ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんばんは。レイハントンです。

最近立て込んでいてなかなか投稿出来ず申し訳ないです。
今週は3回投稿しようと思いますので、読んでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。


第18話 スカウト

第18話 スカウト

 

 羽丘女子学園付近

 

 結局鈴音を先に行かせたのは正解だったみたいだな。うるさいのが1人居るが、スルーしていればそのうち大人しくなる。駅に向かわないとCiRCLEには行けないからな。真宗は自ずと静かになるってわけだ。

 

「あれー? 旭日君じゃん」

 

 羽丘の校門前にたどり着くとちょうど見知った人が2人。

 

「今井と湊か」

 

 ここは女子ばっかりだからな。真宗には辛いだろう。だから大人しくなる。

 

「先行ってていいぞ」

「そ、そっすか? じゃあお言葉に甘えて〜」

 

 そう言うとものすごいスピードで走り去っていった。女性恐怖症なら仕方ない。ここは女子しかいないから。まぁ女で女にモテてるすごいのは居るけど。

 

「今のは?」

「バイトの後輩」

「そ、そっか。それにしても早いね〜」

「いろいろあってな」

 

 ここでそのことを話すと横の人に殺されかねないからやめておこう。なんだその早く歩けよみたいな顔は。怖いんですけど。おこの時の紗夜くらいに。

 

「早く歩きなさいよ」

「言ったよこの人」

 

 いつものように罵られていると。

 

「あ。友希那さん! とリサ姉、旭日先輩! 今日も練習よろしくですっ!」

 

 宇田川妹が現れた。真宗と違ってこっちは可愛げがあっていいな。あいつも悪い奴ではないんだけど、いかんせん鈴音と喧嘩が多すぎる。

 

「お、あこ。なんか日課になってきたね。あこの顔、見ない日ないな〜」

「ダンス部も一緒だしねっ。一緒に踊って、演奏して、友希那さんの歌の力になるっ」

 

 途中おかしくないか?

 

「ちょっとちょっと、アタシ達バンドでは踊らないよ? ま、スタジオ行こっかー」

 

 そうだな。早くしないと殺意が俺に飛んできそうだ。

 

「私は先に行くわ」

「ええ? 先もなにも、行き先一緒じゃん!」

 

 だがすでに歩いて行ってしまった湊。もっとこう……愛想良く出来ないもんかな。俺も人のこと言えないんだけど。せめて一緒に行くくらいいいと思う。

 

「って、もう、友希那! 追いかけよっ、あこ!」

「うんっ!」

 

 ようやく歩き出したはいいが、あこによって通せんぼされてしまう湊。

 

「友希那さん待ったっ! とーせんぼっ」

「……どいて」

 

 おー怖い怖い。背筋が凍るようだ。

 

 結局あこを避けて行ってしまった。

 

「ってやり過ぎちゃったか〜。ごめんごめん!」

「やり過ぎは良くない。怖い思いするの俺なんだからな?」

「あはは〜。行くとこ一緒なんだから、並んで歩くくらいいいでしょ?」

 

 笑って誤魔化されてしまったがまぁいい。わかってて反応されないのよりは遥かにな。

 

 思い出すのは智紀と涼子が喧嘩した時。悪いのは完全に智紀なんだが、いかんせん謝らない。だから完全にしかと食らってたな。あの時の涼子もなかなか……。

 

「……はぁ。わかったわ。なら少し、静かにしていて。でないと刺すわよ」

「絶対俺だろそれ。言い回し怖いんだよ」

「やった! いえーいっ!!」

 

 いやいや。いえーいっじゃないんだよ。どこぞのハイテンション芸人じゃあるまいし。それに2人揃ってはしゃいでいるとだな。

 

「……あなた達を加入させたのは、早計だったかも……」

 

 ため息を吐き出してから出てきた言葉には頷けないが、理解は出来る。うるさくするなと言ってもうるさくする奴をさっきまで見てたしな。

 

 一通り騒いだあとあこが何かに気づいた様子。

 

「ってあれ!? リサ姉その指どうしたの?」

 

 その言葉に全員が今井の指に視線が向いた。

 

「ネイル……全部はがしちゃったボロボロ…?」

「なんだ、心境の変化か?」

「えっ。い、いや〜…こらは…その」

 

 上手く誤魔化す言葉が出てこないんだろう。戸惑っている。別に誤魔化す必要はないと思うが。本人からするとダメなのだろう。

 

「ほ、ほら? なんかネイルするだけがギャルじゃないし? 爪からシフトチェンジってゆーの? イメチェンイメチェン!」

 

 お、おう。誤魔化せてはいないが、真面目に取り組もうって気持ちは伝わってくる。それよりもギャルって感じを出そうとしたんだな。今はあんまり見かけないような……。

 

 こういう時そっとしておいてやるのがいいんだがな。宇多川妹はストレートだ。

 

「でも……リサ姉……もしかしてベース弾くのに」

「いいからいいから。シフトチェンジらしいし」

 

 フォローをなんとなく入れてみるがそれでも食いつこうとする宇多川妹。さながらカミツキガメみたいだ。

 

「そんなことよりさっ、あこ! 練習終わったらクレープ食べない? あの、裏通りにできたやつ」

 

 そんな話ですり替えられるわけ───

 

「クレープっ!! 知ってる知ってる! いっつも混んでるところだよねっ!」

 

 すり替えられるんかい。まだまだ中学生ってことなのかはたまた少し抜けているのか。

 

 なんて1人眺めていると今まで話に入ってこなかった湊が話しかけてきた。

 

「リサ。ネイルを取るのは正しいわ。でもペースは守らないと、指を壊して……」

「わかってるってば〜。旭日君はーバイトだよね。友希那も一緒に、っていかないかぁ〜あはは」

 

 今日は夜までだからな。あの2人の面倒も見ないといけないし。バイトよりも混ぜるな危険コンビの相手の方が面倒だからな。

 

「アタシ生クリーム増し増しでいこっと!」

「どこぞのラーメン屋だな」

「あはは〜そうかも」

 

 頑張って無理はしてないと言いたいのか。はたまた本当に無理はしてないのか。今の今井を見てもわからない。さすがに幼なじみともなれば心配の1つもするんだな。

 

 湊の心配そうな表情が俺の視界の端に映る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今井達と話しながらCiRCLEに来るとあっという間だ。いつもは裏から入る所を今日は表から一緒に入った。ロビーには四十崎さんと鈴音の姿はなく、困ったことに奴の姿しかない。

 

「いらっしゃ……ませ〜」

 

 "い"はどこいった。それに安心したような顔してるけど、俺はまだ何にも準備してないんだからな? 助けを求める相手が違うぞ真宗。

 

「予約していた湊です」

「ひゃい! しょ、少々お待ちを〜」

 

 あれは緊張しているのか。はたまた苦手な女の人が居て今すぐにでも逃げたいけど、逃げられないから葛藤しているのか。どっちにしろかみかみだな。

 

 慣れない手付きで頑張る真宗を見ていると、今井が肘でつついてきた。

 

「前から思ってたんだけど、あれって緊張してるの?」

「いや……緊張とは少し違うな。真宗は女性恐怖症なんだよ」

「女性恐怖症?」

 

 確か理由は、上に姉が2人。妹が2人。母親が居て、父親は単身赴任。つまり家では男1人ということだな。しかも長女と4女がとても厳しいらしい。何年も女ばかりの生活で女性恐怖症になったと本人が言っていた。

 

 なぜこのバイトを始めたか。それは自分を変えるため。今はなかなか成果が出ないが、努力しているのはわかっている。

 

「だから温かい目で見てやってくれ」

「う、うん。わかったよ」

 

 さてフォローでもするとしよう。いちおう教育担当は俺だからな。

 

 ここは先輩らしく……と思って動いた矢先。

 

「お客様申し訳ありません!」

 

 見かねた鈴音が現れ、真宗の代わりに接客をはじめた。このパターンは正解なんだが、終わった後に問題が多く発生する。まぁ見ていればわかることだ。だいたいは予想つくだろ? さっきの2人を見ていると。

 

「いえ。急いでいるわけではないので」

 

 湊は割と真宗に対して怒ったりはしない。話したわけでもないんだがな。厳しい一面ばかり見てきたから俺の感覚が麻痺しているのだろう。

 

 結局手際よく湊達をスタジオへと通してひと段落が着いた。俺と真宗しか居ないのを確認して鈴音が口を開く。

 

「柏崎! またあなたって人は!」

「あーもう、うるさいうるさい!! 人が頑張ってる時に!」

「頑張っているならもっとこう…….! スムーズに!」

「出来たら苦労しねぇよ!!」

 

 こうしてまた喧嘩が始まるのだ。今回の場合は慣れようと頑張った。待たせてはいけないから代わった。個人的な意見としてはどちらも正しいからなんとも言えん。どうするか……。

 

「もっと練習すべきだわ」

「してますー。ノートに穴が空くくらいしてますー」

 

 その例えはわからん。例えるの下手くそかコイツは。

 

「どうせ妹さんでしょ?」

「そ、そんなわけねぇだろ! ばーか! ばーか!」

 

 子供か。語彙力皆無だな。ほらみろ、鈴音も四十崎さんも呆れて……。

 

 ふと視線を右に向けると、いつも整っている長い髪がボサボサになっている四十崎さんの姿が目に入った。

 

「あはは〜。2人とも元気だな〜。お姉さんもガンバッチャウゾー」

 

 こ、この四十崎さんは徹夜明けの姿。いつもは絶対に言わないようなことを言ってる辺り、二徹は硬いな。いや待てよ……。

 

 よく姿を見てみると、ワイシャツのボタンが1つずつかけ間違えている……ということは。三徹か? ・・・そんなことを言ってる場合じゃない。

 

「はいはい。2人とも、仕事に戻れ。今回は2人とも正しいから気にするな。ミスしても俺が何度だって頭下げて謝るから」

「わかりました……すいません」

「もっと頑張ります……」

 

 素直でよろしい。……今日は気合入れて頑張るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 CiRCLE ロビー

 

「ごめんね〜夕君。迷惑かけちゃって……」

 

 と言いながら落ち込んでいるのは四十崎さん(三徹の姿)。とりあえず少しだけでも寝てくるよう勧めてちょうど帰ってきた所だ。30分くらいは仮眠出来ただろう。帰ってもらってもよかったんだけどな。本人が頑張りたいって言ってたし、尊重した。

 

「懐かしいな〜。前もこうして夕君に頑張ってもらっちゃったよね」

「懐かしいってそんなに日は経ってないですよ?」

「そうだっけ?」

 

 実際そうなのである。俺がSPACEを辞めてからあまり日が経たないうちに、CiRCLEでバイトをすることになったのも割と最近だ。

 

「あの出来事がなかったら、夕君はここに居なかったかもだね」

「そうですね。ライブハウスって結構ありますし」

 

 ちょっとだけ昔の話をしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SPACEを辞めてから数日。特にやることがなかった俺は久しぶりに何も仕事がない状態でライブを見たくなり、近くのライブハウスに訪れた。

 

 ライブハウスCiRCLE。駅から比較的近く、外にはカフェ、個人練やグループでの練習が可能。ライブも定期的に行われているライブハウスだ。カフェにしか来たことがないから中はよくわからない。

 

 今日は知らないバンドのライブを観に来たわけだが……中に入るととんでもないことになっていた。

 

 ロビーにはボサボサの茶髪の長い髪の女性スタッフ。その隣で電話をしてなにやら焦っている黒髪のセミロングの女性スタッフ。慌ただしく働いている背の小さい女性スタッフ。

 

「えぇ!? インフルエンザ?!」

「レポート……終わるかな….…」

「あれっ?! 次何やるんだっけ?!」

 

 なんだこの状況。本当に今日はライブがあるんだろうか。開始2時間前だと言うのに全く進んでいる様子がない。……帰るか。

 

「困ったな〜。海藤君もインフルエンザで休み。スタッフの数が足りない……」

 

 その様子からして、でしょうねとしか言いようがない。

 

「レポート……レポート」

 

 別の意味で大丈夫だろうか。二徹みたいな顔してますけども。

 

「はわわ〜! ど、どうします?!」

 

 とりあえず落ち着こうか。慌ててもいいことはない。

 

「どこかにライブハウスで働いてた人居ないかな〜……なんてね……」

 

 そんな遠くを見ながら言われてもな……。

 

 

 

 

 

 

 結局手伝うことにした俺はなんとかライブを乗り切り、見事バイトとして働かないかとスカウトを受けたわけだ。今思えば手伝ったことをよかったと思っている。こんなユニークな人がたくさん集まるバイト先なんてそうそうないからな。

 

 

 

 

 

 

 

「夕君に頼り切りにならないように頑張らないと!」

「四十崎さん……まずはボタン留め直しましょう」

「あはは〜」

 

 ちょっと抜けている? というより頑張りすぎてしまう四十崎さん。普段はしっかりしているし、手際もいい。お客さん(男性の)からの受けもいい。たまに徹夜モードで来るけど、それでも居ないよりは遥かにマシだ。

 

 ユニークな人は他にも居るけど、それはまた今度。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数時間後。仕事を進めていると、スタジオから紗夜達が出てきたようだ。

 

「今日もハードだった〜」

 

 今井が疲労感出して言っているのを横目に残りの2人はピンピンしてる。今までの練習量の差なのだろう。まだまだ練習出来ますみたいな表情浮かべてるからな。湊と紗夜は

 

「次回の予約。いいかしら?」

「明日か?」

「空いているなら」

 

 まぁ普通に空いているんだが2人の顔を見ろ。あ、明日もこんなハードな練習を? みたいな表情を浮かべいてる。嘘でも空いてないって言ってやりたいが、心を鬼にするしかない。

 

「空いてる。場所はいつものところで予約しておく」

「ありがとう」

 

 手続きを済ませると早々に外へと出ていく紗夜達。鈴音はもう上がったし、四十崎先輩居るから大丈夫だろう。4人の後を追うように俺も外へと出た。

 

「ちょ、せんぱーい?!」

「後は任せた」

 

 後ろでピーピー喚いてるけど無視だ。

 

「「はぁーーーっ。疲れた」」

 

 今井と宇多川妹が揃って同じことを言う中、間髪入れず紗夜が話し出す。

 

「みなさん、少しいいですか? オリジナル曲がまとまってきたので、課題曲を増やそうと思います」

 

 もはや死刑宣告。見ろ2人の顔を。この辺りの曲で……と言って見せるリストにはずらりと曲が並んでいる。なんか前にワードでリストを綺麗に作れないかって聞かれたけどこのことだったのか。2人には悪いことをしてしまった。

 

「バンドの底上げには最適なリストだと思うわ。来週までに全員練習してくること」

 

 オーバーキル。やめてやれ。2人の体力はとっくに0なんだ。

 

「「く、クレープ……」」

 

 なんか可哀想になってきたが頑張れとしか言えない。むしろ逆効果なまである。

 

「そんな落ち込むな2人とも。クレープくらい奢ってやるから」

「旭日君〜」

「旭日先輩〜」

 

 糖分は必須だからな。もちろん適切な量だが。とりすぎると体に悪影響でしかない。

 

 なんて考えていると。

 

「夕。今日お母さんが夕ご飯作ってくれてるのだけれど」

「悪い。今日は遅いからリビングにでも置いておいてくれるか?」

「……わかったわ」

 

 毎度毎度ありがたいことだ。母さんが亡くなってからというもののたまに作ってくれるんだ。おばさんが。お、おじさんは俺に圧強くて苦手なんだけど……。

 

「ん? どういうこと?」

「いろいろあるんだ。今度気が向いたら話す。もう暗いし、気をつけてな」

 

 それだけ言い残して俺はCiRCLEに戻っていった。そんなほいほい人に話せるようなことじゃないからな。

 




今回はどういった経緯でCiRCLEに入ったのかです。
喧嘩ばっかりする混ぜるな危険コンビは後々もいろんなところで見かけると思うのでよろしくお願いします笑

あと1人増えるのにあとどれくらいかかるのでしょうか笑

密かに仮面ライダーセイバーとのクロスオーバー作品の設定を考えていたりします笑 あとは息抜き小説もそろそろ出したいなーと考えていますね。

それではまた次回。
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