黒の剣士と白い悪魔 リメイク   作:雪染遊真

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ゴンドラの完成と野次馬

 

 

 

 

「……………!」

 

 何だ……誰かが俺に呼びかけてるな……

 

「2人とも起きてってば!」

 

「……あと3時間……」

 

「いや長過ぎだから……船が完成したんだよ

 起きろって!」

 

 キリトの言葉にうとうとしていた意識を覚醒させ

 目を見開く

 

「それを早く言えよ」

 

「さっきから言ってたって……っていうかミトが

 まだ起きて無いな」

 

 横にいたミトを見るとまだ寝ぼけてるようで

 「…んぅ…」というような言葉を発している

 

「ふむ………よし」

 

「ユーマ君?何するつもり?」

 

「何って、ミトを起こすんだよ……ミト〜

 早く起きないと恥ずかしい思いするぞー」

 

「……ん……」

 

「……恥ずかしい……?」

 

 俺の呼び方にも反応が薄かったので不意打ちで

 ミトに顔を近づけて唇を重ねる

 

「ん!?………んん……」//

 

 流石に起きたようで目を見開き、頬を赤らめて

 俺の身体をどかそうともがく

 

「わぁ……ユーマ君大胆……私もキリト君と……」//

 

「………見てるこっちが恥ずかしくなるんだが」

 

 アスナは手で顔を隠しながら指の間からこちらの

 様子を伺い、キリトはいたたまれないような表情で

 視線を逸らしていた。しばらくそのままの

 体制のままだったがミトの息が続かなくなりそう

 だったので口付けをやめ身体を起こす

 

「……ぷはぁ!……ちょ、ちょっと……アスナたちの

 前ですること無いじゃない!」//

 

「いやいや全然起きなかったからさ

 これなら1発だなって思って」三3三

 

「確かにそうだけど……」//

 

 ミトが頬を赤らめながら恥ずかしそうに目を逸らす

 

「……で!何で起こしたのよ」

 

「だから船が出来たんだって」三3三

 

 話題を変えるように大きい声でそう言い

 俺が答えると少し驚いた表情になる

 

「それを早く言いなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いい船を造ってくれてありがとうございます

 ロモロさん」

 

「フン、ワシも、久々に満足のいく

 船造りができたわい」

 

 満足そうに呟いた老人だったが、不意に語気を

 強めながら付け加える

 

「じゃが!この老いぼれの尻を叩いて

 働かせたんじゃ、簡単に沈めたら

 承知せんからな!」

 

「沈めませんよ!」

 

 すかさずアスナが答える。興奮してるようで

 瞳に星が浮かんでいる

 

「船の材料を集めるのにも苦労したんだから

 大事に乗ります」三3三

 

 俺の言葉にまんざらでもなさそうな表情になり

 フンと鼻を鳴らすと、後ろに下がる

 

「それでは、いまからこの船はお前さんたちの

 もんじゃ、水門を開けてやるから、どこへなりとも

 漕ぎ出すがよかろう」

 

「はい!」

 

 元気よくアスナが答えて、ゴンドラへと飛び移る

 それに続いてミトと俺が乗り最後にキリトが

 乗ろうとしたタイミングで持ち上げた左足を

 空中で止めた

 

「い……いや、ちょっと待った……待ってください

 あの、ロモロさん、この船の船頭さんは

 どこにいるんです?」

 

 キリトがゴンドラを見据えながらキョロキョロと

 周りを見渡す

 

「キリト君、ゴンドラの船頭さんは

 <ゴンドリエーレ>っていうんだよ」

 

 早くも座席に腰掛けていたアスナがキリトに

 そんなツッコミを入れる。キリトの問いには

 ロモロさんが両手を広げながら説明する

 

「船頭?そんなもの、おりゃせんわい」

 

「いない……!?じゃあどうやって

 動かすんです!?」

 

「決まっておろうが。お前さんが、そこに立って

 櫂を握るんじゃよ」

 

「は……はいぃ!?」

 

 ロモロさんの言葉に愕然と立ち尽くすキリトに

 アスナが声をかける

 

「あー、そういうシステムなんだ……

 キリト君、よろしくね?」

 

 アスナの言葉に固まるが覚悟を決めたようで

 若干へっぴり腰な気がするが長い櫂を握り締め

 ロモロさんを見る

 

「開けるぞ!」

 

 するとロモロ老人が水門の開閉レバーを引き

 ドックの前方を閉ざしていた大扉が開いていく

 

「じゃあ、い、い、行くぞ!しっかり

 掴まってろよ!」

 

 キリトが振り返り俺たちに声をかけるとアスナが

 「はーい」と緊張感がない返事をする

 

「……ティルネル号、発進!」

 

 キリトが景気付けかそう叫び櫂を動かすと

 ゴンドラが前進し始める……あ

 

「キリト、左に寄ってるぞ」

 

「は?ひ、左?」

 

 俺の言葉にキリトは慌てて櫂を動かすが船首が

 ますます左に回っていく

 

「逆、逆!右に行って!」

 

 今度はアスナが叫び声でそう言うとキリトが

 逆側に慌てて櫂を倒すが、反応が鈍いが少し遅れて

 進行方向が変わり始めたと思ったら、船体が壁に

 当たったような振動が伝わってくる

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫なんでしょうね!?」

 

「だ、だ、大丈夫……じゃないかな……」

 

「……全然大丈夫じゃなさそうだな」三3三

 

 キリトの大丈夫そうじゃ無い声を聞いて俺が呑気に

 そんな声をあげるとすでに水門を越していたらしく

 アスナが声をあげる

 

「おじいちゃん、また来ますねー!」

 

 アスナが手を降りロモロ老人への挨拶を

 している間にキリトは櫂を倒す、するとゴンドラが

 朝靄をかき分け加速する

 

「わぁ、気持ちいーい!このまま

 街の外まで行きましょ!」

 

「い、いきなり外はどうかなあ……まずは、街中で

 しばらく練習させてもらいたいかなーって

 ……ほら、ロモロさんとも、事故らないって

 約束しちゃったし」

 

 キリトが何とか操船を続けながらアスナにそう

 提案すると最初は不満顔だったがキリトの

 不安そうな操船を見て頷く

 

「……しょうがないなぁ。じゃあ、街の水路を

 適当に走りましょ?」

 

「アイアイサー」

 

 キリトが答えると同時に正面からかなり速い

 スピードで近づいてくる船影が見え、キリトは

 慌てて櫂を右に傾け何とか船体をターンさせた

 直後にギリギリのところをNPCが操るゴンドラが

 猛スピードですり抜ける

 

「あぶねえぞ!気をつけろ!」

 

 というNPCの罵声が聞こえた

 

「船が大きいからって、あんなに怒鳴ることない

 じゃない」

 

 憤慨したようにミトがそう言うのをなだめる

 

「まぁまぁ、ああいう反応をするように

 設定されてるんだろ………ん?」

 

「どうしたのよ?」

 

「いや、さっきのクエストがまだ続いてるんだよ」

 

 ほら、とミトへと見せるとミトはキリトへ叫んだ

 

「キリト、もう一度ロモロさんのところへ戻って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 30分後

 再びティルネル号で水路へと漕ぎ出した俺たちは

 全員で首を傾げる

 

「……何かはっきりしなかったな」

 

「そうね……けど、クエストは続いてるのよね……」

 

 ミトが言い終えると同時にふわぁという

 可愛いあくびをする。時間を見ると5時40分

 仮眠はとったが結構睡魔があるらしくキリトと

 アスナもあくびをする

 

「……とりあえず宿に戻ってちゃんと寝ようぜ?

 眠いとミスも増えるだろうし」

 

「そうだな……しっかり寝てからクエストの続きを

 やろう」

 

「了解」三3三

 

 その後相変わらずNPCに怒鳴られながら街の

 中央の転移門広場に向かいそこにあった

 船着場の桟橋にバックで横付けし

 説明書通りに舫い綱という物を係留柱という

 ところにかけるとティルネル号が位置ロック

 された確認のログが表示された。

 

 3層のボス戦から休憩を入れたとはいえ24時間

 も活動していたわけで、そりゃあ疲れも溜まる

 と考えていると3人共があくびをしていたが

 アスナが眠たそうな表情で口を開く

 

「ふわ…………集合は、何時にする?」

 

「………10、いや11時でお願いします……」

 

「了解」

 

 頷き合った俺たちは人通りが増え始めた

 転移門広場に背を向けて宿へと歩き始める。

 ミトと一緒にベッドに倒れ込んだ途端に意識が

 無くなり、すぐに起床アラームに叩き起こされる

 メニューウィンドウの12月22日という日付を

 横目にミトを工房の時と同じように口付けで

 起こし部屋を出る。

 

 宿屋の1階でキリト、アスナと合流し、まずは

 腹ごしらえするべく転移門広場にあった

 イタリアン屋台へと向かう

 

「……何かしら」

 

 アスナの呟き声が聞こえてキリトが考え込む

 ん?何か転移門広場に向けて走ってってるな

 

「俺は魚フライにしようかなーって……」

 

「いや飯の話じゃないだろ」三3三

 

「ユーマ君の言う通りよ、あっち」

 

 アスナかまキリトの後頭部を掴み転移門広場への

 道へと向けさせる……なんか若干ざわめきの

 ような声が聞こえるんだけど

 

「……何が起きてるか、一応確認しに

 行きましょうか」

 

 ミトが真剣な表情で言うとキリトは未練がましく

 3軒の屋台を横目に頷く……まぁ気持ちはわかる

 けども……

 

「……私、なんか嫌な予感がするんだけど」

 

 アスナの声にミトが頷き俺たちは走る速度を上げる

 桟橋に着くと半分までは予想通り桟橋に人だかりが

 出来ていた、確かティルネル号があった桟橋の所

 だがティルネル号に視線が集まってるのでは無く

 桟橋の根元にいた2つの集団に向けられている

 ………あ

 

「……またあの2ギルドね……」

 

 頭を片手で抑えながら呟いたミトの言葉に

 全面同意だ、揉め事が起きると大体

 あの集団……<ドラゴンナイツ・ブリゲート>と

 <アインクラッド解放軍>がいる、目線を桟橋の先に

 移すと見覚えのあるサボテン頭が見える

 

「相変わらず話のわからんニーチャンやな!ええか

 この船を先に見つけたんはワシら解放隊やぞ!

 なら、こっちが先に調べるんは当たり前やろ!」

 

 サボテン頭……キバオウの言葉に青の長髪を後ろ

 で束ねた細身の男……リンドが反発の声を上げる

 

「先に見つけたと言うが、責任者のアンタがここに

 来たのは、オレより2分も遅かったじゃないか。

 こちらはもう調査を始めていたんだ、難癖を

 つけるのはやめてもらいたいな」

 

「難癖やと!?そっちこそ屁理屈捏ねるのは

 やめぇや!ワシらの見張りを無理矢理

 どかしておいて、よう偉そうなこと

 言えるもんやな!」

 

「ここは圏内だ、他人を無理矢理移動させるなど

 という真似が不可避なことくらい、最前線組

 なら知らないわけがないだろう。言いがかりも

 甚だしいぞ!」

 

 2つのギルドリーダーはどっちも引き下がる

 気配が無い……聞いてる感じキバオウが言ってる

 事の方があってるな、物理的にはどかせないけど

 圧かけてどかせるし……そんな現実逃避を

 しているとミトに肩を叩かれる

 

「何現実逃避してるのよ、ほら、どうするか

 決めるわよ」

 

「うへぇ、って言うしかない状況だけど

 とりあえず、どうするか決めようか……

 提案その1、このまま広場に戻って、屋台で

 昼飯を食って、ほとぼりが冷めた頃にこっそり

 船を動かす。提案その2、あそこに割って入って

 造船クエストに関する何もかもを

 説明して、ご理解頂く」

 

「………ほとぼり、冷めるのかな」

 

 キリトが提案した後アスナがそう問い返す

 まぁ無理だろうなおそらく限界まで調べると思うし

 

「多分無理ね、あの連中が簡単に諦めると思う?」

 

「俺もそう思う」三3三

 

 ミトの言葉に俺も同意を示す

 

「てことは、連中に1からクエストの説明を

 しなきゃいけないのか……」

 

 キリトがめんどくさそうな表情でそう呟いたが

 アスナが口を開く

 

「……その後の展開が、なんとなく想像

 できるんだよね……」

 

「え………どういう展開?」

 

「ジブンら、抜け駆けは許さへんで!ワシらの船が

 できるまで、クエストに協力せんかい!

 ……って展開」

 

 アスナの演技が真に迫っていて、俺は

 めんどくさ!と思ったが、キリトも似たような

 事を考えたようでめんどくさそうな声を上げる

 

「そりゃもう、うへぇのひと言じゃ

 片付けられないな……こっちも、ロモロの

 じっちゃんに言われた大型船を探さなきゃ

 いけないし……」

 

「それに、もうひとつ気になることがあるの」

 

 アスナが表情を引き締めたアスナが視線を

 ティルネル号に送りながら小声で言う

 

「あの船は、いまのところは、移動不能

 オブジェクトなんだよね?」

 

「そのはずよ」

 

「なら同時に、破壊不能オブジェクトでも

 あるのかな?」

 

「そのは………」

 

 前半はミトが答え後半はキリトが答える寸前で

 言葉を止め、少し考えてから再度口を開く

 

「……いや、破壊不能じゃないかもしれない

 圏内なら保護されそうな気がするけど、それも

 もう一度マニュアルを見てみないと確信は

 持てないな……」

 

「なら、あの人たちが、調べてだめなら

 叩いてみようとか考えないうちに船を

 動かしたほうがいいね」

 

 ……確かにあいつらならやりかねないな

 

「ってことは……提案その3、強行突破……?」

 

「悪目立ちするのはイヤだけど、あの人たちも

 時間を無駄遣いしないで済むだろうし

 それでいこう?」

 

「了解。ほんじゃ……俺とユーマで先に飛び乗って

 出航の準備するから、アスナとミトはロープを

 柱から外してくれ」

 

 キリトの言葉に無言で頷き視線でタイミングを

 合わせ、船着場に飛び降りた。小走りで桟橋に

 駆け寄りながらキリトが、

 

「すんません、ソコ失礼しまーす!」

 

 と礼儀正しく声をかける。ぎよっとした様子で

 仰け反る2パーティの間をすり抜けティルネル号に

 飛び乗り櫂を立てる、後から来たアスナとミトが

 舫い綱を外しロープが外れた瞬間、「なんでや!」

 とキバオウが叫び飛ぶ、2人が飛び乗ったのを

 見るやキリトはすかさず櫂を力いっぱい漕ぐ。

 

 ティルネル号が桟橋から離れた瞬間今度はリンドの

 声が聞こえた

 

「お、おい、お前たち!その船はどうやって……」

 

 ここでキリトが振り向き、叫び返す

 

「造船クエストの詳細は<攻略本>に載せるから、

 もうちょっとだけ待ってくれ!」

 

「ま、待たんかい!っちゅうか……まぁた

 オマエラかぁーい!」

 

 両手を振り回し喚くキバオウに最大限の謝意を

 示すべくおれは右手で敬礼をする………何かごめん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To be continued……

 

 

 





 相変わらず亀更新の雪染遊真です
 筆が乗らなかったり、バイトだったりで
 また1ヶ月経ってしまいました
 あともう少しで書きたいところまで行けるので
 頑張ります!
 設定の方で少し変更があるので気になる方は
 ご確認お願いします。見なくても支障は
 ないぐらいの変更なので安心してください
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