「ふー……今日は結構繁盛してたなぁ」
「そうね………今日の分は売り切れて
最近の売り上げも入れて
ギルドに入れるコルを差し引いても
しばらくは大丈夫ね」
今日は何があったのか結構人が来て
ダンジョン攻略に使える防具から
日用品やらアクセサリーなども売れた
「んー………夕御飯にしてもまだ早いし
どうする?部屋でくつろぐ?」
俺が入り口の看板をcloseに変えると
ミトが伸びをしながらそう言った
「それも良いけど………散歩とかは?」
「良いけど………どういう風の吹き回しよ?」
「いや、噂がある場所に
行ってみたいなぁって思って」
「噂?」
俺の言葉に訝しげにこちらを見やるミト
「そ、2ヶ所あるんだけど、一つは22層の
森林なんだけど幽霊みたいなのが出るって噂で
カーソルも出ないらしい、もう一つは
この層の主街区で誰かにつけられてる感覚に
なるんだけどスキルにも引っかからないし
振り返っても誰もいないのにずっとつけられてる
感じがする……って噂があるんだよ
………どっちが良い?」
「行くのは確定なのね……まぁ良いけど」
俺が噂の説明をしてどちらが良いかと聞くと
呆れたように溜め息を吐く
「まぁこの層の方はしばらくしたら
つけられてる感覚が消えるらしいから
そこまで怖がる事は無いと思うけどね」
俺のその言葉にミトは一瞬考える様子を見せる
「………どっちかならこの層の方が良いわ
……そっちの方なら幽霊じゃ無いし」
「何か言った?」
「べ、別に?何でも無いわ」
小声で何かを言ったので聞くと少し焦ったように
誤魔化された………まぁ5層攻略の時に
少し怖がってたし苦手なんだろうな……
俺がそう思いながらウィンドウを操作してると
ミトが訝しげに覗き込んでくる
「何してるのよ」
「ん?キリトに連絡って思ってさ
前会った時にこの話になって、2つあるから2人で
別々の所に行こうぜってなってさ……まぁ、自分が
いる層の方にしようとは思っていたけど」三3三
「そうなのね………アスナ、なんかごめん」
俺がそんな風にメニューを操作しながら
言うとミトが顔を上に向けながら
そう呟いた
「って事で、主街区に来た訳だけど………」
「意外と人居るわね………みんな噂の確認かしら?」
「どうだろう……まぁでも他だと
ウインドウショッピングぐらいしか無いしなぁ
……後は俺たちみたいにデートとか?」
2人で周りを見回しながら会話して歩いて行く
俺が周りを確認していると俺たちと同じように
男女ペアで歩いてるプレイヤーをちょこちょこ
見かけるのでそんな事を言うとミトも
見回してから頷く
「そうみたい……みんなこの世界に慣れて来て
心に余裕が出来始めたのね……」
「まぁ良い事だよ、ずっと緊張状態だと
精神的にも苦しいし、たまにはこうやって
リラックスしないとな………っとここから先が
圏外って事は………こっちだな」
俺がそう言いながら何気なくミトの手を握り
俺が先導して今決めた目的地へと進む
「ちょっ、ちょっと、そっちって何も無かったと
思うけど?」
「そうだっけ?………つけられてる感じが
するから、捕まえてとっちめようか」
「………!?」
後半の言葉を囁くほどのボリュームで言うと
ミトが驚いた表情になったが、声は抑え込み頷く
俺が握っていた手をミトがしっかりと
握り直したのを確認し、曲がり角の先へと行き
アイコンタクトをする
ミトは物陰に隠れ、俺は建物の屋根へと登り
待ち、おそらくつけてきたと思われる
奴の影が見えたタイミングで後ろに飛び降り
ミトと挟み撃ちにする
「つけてきて何の…………って子供?」
「あ………」
姿を確認すると薄い紫色の髪色で肩に
掛かる程度の長さの女の子だった
………問題はカーソルが出てないという事だ
俺を見やった後に瞳を閉じながら急に
力が抜けたように崩れ落ち、咄嗟に
ミトが受け止める
「……この子、カーソルが出て無いわね……」
「そうだな……ここにいる訳にもいかないし
………家に戻るか?」
「そうね、何かのバグなのかわからないし
カーソルが出ないのは不思議だけど
こんな小さい子をほっとく訳にはいかないわ」
その後、女の子を抱き抱えて家に
戻って来た俺たち2人だが、まだ少女は意識を
取り戻していなかった、とりあえずベッドに
寝かせておこうとなり、寝かせて毛布を掛け
向かいにのベッドに座りミトと話す
「とりあえず、わかる事と言えばこの子が
NPCじゃ無いって事かな……」
「そうね……NPCならさっき私が
抱き抱えた時点で警告が出てるはずだし」
「それに家にも入れた………まぁ、バグが起きてる
プレイヤーなんだろうな……」
「それにしても、こんな小さな子がSAOに
ログインしてただなんて……」
2人でそんな話をしてこの子が何者なのか
考えているとメッセージが届いた表示が出たので
何気なく開く………マジで……?
「何?誰から?」
「……キリトから、俺らと同じで女の子を
保護したらしい………しかもこっちと同じく
意識が戻らないんだと」
「え?あっちも?………偶然にしては
出来すぎね……」
メールを読むと小さい女の子を保護した事と
目を覚さない事、カーソルが無い事など
こっちと状況が全く一緒らしい………
そんな偶然あるか……?
「……とりあえず明日この子が起きたら
キリト達と合流するか」
「そうね……何かわかるかも知れないし」
ミトがベッドに寝転びながらそう呟き
目を閉じるのを横目に俺はウインドウを開いた
「……ん………むにゃ………朝か……」
微睡みの中から目が覚め、何気なくウインドウを
開こうと思い身体を起こした時に横から
視線を感じ、そちらを見ると女の子が
興味深そうにこちらを見ていた
「……ミト、起きろって」
「んー……何よこんな朝早くから……」
「女の子が起きてるんだって!」
「……!!」
俺の言葉にミトが起き、女の子を寝かせていた
ベッドへ行き、話しかける
「良かった目が覚めたんだな
……何で街を歩いてたの?」
俺がそう声をかけると、女の子は少し考える
そぶりをした後、小さく首を振った
「そっか………じゃあ自分の名前はわかる?」
「…な……まえ?………なまえ……」
女の子は少し考えてから首をかしげる
「ストレア……わたしの……
なまえは……ストレアだよ」
「ストレアか、良い名前だな。俺はユーマで
こっちがミトって名前だよ」三3三
俺が自己紹介をしてミトを紹介すると
女の子……ストレアは少し首をかしげる
「難しかったかな?」
ミトがそう聞くとストレアはかぶりを振って
俺に顔を向けた
「パピーと………マミー……だよ?」
ストレアが俺とミトを見て言ったその言葉に
あっちにいた時の自分の事を思い出した。
もしかして、この子の親はもう………
「……そうだな……パピーだよ」
ポーカーフェイス……というか感情を抑え込み
なるべく笑顔のままストレアに話しかける
そんな様子の俺を見てミトも俺と同じ結論に
いたったのか、それとも別の何かを感じたのか
そのままストレアを抱き抱えるとストレアは
ガラス玉のような瞳から感情が宿った目になり
表情に生気が宿ったように感じた
「ごめん、ミト」
「良いのよ………あっちの事思い出したの?」
俺の様子を見てミトの
心配するような言葉に俺は頷く
「そう、だな………ストレアがどうかは
わからないけど、もし親を失ってたなら
ショックからああいう状況になってても
おかしくないな………って思って」
「ああいうって………あなたもなったの?」
俺の言葉にミトは恐る恐るといった様子で
俺に聞くが俺はかぶりを振る
「いや、俺の時は気丈に振る舞ってたんだ
周りに心配かけちゃ駄目だ!……って思ってたから
………特に親父が助けてた人にはって………
ただでさえ仲良かった人を失ってるのに
俺が更に迷惑かけちゃ駄目だ!って……
今思えばその時に一回心壊れてたのかもな……」
「…………」
俺の自虐するような呟きにミトは心配するような
表情で黙り込んでしまった、誤魔化すように
俺は再度かぶりを振って話し始めた
「悪い、俺は良いんだ、今幸せだし
それよりストレアの事考えなきゃ」
「……そうね」
「とりあえずはキリト達の家に行って
情報共有しよう、何かわかるかも知れないし」
「って事で来た訳だけど………」
「こっちも目を覚ましたのね」
「ごめんね?連絡が遅れちゃった」
キリトとアスナのホームへ行くと、こちらと
同じように保護した女の子……ユイと言うらしい
が目を覚ましていた
「そっちは何かわかった?」
「いや、名前ぐらいしかわからなかったな
……他だとウインドウが普通のプレイヤーと
違うって事ぐらいか?」
「ウインドウが違う?」
キリトは俺の訝しげな表情に頷く
「ああ、普通なら最上部に名前とHP、EXPバーが
あってその下に装備フィギュアと
コマンドボタン一覧ってあるはずなんだが
ユイはHPもEXPバーも無いんだよ
コマンドボタンも俺らよりかなり少ないし
……名前も変わった名前だし」
キリトの言葉に俺はミトと戯れているストレア
へと話しかける
「ストレア、ウインドウ開ける?」
「なに?それ?」
「あ、なら右手の指を振れる?こんな感じに」
俺がやろうとした事に気づいたのか
ミトもフォローに入り、ミトが指を振ると
ウインドウが表示された
それを見たストレアが同じように指を振るが
ウインドウが開かない………とそこでユイが
ストレアに話しかける
「左手だよ!」
「左手?………あ、出た!」
「ごめんな、ストレア、可視モードボタンってのが
あるんだけど分かるかな?それを
押して欲しいんだけど……」
ユイのアドバイスでウインドウが開いたので
可視モードボタンがあるだろう場所を押して
もらうように言うと少し考える素振りの後に
「これかな?」という声と共に指を動かすと
効果音と共にウインドウが見えるようになる
「ちょっとごめん」と一言言ってからストレアの
ウインドウを覗き込むと<Strea-MHCP002>
というネームが見える
「……こっちも変わった名前だな
……ユイとも関係あるのか?」
「どういう意味だ?」
「いや、MHCPまでは一緒でユイは001なんだけど
ストレアは002だから何か関係あるんだろうなと
思って」
……MHCP………何かの略称なんだろうけど
何の略称だ……?……俺はそう思い
ウインドウの操作を始めるタイミングで
丁度キリト達は何かの準備を始める
「何準備してるんだ?」
「アスナ、教えてなかったのか?」
キリトの言葉にアスナはしまった!という
表情になり頭に手を当てた
「……ごめん、色々あったから忘れてた…」
「アスナにしては珍しいわね……気持ちはわかるわ」
ミトの言う通りアスナにしては珍しいミスだ
こういう連絡事項はしっかりみんなに回すのが
アスナだし、まじで気が動転してたんだろうな
……俺もミトもそうだったし
「とりあえず始まりの街に行こうと思ってな
同じような子達がいないか聞き込みしようと思って」
キリトの意見にミトも頷く
「なるほどね、確かに始まりの街には私達より更に
年下の小学生とかぐらいの子達がいたはずだし
もしかしたら2人の事知ってる人がいるかも」
「そうか……なら早めにいって
この2人の親を探さないとな……」
To be continued……
お久しぶりの雪染遊真です
この辺りからSAOクリアまでの
プロットがややこしいことになっているので
そこを確認してから執筆しています
先の展開は決まっているんだけどな……
ここからが結構大変なので
今より更に頑張って
執筆しようと思います!