黒の剣士と白い悪魔 リメイク   作:雪染遊真

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久しぶりです
今回はプログレッシブの幕間です
少し展開を変えました


幕間
おヒゲの理由


 

 

 

アインクラッド第2層主街区<ウルバス>は、直径300メートルほどのテーブルマウンテンを、外周部だけ残してまるごと掘り抜いた街だ。

南のゲートから長いに入ると、視界に「INNER AREA」の表示が浮かび、スローテンポな街区BGMが耳に届いた。弦楽器が主役だった1層各街の音楽とは異なり、哀愁を帯びたオーボエが主旋律を奏でている。通りを行き交うNPCの服装も微妙に意匠が変わっていて「新しい層に来たんだ」という思いを新たにさせる

 

「……だいぶ歩くんだね」

 

「まぁな、フロアボス攻略後の醍醐味だよ、フロアボス倒したら毎回こんな感じだぞ?」

 

キリトがアスナの質問に応える、先ほど第1層のフロアボス<イルファング・ザ・コボルドロード>を倒してからまだ40分ほど経っている、だが今この第2層にいるプレイヤーはまだ俺達6人だけだ。しばらく歩きウルバスの中央に設置された大型の門に歩み寄った。

 

「とりあえず、転移門を開放したらあの教会みたいな家までダッシュな」

 

「了解、んじゃまぁ開放するか」

 

キリトがそう言いカゲ先輩が門の揺れる透明なベールにゆっくり 右手を伸ばし垂直に広がる水面に触れると鮮やかなブルーの光が溢れ、俺達の視界を染め上げた。俺達は事前に見繕っておいた、教会風の建物へ猛ダッシュ。3階の部屋に着き全員で一息つく………いや

 

「…………これ全員走る必要無かったんじゃね?」三3三

 

「あ………」

 

全員がそう言えばそうじゃんというような顔になる

………いや、何も考えて無かったのか

 

「……おいおい………ん?」

 

俺が呆れながら窓から外を見ていると見知った金褐色の巻き毛と地味なレザー装備のプレイヤーが西の通りに向かって走って行く

 

「どうした、ユーマ?……ああ?あれアルゴじゃねぇか?」

 

「何か追われてるみたいだね、あれ」

 

フィリアがアルゴの後方を指差しているのでそちらを見ると、男2人がアルゴを追いかけている

 

「……一応追いかけるか?」

 

「ああ、流石にフレンドだからな……ほっとけない」

 

カゲさんが聞くとキリトは頷きアルゴを追跡スキルで追うことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………んども言ってるダロ!この情報だけは、幾ら積まれても売らないんダ!」

 

アルゴを追いかけ、ウルバス西平原に向かった俺たちは小型の岩山二つに挟まれた谷の奥から、聞き覚えのある声が響いてきた。

 

「情報を独占する気はない。しかし公開するつもりも無い。それでは値段の吊り上げを狙っているとしか思えないでござるぞ!」

 

「………ござる?」

 

「いや、忍者かな?…………」

 

俺とミトが目を合わせて眉を寄せているとキリト達は先に傍らにあった岩壁を登り始めていたので俺とミトも急いで同じように登り始める。

5メートルほど登るとテラス状の狭い平面があり俺たちはその上を四つん這いで進む……あ

 

「ん?どうした?ユーマ?」

 

俺が急に止まったのを疑問に思ったカゲ先輩が俺に小声で聞いてくる

 

「いや……あのこの体制だと、見えてはいけないものが見えてしまいそうに……」

 

「…………ああ、そういう事かキリトの後ろのアスナはともかくフィリアとミトは短パンだから大丈夫だろ」

 

「いや、その、隙間からちょっとだけ見えかけたっていうか……普通見えないもんだろこれ……」

 

俺がぶつぶつ言っているとカゲ先輩も少し固まる

 

「………よし、この事は墓場まで持って行こう、俺もしばかれたくねぇからな、黙っとけ」

 

「………了解」

 

アクシデントもあったがやり合っている声の発生源の真上あたりまで来る

 

「値段の問題じゃないヨ!オイラは情報を売った挙げ句に恨まれるのはゴメンだって言ってるンダ!!」

 

その台詞に対して、2人目の男の声が言い返す。

 

「なぜ拙者たちが貴様を恨むのだ!?金も言い値で払うし感謝もすると言っているでござる!!この層に隠された……<エクストラスキル>獲得クエストの情報を売ってくれればな!!」

 

「………エクストラスキル?何だそれ」

 

疑問を小声で呟くと聞こえていたようでミトが答えてくれる

 

「簡単に言えば特殊な条件を満たすと出現する言わば隠しスキルね、β時代だと確か<瞑想>スキルだけだったけど……聞いた感じ他にもあるのかしらね?」

 

「へぇ、じゃさっきのボスが使ってたカタナもエクストラスキルかな?」

 

「そうかもね」

 

俺の横にいるミトがそう答え下をみるので俺も視線を下にもどすと、男たちの声のボリュームが増した。

 

「今日という今日は、絶対に引き下がらないでござる!」

 

「あのエクストラスキルは、拙者たちが完成するために絶対必要なのでござる!」

 

「わっかんない奴らだナー!何と言われようとあれの情報は売らないでゴザ……じゃない、売らないんダヨ!!」

 

いや口調若干うつってるじゃん……と思っているとキリトが下に降りるという合図をしたのでキリトに合わせて下に飛び降りる

 

「何者でござる!?」

 

「他藩の透波か!?」

 

「……いや、まじで忍者じゃん…」

 

同時に叫ぶ男達の格好を見て俺はそい呟いてしまった

 

「えーと、えーっと……あんたら確か、ふ、ふー……フードじゃなくてフーガ、でもなくて……」

 

「それ、もしかしてフウマじゃねぇの?」

 

キリトが記憶をたどりながら喋っているとカゲ先輩がフォローを入れるとその2人組の男たちは肯定の反応をみせる

 

「そう、フウマでござる!!」

 

「ギルド<風魔忍軍>のコタローとイスケとは拙者たちのことでござる!!」

 

「そう、それ!」

 

記憶が正常に補完された満足感からか、キリトは右手の指をパチンと鳴らした。

 

「……うわぁ」

 

「あ、あはは……」

 

アスナとフィリアはイタイ人を見るような目でその<風魔忍軍>の2人を見る……いや気持ちはわかるけども、そうしているとキリトがアルゴを自分の後ろに下がらせると背中に吊った愛剣の柄に指を走らせながら喋る

 

「公儀の隠密としては、風魔忍者の悪行は見過ごせないな」

 

途端。コタローとイスケという2人のプレイヤーの両眼が揃って光った………ように見えた

 

「「おのれ、きさま伊賀者かッ!!」」

 

「は!?」

 

どうやらキリトがテキトーなノリで発した台詞は彼らの重要なスイッチを押してしまったらしい、2人が背中の忍者刀(のつもりの小型シミター)へと伸び始める、プレイヤー同士だとヤバい事になるんじゃと思っていると、事態の解決は、思わぬ方向からもたらされた。

 

「あー、お前たち後ろ」

 

「「その手は喰わないでござる!」」

 

「いや、何の手でもないよ、後ろ見てみ?」

 

2人組の忍者は俺の声を聞いて2人揃って後ろを見るとぴょーんと軽く飛び上がった。なぜなら後ろにでかい牛型モンスターがいたからである

 

「ブモオォォーーーッ!!」

 

牛が吠え、

 

「「ごっ……ござるうぅぅッ!!」

 

忍者の悲鳴が続いた。直後忍者達は街方向に走り始めた、何とか事態は収まったなー、何て思っているとアルゴがキリトに後ろから抱きついた

 

「……かっこつけすぎだヨ、キー坊」

 

何かいつもより何割増しか女が含まれているような声で囁いていた

 

「そんなコトされると、オネーサン、情報屋のオキテ第一条を破りそうになっちゃうじゃないカ」

 

キリトは少し固まった後、反応する

 

「……あんたには、一つ貸しがあるからな。おヒゲの理由を教えてもらうまでは、どうにかなってもらっちゃ困る」

 

おー、前に比べて対人スキルが付いたなぁ、なんて思っていると、横で若干不貞腐れてるようなアスナの表情が見えた、?………あーそういう……

 

「………いいヨ、教えてあゲル。でもちょっと待って、ペイントを取るカラ………」

 

アルゴが先ほどと同じような声で喋ると何か嫌な予感がよぎったのかアルゴの体が離れる前にキリトは即座に叫んでいた

 

「……と思ったけど、やっぱ教えてもらう情報変更!さっきあいつらと話してた、この層の隠しスキルのこと教えて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ここか?」

 

あの後絶対に恨まない事を約束し、そのクエストを受けられる小屋についた、キリトの問いに、アルゴは頷くと躊躇せず小屋に歩み寄り、勢いよく扉を開け放つ。中には髭をたくわえた初老の大男だった、頭上には金色の<!>マーク。クエスト開始点である証だ。

 

「アイツが、エクストラスキル<体術>をくれるNPCだヨ。オイラの提供する情報はここまで。クエを受けるかどうかはキー坊たちが決めるんダナ」

 

「へぇ………体術か」

 

「ユーマにピッタリじゃない」

 

俺とミトがそう会話していると、アルゴは若干呆れたような表情で同じように頷く

 

「ああ、オイラもそう思うヨ」

 

「んで、何で恨まないって俺らに約束させたんだよ」

 

「その情報を売ると、売った相手に恨まれるから、って言う事じゃないの?」

 

 

カゲ先輩がそう言うと、珍しくアスナが意見を言うとアルゴが首を振る

 

「情報を売った売られたの恨みなんか、3日寝れば忘れるサ!でも、こいつは違うんダ!へたすると。一生続くんだヨ………」

 

「いや3日で忘れるって………」

 

「……情報屋って大変なんだな」

 

ミトが呆れた声でそう呟き、俺はアルゴに同情していた

 

「ま、まぁ、こっから先は、我が身で体感してみるしかないわけだ。いいぜ、約束する。どんな結果になっても、お前を恨まねぇよ」

 

若干いたたまれない空気になりかけた所をカゲ先輩が話しを戻し、クエストの話しへと進む

 

「入門希望者か?」

 

「……そうだ」

 

「修行の道は長く険しいぞ?」

 

「望むところだな」三3三

 

短い問答を終えると、視界にクエスト受領ログが流れた。オッサン改め師匠が俺たちを、連れて行ったのは、小屋の外、岩壁に囲まれた庭に複数個ある巨大な岩の前だった。

 

「汝らの修行はたった一つ。この岩を割るのだ。成し遂げれば、汝に我が技の全てを授けよう」

 

「………………ちょ、ちょっと待って」

 

予想外の展開に焦ったのかミトがそう言うと近くにあった岩を叩くと、サァっと一気に顔色が悪くなる、キリトとフィリアが近寄り少し話し先ほどの師匠に向き直ろうとした瞬間

 

「この岩を割るまで、山を下りることは許さん。汝らには、その証を立ててもらうぞ」

 

そういうと懐からツボと筆を取り出し、ツボに筆を突っ込むと目にも止まらぬ速さで俺たちの顔に炸裂、気付くと全員がアルゴのようなおヒゲが書かれていた

 

「その証は、汝らがこの岩を割り、修行を終えるまで消える事はない。信じているぞ、我が弟子達よ」

 

「なるほどな、アルゴ、お前β時代にこのクエストを受けて、クリア出来なかったんだな、で仕方なくそのヒゲが書かれたままテストの最終日までプレイした結果、情報屋の鼠って言うキャラが立ったから、正式サービスも、そのヒゲを継続してるわけだ」

 

「お見事!大正解ダヨ、キー坊」

 

パチパチと拍手してからアルゴは続けた。

 

「いやー、得したナ、キー坊達!結果として、ヒゲの理由と、エクストラスキルの情報を両方ゲットしたんだからナ!お祝いに、もう1つ教えてあげるヨ。その岩……鬼ダヨ!」

 

「でしょうね」三3三

 

そう会話しているとがっくりしていたキリトの顔が急に引き攣り始めたその視線の先には………あ

 

「アルゴ」

 

「何だカゲ?」

 

「ご愁傷様」

 

「ハ?」

 

カゲ先輩がため息を吐くようにそう言うと同時にミトとアスナがアルゴの身体を抑える

 

「え、アーちゃん、ミーちゃん?なんで笑顔で黙ったまま腕を掴んでるんダ?ちょ、ちょっとフィーちゃんその沢山あるボトル、飲み放題の宿のミルクだよな、待って、お願いだから待って、ちょっと、ま………………」

 

とりあえず、今日はミト達を怒らせないようにした方が良いって言う事がわかった、あんな明らかに爆笑を噛み殺してるアルゴを視線のレーザーだけで人をやれそうな目で見てたミト達が怖すぎてやばかった、うん、アルゴ、もう二度とこんな事すんなよ……俺は空を見上げながらそう思った

 

 

「た………助け……て………むり………吐……く」

 

「「「……………」」」

 

「俺、アスナ達怒らせないようにする」

 

「ああ、俺もそうする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





これからも不定期更新ですがよろしくお願いします
これでようやく1巻の半分か……先が長い……
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