黒の剣士と白い悪魔 リメイク   作:雪染遊真

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ゴンドラのマニュアルと船の尾行

 

 その後移動しながら船のマニュアルを確認すると

 耐久値はあるがアンカーを下ろして停泊中で

 なおかつ船が無人の場合は破壊不能オブジェクトに

 なるらしい

 

「……うーん、安心できるようで、できない話だね」

 

 というアスナの感想にミトは頷く

 

「他の船と衝角でどつき合うようなことは無いと

 思うけど障害物との衝突は………ね?」

 

 ミトはその先を言わずに俺の方に

 顔を向きながら苦笑する

 

「そうだな、キリトはやらかしそうだし安全運転で

 頼むぜ?」三3三

 

「はいはい………でクエストの続きだけど

 ……問題の大型船が南東エリアに

 現れるのは夕方って言ってたよな?」

 

 キリトの言葉に俺たち3人は頷く

 

「じゃあ、まずはどこかで腹ごしらえしてから

 アルゴに会って造船クエストの情報を渡すか

 最後までクリアしてからって思ってたけど

 これ以上引っ張ると後が怖いからな」

 

「それもいいけど、とりあえず防具を更新しない?

 私は少しずつ更新してたから大丈夫だけど

 貴方たちそこまで防具変えて無いじゃない」

 

 ミトの言葉に俺たちは顔を見合わせる

 

「……まぁ確かにな、飯の前に更新するか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後防具を更新し、アスナはつけていた

 ブレストプレートを銅製から鋼鉄製に

 レザースカートは左右に鋼の板を縫い付けて

 あるプレーテッド・タイプに変え、俺は

 中に着ていた水色のフード付きの上着を同じ系統の

 色で肩に鋼鉄製のプレートがついている物に変え

 グローブも手の甲に鋼鉄製のプレートが

 ついているものに変えた。その後お店の中に

 入りメニューを眺め、何を食べようかと話していた

 

「キリト君、何食べるか決めた?わたし、この蟹の

 グラタンにしようかと思うんだけど、貝の蒸し煮も

 捨てがたいんだよね。両方頼んでシェアしない?」

 

 装備を更新したからか、やたらにテンションが

 高いアスナがキリトにシェアを持ちかける

 

「ねぇ、蒸し煮がイヤなら早く決めてよ。わたしもう

 お腹ぺこぺこだよ」

 

「す、すんません、それでいいです」

 

「じゃあ、注文するね、飲み物は適当に頼むよ」

 

 NPCに注文を済ませ、会話し始めたキリトとアスナ

 を横目にミトに話かける

 

「なぁ、ミト確か作製スキル取ってたよな?」

 

「えぇ、それがどうかしたの?」

 

「いや、アクセサリーとか作れるのかなぁ……って

 ネックレスとか指輪とかさ」

 

 俺の言葉にミトは、首を傾げ

 不思議そうにこちらを見る

 

「それはそうじゃない、作製スキルなんだから

 ……それで?何か欲しい装備でもあるの?」

 

「ゲーム上としてだけど、俺たち一応結婚してる

 わけじゃん?……だからお揃いの指輪

 があったら良いなぁ……って」

 

 俺がミトの瞳を見つめながらそう言うと

 ミトは少し固まった後、頬を赤らめ

 少し恥ずかしそうに目線を横にそらす

 

「……そうね、素材はあるからまた時間が空いた時に

 でも作るわ………ふふふ」

 

 何かミトがトリップしてしまったが幸せそうな

 顔なので良かった。そんな感想を抱きながら

 目の前のキリトとアスナのやり取りを眺めていると

 NPCが注文した料理を持って来た

 

「んじゃ、食べますか……おーい、ミト

 戻ってこーい」

 

「……お揃い………!?な、何だった?」

 

「いやだから料理来たんだって」

 

 ミトをトリップから立ち直らせ料理が来た事を

 教えていると横からツッコミが入る

 

「………いや、何想像してたんだよ」

 

「あ、あんたには関係ないでしょ!?」

 

「……ミト……も、もしかして、そういうこと

 想像してたの……?」

 

「……そういうこと?」

 

 アスナが何故か頬を赤らめ言った言葉に対して

 俺が首を傾げているとミトが慌てる

 

「ち、違うわよ、ただユーマと同棲すること想像して

 ……あ!?」

 

「……墓穴掘ったな」

 

「……っ!」//

 

 呆れたようなニヤニヤしたような

 どっちつかずな表情でキリトがそう言うとミトは

 誤魔化すように来た料理を勢いよく食べ始めた

 

「なぁ、アスナそういうことってなんだ?キリトには

 まだお前は知らなくていいって言われたんだけど

 アスナはわかる?」

 

「え!?い、いや私は……わ、わかんないかなぁ…

 ……アハハ……」

 

「………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日付変わって12月23日金曜日、午前0時15分

 結局今日も圏外で日付をまたいでしまった

 ……って言うかこのままだと朝までに宿にすら

 戻れないかもなぁ……この水没ダンジョン広いし

 

「アスナ、右のハサミ攻撃、来るぞ!」

 

 キリトの叫び声に舳先に立つアスナは身を屈めると

 髪を掠めるようにデカ蟹のハサミが振り下ろされる

 アスナは攻撃を避けれたがゴンドラのほうに当たり

 ガツッ!という音が鳴り船が揺れる

 

「っと………!」

 

「くっ……!」

 

 キリトが持っていた櫂を握りしめる

 船の耐久地を気にしているようだ

 そんなキリトの焦りを感じ取ったのか

 アスナがキリトのほうを見て叫んだ

 

「大丈夫だよ、次の攻撃をブレイクして隙を

 つくるから!もう少しだけ我慢して!」

 

「……了解!」

 

 4メートルはある巨大なカニ<スカットル・クラブ>

 が体を仰け反らせ、アゴをひらく……瞬間

 

「い……やああッ!」

 

 アスナが船の揺れに合わせて斜め下へと

 <ストリーク>を放つ、弱点である口を直撃し

 HPが一気に4割強消滅する

 

「キリト君、いまだよ!」

 

 アスナの言葉に答え、キリトは櫂を前に倒し

 ティルネル号は突進し、装備されている衝角が

 カニの柔らかい下腹に突き刺さる。

 

 どうやら火炎熊マグナテリウムの角を素材とした

 この衝角は、攻撃時に高熱を発揮するらしく

 ばしゅうっ!という音とともに水蒸気が噴き上がり

 熱に当てられデカガニの甲羅が赤くなっていく

 

 HPゲージが0になり青いポリゴン片へと変える

 戦闘が終わりアスナがキリトの方へ向き返り

 Vサインを出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかだけど、主街区のレストランで食べた

 蟹グラタンってこの蟹肉を使ってた……なんてこと

 無いよね………?」

 

「NPCレストランは食材の仕入れが必要ないから

 わざわざここにシェフが蟹肉を集めには

 来ないと思うわよ?」

 

 アスナの問いにミトが答えるとキリトが

 補足説明を加える

 

「まぁ今後、プレイヤーの露天ショップで

 カニ饅頭だったりとかが売ってたら

 要注意だけどな」

 

「絶対買わない。あとこのカニ肉も、プレイヤーの

 商人さんには売らない」

 

「そ、そうですか……なにげにD級食材だし

 結構イケる気がするけどな………あの

 蟹グラタンも旨かったし……あ」

 

 キリトが何気なくそう口にした途端にアスナが

 顔を逸らす……ああ、さっきの昼飯の時の件

 引きずってんのな。ミトがトリップしてる時に

 キリトとアスナが蟹グラタンと貝の蒸し煮を

 シェアしたのだが……

 

 アスナが蟹グラタンを半分食べてキリトに渡し

 キリトも貝の蒸し煮を半分食べアスナに

 渡したのだが……間接キスにすぐに気づいたのか

 アスナが一気に顔を赤らめキリトは途中まで

 食べてから気づき両者とも顔を赤らめていた

 

「?……2人共どうしたのよ」

 

「さっき昼飯の時、ミトがトリップしてる間に

 間接キスしたんだよこの2人……で多分それを

 思い出して気にしてるんだと思う」三3三

 

 俺がおちょくるようにそう言うと2人は

 面白いように反応する

 

「ち、違うからな俺はアスナに

 申し訳なくなっただけだし……」//

 

「私は……その……恥ずかしかったから……」//

 

 アスナの言葉を聞きキリトがアスナに声をかける

 

「……ごめんな、アスナ嫌だっただろ?」

 

「……別にそんな嫌じゃ無かったから……

 別に良いわよ」

 

「………それはどう言う……?」

 

「あ、相棒だから別に良いでしょってだけ!!」//

 

 なんかあれだ、見てるとほっこりするな

 ……早くくっ付けよ!……とは思うけど

 そう思いミトを見ると同じようなことを

 考えていたようで顔を見合わせて苦笑する

 

 ちなみに今俺たちがこのダンジョンを彷徨っている

 理由はロモロのお爺ちゃんが言っていた木箱を

 乗せた大型船をロービアの商業エリアで見つけ

 追跡して来たらこのダンジョンに入ったわけだが

 最初にあのデカガニと戦闘していたら船を

 見失ってしまい、今にいたる

 

 後ろでキリトが櫂を握りながらマップを開き

 現在位置を確認しているのを見ていたので

 俺もそれにならってマップを開き見ると

 おそらくあと半分ぐらいかな?というぐらいには

 マップが埋まっている

 

「……あ、右側に扉があるよキリト君」

 

 アスナの声に顔を上げると前方に

 小さな船着場と鉄扉が見えた

 

「どうせまた、行き止まりだと思うけど……はぁ」

 

 うんざりした様子でため息を吐きながらアスナが

 そんなコメントを加える

 

「ま、まぁ、行き止まりにはたいてい宝箱が

 あるじゃない……ね、ユーマ?」

 

「まぁ、確かに」

 

 ミトがフォローしたがアスナのテンションは

 上がらないようで変わらずに疲れたような

 表情をしている

 

「どうせまた、錆びた剣とか鎧とかでしょ……」

 

「……サビ武器を甘く見ない方が良いぞ。鍛冶屋で

 修復してもらえばレアな掘り出し物だった!……

 って事もあるし……100回に1回くらいは……」

 

「はいはい、わかってるよー…………いや

 ちょっと待って、ストップ!」

 

 前にいたアスナがキリトに止まるように手を

 かざしたのでキリトは慌てて櫂を立てゴンドラを

 少し揺らしながら止めた

 

「どうした!?」

 

 キリトが小声で尋ねると、アスナは身を乗り出し

 前方を窺ってからこちらを振り向く

 

「水路の先に、広い空間があるみたいで……

 そこから、大勢の話し声っぽいのが聞こえる」

 

「え……人の?カニの?」

 

「カニな訳ないでしょ……」

 

「そ、そりゃそうか……じゃあゆっくり近づいてみる」

 

 アスナの殺気がこもった目線とミトの呆れた声に

 気圧され、すぐさま訂正し続けゆっくり

 ゴンドラを進め、水路トンネル出口ギリギリ手前で

 ティルネル号を停船させ覗き込む。

 

 奥側に階段がありその下の桟橋にロービアから

 俺たちが追って来た大型ゴンドラがあり

 係留されている船からいままさに積み荷の木箱が

 運び出されようとしている。

 

 よく見ると見覚えのある4人の水夫がいた……

 どこかで見たような……という既視感は彼らの耳を

 見た瞬間確信に変わり、3人に手招きし最小限の

 ボリュームで囁く

 

「あいつらフォールンエルフだよ」

 

 無言で頷く3人も硬く張り詰めている

 

「βテストの時はどうだったんだ?」

 

「いや、こんな場所にフォールンエルフがいた記憶は

 無いわ……っていうかβ時代はこのダンジョン

 自体が存在しなかったし」

 

「って事は……これはあくまで単発クエスト内の

 展開なの?それとも、キャンペーン・クエストの

 一環なの……?」

 

「解らない……でも、βの時もフォールンエルフとは

 何度も戦ったけど、こんなふうに人間のNPCと協力

 して何かやってる場面なんて一度も見なかった」

 

「嫌な感じだね……あの水夫たちが、ロービアの

 水運ギルドの人たちだとしたら……ギルドのものが

 フォールンエルフと手を組んでるってことに

 なるんだよね」

 

 アスナの言葉にキリトは考え込んでから口を開く

 

「……あの木箱の中身を調べてみないと……」

 

 キリトの言葉に俺たち3人共が頷く、そのまま

 覗き続けているとお金のやり取りした後に

 ゴンドラへと乗り込みこちらへと動き出す

 

「……こっちに来てるな……」

 

「多分見つかったらアウトね……」

 

「了解!」

 

 キリトが最小限のボリュームで答え櫂を後ろに

 倒しゴンドラを後退させ行き止まりと言っていた

 扉の所まで戻り船着場へと飛び移る

 

「舫い綱を!」

 

 キリトの言葉にアスナが答え素早くロープを

 掴みキリトに投げる。先に降りていた俺とミトは

 先に扉の中に入り確認すると倉庫のような広めな

 部屋だった……ん?これは

 

「これ………」

 

 見つけた布の表面を叩きミトと一緒に

 プロパティを確認する

 

 <アルギロの薄布:水中で暮らす珍しい蜘蛛の糸で

 織った布。周囲を水に囲まれた場所でだけ

 この布で覆ったものを見えなくすることができる>

 

 説明文を読み切った瞬間部屋から出て部屋に

 入ろうとするキリトとアスナとすれ違い、並走して

 来たミトと一緒にゴンドラに布をかけ部屋に戻る

 

「さっきの布ってなんだ?」

 

「船を隠せるアイテムみたいな感じだ……

 しっ……来たぞ」

 

 俺がそう言った数秒後右側から大型船が姿を現し

 結構なスピードで通り過ぎたが不可視の

 ティルネル号には気づかず、ぶつかる事も無く

 通り過ぎていった、安心してほっとため息を吐き

 顔を見合わせる

 

「どうするんだ?さっきの木箱の中身を

 確認しに行くか?」

 

「……そうね。ってことはフォールンエルフが

 うじゃうじゃいそうな、あの階段の先に

 忍びこまないといけないわけね」

 

「スニーキング・ミッション継続だな……

 疲れてるなら、いったん街に戻ってからまた

 明日出直しても大丈夫だと思うけど、どうする?」

 

「ありがとう、キリト君でも大丈夫。またここまで

 たどり着くのに、カニだのカメだのイモガキだのと

 何度も戦うのは遠慮したいかな」

 

「それもそうか……んじゃ、もう一頑張りしますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To be continued……

 

 

 

 

 

 





 バイトしまくりの雪染遊真です
 バイト三昧の合間合間に執筆続けて
 なんとか月1投稿に間に合いました
 3巻の内容があとちょっとで終わる……
 もうちょっとで書きたい場所だ……頑張れ俺……
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