相変わらずにぶらぶら歩くは東京砂漠。
メガネくんのスマホの『悪魔召喚プログラム』とアオガミが通話? できたので別行動を始めてしばらく経った。特に当てがあるわけではないので悪魔をしばいたりミマンさんたちを探していると、空の上に黄金の龍が見えた。神龍とかそんな感じの。
なんだか雰囲気的にありがたい感じだったので拝んでいると、近くの羽の生えた女の子っぽい悪魔『モー・ショボー』が真似してきた。
そしてすぐに「何も起きないじゃん!」とキレて襲ってきたので写せ身で手打ちにした。3人に勝てるわけないだろうに。
「それで、何で襲ってきたのさ」
「コウリュウに何かしてたじゃん。私ちょっとファンだから話してみたいなーって真似してたのに何も起きないから……つい」
それは仕方ない。俺でもおそらく同じことをするだろうから。
「ユート殿はあのコウリュウ殿と何か話をしたいのでありますか?」
鱗とか牙とか高く売れそうだから、分けてもらえたらと。
「……普通の神経したら『あなたの指は高く売れそうだからください!』みたいな発想にはならないと思うよ? いやアンタが普通じゃないのは知ってるけどさ」
だが、弓矢とかを当てたらワンチャン何か落っことしてくれはしないだろうか。こう、ブレワイみたく。
「それで怒らせたら私たちが命を落っことすでしょうが」
それはそうか。
という事で喧嘩を売る事はやめにしたが、どう見ても色々知ってそうな強キャラ臭があったので話を聞いてみる事にする。具体的には、高いところから大声を出す的な方法で。
「コウリュウ殿ー! お聞きしたい事があるのですがー!」
「コウリュウー! こっち向いてー! かっこいいー!」
蘭丸とモーショボー(なんか着いてきた)が高所から声をかけ、俺がマガツヒをチカチカさせて目を引く。とりあえずはこれでどうにか……あ、なった。
『ほぅ、ナホビノか。珍しい奴が現れたモノじゃのう』
コイツ……直接脳内に! (ファミチキください)
(ファミチキは売っておらぬぞ)
……本当に直接脳内に!? え、すいませんナマ言いました。
「キャー! コウリュウに話しかけられたー!」
「深みのある声でありますね。とても“らしい”でありますよ」
「……まぁ、怒らせてないなら何でも良いか」
わーきゃーした連中をよそにコウリュウが近づいて来る。しかしながら俺の中になにか懐かしい感覚がある。おそらくだがアオガミはコウリュウと会ったことがあるのだろう。魂が覚えているほどに。まぁ、それは聞くべきことを聞いてからにしよう。
『して、何の用じゃ?』
「蘭丸達は道に迷っているのであります。世界規模で」
異世界と外宇宙からの迷子が一人ずつ、探し人の手がかりがない奴が一体だ。あとアンタのファンが一羽いるのだがサインは書けるだろうか?
『ふむ……儂の手でもなんとかなるモノじゃの。そこの凶鳥よ、受け取るが良い』
などと言って格好良く“黄龍”と書かれた傷薬をモーショボーに渡してくる。何か思った以上に面白い爺さんだ。
『さて、主らの進む道には心当たりはあるとも。儂はコウリュウじゃからな。まず、ナホビノたる其方の帰る為に進む道は北西じゃ。あっちじゃよあっち』
ありがたい。方位磁石も地図もgoogleもないので本当に。
『次に幻魔アマノザコよ……主の探し人はこの者たちと共に居れば見つかるじゃろう。一度人の世に行ってみるのも良いぞ』
「……え、なんでそこまで知ってるの? 怖っ」
『高い所に居るからの。良く見えるのじゃ』
取り合えず害意はないのだからいいだろう。向こうがその気になったら指先一つでダウンだぞ。
と、ありがたく道案内を貰ったのは良いが何か対価は必要ないのだろうか。後払いで『何かをしろ』というのは避けたい。
『ふむ……ならば主らには儂の配下の四霊獣を倒して貰おうかの。連中は最近怠けておるのでな』
……なるほど。
「遠回しに死ねと言われているでありますか?」
「まぁ、多分。セイリュウとかビャッコとかのヤバい奴らだよね? 四霊獣って。私らで勝てるわけ無いし」
『そうでもない。主らは力を使いこなせておらぬだけじゃ。今の時点でも充分に儂とでも戦えるぞ』
……え?
「……え?」
「あー、そうなんでありますか。言われてみれば蘭丸は調子出てないでありますね。ランマニウム不足だとばかり」
あの強さで万全ではなかったのか……恐るべし蘭丸。もはや蘭丸・ザ・グレートでは?
「グレートでありますか。なかなかに素敵でありますね」
「レスラーな気配を漂わせてどうするのさ」
とりあえず口車に乗るとしよう。蘭丸が良い感じになれば霊獣など余裕よ。
「ぎゃー! に゛ゃー! 死ぬ、死ぬからー!」
「蘭丸は、やれるであります……よ……」
くらましの玉! 撤退!
早速に喧嘩を売ってボコボコにされました。確かに潜在能力は俺にはある。蘭丸も本調子ならこいつらなどけちょんけちょんよ。ザコちゃんは本気を出せばきっと強いのだろう(多分)
だが、それらは今の俺たちには関係のない事だった。
ちょっと体調を整えようが、ちょっと鍛えていようが、ちょっと自信を付けようが、今現在の俺たちには関係はないのだ!
「……で、どうすんのさ。バックれても良いけど、そしたらコウリュウとやり合うんだよ? そしたら流石に死ぬでしょ」
「そうでありますね。高い所を取られているのは面倒でありますよ」
さしあたっては特訓でもするべきだろうか? 鍛え方など知らないが。
「特訓とか嫌だよ私。めんどいじゃん」
「ひとまずランマニウムを補充するでありますよ。お二人も取り入れれば強くなるのでは?」
それだ
という訳で再戦。きちんと4匹を分断して、ランマニウムを摂取した俺たちが奇襲をかける。
ランマニウムとは何か? マガツヒとどう違うのか? そもそも俺たちはランマニウムを摂取して問題はないのだろうか?
などの疑問を放り投げた俺は目の前の霊獣の一体であるゲンブを切り刻む。ビームソードでひたすらに。
俺の攻撃ではゲンブの外皮を少ししか傷つける事はできない。だからといって一発に頼ってはならない。1000発のスリケン……もとい斬撃を放つのだ!
「……ねぇ蘭丸。アイツ変な薬でもキメたの?」
「いえ、普通にマガツヒを取り込んだだけかと。ランマニウムは見つからなかったでありますから」
後の話は気にしない! アオガミ、出しやすい小技とかないか⁉︎
『人造魔人の戦闘技法の一つにあるにはある』
だったらそれの使い方を教えろください!
『今君が使っている。それが一度に多くの斬撃を叩き込む技、
あ、コレがそうなのか。
そんなふんわりした戦い方だが、ゲンブをぶちのめすのには十分だった。
「やるのお主ら。久方ぶりに負けたぞ」
「一回ボッコボコにされたんだけどね、私ら」
「ゲンブ殿もとても強かったでありますよ。しかし、怠けているようには思えなかったであります」
「おそらくだが、コウリュウ殿はお主らに強くなって欲しかったのではないか? 創世のナホビノなのだからな」
……なるほど?
「アンタにはなんも分かってないって事がわかったよ」
仕方ないだろう。俺はナホビノ一年生だぞ。
とりあえず、他の連中にも喧嘩を売っていくとしよう。ランマニウムがあれば割となんとかなる。
という訳で蘭丸。くれ
「もう無いでありますよ」
なん……だと……ッ⁉︎
俺はランマニウムなしでどうすれば良いんだ? ランマニウムが無ければ、奴らには勝てないッ!
「……残りの3匹倒したらランマニウムが補充できるかもってさ」
なるほど
何故か蘭丸の口を塞いでいるザコちゃんを無視して、残りの3匹に喧嘩を売ることを決めた。
そして、なんか勝った。
「……アンタ、ちょっと強すぎて引くんだけど」
「お溢れで貰ったマガツヒで調子が戻ったでありますよ。蘭丸もアレくらいはいけるであります」
さて、ランマニウムを頂けるだろうか。
「無いでありますよ」
……さて、ランマニウムを頂けるだろうか
「無いでありますよ」
らんま、にうむは?
「無いでありますよ」
………………なるほど、騙されたのか
「アンタが勘違いしただけだよ」
すまない、少し時間をくれるだろうか。おれは少し泣く。
そんなこんなで、俺たちは(何故か)強くなった。
霊獣を探して東京を彷徨ったせいで、現在自分がいる場所はわからなくなったのだけれども。
「あ、ここ最初に蘭丸が落ちてきた所でありますね」
……果てしなく遠回りしたが道が分かったのでヨシ!