黒の剣士と白い悪魔 リメイク   作:雪染遊真

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また日にちが空いてしまいましたすいません
儚き夕闇のスケルツォが公開されるまでには3層までは行きたいです
では、どうぞ


第2層ボス戦

 

 

2022年12月14日、水曜日。第1層フロアボスが倒されてから10日目、そしてこのデスゲームが開始されてからは38日目……俺達のパーティを含む、いわゆる<前線攻略集団>プレイヤーは、筋骨隆々の牛男共がひしめく広大な迷宮区タワーを突破し、ついに第2層フロアボスの待ち受ける広間にまで到達した。

 

「……結局間に合わなかったわね……」

 

「体術クエスト+レベル上げだしなぁ……」

 

「レベル上げ無しなら行けたかもしんねぇけど……まぁ安全第一だな」

 

「私達で2泊だったんですから……彼もそれぐらい山にこもってたんですよね」

 

そう、あの後ネズハをアラタ達に預け、俺達が2層に上がってすぐに受けた体術クエストを受けるよう頼んだのである。アラタ達はまずクエストを受けさせるためクエストポイントへ案内して(ばっちりヒゲを書かれた姿はみて爆笑した)からそれぞれ分かれてクエストやら迷宮区へ挑んだりして今日の日を迎えた

 

「……3層の攻略には、きっと参加してくれるさ。あの武器は使いこなせれば結構強いはずだから、きっとどこかのギルドに入れるだろう。……まぁネズハが良ければ俺達が作るギルドに入れば良いけどな……」

 

「うん……そうだね」

 

キリトがそう言い、頷いたアスナと同時に、俺達は安全地帯の反対側にいる5人のプレイヤーを見やる。天辺の尖ったバジネットを被り、腰にスタウンドブレードを吊るした体格の良い男がオルランド。彼の隣に立つ小柄な両手剣使いがベオウルフで、その隣りの痩せた両手槍使いがクフーリン。更に、中ボス<ブルバス・バウ>攻略の時にはいなかったらしい盾持ちハンマー使いがギルガメシュで、革装備のダガー使いがエンキドゥという名前らしい……アルゴに聞いた名前をそこまで思い出した所でエギルのパーティがこちらへ近づいて来た

 

「よう、久しぶりだな、お前ら」

 

ニヤリと顔を綻ばせ、斧戦士は続けて言った。

 

「聞けば1層に引き続きパーティを組んだらしいな。まずはおめでとうと言っておくよ」

 

「おう……えっと俺達に話しかけても良いのか?俺達はほら、立場的に……」

 

最初の返事は明るく返したキリトだったが、続けてでた言葉は少し暗い感じだったがエギルは肩をすくめつつ両腕を広げる。

 

「アンタらの事を、ええと、ビーターだったか?そんな風に呼んで非難してる奴らはごく一部さ」

 

エギルがビーターをビーにアクセントを置いてターを下げるので何かどこかで聞いた事のあるような発音になる……いや考えるのはよそう

 

「事実、俺達の周りじゃあんたのこと他のニックネームで呼んでるしな」

 

「へぇ、どんなふうに?」

 

すかさずそう訊いたのはキリトではなくアスナだ。そちらに視線を向け、ニッと笑いながらエギルは答えた

 

「<黒ずくめ>または<ブラッキー>」

 

途端キリト以外は噴き出す。実際リアルでもキリトは黒系統の服をよく着ていたので、あながちそこまで違和感はない……そう思いキリトはエギルと世間話を始めたのでなんとなくキバオウとリンドのパーティの方を見ようと視線をそちらに向ける途中でぽつんと立っているフードデットケープを被った女性が目に入った

 

「どうしたのよ」

 

「いやさ、あの人1層の時にはいなかったよな?」

 

俺が考えるような仕草をして首を傾げているとミトが話しかけて来る。俺の言葉を聞きミトもそちらを見るとミトも首を傾げる

 

「……確かに、私の記憶違いじゃなきゃいなかったと思う」

 

「って言うかまず女子が俺達のパーティにしかいないし間違いないか……」

 

そう俺が言うとミトはじとっとした眼でこちらを見る

 

「……何で女の子だってわかったのよ」

 

「?……いや体格と歩き方でだけど……何か変だったか?」

 

「…………そう」

 

「……?」

 

ミトはそう言うと鎌を持っていない方の手で髪を弄る………どうしたんだ?

 

「あれぇ〜もしかしてミト、妬いてるのかなぁ?」

 

その様子を見ていたフィリアがニヤニヤしながらそうミトに言う

 

「ち、ちが!…そうじゃなくて」

 

そう言われた途端に頬を赤らめ慌てるミト………ああ、俺が他の女子に興味を持ってたからか、後で謝っとこう……そう思いながらフィリアに弄られてるミトを置いてキリトと話していたエギルに話しかける

 

「なぁ、割って入って悪いんだけど、1層のボス戦にいなかったあいつ、誰か知ってる?」

 

そう言うとエギルは俺が指挿した先を見て納得したような声を上げる

 

「ああ、そうかお前、中ボス戦の時いなかったから知らないのか、あいつはレイディというらしい………どうやら1層の時は会議があったのを知らなかったらしく参加してなかったらしいが今回は情報屋が見つけて中ボス戦から参加している奴だ」

 

「へぇ………」

 

俺はエギルの話を聞いてもう一度レイディと言われる女性を見る。背負っている両手槍は確かアニールシリーズの両手槍の<アニールランス>だった筈だ、見た所装備やインナーの色はキバオウやリンド達には合わせていないのでおそらくソロだろう。丈は短いがマントのフードを被っていて顔は見えない……装備もこの層なら通用するレベルだろうけど……

 

「……あいつがどうかしたのか?」

 

「いや、何でもないよ」

 

そうしてフィリアにいじられるミトを見ながら待っていると、予定時間の15分前になり安置の前の方から静かになっていく、ボス戦前最後の会議だ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いの結果、ボスをA〜F隊、取り巻きの中ボスをG、H隊でやる事になったA〜E隊がキバオウとリンドのギルドのメンバー(コイントスでリーダーと抜けるパーティを決めたらしい)F隊がレジェンド・ブレイブス、G隊がエギルのパーティ+先程1人でいたレイディ、H隊が俺達のパーティだ

 

「久しぶりだな2人とも」

 

「ん?……おお、ヴァインじゃん久しぶり」

 

俺はそう挨拶して出された手を掴み握手をする、見ると背中に背負っている武器が両手斧からクエストで手に入る<アニールハンマー>に変わっていた

 

「斧からハンマーに変えたんだな」

 

「ああ、最初は<アニールアックス>か迷ったがアックスはエギルがとっていたし、俺はこっちの方が使いやすい事に気づいたからな」

 

そう言いヴァインはハンマーを叩き笑う

 

「そうなのね………まぁソードスキルも一応同じ両手斧系統で変わらないしまぁ良いのかな?」

 

「ああ、両手斧の中の派生にハンマー型と斧型があるからな、俺はこっちの方が良かったわけだ」

 

「なるほどねぇ………っと俺達もそろそろ行こうか」

 

ヴァインと話していると先頭集団がボス部屋に向けて歩き始める所だった

 

「ああ」

 

「さてと、さっさとボスを倒しましょう」

 

ミトは鎌を器用に身体で支えながら伸びをしながらそう言い歩き始めた

 

「……なぁユーマ」

 

「どうした?何かあったか?」

 

ミトが歩き出したので俺も歩き出そうとするとヴァインが小声で話しかけて来る

 

「いや、そうじゃなくてだな………もしかしてお前ら付き合い始めたのか?」

 

「ん?そうだけど……何でわかったんだ?」

 

俺が歩きながら首を傾げ小声でそう言うとヴァインは少しだけ安心したような表情をする

 

「前の攻略会議の時より距離感がかなり近くなっていたからな……間違ってなくて良かった、おめでとう」

 

「おう、ありがとう」三3三

 

俺はいつものように返しヴァインと拳を突き合わせる

 

「ボス戦が終わったらフレンド登録しよう」

 

「OK、ならしっかり勝たないとな」

 

そう言いヴァインはニヤリと笑う

 

「2人とも置いてくわよー」

 

2人で喋っていたら結構距離が離れていたらしく離れた位置からミトがそう言う

 

「悪い、すぐ行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来るぞ!」

 

キリトが巨大な両手用ハンマーが垂直に振りかぶられるその軌道を見た時点でそう叫び、了解と周りのパーティメンバーが答え大きくバックジャンプ。遥か上空で一瞬停止したハンマーの打撃面が、鮮やかに黄色いスパークを幾重にも帯び、雄叫びをあげながらハンマーを地面に叩きつける。トーラス族固有のデバフつきのソードスキル、<ナミング・インパクト>だNumbingとは、麻痺するを意味する………叩きつけた場所から細いスパークが放射状に拡散し、キリトが1番近くいたのだがギリギリ当たらない位置いたのでなんとか当たらずに済みキリトが指示をだす

 

「全力攻撃一本!」

 

近い位置にいた6人で攻撃を繰り出す……俺とキリトのアニールブレード、ヴァインのアニールハンマー、アスナのウインドフルーレ、エギルのアニールアックス……そしてレイディのアニールランスが色とりどりのライトエフェクトを引きながらモンスターに直撃し3段あるHPゲージの1段目がようやく消滅して2段目に移行する。

 

「………行けそうね……」

 

「…………」

 

横にいたレイディがそう呟き俺は少し驚く。今までは頷いたりでしか反応をしなかったので驚いたのである

 

「油断するな!3本目まで行くと、<ナミング>を連発してくるからな!それと……」

 

キリトはそこで切ると俺達だけでなく後方にいるカゲ先輩達にも聞こえるようにボリュームを上げる。

 

「……1層の事を考えると、ゲージ3本目で未知の攻撃をしてくる可能性もある!その場合はいったん引くからな!」

 

「了解!」

 

牛男がディレイから立ち直り、同時にこちらのクーリングタイムも終了……こちらはかなり順調に行っているけど、本体の方は………

 

「回避!回避!!……ッ!!」

 

広大なボス部屋の反対から、やや裏返り気味の絶叫が届いてくる。ナト大佐との戦闘の合間にちらりと視線を向けると数十人のプレイヤーの頭越しに、ぎょっとするほど巨大な影が視認できる。第2層ボスモンスター<バラン・ザ・ジェネラルトーラス>……通称バラン将軍だ……いや押されすぎだろ

 

「本隊はジリ貧くさいな……」

 

POTローテを終え、戦列に戻ってきたエギルが太い声で囁いた。キリトは頷き、素早く答える。

 

「ああ、でも、もう少し戦えばタイミングにも慣れるはずだ。今んとこはベータとの違いはないし、何とか……」

 

なるんじゃないか。というような楽観的な推測を言おうとしているキリトにアスナの張り詰めた声が遮った

 

「でも、キリト君。あれ以上麻痺した人が増えると……一時撤退が難しくなるんじゃない?」

 

「……!」

 

アスナがそう言いキリトは体を強張らせアニールブレードを握り直す。

 

「……今のうちに一度仕切り直して、ナミング対策をした方が良いだろ………悪いがこのままだと死人がでるぞ」

 

近くにいた俺は今の現状を見て意見を言うとキリトはバックステップでナト大佐のハンマーの攻撃を避けながら息を呑み、考えるそぶりを見せているとアスナの口が開く

 

「こっちは5人でも支えれる。キリト君、リンドさんに話して来て」

 

「……大丈夫か?」

 

「ったりめぇだろう、今まで一緒にいた俺らが信じられねぇのかよ?」

 

 

そう背後で叫んだのは、いつのまにか会話を聞いていたカゲ先輩だった

 

「ガードならエギルのパーティの5人で回せんだろ、お前が2、3分離れるぐらい問題ねぇだろ……なぁ?」

 

「ああ、それぐらい大丈夫だ行ってこい!」

 

カゲ先輩がそう言うとエギルがそう答え背後のヴァイン達も頷く

 

「解った、少しだけ頼む!すぐ戻る!」

 

そう言いキリトはナト大佐の背中に<バーチカルアーク>を見舞い本隊の方に走る

 

「さ、キリトが戻るまで耐えようか」

 

「おう!!」

 

俺の言葉にカゲ先輩達がそう答える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一回仕切り直そう。これ以上麻痺する奴が増えたら撤退が難しくなる」

 

リンドはいきなり真横に出現した俺に驚いていたが俺の言葉を聞き再起動する

 

「だが……残り半分なんだぞ。ここで引くのは勿体ないんじゃないか?」

 

そう言われれば、俺も惜しいという気持ちもある。だが今無理してこれ以上状況が悪化するのは………

 

「あと1人麻痺したら引く、それでどうや」

 

その声に振り向くとキバオウが真剣な表情で立っていた

 

「<ナミング>の範囲とタイミングはもうみんな掴んだはずや。集中もできとる、士気も高い。麻痺治療POTや回復POTもようけ使っとるし、ここで引いたら、次は明日になってまうかもしれん」

 

「………」

 

俺はコンマ5秒で思考し答えをだす

 

「……解った、あと1人だな。それと、ボスのゲージがラス1になったら気をつけろよ」

 

そう言い自分のパーティに戻ろうと駆け出すとキバオウが「ちょい待ち!」と言った

 

「何だ?なるべく早く頼む」

 

俺がそう言うとキバオウは一瞬考えてから口を開く

 

「……正直何が起こるかわからん……何かイレギュラーが起きた時はこっちの指示は聞かんでも良い……そん時は対処は任せる………1層の時みたいにな」

 

「……!」

 

俺はキバオウの言葉に驚く、直接的にここまで頼って来るとは思わなかったのだ

 

「……そうだな、イレギュラーが起きた時は、俺らより君の方が対処が上手い……いざという時は指揮権は渡す………」

 

リンドもキバオウの意見に賛成の意思を見せる……少し間を置いてからリンドは少し申し訳なさそうな表情になり口を開く

 

「……それと……1層の時はすまなかった」

 

「リンド……」

 

「謝んのは後でいいやろ!今ボス戦の最中やで!?……とりあえずあと1人麻痺するまではこのままでいくで」

 

リンドが俺に謝り俺が驚いているとキバオウがツッコみながら次の指示を出す

 

「了解!……そっちも頑張れよ!」

 

俺がそう言いながら駆け出すとキバオウの「わーっとる」という声を背中に受けながらボス部屋を横断し自分の隊の所に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうなったの!?」

 

キリトが戻ってくるとすかさずアスナがキリトにそう聞く

 

「あと1人麻痺ったら撤退するってさ!でも今のペースなら押し切れそうだった!」

 

「そう………」

 

そうキリトが言うとアスナは浮かない顔で本隊の方を見やる

 

「了解、ならさっさとこいつを片付けて俺らもあっちに合流しようぜ」

 

アスナの言葉にカゲ先輩がそうつなぐ………俺もカゲ先輩と同じ意見だ……とりあえずまず目の前のナト大佐を倒そう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今回はβからの変更は無かったみたいね」

 

ナト大佐のHPを削って、スキルの冷却待ちをしている時に隣にいたミトがそう呟く、いやだけど……俺が不安な顔をしていたのに気づいたミトが俺に寄ってくる

 

「どうしたのよ、本隊の方も、もう終わりそうよ……ほら」

 

ミトの言葉と同時に本隊の方で歓声が上がる……

 

「だけどな……1層が王だったのに2層が将軍なのが引っかかるんだよ………」

 

「それは、確かに………」

 

ミトがそう言った瞬間ごごぉん!と突然轟音がなる、音の方向を見やると敷石が時計回りに回り下から競り上がりステージを作り出し………

 

「うそ………でしょ……」

 

ミトがそう呆然とした表情でそう呟き固まる

 

「ウソだったら………良かったんだけどな」

 

俺がそう言うと同時にエフェクトを発生させ終えHPバーとボスの名前………<アステリオス・ザ・トーラスキング>が表示される

 

「はぁ…………厄日だな…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  To be continued……

 

 

 

 

 

 





映画の第二弾予告が公開され、僕は見るだけで鳥肌が立ちました
声優の名前の欄にいなかったネズハの扱いはどうなるのか?
もしかしたらネズハの代わりにミトが入るのか?
など色々考察をして映画公開を楽しみにしています
次の話はなるべく早く書き上げたいです
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