黒の剣士と白い悪魔 リメイク   作:雪染遊真

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 お久しぶりです
 長らくお待たせしました
 どうぞ!


大浴場と城主様

 

 

 

 数分後、浴槽の南西の角から夜の湖を

 見下ろしながら言った

 

「凄いね……。お風呂のお湯と湖の水面が溶け合って

 まるで空に浮かんでるみたい」

 

 そんなプールあったな……こういうプールのこと

 何て言うんだっけ……?

 インフィニット……なんだっけ?

 

「こういう、海とか湖に繋がってるように見える

 プールのこと、<インフィニティ・エッジ>って

 言うんだよ。海外のリゾートホテルとかに

 よくあるの」

 

「おーそれだ、ありがと、アスナ」三3三

 

 俺が頭を捻って考えていたのを見ていたのか

 アスナが教えてくれた。俺がアスナに

 感謝しているとキリトが口を開く

 

「へぇ……なんか、ソードスキルみたいな名前だな」

 

 キリトの風情も何も無いコメントに

 アスナはクスリと笑う

 

「ほんとだね。短剣カデコリにありそう」

 

「いや、細剣じゃないかしら」

 

 ミトがアスナの言葉に返しているのを

 横目にミトの水着姿を見る

 ミトのイメージカラーの紫色の

 ワンピースタイプの水着を着ている……

 流石ミトだ着こなしも完璧だ……

 そんな感想を思っていると

 後方で、かちゃり、とドアが開く音が聞こえた

 

 もうもうと立ちこめる湯気の向こうから

 ほっそりとしたシルエットが近づいて来る……

 あ、これもしかして………

 

 そう思った瞬間黄色いカラー・カーソルが出現した

 と同時に耳馴染みのある、女性の声が響いた

 

「キリト、アスナ、やはりここにいたのか」

 

 キズメルの声が聞こえた瞬間、キリトの頭を掴み

 湯船に沈没させ、俺は出入り口と逆の方向を向く

 

「ミト、アスナ、早く水着着せてこい」

 

 俺がそう言った瞬間ミトとアスナが浴槽から

 飛び出し、キズメルのところまで走っていく

 危なかった……と思っているとキリトが浴槽から

 顔を上げる

 

「ぶは、なんだよいきなり!」

 

「ん?キズメルの裸見たかったのか?」

 

「は?………ち、違うっての!」

 

「…………」

 

 焦ったような表情でわたわたと否定を続ける

 キリトを俺は訝しげに見る………まさか

 気づかなかったとかじゃ無いよな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリトも下着……いや、<ミズギ>を身に

 つけているのか、人族には、不思議な

 慣習があるのだな」

 

「ま、まあね」

 

 キリトがそう答えるとキズメルの口元に

 淡い笑みが浮かぶ

 

「しかし、野営地の風呂天幕では

 確かキリトも……」

 

「い、いやあ、それにもデッカいお風呂だなあ!」

 

 という叫び声をキリトが上げたので俺たち3人は

 怪しんでキリトをじっと見つめるが受け流している

 

「4層の城でこんだけ大きいなら、9層の

 女王様がいる城の風呂場は

 さぞかし凄いんだろうなあ!」

 

「もちろんだとも。ここより遥かに高いところに

 あって9層全体が一望できる

 それは豪勢な浴場だよ」

 

 キリトの誤魔化しのような発言にキズメルが

 頷くとアスナとミトのじっとりした目つきが

 瞬時に夢見る乙女のそれに変わる

 

「しかしその浴場を使えるのは、貴族の文官たちと

 女王によって叙任された上位の騎士だけなのだ

 残念ながら、人族のそなたたちが

 立ち入ることは難しいだろうな……」

 

「そうなのね……でも、このお風呂も

 とっても素敵よずっとこのお城で暮らしても

 いいって思えるくらいよ」

 

 ミトの答えに、ダークエルフの騎士は再び笑みを

 浮かべたあとすぐに目を伏せる

 

「城を気に入ってくれたのは嬉しいが……

 あまり長居しないほうがいい」

 

「え……どうして……?」

 

「このヨフェル城は、見てのとおり、四方を湖水と

 断崖に囲まれた難攻不落の砦だ。

 いにしえの頃から、ゴブリンやオークども

 のみならず、森エルフの大軍勢にさえ

 攻めいられたことはないと聞く」

 

 キズメルは一度そこで言葉を切ったので不審に

 思い俺は口を開く

 

「それは、結構な事じゃね?3層で苦労して

 取り戻した<翡翠の秘鍵>は、いまは

 この城にあるんでしょ?」

 

「うむ………だが、難攻不落であるがゆえに

 この駐留部隊は弛み切っている。森エルフを

 何度も撃退したといっても、陸に砦を築いている

 彼らは、船をほとんど持っていないからな

 一方的な優里にものを言わせての勝利など

 幾ら重ねても技と心を磨くことはできんさ」

 

 キズメルの苛立ちが含まれた言葉を吐き右足で

 水面を軽く蹴り、ため息混じりの言葉を続ける

 

「………そのうえ、神官どもに至っては、音が

 耳障りだから城内では金属の鎧は身につけるな

 などと言い出す始末さ。あのような連中が

 のさばっていては、城の空気が緩むのも

 当然だな…………」

 

「それで、ずっとドレスを着ていたのね」

 

 アスナの呟きに、キズメルは苦笑しつつ頷く

 

「似合っていなかっただろう?」

 

「そうか?俺は結構似合ってたと思うけど……」

 

「私もそう思うわ……まぁでも自分が

 したい格好をするのが1番良いわ」

 

「私たちもプレートアーマーとか

 着てたら怒られたのかしら」

 

 俺とミトの言葉の後にアスナがそんな疑問を

 ぶつけるとキズメルが小さく笑う

 

「恐らくな。試す必要はないとは思うが」

 

「うん、やめておくわ」

 

 姉妹のように話す3人を眺めてほっこりしていると

 キリトが何やら考えこんでいた

 

「どうした?何か気になる事でもあったか?」

 

「ああ、いや……森エルフは船をそんなに

 持って無いのにどうやって

 大軍勢を送り込んで来たのかなってさ……」

 

「あの<浮き輪の実>でも使ったんじゃね?

 だったらその光景みてみたい気もするけども」

 

「かもな……まぁ森エルフにも<生きた木は伐れない>

 って禁忌もあるだろうし………」

 

 キリトがそれを言いきった瞬間黙り込む

 俺も違和感に気付き口を開く

 

「……木ならあるんじゃね?あの時の木箱」

 

「ああ!もしかしたらフォールンエルフの

 隠れアジトで今船を作られてるんだと思う」

 

「ど、どうしたの、2人共?」

 

 アスナがびっくりしたような表情で

 そう言うのでキリトと俺は振り向く

 

「あ、アスナ、今日って24日だよな!?」

 

「あんた何言ってるのよ、さっきクリスマスの

 話したばっかりでしょう?」

 

 ミトの呆れたような言葉にたじろぐキリトを

 横目に俺はキズメルの方を向く

 

「キズメル、もしかしたら……いや、間違いなく

 3日後に森エルフの大軍がこの城に攻めてくるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、大浴場から出て急いで着替えた俺たちは

 城の5階へと向かい、大扉を開け部屋に入ると

 窓がカーテンで閉ざされた真っ暗な部屋だった

 

 机の向こうの人影に目を凝らすと

 <Yofilis:Dark Elven Viscount>

 というカラーカーソルが目に入る

 

「城主ヨフィリス閣下、執務中失礼致します

 急ぎ報告すべき事柄があり、まかりこしました」

 

 少しして、暗がりから声が返った

 

「報告とやらを聞く前に、なにゆえ人族を4人も

 伴っているのですか、騎士キズメル?」

 

 抑揚の薄い女性の声が聞こえた

 

「は……」

 

 とキズメルが再び頭を下げたタイミングで

 キリトが1歩前に出て、ポーチから

 スクロールを出しヨフィリス子爵に差し出す

 

「……ふむ。なるほど、第一の秘鍵の回収に功の

 あった者たちですか。それでは、湖の魚の餌に

 するわけにもいきませんね」

 

 笑いを取ろうとしたのかわからない

 冗談なのか本気なのか解らないようなことを

 言うと、ヨフィリス閣下はスクロールを引き出し

 に仕舞った……いやそれ身分証変わりだから

 ヤバいんだけど

 

 と思った瞬間に引き出しから何やら小さいもの

 を取り出すと俺たちに渡す確認すると指輪だった

 

「それを身につけていれば、今後、リュースラの

 衛兵に咎められることはないでしょう

 無論、お前たちが我らを

 裏切らない限りにおいては、ですが」

 

 プレッシャーやばっ………と俺は見えないように

 苦笑いしながら受け取り、とりあえず左手の

 薬指に指輪を着ける

 

「それで、キズメルよ。報告とは

 いかなるものですか?」

 

「はっ。人族の剣士キリトとアスナより伝えられた

 情報ですが……この4層に、我らが仇敵

 フォールンエルフの将軍ノルツァーが

 降りてきています」

 

 キズメルの言葉を聞いたヨフィリス子爵は

 黒檀のデスクを指先で鋭く叩いた

 

「…………ほう。それは確かに

 聞き捨てならない話ですね」

 

 恐らくは、キャンペーン・クエストにあらかじめ

 組み込まれた会話なんだろうけど部屋の温度が

 2.3度下がったような感じがした

 

「あの悪党が、今度はどんな悪巧みを?」

 

「それが……どうやらフォールンは、本格的に

 森エルフと手を組んだようです」

 

 キズメルが前置きをいれ要約して

 ヨフィリス子爵伝える

 

「なるほど………フォールンどもが建造している船の

 数は解りますか?」

 

 固まっていたキリトに変わって俺が答える

 

「10人乗りの船が最低でも10隻ぐらい

 造るつもりだと思われます」

 

 それを聞いたヨフィリス子爵が

 再び机をコツコツと叩いた

 

「ふむ。この城に配備されている船は

 10人乗りが8隻。それを超える数の船が

 攻めてくる、というわけですね」

 

「閣下。城の兵士たちの精強ぶりを疑うわけでは

 ありませんが……念のために第一の秘鍵とこの

 4層に封印されている第二の秘鍵を、ともに

 上層へ移してはいかがでしょう?」

 

 キズメルの提案を聞きしばらく考え込んだ後

 静かな声を発する

 

「……騎士キズメルの提案には一理あります

 万が一にも、秘鍵を再度奪われるわけには

 いきませんから…………しかし本来、我ら

 リュースラの民の役目は、6本の秘鍵を上に送れば

 5層に3つもの秘鍵が集まってしまう。

 その状況は気に入りませんね……」

 

 その言葉にキズメルも無言で頷く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 城主ヨフィリスの居室を退出し、衛兵の視界から

 外れた瞬間3人は疲れた、と言うような

 反応をそれぞれ見せる

 

「うう〜〜ん、緊張したなあ……」

 

「ふふ、無理もない。城主閣下は、黒エルフの中でも

 最も長く生きておられる方々のお一人だからな

 実は私も少し緊張していたよ」

 

「キズメルですら緊張してたのに全く

 緊張していなかった人が居るみたいだけどね

 …………ユーマ?」

 

 ミトがそう言い俺を見る………そりゃねぇ

 

「………ま、昔色々あってこういう緊張する

 場面は慣れてるんだよ」

 

 その言葉で気づいたのかミトが目を伏せる

 

「………へぇ、そうなんだ。だとしても慣れすぎ

 な気がするが」

 

「まぁ、父さんと母さんが行くお偉い方が居る

 パーティーに参加した事もあるしな

 ………ちなみにそのパーティーの一つで

 アスナと会ったってフィリアが言ってたぞ」

 

「そうなんだ………ってユーマ君も

 参加してたの!?」

 

 アスナが驚きの表情で俺を見る

 まぁ確かに俺そう言うの行かなそうではあるしな

 

「まぁ基本はご飯たらふく食べて

 ゆっくりしてるけどな」三3三

 

「そうなのかならばユーマはヨフィリス子爵閣下より

 位が高いのかも知れないな」

 

 俺の言葉にキズメルが俺に視線を向けながら呟く

 

「ん?………いや流石に閣下よりは下だよ」

 

「って言うか、あんな立派な城主様がいるのに

 城の兵士たちがたるんでたり、神官とやらが

 偉そうな顔をしてるってのはちょっと不思議だな」

 

 階段を降りながらキリトが話題転換をし

 ヨフィリス子爵の話に切り替える

 

「うむ……それには理由があるのだ。

 ヨフィリス閣下は、とある難しい病を

 患っておられる。そのため、明るい光の下に

 お出でになることができないんだよ。

 もうながいことお部屋に閉じこもりっぱなしで

 ほとんどの兵士は、お顔を拝したことさえ

 ないはずだ……」

 

「病気……?エルフなのに?」

 

「エルフは長寿だが、病と無縁なわけではないさ

 ……神官たちは閣下のお目が届かないのを

 いいことに、我が物顔で威張り散らしている

 いざ戦となれば、何の役にも立たないくせにな

 困ったものだ……」

 

 軽く被りを振りキズメルは自室の前で立ち止まり

 口調と表情を切り替える

 

「ともあれ、4人とも、重要な情報を

 届けてくれたことに感謝するよ。

 今夜はもう遅いから、明日の朝から任務に

 取りかかるとしよう。4人とも、夜更かし

 しないでちゃんと寝るんだぞ

 ………特にユーマとミトはな」

 

 最後にニヤリと口元を緩めそう言い残し

 キズメルは部屋の中へと姿を消した

 

「………どう言うこと……って何で2人は

 顔赤らめてるんだよ?」

 

「い、いや何でもないわよ」//

 

「うんうん、何でもないよ……ねぇミト?」//

 

「………?」

 

「ま、とりあえずお休み、じゃあまた明日な」

 

「おやすみ、ミト、ユーマ君」

 

 キリトが俺の肩を叩き部屋に入るとアスナもそれに

 続くように部屋へと素早く入る……何だったんだ?

 

「………さ、私たちも部屋に入りましょ?」

 

「お、おう」

 

 何故か覚悟を決めたような表情のミトに

 手を引っ張られ部屋に入る

 

 

 

 

 

 

 

  To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 





 お待たせしました
 学校の授業の勉強に追われて
 全く執筆が出来ませんでした
 ノロノロとゆっくりとですが
 執筆は続けるつもりなので
 読んでいただければ嬉しいです
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