ー音也sideー
「たぁっ!!」
イーグルがソードでスケルトン兵を一刀両断していき。
「はぁっ!!」
ホークが二つのフレイルを直結させて長い棒状の棍にすると、スケルトン兵を大振りに回して粉砕していく。
それを見て、サラマンダーが下卑た笑い声を上げる。
『ヒヒヒヒヒヒ。流石はライディーン。スケルトン兵では相手にならないか』
そう言ってサラマンダーは、建物の下、病院から避難してくる人達と、誘導しているララ達を見下ろした。
『それじゃぁ、これはどうだーーーースケルトン兵! 下の人間共を襲えっ!!』
「「なっ!?」」
サラマンダーがそう命令すると、スケルトン兵達は屋上から降りると、他の人に助けてもらいながら避難する患者、傷を受けている患者達。
車椅子を後ろから押してもらいながら避難する患者達。
その人達を避難させようも誘導しているララと春菜と唯、那月とレンとアイリ。
「きゃあああああああああ!!」
「うわぁああああああああ!!」
下から、避難者達の悲鳴が聞こえてきた。
「まずい!」
「貴様!」
ホークが、サラマンダーに向かってホークフレイルを振りかぶる。
サラマンダーはそれを見ると、下顎をボコッ! と膨れ上がり、
『ヒヒヒヒヒヒ! カァアア!!』
「うぉああああああああああ!」
「ホーク!」
サラマンダーの口から吐き出された火炎玉が、ホークの身体を包み込んだ。イーグルが駆け寄ろうとするが、
「俺に構うなイーグル! 下の皆を守れ!」
「だけど!」
「急げ! デビルークに西連寺に古手川が危ないんだぞ!」
「っ! ホーク! 頼んだぞ!」
イーグルがそう言うと、下に向かって飛び降りた。
「ーーーーはぁあっ!!」
それを確認したホークが気合いを入れると、身体を包んだ炎をかき消した。
『ヒヒヒヒヒヒ。やるねぇ! だか、俺の目的はお前を倒す事じゃないんでな!』
サラマンダーは異形の骨を取り出して砕き、下にばら蒔くと、砕かれた骨がスケルトン兵に変化し、避難者達に襲いかかる。
「おのれ!」
『じゃぁな!』
ホークが睨むと、サラマンダーは身体を炎に包み、炎が小さくなって鎮火すると、その場から姿を消した。
「くっ・・・・!」
逃げられた事に歯噛みするホークは、イーグルの加勢に向かった。
ー翔sideー
「おーい! クリスティアーネちゃん!」
翔は火事の煙を吸わないようにハンカチを口元に当てながら、クリスティアーネ・バルクホルンを探していた。
「けほっ、けほっ・・・・大分火も近づいてきたな」
病院内は煙が充満し、今にも火の手も来そうになっていた。しかし、翔はクリスティアーネを探し続ける。
「おぉーい! クリスティアーネ・バルクホルンちゃーん!!」
ーーーーけほっ、けほっ・・・・。
「っ!」
女の子の咳をする声が聞こえた翔が駆けつけると、病室の廊下の片隅で壁に寄りかかっている女の子がいた。
「クリスティアーネちゃん!」
「っ! だ、誰・・・・?」
クリスティアーネと呼ばれた女の子が翔を見上げると、翔は笑みを浮かべる。
「大丈夫だぜ。俺はお前を助けに来たんだ」
「私を・・・・?」
「ああ!」
ゴォオオオオオオオオオオオ!!
「「っっ!!」」
と、ソコで翔の来た道を炎が蹂躙した。
「・・・・! お、お姉ちゃん・・・・!」
クリスティアーネは脅えて、涙を浮かべて姉の名前は呟いた。翔はその姿に、病弱だった自分と重ね、自分の被っていた帽子を、クリスティアーネに被せた。
「?」
「大丈夫だ。俺が必ず、お前を守って見せるからな!」
笑みを浮かべる翔を見て、クリスティアーネはジッと見つめる。
翔は自分の左手に宿る〈ゴットフェザー〉を一瞥してから、クリスティアーネに言う。
「クリスティアーネちゃん」
「クリス・・・・」
「えっ?」
「クリスって言うの・・・・」
「良し。んじゃクリス! 必ず守ってみせるぜ!」
翔は左手を掲げて叫ぶ。
「男気全開だぁーッ! 超者・降臨っ!!!」
そう叫んだ瞬間、翔の身体は鋼鉄に包まれた。
「うおおおおおおおおおっ!!!」
身体を鋼鉄に包まれ、それが砕けると、風が巻き起こり、廊下を覆っていた炎を吹き飛ばし、桃色の鋼の鎧を纏い、背中に桃色の鋼の翼を羽ばたかせ、顔にはバイザーを付けた、風のライディーン戦士ーーーー〈ライディーンファルコン〉に変身した。
「て、天使様・・・・?」
背中から翼を広げて立ち上がったライディーンファルコンの姿が、クリスには絵本に出てくる天使様に見えた。
ーサラマンダーsideー
『ヒヒヒヒヒヒ。見つけたぁ!』
サラマンダーは院長室に置かれた宝玉、〈ソディアックオーブ〉を見つけて、それを手に取ったその時ーーーー。
ビュォオオオオオオオオオオオオオオ!!
『ヒヒッ!?』
突然の突風に身体を揺らされ、〈ソディアックオーブ〉を床に落としーーーー。
バリィイイイイインン!
床に落下した〈ソディアックオーブ〉は、粉々に砕けてしまった。
『ヒッ!? な、なんだとぉ!? 〈ソディアックオーブ〉がこの程度で砕けるなど・・・・っ!』
サラマンダーが砕けた〈ソディアックオーブ〉を改めて良く見ると。
『こ、これは、〈ソディアックオーブ〉じゃない! 真っ赤な偽物だっ!!』
ーララsideー
「つぁっ!!」
「とぉっ!」
ララ達が病院の医師や事務員、患者と言った避難者達と一緒に、スケルトン兵を倒していくイーグルとホークを見ていた。
「お姉ちゃん・・・・あれ、なに?」
幼い男の子が、イーグルとホークを指差してそう言うと、ララは庇いながら言葉を発する。
「あれはね、ライディーンだよ」
「ライディーン・・・・?」
「そう。私達を守ってくれるヒーロー! ライディーンだよ!」
ララがライディーン達をそう教えると同時に、ライディーン達の目の前に、突如炎が現れ、その中から顔をうつ向かせたトカゲの怪物、サラマンダーが現れた。
ーイーグルsideー
「っ! サラマンダー!」
『ヒヒヒヒヒヒ。目的の物は、手に入らなかった、これでは“ルーシュ様”に殺されるなぁ・・・・』
「? “ルーシュ”・・・・?」
サラマンダーの言葉を訝しそうに見るライディーン達に、向けてギッ! と、睨む。
『こうなったらせめて! 貴様らライディーンを抹殺してくれるわぁ!!』
サラマンダーはそう言って、下顎を膨らませると、火炎玉を吐き出して攻撃した。
「うわっ!」
「くっ!」
イーグルとホークが回避するが、スケルトン兵達が巻き込まれて燃やされる。
『ヒヒヒヒヒヒ。逃げるのがお上手で・・・・だが、これならどうだっ!』
サラマンダーがターゲットをララ達に向けて、火炎玉を放った。
「危ない!」
「っ!」
那月とレンが、思わず前に出てバッと両手を広げて盾になろうとした。
「四ノ宮くん!」
「レン様!」
春菜とアイリの声が同時に響き、火炎玉が二人に当たる寸前ーーーー。
「くっ! うあああああああああ!!」
「っ! イーグル!」
「イーグルくん!」
イーグルが二人に迫る火炎玉を、自らが盾になって浴びた。
『ヒヒヒヒヒヒ!! 燃えろ燃えろ! 灰になってしまえ!』
と、ソコでーーーー。
ビュゥウウウウウウウウウ!!
イーグルを包んでいた炎が突然の突風で吹き消された。炎の中からほぼ無傷のイーグルが周りを訝しそうに見る。
「こ、これは・・・・!」
「無事かイーグル!?」
イーグル達に頭上から、小さな女の子を抱き抱えたピンクのライディーンが現れた。
「き、君は・・・・!」
「ファルコン! ライディーンファルコンなのかっ!?」
「ああ!」
ファルコンは、抱き抱えていた少女、クリスを那月に渡す。
「ーーーーこの子を頼む」
「は、はい!」
一瞬那月の名前を呼びそうになったが、言わずに渡すと、イーグルとホークと並ぶファルコン。
「「「っ!」」」
『ヒヒヒヒヒヒ! こうなったら、やってやるっ!』
シュビッ、と構えるライディーン戦士を見て、サラマンダーの身体が光ると、巨大な蜥蜴の怪物へと変貌した。
「行こう! ホーク! ファルコン!」
「「ああ!」」
三人が一斉に飛び出す。
『ヒャアアアアアアアアアア!!』
サラマンダーが火炎放射を放ち、イーグルがそれを受け止める。
「うおおおおおおおおおおおお!」
『何っ!?』
「ホーク! ファルコン!」
「はぁああ!!」
「たぁああ!!」
『ヒグァアッ!!』
ホークとファルコンが雷と風を纏った拳を、サラマンダーの両脇に叩き込む。
「おおおおおお!!」
イーグルがソードでサラマンダーの眉間を斬る。
『ヒギャァァァァァァァァァ!!』
「りゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ホークがフレイルを横腹に叩き込む。
『ヒグェエエエエエエエエエ!!』
サラマンダーは悲鳴を上げると、再び下顎を膨らませ、火炎を放った。
「これで終わりだっ! 『ファルコンアロー』!!」
ホークが腕から風を巻き上げると、弓矢を装備していた。
ライディーンファルコン専用の武器、『ファルコンアロー』だ。
「必殺必中! 『ファルコンサイクロン』!!」
風を集めて放たれる一射が、火炎を突き抜け、サラマンダーを貫いた。
『ヒギャァァァァァァァァァ!!』
ーーーードガァアアアアアアアアアアンン!!!
悲鳴を上げるサラマンダーが爆散した。
「「「・・・・・・・・」」」
ライディーン達は振り向いて、ララ達に向かってサムズアップをした。
ーーーー・・・・ワァアアアアアアアアアア!!!
それを見て、人々が大喝采をあげた。
ファルコンはクリスの方に顔を向けると、人差し指を口に立てた。まるで、俺の正体は秘密だぜ? とジェスチャーするように。
「ぁ・・・・うん!」
クリスもその意図が分かったのか、翔から貰った帽子を大事そうに持って、笑みを浮かべながら同じようにジェスチャーして返して頷いた。
「「「は!」」」
ライディーン達は空の彼方に飛んで行った。
それはまさに、邪悪を撃ち破り、天に帰っていく天使のようにーーーー。
余談だが、三人はコッソリ寮の自室に戻って、予備の制服を着たのであった。
ークリスsideー
ライディーン達が空に去り、ララ達がいつの間にか姿を消し、消防や警察や報道や野次馬が病院前に溢れる中、空から声が響いた。
「クリスーーーー!!!!」
「あ、お姉ちゃん」
クリスが空を見上げると、『南都』で人類の脅威にして侵略者、『ネウロイ』と戦っている『ウィッチ』であり、クリスの姉である『ゲルトルート・バルクホルン』がストライカーユニットを装備してやって来た。
バルクホルンはクリスを抱き締める。
「良かった! 怪我はないかっ!? お前のいる病院が火災が起こって、さらに怪物が現れたとニュースでやっていて、駆けつけたのだ!」
「もう、大丈夫だよお姉ちゃん。だってーーーー天使様が来てくれたんだよ!」
「天使、様・・・・?」
「うん!」
クリスは持っていた帽子を被って、ニッコリと満面の笑顔を浮かべたのであった。
ールーシュsideー
『ル、ルーシュ様・・・・!』
〈SKネットワーク〉の会長室にいるルーシュに、ボロボロの状態のサラマンダーが戻ってきた。
「サラマンダー。『ソディアックオーブ』はどうした?」
『そ、それが・・・・『ソディアックオーブ』は紛い物でした、ただの石ころだったのです・・・・!』
「そうか。だが、ライディーンが現れたそうだな? しかも、新たなライディーンまで」
『ヒッ!』
もう情報が来ていたようで、巨大化したサラマンダーと三人のライディーン戦士の戦いが、テレビに映し出されていた。
『そ、それは・・・・』
「『ソディアックオーブ』を見つけられず、ライディーンを始末する事もできないとはーーーー役立たずめ!」
『ヒギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
ルーシュの人差し指から放たれた黒い稲妻が、サラマンダーを消滅させた。
「『ソディアックオーブ』・・・・必ず見つけてみせる。そして、ライディーン戦士共は既に何人も覚醒を始めているようだな・・・・」
サラマンダーへの感心はまったく無くなり、ルーシュは『ソディアックオーブ』の情報を集めていた。
ー翔sideー
そしてその翌日の早乙女学園中庭でーーーー。
「えぇっ! オーディションを受けない!?」
「な、何で!?」
「高所恐怖症は治り、ライディーン戦士としても覚醒できた」
「万々歳でオーディションに挑める筈なのに!?」
音也と春菜、真斗と唯がそう言うと、俯いていた翔が震える声でページを指差す。
「しょうがねぇだろう・・・・ここ見ろよ! ここ!!」
指差したページには、『女性のみ応募』と小さく記されていた。
「って、女の子だけだったんだね・・・・」
「しかもこんな小さな字で・・・・」
レンとアイリが苦笑いを浮かべた。
「はぁ、龍也さんと共演できると思ったのに・・・・」
「大丈夫ですよ! 翔ちゃ~ん!!」
「んん!?」
落胆する翔の耳に、那月の声が聞こえてそっちに振り向くとーーーー如何にも女の子が着そうなフリルの付いたピンクのドレスを掲げた那月が寄ってきた。
「僕に! 任せて! 下さ~い!!」
「ま、まさか・・・・! うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
そして、凄まじくイヤな予感がした翔は、長髪にリボンを着けたウィッグを被り、那月が持ってきたドレスを無理矢理着せられ、それはもう見事なーーーー女の子へと変身した。
「翔ちゃん可愛いです!」
「ホントだ! 翔可愛い!」
「確かにカワイイね・・・・」
「これはこれでありかしら?」
スマホで写真に収める那月だけでなく、ララや春菜と唯も肯定的だった。音也に真斗、レンとアイリもほぅ、と息を漏らした。
「いい加減にしろ! こんな事で「おお! 凄い!」えっ? ・・・・っ、り、龍也先生・・・・!?」
怒りが爆発しそうだった翔に、ランニング中の日向龍也先生が話しかけた。
「妹キャラにピッタリだ! 名前は?」
「し、翔です・・・・」
「オーディション受けろよ、『翔子ちゃん』!」
「っっっ!!!??? し、『翔子ちゃん』・・・・!!」
親指立てて笑みを浮かべて言った龍也先生の台詞に、翔は、イヤ、翔子ちゃんは、両膝をついて、四つん這いになって項垂れた。
「う、うぅ・・・・!」
「良かったですね翔ちゃん!!」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
喜びながら塩を塗り込む那月、真斗とレンとアイリは、無言でその場を去った。
「音也くん、これって・・・・」
「新しいトラウマを作ったんじゃ・・・・」
「・・・・・・・・多分」
「翔! オーディション頑張って!」
「うぅ、うぅぅぅぅ・・・・!!」
春菜と唯が苦笑いを浮かべてそう言うと、音也も苦笑いを浮かべ、ララだけが声援を送っていた
ーシャイニングsideー
「それでシャイニン。新たなライディーン戦士も覚醒したわよ」
シャイニング早乙女に話しかけるのは、オレンジ色の長髪をした女性の格好をした男性、『月宮林檎』。音也達のクラスの担任であり、現役アイドルである。
「フフフのフ。これでライディーン戦士も揃ってきましたねんねん」
「他にも“三人”ほどいるけど、今のところ覚醒、と言うよりも、戦士として戦う決意が無いみたいよ」
「ノープログレム。彼らにも“戦士の魂”があるならば、時が来れば自ずと覚醒するでしょう」
「そうかしら?」
「それで、次の休日に彼らに行って貰いたい場所はーーーー『南都』です」
その言葉に、林檎は眉根を寄せた。
「『南都』・・・・? それって、あの子達に〈ネウロイ〉と戦えって言うの!?」
「〈ネウロイ〉だけではありません。彼らの敵、『超魔』の目的が分かるかも知れませんせん」
「っ、それって・・・・」
「行けば分かりマンモス」
そう言って、シャイニング早乙女は、透き通るような青空を見上げてそう言った。