、レンは諦めようかと思いだした。

 

「いいえ! まだまだ手緩いです! 実は、ロケットを開発している友人がいまして、たぶん1万メートル以上行けば驚かなくなると、言ってました」

 

が、那月はそうは思わないようでキッパリとした顔で恐ろしい事を言い出した。

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」

 

「し、翔!」

 

「落ち着いて来栖君!」

 

悲鳴を上げて顔を真っ赤にする翔の頭に、アイリが水をかけて冷ました。

 

「あぁ・・・・」

 

「翔ちゃん大丈夫?」

 

冷まされ、ベンチの倒れる翔。

 

「(あ! それならヤミちゃんの宇宙船に乗せて上げればいいんじゃないかな?)」

 

「(トドメになるからやめなさい)」

 

ララの提案を唯が止めた。

 

「その話、本当なのか四ノ宮?」

 

「たぶん。でも、翔ちゃんは努力家ですから、何とか克服させてあげたいんです」

 

「(逆に追い詰めているように見えるけどね)」

 

「(言わないであげましょうレン様)」

 

「那月は翔の事をよく知ってるの?」

 

「ええララちゃん。随分昔から、バイオリンコンテストで会ってましたから。いつの間にか二人共、〈ゴッドフェザー〉を宿していました。この学園に通う事は知りませんでしたけど」

 

「でも、翔ってどうして高所恐怖症になったんだろう?」

 

「過去に、何か恐ろしい思いをしたとか・・・・」

 

「えっ? それって・・・・」

 

ーーーーハハハハハハハのハ! ハハハハハハハのハ! ハハハハハハハのハ!!

 

真斗と音也がそう話していると、突然の笑い声が響き。

 

「へぇ~い!」

 

『うわぁあああああああ!!』

 

そしてまた突如、ベンチの後ろから、シャイニング・早乙女がニュッと出てきた。

 

「が、学園長いつの間に!?」

 

「そう言う訳の分からない登場をしているから、ヤミちゃんに妖怪扱いされるんですよ!」

 

「ふっ~! 精進する生徒の悩みを聞くのも! ミーの役目!」

 

唯の訴えを無視して、早乙女は翔を抱き上げる。

 

「ミスター・来栖!」

 

「えっ!? な、なんだよっ!?」

 

「大丈V! 安心してアモーレ!」

 

漸く元に戻った翔は、早乙女の笑みに別のイヤな予感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜。学園長室にて。

蝋燭一本の灯りが部屋を照らし、学園長の向かい側のソファに座る翔に、催眠術をかけようとしたが、

 

「ハァ~イ、眠りましたね?」

 

「全然! こんなんで眠くなる訳ねぇだろ! 冗談じゃねえよ! たくっ! ふざけるなよ! 大体ぐぅ・・・・」

 

「あ、寝た」

 

「ソォ~レソレソレ眠くなりました。これからユーの記憶はどんどん過去に戻って行きま~す。ユーは今3歳、観覧車に乗ってま~す。高~い所は超こわ~い、ですかぁ?」

 

「・・・・恐く、ねえよ、面白ぇよ」

 

「ハァ~イ。では今4歳・・・・」

 

「・・・・面白ぇよ」

 

「OK。では今5歳・・・・」

 

「・・・・・・・・う、うぅぅぅ」

 

と、ここで翔が苦しみ出す。

 

「観覧車は面白いですかぁ?」

 

「ーーーーくああああああ!!!」

 

『えっ?』

 

突然翔が悲鳴を上げた。

 

「どうしましたぁ?」

 

「恐ぇよぉおおおお! やめろぉおおおおお!!」

 

「ワッツハップン?」

 

「だから、追いかけて来るなっつってんだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

翔の脳裏に、恐ろしい記憶が甦った。それは5歳の頃ーーーー。

 

 

 

* * *

 

 

 

【やめろー! 来るなー!】

 

螺旋階段の塔を登りながら、5歳の翔はある存在から逃げていた。

それはーーーー5歳の頃の、那月だった。

 

【アハハハハハ!! ちっちゃくてカワいい翔ちゃん! 待ってぇ~!!】

 

【やめろ! 追いかけてくんな!!】

 

【アハハハハハ!! 翔ちゃ~ん!】

 

【うっ、うぅっ・・・・!】

 

虫取り網を振り回して笑い声をあげながら翔を追いかける那月。翔にはそれがあまりにも恐ろしくて、必死に逃げていた。

しかし、頂上の扉が開いており、そこから先の道がなく、地上が見下ろせており、追い詰められてしまった。

 

【ひ、ひぃいいい!】

 

【はぁ、翔ちゃん以外と体力ありますねぇ。この辺でやめましょう】

 

そう言って、那月がゆっくりと近づく。

 

【うああああ!】

 

【あ! 翔ちゃん!!】

 

翔が一歩後ずさると、足場が無く、まっ逆さまに落ちて行く。

その時ーーーー二枚の羽が翔と那月に近づき、

 

【うわああああああああ!!】

 

【翔ちゃーーーーん!!】

 

落ちそうになる翔の手を那月が握った瞬間、二人の左手に羽、〈ゴッドフェザー〉が宿り、光り輝くとーーーー。

 

 

 

 

 

【【・・・・えっ?】】

 

翔と那月の身体が、桃色と黄色の鳥人間、〈ライディーン〉へと変身していた。そして翔が空振りしている足元を見ると、地上数百メートルの高さに来ていた。

 

【・・・・た、たけぇえええええ!! こぇえええええええ!! 死ぬぅうううううううううう!!!】

 

【あ、翔ちゃん!】

 

そう叫んで、翔が変身した〈ライディーン〉は遮二無二に飛び回り、那月が変身した〈ライディーン〉もその後を追い、自宅近くに着地、いや、落下する翔と着地した那月も変身が解除され、気絶した翔を担いで、家にコッソリと家に入っていった。

 

 

 

* * *

 

 

 

 

「ーーーーハッ!・・・・な~つ~き~!! 犯人はお前かぁーっ!」

 

「えっ?」

 

意識が戻った翔は那月に掴みかかる。

ソコで那月も思い出したのか、

 

「ーーーーあぁ、そう言えばそんな事もあったと・・・・ん?」

 

「じゃなくね、有ったんだよぉ~・・・・!!」

 

呑気に笑みを浮かべる那月だが、翔の怒気に満ちた顔を見て、汗を流すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

そしてその翌日の昼。

ここは『北都』にある日本有数の衛星ネットワークテレビ局、〈SKネットワーク〉。

その会長である老人、『神無聖月<カンナ セイゲツ>』のオフィスに、突然目映い光が出現すると、ソコからーーーールーシュ・デ・モンが現れた。

 

「な、何だ!? お前達は!?」

 

『〈SKネットワーク〉会長、神無聖月。お前の望みは、全世界のメディア産業をその手で牛耳る事』

 

「な、なぜそれを・・・・!?」

 

『私と手を組めば、その野望を実現させてやる』

 

ルーシュの瞳が怪しく光ると、神無聖月は唖然としてその瞳を見据えていた。

ルーシュはゆっくりと近づくと、神無聖月の身体に、入り込んだ。

 

「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」

 

神無聖月の悲鳴が響くが、既にこの部屋はルーシュによって結界が張られ、外にも音が漏れず、カメラにも映らなかった。

そして悲鳴が止まると、年老いた神無聖月の身体が若返り、いや、若返った処か、全く別の人間へと変わっていった。

 

「・・・・・・・・」

 

その姿は美しくも妖しい魅力を放つ冷酷な雰囲気の美男子。ルーシュと同じ容姿をした人間に、いや、ルーシュが人間へと変貌したのだ。

 

「・・・・ふん」

 

ルーシュは会社のネットワークを使って、『ゾディアックオーブ』の行方を探ると、『東都』にある『東都中央病院』の院長が、珍しい宝石を手に入れたと言う情報を見つけた。

 

「『ゾディアックオーブ』はこれかも知れんな。・・・・行け『サラマンダー』。人間共の恐怖を煽り、オーブを見つけるのだ」

 

ルーシュがそうつぶやくと、自分の影から、炎を纏ったトカゲの怪物、『超魔サラマンダー』が現れた。

 

『ヒヒヒヒ! お任せくださいルーシュ・デ・モン様。ヒヒヒヒ!』

 

「これも持っていけ」

 

そう答えると、ルーシュは『生物の骨』を渡した。そして『サラマンダー』は自らを炎に包まみ、部屋から消えていった。

 

 

 

ー音也sideー

 

そしてその日の放課後。高所恐怖症を克服できたお礼として、翔が皆に夕飯を奢ると言って、外で外食に出掛けた一同が、『東都中央病院』の近くを通りかかったその時ーーーー。

 

ドガァァァァァァァァァァァァンン!!

 

『っっ!!?』

 

何と、病院の一部が爆発し、火事が起こった。

 

「っ! 音也アレ!!」

 

ララが空を指差し、音也達がその方向を見ると、病院地殻の建物の上から『トカゲのような怪物』が、病院に向けて炎の玉を吐き出していた。

 

「まさか!」

 

「『超魔』!!」

 

「あれが!?」

 

音也と真斗の言葉に、はじめまして超魔と遭遇した翔達が、驚きの声を上げた。

 

「一十木!」

 

「うん! こっちに! ララ達は、逃げてきた人達の避難誘導をお願い!」

 

ララ達が頷くと、音也と真斗が人気のない路地裏に入り込み、人がいないのを確認すると。

 

「「超者・降臨!!」」

 

音也と真斗がライディーンイーグルとライディーンホークへと変身すると、超魔へと向かった。

 

『っ! ライディーン! 現れたか!?』

 

「超魔! 何故病院を攻撃するっ!?」

 

『我は『超魔・サラマンダー』! 我らの“目的の代物”があそこにあるのでな。ついでに人間共を恐怖で震わせてやっているのだ』

 

「非道な・・・・! 許さんぞ超魔!」

 

イーグルとホークが、イーグルソードとホークフレイルを構えると、サラマンダーは『生物の骨』を取り出すと、それを掴んで砕く。砕けた破片が光り、人間大の大きさをした、異形の骨の怪物へと変貌した。

 

「これは!」

 

『ヒヒヒヒ! これは『スケルトン兵』。我ら超魔の尖兵なり! 行けっ!!』

 

『カタカタカタカタカタカタ!!』

 

スケルトン兵がイーグルとホークに向かった。

 

 

 

ー翔sideー

 

「手伝うぜ!」

 

「皆! 落ち着いて!」

 

「こっちです!」

 

「大丈夫ですから!」

 

「慌てないでください!」

 

「ほら、ここまで来れば安全だよ!」

 

「もう大丈夫です!」

 

ララ達が避難してきた医者や看護師や患者達の避難を手伝っていると、不意に1人の看護師が慌てて周囲を見ているのを翔が気づいた。

 

「どうしたんですか!?」

 

「あっ、女の子の患者さんが、1人足りないです!」

 

「何だって!? その子は何処の病室にいるんだ!?」

 

「あ、あそこの病室に・・・・!」

 

看護師が指差した病室は、丁度火が広がっている階だった。

消防が来るまで、まだ時間が掛かりそうだと思った翔は、

 

「その女の子の名前は!?」

 

「えっ?」

 

「早く! その子の名前は!?」

 

「ク、『クリスティアーネ・バルクホルン』ちゃんよ」

 

「良し、分かった!」

 

そう言って、翔は病院に向かって走り出して行った。




この世界のクリスは意識を失わず、怪我をして入院していたと言う設定です。
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