「ふぁ…………眠いな」
「私も眠いから気持ちはわかるけど
昼まで頑張りましょ?」
今日はOFFの日でお店で店番だ
昨日は売り上げ結構あったから
今日はほどほどの客足が良いな……
ん?メールか………これは………
「ミト」
「わかってる、私にも来たわ
切り上げて行きましょうか」
俺が何か言う前に理解しているといったように
言い片付けと準備を始めた
「それで?説得は終わったのか?それで
呼び出したんだろう?」
「……いえ、違うわ……今日は
契約の解消を伝えに来たの」
「契約の解消だと?何のつもりだ?」
私の言葉にガラの悪いプレイヤー………
オレンジプレイヤー数人がこちらに罵声を吐き
中央にいたプレイヤーがイラッとしたように答える
……準備にコルも時間も使っているのだから
当たり前ね………
「貴方たちに頼んだのに私の都合で解消する
だから準備に使ったコルに上乗せしてわたすわ」
「いきなりなんなんだ?アポ取ってきて
契約した癖に都合が悪くなったから
急にキャンセルだと?」
「ええ、だからこちらもそれ相応の……」
私がそこまで言うと遮るようにこちらに詰め寄り
イライラが頂点に達したように怒る
「そういう問題じゃねぇんだよ、こっちがわざわざ
準備して………」
「そこまでで良いだろ、もう」
さらに罵声が強くなるかと思った矢先に
私の後方から声が聞こえた……誰?
「ようやく来たんすねリーダー、もう演技する必要は
無いって事すか?……」
「そうだなもう意味が無いしとっくに
チェックメイトだしなぁ」
「そうすか……なら、お楽しみの始まりだな!」
そう言いながら短剣をこちらに切りつけてくる
いきなりだったので少し掠ってしまったが
私は身の危険を感じてバックステップを
踏み、背中に槍を実体化させようとした所で
急に体が動かなくなり
崩れ落ちる……これ……は……
「何にも警戒しないから咄嗟の反応が
遅れて当たるんだよ
………こいつ本当に貰って良いんすか?」
「ああ、あの人にもこいつが再起不能に
なるまで使って良いとのお達しだ」
後から来たリーダーらしきプレイヤーが
そう言うと私の後ろにいたプレイヤーが
麻痺毒で動けない私の腕を使い私の装備を
解除していく……まさか……本当に!?
「っ!!」
「おっと、麻痺でも結構動くなぁ」
「そりゃそうだろ、この状況で抵抗しなかったら
そういう趣味の奴だよ」
オレンジプレイヤー達はケラケラ笑いながら
私の装備を解除して上半身が下着姿にされる
………みんなの忠告をもっと早く聞いていたら
こんな事になってなかったのかな?
………話を聞かなかったから
当然なのかな………ごめんなさい……簪ちゃん……
「へへっ………うぉ!?」
私が諦めて身を委ねていると私に馬乗りしていた
プレイヤーがいきなり飛び退くと、いた場所に
チャクラムのような物が高速で通りすぎる
……これは……!
「……こんな圏外村で何してんの?」
チャクラムらしき物の行き先に顔を向けると
見覚えのあるフード付きのマントで顔が隠れた
プレイヤーがこちらに歩み寄って来た
「何ってお楽しみ中だったんだよ
……邪魔しやがって」
「へぇ…………なら来て正解だったな」
「あ?どういう意味だ?というか誰だよ!?お前!」
その言葉に彼………ユーマ君が
マントを外して顔が見えるようにする
「ユーマって言うんだけど……知らない?
お前らみたいな奴には有名かと思ったんだけど」
途端にオレンジプレイヤー達は
ユーマ君から距離をとる
「お前……白い悪魔……!!」
「そういやそんな呼ばれ方もしてたな
……で?どうする?………俺は別に
やっても良いけど……」
ユーマ君はそう言いながら上半身が見えないように
私にマントを掛けてくれる……流石のユーマ君でも
これは………
「無茶よ!流石にこの人数は……」
「副団長さんの言う通りだぜ?実質
6対1で何が出来るんだよ?」
リーダーだろう男の言葉に
ユーマ君はコテンと首を傾げる
「6人?何言ってるんだ?」
「何が……」
その瞬間後ろにいた1人がポリゴン片に変わる
嘘………でしょ……?
「5人の間違いでしょ?……っと……で
どうするの?………って言っても
もう逃げられないけどねぇ……」
ユーマ君がいつの間にか投げていた
チャクラムをキャッチしてやれやれ
という動きをするとオレンジプレイヤーの
後ろから見覚えのある薄紫色の髪色の
ポニーテールの子が出てくる
「悪いけど……素直にお縄に着くか
……ここで死ぬか、どっちか選びなさい?」
「どっちも選ばね……」
そこまで言った所でいつの間にかユーマ君が
投げていたらしいチャクラムが
そいつの腕に直撃する
「なら、ゲームオーバーだね」
ユーマ君か無機質な機械のような声でそう言うと
1人が耐え切れなくなったのか叫びながら
ユーマ君に突進する……ユーマ君は躊躇する事無く
武器を持っていた右腕の肘下辺りを切り飛ばして
動揺した所で両方の足も切り、地面に叩き伏せる
動けないようにしてから踏み付ける
「……無駄な抵抗しない方が良いよ?
何で俺が「白い悪魔」なんて呼ばれてるか
知ってるでしょ?………それに」
そこまで言うと踏み付けていた人を持ち上げて
ほぼゼロ距離で目を合わせる
「俺はさ?正直クリアとかどうでも良いんだよ
…………自分の大切な人達さえ生きてれば
他はどうでも良い…………特にお前らみたいな
奴らの生死なんてね……」
ユーマ君が見た事無いような表情と眼でそいつを
見るとそのオレンジプレイヤーは錯乱したように
悲鳴をあげる…………そんなオレンジプレイヤーに
興味が無くなったようにユーマ君は
そいつを横に投げ捨てるように落とす
「で?最終勧告だよ………どうする?」
残ったオレンジプレイヤーは全員武器を捨て
両手を上げて投降しますとユーマ君を
化け物を見るような眼で言った
「よしコイツで最後ね…………」
その後黒鉄宮行きの転移門に全員放り込み
収容は終わったみたいだ………そうすると
ユーマ君がこちらに寄ってくる
「遅れてごめん……服脱がされた以外は
何もされてない?」
「ええ、大丈夫よ……それにちゃんと
助けてくれたし……」
「そっか………とりあえず休める所に移動しよう
レイディ、一旦、俺らの店に行こう」
ユーマ君はそういうと私の手を握り私を
立ち上がらせて手を引いてくれる
………人の手ってこんなあったかいんだ……
俺とミトの店、兼家に入り入り口の
openをcloseに変え
リビングに案内しソファに座らせる
「とりあえず、ゆっくり休んで良いからここに
居なさいちょっと私は用事があるから
少しだけ外すわ何かあったらユーマに言って」
ミトはお茶を出してからそう言うとそのまま
作業室に入っていった
「1人になりたいなら俺も外すけど……」
「ううん、一緒にいて欲しい」
「了解」
レイディの了承が聞こえたので少し距離を
空けて横に座る
「……言いたく無いなら良いんだけど
アイツらと会ってたのってやっぱり………」
「ええ、攻略に参加してもらおうとしてたの
……まぁユーマ君と話して冷静になって
考えたらとんでもない事してたんだ
って思ったわ」
レイディが少しバツの悪そうな表情で目線を外す
「まぁ、結果的には助けれたし被害も特に無し
なんならオレンジプレイヤーを黒鉄宮に
送れたし囮捜査した、みたいな感じだって
思っておけば良いんじゃ無い?
………レイディのメンタル面がなんとも無ければ」
俺がそう言うと一瞬、気の抜けたような表情に
なった後すぐに「ふふっ」と笑う
「大丈夫よ、何かされた訳じゃないし
………でも、何かしてもらえるなら
抱きしめて欲しい、かな……」
「……それ、分かってて言ってるの?」
「……うん……ユーマ君の事調べてる時に
ミトちゃんに色々バレちゃって……その時に
軽く説明はされたわ………ユーマ君が
良ければしっかり教えて欲しいな」
レイディが真剣な眼差しでこちらを見つめる
「良いの?多分聞いたら戻れないかもよ?」
「覚悟の上よ……それでも私はそれぐらい
ユーマ君の事……」
………ウソついてないな……だったら
誠意に応えないと………
「重い話になるから……他言無用でお願い」
その後前にミト、クレハに話した事を
レイディにも伝えた
「………って感じだよ………それでも良いなら
って感じ、かな」
「………」
自分でも気づかぬ内に精神が疲弊してたのか
最後の方は少し声が震えてしまった……やっぱ
まだトラウマなんだろうな……俺が
言い切った後、少しの無言の後に
俺を抱きしめてくれる
「……それでも良いよ、私もユーマ君の事支えるわ
今度は私があなたを助ける番よ」
「……ありがと」
俺はそのままレイディに身をゆだねる
一度ぎゅっと抱きしめた後に離すと
丁度ミトが作業部屋から出て来た所だった
俺とレイディを交互に見た後口を開く
「……その様子だと成功したみたいね
これからよろしくねレイディ」
「ええ、よろしくねミトちゃん」
2人は改めてなのか握手をする
俺はその2人を見やりながら
カップを増やし空のカップにお茶を注ぐと
2人もソファに座る
「………そういえばユーマ、あなたレイディの
好意に気づいてたんでしょ?
なんで答えてあげなかったの?」
「え!?気づかれてたの!?」//
ミトのいきなりの暴露にレイディが
恥ずかしそうにする
「………俺はそこまで朴念仁じゃ無いし
流石にわかるよ………答えなかったのは
現状で2人もいるし答えても何で?って
言われるだろうし……後は俺の過去の話をして
軽蔑されるのが嫌だったってのがデカかったかな」
「……ユーマ……」
俺の言葉にミトが少しだけ気まずそうに目を逸らす
レイディが空気を変えるように明るく話し始める
「でも私は受け入れるって決めたから大丈夫よ!
………というか2人って言ってたけど
後1人は誰なの?」
「他言無用でお願い、知ってるのは
俺たち2人だけだしバレたらそいつが危ないから」
「危ない?」
俺の言葉に首を傾げるレイディ……そりゃ
知るわけないし、トップシークレット情報だからな
まぁ……キリトは薄っすら気づいてそうだけど
「クレハってわかる?」
「ラフコフの幹部でしょ?………ってまさか!」
「そのまさかだよ……クレハは1層の時点で
キルされそうになって攻撃しちゃって
そこから脅されてメンバーに入っちゃったみたい」
「幹部なのにオレンジになったのを
ほとんど見ないって言われてたから不思議には
思ってはいたけど………一度対峙した時に
やたら手を抜かれてた感じがしてたのは
それが理由なのね」
納得したというように頷くレイディ
その後すぐにハッとしたようになる
「ならすぐに助けないと!」
「そこは大丈夫だよ、クレハが自分自身で
情報集めするって言って潜入してるから
……なるべくプレイヤーを傷つけないように
してるしもし捕まっても理由は俺たちから
説明するつもりだし」
「傷つけないって……それじゃ
バレちゃうんじゃ……」
レイディの最もな意見に俺はため息を吐くと
ミトが苦笑いになりレイディは
え?といった表情になる
「そう言ったんだけど何か俺に異常なぐらい
固執するキャラで通したらしい
……なんかそれで幹部になったらしいけど
どういう事だよ………」
「なんかユーマをキルするのは私だから
みたいな感じで振る舞ってるらしいわ
本人が言ってたんだけど
何かユーマを狙うみたいな発言したオレンジが
いたらしいんだけどそれに対して腕を切り飛ばして
「ユーマを殺して良いのは私だけよ
邪魔したら………殺すわよ?」
って言ったらPoHが面白いって言って
幹部にしたらしいわ……まぁそのおかげで
今回のあなたの動きにも気づけたんだけど」
俺の言葉に苦笑いのまま説明するミトに
少し呆れたような困ったような表情になるレイディ
「……演技力凄いわね……」
「何か俺の事考えればできるって言ってたな
……無理そうならすぐに教えろよ?って
言ってるのに毎回会う時にはケロッとしてるし
………まぁとりあえずまた今度来る時教えるから
何か聞きたいことがあればその時にまた聞いて」
レイディは頷くと立ち上がって伸びをする
「今日は助けてくれてありがとうこっちからも
情報共有はするわ………ユーマ君
ちょっとこっち来て」
レイディが俺に手招きしたので立ち上がって
側まで行くと俺の視線の高さに合わせ
そのまま俺の頬にキスをしてくる
「……じゃあ、またね……」
少し頬を赤く染めながらこちらに手を振り
扉を出て行ってしまった
「……どうしたのよ」
「………何か、改めて俺にここまで好意を
寄せてくれる人が沢山いてくれるのが
幸せだなぁ……って思って」
「そうね……」
ミトはそういうと後ろから俺を抱きしめ
少しの間そのままでいる
「今日はどうする………?」
「………………ミトが良いなら……」
俺がしばらく考えて少し俯きながらそう言うと
「ふふっ」と笑う声が聞こえて、抱きしめていた
腕をパッと離す
「とりあえず時間も時間だしご飯食べましょうか
午後の営業も頑張りましょう?」
俺の顔を覗き込みながら微笑むミト
………俺の事好きでいてくれる人を
悲しませないようにしなきゃ………
To be continued……
お久しぶりでございます雪染遊真です
ここまで投稿が遅れるとは自分でも
思いませんでした……仕事で疲れ過ぎだし
体調崩しまくるし
時間がかかっても更新自体は止めるつもりは無いので
読んでいただいている方はよろしくお願いします