ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんばんは。レイハントンです。 

投稿する機会が少なくこんなことに……現実が……。

そして早くも20話。ですがRoseliaのバンドストーリーの前半さえ終わってないですね笑

それではどうぞ。


第20話 それぞれの思い

第20話 それぞれの思い

 

 ここ最近を結果的に言うと、バンドメンバーが2人も増えた。残りは1人なわけだ。だが問題はさらに増えてくる。

 

 例えば、ブランクのある今井の演奏の仕方で気付いたことを言う。因みに言っておくがベースを弾いたことがある経験はない。出来てアドバイス程度だ。そのアドバイスもこうした方がもっとよくなるのでは? 的なやつ。

 

 あこはなんだ……バンドに1人は必要だよな? ムードメーカー。

 

 4人になればいよいよライブが目に見えてくる。って事で衣装関係の話も出てくるわけだ。男の俺が女子にスリーサイズを聞いて作るわけにはいかない。まぁ、もちろん元から作れはしないが……。

 

 バイトの合間の手伝いが本格化してきたような気がするが、一旦置いておこう。

 

 練習とバンドの練習がちょうど終わった後、紗夜を家まで送り届けた俺は気分転換に外を出歩いていた。俗に言う散歩ってやつだ。バンド活動の手伝いも考えることがたくさんあるんだが、ここ最近は別の考え事もある。

 

 どうやら日菜が紗夜のやっていることに気づいたらしい。真似をするまでには至っていないが正直時間の問題だ。日菜はただ、仲良くしたいだけなんだよな……紗夜と。昔みたいに3人で過ごしたいだけなんだ。きっと。

 

 その純粋な思いさえ。紗夜には届いていない。

 

 ぐるっと家の近くを散歩し終え、家に戻った。すると玄関の前で体育座りをしている人が1人。

 

「日菜? こんな時間にどうした?」

 

 俯いているからだろう。帰ってきたことに気付いていない日菜に声をかけると、ゆっくりと顔を上げる。

 

「ゆー…くん。おかえり」

「ただいま。……座ってないで中に入れよ」

 

 だいたい察しはつく。大方紗夜になんか言われたんだろうな。今更なに言われようとも落ち込む日菜ではないんだが、5回に1回くらいこうして俺の所にくる。

 

 なぜ俺なんだ? と最初は疑問に思った。おばさんとおじさんに相談すればいいのにって何度も言った。

 

 問題はそれほど簡単で単純じゃない。難しくて複雑だ。

 

 家の中に日菜を入れ、1人足先にリビングへと入った。電気を付けて中に入るとテーブルの上にお金と書き置きが置いてあるのが目に入る。

 

「夜飯代か?」

 

 相変わらず父さんは忙しいみたいだ。そこまで気にしなくてもいいことを気にしてくれている。

 

 

 

 夕へ。急遽仕事が入ってしまったので、これでなにか買って食べてください。

 

 

 

 夜ご飯くらいちゃんと食べている。なんなら昼と夜しか食べていないくらいに。

 

 とりあえず置いてあった金を持ってリビングを出た。玄関に日菜の姿はなく、靴が無造作に置かれていた。たぶん俺の部屋にでも居るんだろう。

 

 電気を消して俺の部屋に向かうとドアが少しだけ開いて隙間が見えていた。そこから光が漏れてくるわけでもなく、ただ暗闇が支配している。

 

 ドアを開いて中に入って最初に目に入ったのは、俺のベッドの上で体育座りしてる日菜の姿。

 

「ゆーくんはここからいつもギターの音聴いてるの?」

「流石に壁越しには聞こえない。……たまに聴かせてもらう程度だ」

「…そっか。あたしには……わかんないや」

 

 そう言うと俯いてしまう日菜。今日はだいぶやられたようだな。いつもは前向きに考えるくせに。らしくない。

 

 なんて言葉を並べても冷たく感じるだけってことは痛いほど学んだ。こういう時すべきことも。

 

 俺はそっと日菜の隣に座った。

 

「大丈夫。紗夜は本気で嫌ってなんかない」

 

 頭をそっと撫でてやると体重を預けてくるように寄りかかってきた。同い年というより妹って感じだな。日菜は。

 

「……ゆーくんのそういうところズルイ……」

「ズルイってなんだよ」

「ズルいからズルイのー!」

 

 少しは元気が出てきたのか寄りかかるのをやめて抗議してくる。結局何がズルかったのかはよくわからん。なにかがズルかったんだろう。

 

「どっか連れて行ってほしいな…」

「そう言うと思ってた。すぐ行けるか?」

「うん! さすがゆーくん!」

 

 そう言うと日菜は一足先に俺の部屋を出て行ってしまった。俺が行かなきゃ出かけられないのを忘れているんだろうか。……ありえなくはないのが日菜の悪い所だな。

 

 試しにベランダに出てみたが、紗夜の部屋の窓が開いているわけは当然ない。

 

 

 

 

 いったい何があったんだろうか。

 

 

 

 

 こればっかりは2人に聞いても答えてはくれないだろうな。

 

 部屋に入ってそっと窓とカーテンを閉じて後にした。すれ違いというのは簡単に起きてしまうらしい。

 

 

 

 

 どこかに出かけようとする姿を見ている紗夜に俺は気づかない。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ〜! どうして自転車なのー?」

「たまにはいいだろ?」

 

 後ろでピーピー騒ぐ日菜をよそに近くのコンビニに直行している。俺は普段不摂生だから歩かないと太る。2人乗りを見られるといろいろ大変だが別にお巡りさんがうろついてるわけでもないし、いいか。

 

 良い子のみんなはダメだからな?

 

「ゆーくん、お姉ちゃんと腕でも組んだ?」

「ん? 別に組んでないぞ」

「ホントー? ゆーくんからお姉ちゃんの匂いがするー」

 

 鼻効き過ぎな。あと本当に腕組んで歩いてないからな。そこの君。嘘だ〜みたいな目で見ないでくれ。

 

 じゃあなぜ俺から紗夜の匂いがするのかって? たぶんだが。

 

「練習の時だろうな。録音した音を紗夜と確認してたから、その時割と近かった」

「そっか〜。ゆーくんも頑張ってるんだね」

「当たり前だろ? 頑張らないといろいろ面倒なんだよ」

 

 湊と紗夜には本当に困る時があるほど頑張り屋だからな。思ってる以上に。

 

 この前なんて湊と遅くまで通話しながら今後についての話と音楽性について話し合ったからな。まぁ次の日は安定の寝坊だ。俺だけ。なんだかおかしい気もする。

 

「ゆーくん! ゆーくん! 通り過ぎてるよ!?」

「悪いな」

 

 急いでブレーキをかけて止まると、日菜が俺に勢いよく寄りかかってきた。そうなると当然全体重がかかってくるわけだ。男子ならわかるよな。この気持ち。

 

「ごめんね、ゆーくん」

「気にするな。通り過ぎた俺が悪い」

 

 なんか視線が痛い気がする。

 

 

 

 

 

 

「本当に良かったのか?」

「うん!」

 

 元気よく返事を返してくる日菜だが、手に持っているのはコーヒー味のアイス。2つに分けられるやつだ。食べたことあるだろ?

 

 そのかたわれでいいって日菜が言うもだから、あげたわけだ。普通に1つ買えばよかったのに、なぜ俺のから取ったんだろうか。

 

 片手で自転車を押しながら歩く中、少し前を歩く日菜の背中を眺めながらアイスを食べる。……久しぶりに食うと美味いな。

 

「ゆーくんは将来の夢とかあるの?」

「急にどうした?」

「いいからいいから〜」

「……将来か」

 

 今を生きるのに精一杯で特に考えたこともなかったな。将来の……夢。

 

「普通に暮らせばいいさ」

「それだけー?」

「それだけって言われてもな」

 

……あー。もう一つだけあったな。

 

「紗夜と日菜が幸せでいてくれれば俺はそれだけでいい」

 

 今までどれだけ辛い思いをしてきたのを見てきたのかはわからない。させたことももちろんあったはずだ。2人を近くで見てきたからこそ、幸せになってもらいたい。

 

「……もー…なにそれ……」

「ん? 何か言ったか?」

「なんでもなーい!」

 

 いったい日菜はなんて言ったんだ?

 

 その真相を知るのは本人だけ……か。

 

 1人早歩きで行ってしまう日菜を追うために俺も足早で自転車を押して行った。

 

 

 

 

 

 

 商店街

 

 次の日の放課後。今日はバイトも用事もないことだし羽沢珈琲店に行こうと思い、商店街に訪れた。相変わらず学生や主婦の人が多い。まぁ夕方だしな。

 

 ちなみに今日のバイトメンバーは真宗、天道さん、萩野、早乙女。ものの見事に真宗以外みんな女の人だ。大変だような。いろんな意味で。

 

 様々なお店から漂ってくる美味しそうな匂いを我慢しながら歩いていると、いつも行事ごとを相談してくれる商店街の人に呼び止められた。

 

「あら、夕君いいところに!」

「こんばんは。どうかしました?」

「前に相談したバイトの件よ」

 

 バイトの件………あーあれか。着ぐるみを発注して商店街のマスコットにしようって話だったか。モチーフは確か……クマ? で、色がピンクとかって言う。

 

 話の発端は商店街にもっと来てもらうにはって話からだ。そこでマスコットはどうかという話に発展。じゃあ外注して作ってもらおうというところに落ち着いたわけだ。

 

「もうすぐマスコットの着ぐるみが届くみたいでね。サイトの方にも募集出したからそのうち誰か来てくれるかも」

 

 着ぐるみの中に入るからな。結構時給高めって言う話だ。夏は暑いし、冬は蒸れるから絶対大変だろうな….…。まぁ大学生とか男の人が来てくれるといいか。女の人じゃ厳しいところがあるし。

 

「ならよかったです」

「相談乗ってくれたお礼に持っていって」

 

 そう言って渡してくれたのは袋に入ったなにか。

 

「漬物。よかったら食べて」

「ありがとうございます」

 

 今回は特に役に立ったというところは感じなかったが、そう言ってもらえるならいいか。父さんのいいつまみになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから日菜は特に落ち込む様子はなくいつも通り元気だ。本当に落ち込んでいたのかってレベルで。

 

 まぁもともとあまり落ち込むタイプじゃないからな。日菜は目に見えていいんだが、問題は紗夜だ。全く表に出さないから、フォローのしようがない。

 

 いよいよ、紗夜と日菜の関係もマズイ状況になってきたか……。

 

 なんて考えながら俺はライブハウスの外の近くで流れる川を眺めていた。

 

 放課後、ライブハウスでの練習はいつも通り行われている。バイトの休憩時間を利用して外に出てきたわけだ。

 

 ここ最近は悩みの種が増えて困る。だが放っておける問題でもない。いよいよ見守るとか言えない状況かもな……だが。

 

「どーしたの? そんな深刻そうな顔して」

「今井か…。いや、やること多いなって」

「わかるー。練習でついていくのが精一杯だな〜アタシ」

 

 そう言うと手すりの上に缶コーヒーを置いてきた。

 

「缶コーヒー?」

「あれ? 缶コーヒーはダメだった?」

「いや。ダメではない……悪いな」

 

 缶コーヒーを受け取って、早速開けて一口飲んだ。やっぱりコーヒーは美味いな。しかもブラックという辺り、今井はわかっている。

 

「旭日君はすごいな〜。友希那たちと対等に話せてさ」

「あの2人と対等に話せるようになると大変だぞ? 意見の食い違いが起こった時なんてめんどくさそうだろ?」

「あー確かに。でも…もう少し友希那の力になりたいんだよね」

 

 同じだ。紗夜と日菜の力になりたいと何度思ったことか。

 

 ふと思った。なぜ湊はあそこまでフェスにこだわるのかを。出会った頃から目指していたのはわかるんだが、理由がわからない。

 

「なぜ湊はあそこまでFUTURE WARLD FES.にこだわるんだ?」

「……友希那には内緒だよ?」

 

 なにか訳ありらしい。

 

「わかってる。これ以上バンドメンバーの関係がギスギスするのも困るしな」

「ならよかった」

 

 缶コーヒーを飲みながら再びゆっくり流れる川を眺める。

 

 少しすると今井がゆっくり口を開いた。

 

「友希那のお父さんはね、ミュージシャンだったの。かなり人気があって、メジャーで活躍してて。フェスに出るのが夢で。……でも、フェスには出られなかったんだ」

 

 まるで自分のことのように話す今井。きっとたくさん悩んできたんだろうな。

 

「出られなかった?」

「うん。確か友希那は、"売れる音楽"を強要されてて、"今の君たちの音楽は要らない"って切り捨てられたって言ってたかな」

 

 売れる音楽。

 

 今の君たちの音楽は要らない。

 

 売れるための音楽と、フェスみたいなところに出るための音楽は明らかに違いが出る。FUTURE WARLD FES.ってのはよっぽど本気じゃないと出れないらしい。湊のお父さんがいい例だ。

 

「そうか……。じゃあ二の舞になるわけにはいかない…よな」

「うん。だからこそ、アタシがもっと頑張らなくちゃいけない」

 

 もう今まで以上に頑張ってるだろ?

 

 手すりを掴む今井その手……前まで付いてたネイルはすっかりなくなり、代わりに小さな傷が増えている。どうやら頑張り屋なのは2人じゃないようだ。

 

「今井。俺には迷惑を好きなだけかけてくれていいが、心配だけはかけさせないでくれよ?」

「旭日君………ありがとう。意外に優しいんだね〜」

「意外には余計だ」

 

 飲み干した缶コーヒーを足元に置いた。今度は夕日をバックに映える景色を眺め始める。

 

「旭日夕の夕って、もしかして夕日の夕から付けられたの?」

「….…4割正解」

「えー? なになに? じゃあ教えてよ〜」

「気が向いたらな」

 

 俺はそれだけ言い残してその場をあとにした。もちろん飲み干した缶コーヒーを持って。

 

 

 

 

 

 

 昔の話だ。

 

 俺の母さんは高校1年生の12月に亡くなった。ある日、遺品のある部屋に忍び込んだ日のこと。

 

 何かないかと探って出てきたのは雰囲気が紗夜と日菜に似た人と写っている赤みがかった茶髪の人。髪の長さは今の紗夜くらいか。これは俺と紗夜、日菜が産まれる前だろうな。

 

 次の写真を見た時、真っ赤な髪の隣の人は誰だ? と一瞬思ったが、さほど気にはならなかった。その隣は母さんなんだろうなって思うところだが、いかんせん俺が似ているところはあまりない。

 

 この時はあまり気にせず、何十枚ってある写真を見漁った。

 

 ちょいちょい父さんとイチャついてる写真が腹立つけど、仲良いなとツッコミを入れて怒りを収めたな。

 

 母さんは美人で優しい所もあったけど、朝は容赦なかった。毎回ベッドから引きづり出されていたのは今でも鮮明に覚えてる。生きていたら俺も今とは違っていたかもしれない。寝坊癖は変わらなそうだが……。

 

 結局大量の写真を見終わり、最後に1枚の紙を見つけた。

 

 そこには綺麗な字で旭日夕と名前の由来が書いてあった。

 

 

 

 

 

 昼と夜を繋ぐ夕日のように誰かの絆を繋げてあげるような優しい人になってほしい。

 

 

 

 

 

 だから俺は決めた。途切れそうな日菜と紗夜の絆を繋げるんだって。

 

 その日からよく考え始めた。2人の関係について。深く入り込みすぎてもダメ。浅さすぎてもダメ。結局まだ迷ったりしているが、今は……見守りながらできることをしていく。

 

 最後に。母さん。夕って名前をくれて、ありがとう。

 

 




いろんな意味で全く気づいていない主人公。
それよりも気になることがあるのでしょう笑
正直日菜がどこでギターを演奏しているのに気づいたのかわかっていないのでなあなあな感じになってしまっています。
ちなみにですが主人公の名前の名前の決め方はパッと思いついた感じです。苗字は意味があるのですが……

次回は

さて次回もお楽しみに。
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