ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんばんは。レイハントンです。

今回こそドラム担当の話です笑
そして新たに新キャラが1人……主人公とどう関わっていくのか気にしてみてください。

それではどうぞ。



第15話 強い思い

第15話 強い思い

 

 CiRCLE カフェテリア

 

 キラキラ星事件(勝手に命名した)から数日。

 

「友希那さん! バンドに……!」

「そろそろ諦めてください」

 

 あー今日も平和だなー。

 

 今日も現れた宇多川妹。本当に諦めが悪いようだ。……こう何度も同じことを繰り返すのはあまり良くないな。

 

 ふざけている様子もない。むしろ真面目に頼み込んでいるし早いうちに手を打つとしようか。いちおう知り合いだしな。

 

 習慣化しつつある宇多川妹のお願いをひと蹴りして行ってしまう湊。今日はスルーすることなく彼女の元に向かった。

 

「夕?」

「悪い。ちょっとな」

「……あなたも物好きね」

 

 そう言うと湊と同じ方向に歩いて行った。紗夜の言う通り俺は物好きなんだろうな。ああやって頑張ってるのを見てると、めんどくさいって気持ちよりも上回って助けたくなる。

 

「ぐぬぅっ! 今日もダメぇ〜? 諦めないもんっ。あこ本気なのに……なんで伝わらないのかなぁ?」

「いろいろダメだからだ。少しは考えたらどうだ?」

「え、えぇ〜? でもどうしたら」

 

 あんなに断られたらどうしようもないような気がするが、今回は1つ試せそうなことがある。前も言ってた方法だ。押してダメなら引いてみる。引いてもダメなら……スライドしてみろか?

 

「旭日先輩は友希那さんとどういう関係なんですか?」

「ただの知り合いだ」

「そうなんですね」

 

 そうなんですよ。まさかこんなにも大変なことになるとは思わなかったが……。

 

「いい事を1つ教えてやる」

「いい事?」

 

 首を傾げて俺のことを見るあこ。教えることはもちろん教えるが、あとはコイツ次第か。よくも悪くもな。

 

「湊はただお願いするだけじゃダメだ。それはわかってるだろ」

「……も、もちろんですよ」

 

 本当か? 若干というか。普通に怪しい。

 

「いいか? お前の実力を示してやらないと」

「実力……?」

「ああ。どれだけ演奏が出来るのかだな。出来れば苦労はしないが無理矢理にでも聴いてもらうとか」

「なるほど…! どうしたら聴いてもらえるのか具体的に考えてみますっ!」

「頑張れよ。あこの気持ちは痛い程伝わってる。もしもの時はなんとかさてみる」

 

 それだけ言い残してお店の中へと戻っていった。

 

 なんでなんだろう。宇田川あこという存在がどうにも気になる。いい方に転んでくれると良いんだけどな。……まぁ大丈夫だろう。

 

 実際問題、湊を納得させて演奏を聴いてもらうなんて無理があるとは思う。いっそのこと1回聴いてダメならそこで終わりにでもしない限りはな。紗夜から説得するのもまぁ無理だろう。そうなると俺の出来ることは少ないか。

 

 晴れない気分の中、バイトへと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 あれから数日。

 

 眠いな……寝るか?

 

 放課後の教室で寝てやろうかと考えたがそれは無理な相談だ。暇してると先生に目をつけられる。昨日遅くまでゲームなんてするじゃなかった。……あるだろ? ついつい時間忘れること。

 

 それにバイトもあるが、サボるにサボれん。今日はめんどくさい組み合わせのメンバーな上にご立腹になるのが2人も居るんじゃな。ここは大人しく紗夜と合流してライブハウスに行くか。さて、一応忠告はあこにしたわけだが……少しは考えてくるだろう。

 

 あれから数日が経ったが、あこが現れる様子はなかった。諦めたという可能性は……なくはない。それかなんらかの方法をとっているのか。はたまた同じ手で来るのか。頭打ちにはなっていないことを祈ろう。

 

 ふと教室を見渡すと、残っているのは俺だけではないらしい。まばらに残っているクラスメイトの中に1人、大量のノートを整理している。そういえば数学の時間ノート集めたな。

 

 南雲紘翔(なぐもひろと)……同じクラスだが話したことはない奴だ。教室では本読んだりとか、たまに誰かと話してるな。結構大人しいイメージだ。向こうは……俺のことはわからないだろうな。教室では寝てるかぼーっと外を眺めてるだけだし。

 

 1クラス分のノートの量は多いし、全員分あるか確認するのも大変だろう。まだ時間はあるし焦る必要はない。

 

 席を立って南雲の元へと向かう。

 

「手伝おうか?」

「……旭日君? あ、でも悪いよ。僕が頼まれた仕事だし」

 

 なんだ。名前知ってるのか。

 

「誰かに手伝ってもらうのはダメとも言ってなかったろ?」

「……そうだね。じゃあお願いしようかな」

 

 どうやら全員分があるのは確認済みらしい。その証拠に半分に分けられたノートの山の片方を持ち始めた。あとはもう片方を俺が持てばいいわけだ。

 

「じゃあ行くか」

「うん」

 

 ノートの山を持って教室を後にした。

 

 俺たちの教室は3階だ。職員室までが遠い。エレベーターとかつかないんだろうかと、何度も思った。

 

「旭日君は放課後なにしてるの?」

「バイトだ。そっちは?」

「僕は暇……してるかな。本読んだり、ピアノ弾いたり」

「ピアノ弾けるのか。どっかで聞いたことがあるような」

「自己紹介かな…?」

「それだ」

 

 なんとなく南雲だけ覚えてるんだよな。その他の奴は……なんだ。パンチが強すぎて覚えていたくなかった。中には真顔でBLが好きですとか。エモすぎるのを見ると鼻血が止まりませんとか。どうも個性的すぎた。

 

「あのクラスは個性的すぎる」

「旭日君も授業中だろうと寝るって言ってたような……」

 

 そんなこと言ったっけか。

 

『旭日夕です。趣味はネットサーフィン、寝ること、ゲームです。特に寝るのが好きで、授業中だろうと寝ます』

 

 ・・・あ、言ったわ。それにしても……。

 

「よく覚えてるな」

「あはは……特に印象的だったから」

 

 俺以外にもぶっ飛んでる奴はたくさん居たのにな。

 

 

 

 

 南雲紘翔。とても不思議な感じがする。

 

 

 

 

 

 

 手伝いを終え、帰る準備をしていると机の上に置いてあるスマホが震えた。画面を見ると紗夜から、先に行ってるというメッセージが来ていた。

 

「気合い入ってるな」

 

 紗夜のメッセージに湊と一緒に向かうとだけ返してすぐに学校を後にした。

 

さて。今日も頑張りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 羽丘女子学園 校門前

 

「え!? 友希那、今の話ってマジ?!」

 

 少々早歩きで羽丘に来た俺だったが、たまたま湊は今井と取り込み中で、そこにたどり着いてしまったから少し話を聞くことにした。ここで話すのは良いが、周りの視線が痛いからどうにかしてほしいものだ。

 

 たまにあの人なんだとか聞こえてくるが、おそらく日菜の件だろう。もう付き合ってないとか言うのめんどくさいな。

 

「本当よ。バンドを組んだわ、紗夜って子と。それからこの男は……召使い?」

 

 チラ見してから言う湊だが、俺だけ呼び方がおかしい。知らん顔してた俺はいったいどうすればいい。なんだ召使いって。

 

「あれー? 旭日君も一緒なんだね」

「まぁな。毎日苦労させられてる」

「あはは〜.….…」

 

 なんとなく想像出来るんだろう。苦笑いを浮かべている。こうまでストイックな幼なじみを持つと大変だ。

 

 話が少し脱線してしまったな。

 

「まだギターとボーカルだけだけど、コンテストに向けて、新しい曲も出来上がってきてる」

「バイトの合間にエグいお願いしてこられたのは俺だけどな」

「あなたに出来ないようなお願いはしてないつもりだけど」

「ならもう少し素直に人の話を聞くことを覚えてくれ」

 

 出来ると思って頼られてるのはこの際素直に喜んでおこう。だが1つ思うことがある。

 

 話をするために電話をすると毎回遅い時間まで意見の食い違いで引っ張られるんだよ。お陰でこっちの睡眠時間は減っていく一方だ。その分学校で寝てるわけだが。おっとこれは説教コースか?

 

「そっか……あははっ、なーんだ☆ 教えてくれなかったからびっくりしたじゃん!」

 

 少しだけだ寂しそうな顔をしたのは幻覚だろうか。

 

 それよりも湊は今井に言ってなかったのか。まぁ……必要なさそうと思ったら言わなそうな性格してるしな。言ってやるだけでいいのに。

 

 そうは言う今井だが一瞬見せたあの表情はなんなんだろうか。とうとうこの日が来てしまったかのような表情は。

 

「友希那がついにバンドか〜。アタシ以外とつるまないで1人で居るからさ。結構心配してたんだよね〜」

「リサ……でも私は、本気だから。私もその子も、FUTURE WARLD FES.に出たい。目標が一致したから組んだだけよ」

 

 確かに目標は一致してるはずだ。ただこの先も目標が一緒だからと言って続くかどうかはわからない。現に紗夜がそうだからな。でもなんだろうな……湊と紗夜はストイックすぎるとこが似てるからなさそうだ。

 

「それにこれは、お父さんの……」

 

 突然変わった悔しそうな表情。今井は何かを知っているんだろう。何も言うことなく次の言葉を並べる。

 

「ん。……わかってる。目的は置いといて、アタシは嬉しいよ。友希那と一緒に、練習してくれる仲間が出来たってことだし」

 

 仲間か。普通はそう考えるんだろうけど、湊は馴れ合いは要らないとか言いそうだな。……流石に言い過ぎか。というか言い過ぎであってくれ。

 

「でもさ、どーすんの? FUTURE WARLD FES.のコンテストって、3人以上が条件じゃなかった?」

「だいぶ痛いところを突いてくるのな。俺もその件では困ってるんだ」

「そうなの?」

 

 こっちはこっちで話を進めていると、話を一刀両断するように湊が個人の話を続けた。

 

「バンドを組むこと。止めないの?」

 

 湊の言葉にある事を思い出した。紗夜が湊とバンドを組んだ日の夜。家まで送った時に言われた一言。

 

『止めないの? また同じことになるかもしれないのに』

 

その言葉に返す言葉なんて相場が決まってる。

 

『俺が止めればやめるのか? 紗夜の夢は俺なんかの言葉で止まるほど安くはないだろ?』

 

「友希那は、アタシが止めたら、やめるの?」

「リサ……」

 

 だよな。幼なじみを見守る幼なじみなんてみんなそうさ。結局心配で、何かあったらほっとけないんだ。めんどくさいと言いながら助ける俺が良い例だな。

 

「ゆ、友希那さん、お願いしますっ!」

 

 お、おう。いきなり来たあこが湊に頭を下げてお願いをしに来た。だがそれは前と同じ方法だ。それでは……。

 

 すかさず反応したのは湊ではなく今井の方だ。

 

「リサ、知り合いなの?」

「あこと知り合いなんだな」

「どうして名前知ってるのよ」

 

 そこの話はどうでもいいんだが? あれだけお願いしてくる相手の名前も……知らない方が普通か。

 

「お願い! お願いお願いお願いしますっ! 絶対いいドラム叩きます! お願いします!」

 

 いきなりのお願い攻撃に戸惑う者は居なかったが、冷静に対処しようとした俺の代わりに今井が対処を始めた。

 

「ちょっとちょっと。話が見えないんだけどっ。あこ、ドラムやってるんだっけ? 友希那のバンドに入れてもらいたいの?」

「うん! でも、何度も断られちゃって……。そしたら旭日先輩に言われて考えたんですっ!」

 

 おい。なに余計なことしてるんだよみたいな目を俺に向けてくる湊。後で殺される勢いなんだが? 俺は少しだけアドバイスをしただけだ。それにほっとけないだろ。

 

「…….どうしたらあこの本気が伝わるかなって考えて、それで、えっと」

 

 言いたい言葉がたくさんあるんだろう。少し切羽詰まりながら話すのを静かに見守る。

 

「友希那さんの歌う曲、全部叩けるようになって来ました! いっぱいいっぱい練習してきて……その」

 

 最初は迷いがあった表情だったあこだが、真剣な眼差しで湊に負けないくらい堂々と言った。

 

「お願いです! 一回だけ! 一回だけでいいから一緒に演奏させてください! それでダメだったらもう諦めるから」

 

 それでも湊友希那は折れない。

 

「何度も言ってるけど、……遊びじゃないの」

「まぁまぁ、友希那。いいじゃん、一回くらい一緒にやってあげなよ。旭日君もそう思うでしょ?」

 

 ここは合わせてほしいみたいなウインクを俺に飛ばしてくるが、そんなこと最初からわかってるさ。種を蒔いたのは俺だからな。刈り取らなければいけない。

 

「まぁな。湊、お前と音楽をしようと思ってこんなにお願いしてるんだぞ?」

「そうそう。それに……」

 

 あこの鞄からはみ出ていたノートのようなものを今井が引っ張り出して湊に見せながら言った。

 

 かなりボロボロのスコアだ。それを見るからに考えられるのは一つ。

 

「あこの使ってるスコア……こんなにボロボロになるくらい、何度も何度も練習してるってことでしょ?」

「かなり使い込んでるな。努力してる証拠だ」

「ね? 友希那。あこのことは同じ部活だし知ってるけど、やるときはやる子だよ?」

 

 どっちにしても本当に練習してきたかは、セッションすればわかることだ。出来なければ真実が表に出るだけ。

 

 だが俺はどうせ出来ないんだろうという勘は働かなかった。むしろ……。

 

「はぁ……わかったわ。一曲セッションするだけよ」

 

 あの湊がとうとう折れた。さすがは今井だ。湊友希那がどういう人間かわかっての行動がほとんどだったな。俺なんかよりもずっと彼女のことを理解している。

 

「ほ、本当ですか!! ……本当?! やったぁ……! リサ姉、旭日先輩ありがとう!」

「別に俺はなにもしてない」

「やったーっ。よしっ。友希那! アタシもセッション見学していい?」

 

 めっちゃ喜ぶあこを目の前に隣からよくわからないことを言う奴が出てきた。一曲セッションするだけなのに今井が来たいと言い出すとはかなり意外だ。

 

「別に……いいけど。どうしたの急に。スタジオなんて、随分来てないのに」

「えっ。ど、どうって……別に〜? ライブハウス以外で歌ってる友希那も、たまには見てみたいじゃんっ?」

 

 一瞬どこかを見ながら話すと、すぐに湊に視線を戻す。若干怪しさが見えるな。

 

 だが見学くらいなら俺は居てもらっても全然構わない。仕事内容は変わらないからな。それにバイト先が少し儲かる程度。

 

「そ、それに。紗夜って子がどんな子かなのかも気になるしさ〜」

 

 今井がそう言うと湊が俺に視線を向けてきた。特に言うことはないため、小さくうなずいた。それでわかってくれたんだろう。

 

「……そう。好きにしたら」

「やったっ♪」

 

 少しずつだけど、湊とは言葉を交わさなくても話せるようになった気がするのは気のせいか。これからやることが決まったからか、湊は1人ライブハウスの方へと歩いて行ってしまうが、その隣に並んだ。

 

「なぜあの子なの?」

「直感。あとは純粋にあこが出す音を聞いてみたい」

「そう……でも、実力がなかった時は」

「わかってるさ」

 

 フェスに出るためには生半可な気持ちと技術じゃダメだって言うんだろ? 確かに技術と気持ちは大事だ。でもな……その2つだけじゃ、自分の求める音は出ないと思う。

 

 このセッションがどう転ぶかでこの先の運命は変わる。

 

 この時、スマホに届いている紗夜からのお怒りメールに気づくことはなかった。

 




あることを忘れている主人公。それはいったいなんなのか……笑
そしてやっぱりリサ姉はいい人! 事情もよくわかっていないのに、フォローが完璧すぎた……。

後ほど新キャラのプロフィールを出しておきます。

次回はまだまだドラム担当の話です。

お気に入り登録してくださった方ありがとうございます!

それではまた次回。
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