ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんばんは。レイハントンです。

やっと残り1人が出てきます笑
ここまで来るのに20話ですね……オリジナルの話が多めというのもあってのことですが長いですね笑

そしてしれっと新しい何かが。

それではどうぞ。


第21話 可能性

第21話 可能性

 

 CiRCLE ロビー

 

 とある日。お客さんの出入りがない時間帯。すなわちあの人。市野木さんがぐだぐだとうるさくなる時間帯でもあるわけだ。

 

「旭日ー。なぜ女の子が来ないんだ……」

「その言葉後ろにいる涼子に面と向かって言えますか?」

 

 今までにない軽蔑しきった目で見られていることをこの人は知らない。本当にどうかしている。無神経というか、気にしなさすぎと言うか。

 

「だってここはガールズバンドを応援するために作られたところだろ?」

「まりなさんはそう言ってましたけど、実際は……」

 

 言いたいことはわかる。特段すごくお客さんが練習しに来るわけでもない。かと言ってすっからかんというわけでもない。つまり中途半端ってやつだな。マイナス面に振り切っているよりは遥かにマシなんだが。

 

「ライブ開催しても来るバンドが減ってるのは事実だしなー」

「市野木さんがナンパばっかりするからだと思いますよ?」

「いやいや涼子ちゃん。みんなカフェテリアメインでバンド興味ないだけじゃない?」

「やっぱりSPACEの方が人気なのかな」

「前に旭日がバイトしてたところか。前に行ったことあるけど、オーナー怖くね?」

 

 怖いなんてまだ良い方だ。CiRCLEのオーナーなんて居るかどうかすらわからないんだから。今日もまりなさんからは来ているとは聞いた。しかし姿が全く見当たらない。前世は忍者で姿を隠すのが得意なのだろうか。

 

「お前よく頑張れたな」

「まぁ、悪い人ではないので。しっかり仕事していれば言われることもないですしね」

「いいな〜夕君。遠くてもよかったからSPACEでバイトしたかった」

 

 涼子の住むところは俺の家の反対側と言っても良いくらいだからな。つまり商店街がある方とは逆。必然的にSPACEから遠くなってしまう。

 

 ちなみに俺の家からも割と近い。だから選んだっていうのが1番デカい。

 

「旭日を見てるとちゃんとしているのはわかるな。入ったばっかりなのに仕事覚えるの早すぎたし」

「意外と物覚え早いんですよー。こう見えて人並み以上のスポーツも出来ますし」

「それは意外。雰囲気からはとても汲み取れないぜ」

「スポーツに関しては涼子ともう1人の友達に連れ回されただけなので」

 

 遠回しにバカにしれている気もしなくはないが、まぁそれも致し方ないか。外から見てもやる気ある雰囲気とは、とても言えないからな。

 

 だべって時間が過ぎていくバイトとは……。

 

 

 

 

 

 

 

 時が経つのは早いものですでに1週間が過ぎていた。今日も俺はバイトで休憩の合間に来ているわけだが。バンドの雰囲気はどこか重たい。それも仕方ないことなんだけどな。

 

 今はラウンジで休憩中らしい。

 

「あれから……1週間か〜」

「どうしよう……全然見つからないよぉ」

 

 まぁ都合よく見つかるわけもない。憐歌から聞いた話をしようとも思ったが、なんだかんだ集まってしまったからな。奇跡的に見つかるかもと思った。

 

「短期間にこの4人が集まったことの方が異常よ」

「異常どころの話じゃないだろ。ライブハウスでバイトしてきたけど、こんなすぐに集まった所見たことない」

「私は妥協してまでメンバーを揃えたくない」

 

 確かにここまでのレベルにくるとな。妥協じゃ嫌にもなる。

 

「そうね。下手なものを聴かせるよりは、いっそ居ない方がマシかもしれない……。オリジナル曲は、キーボードありきで作ったけれど……」

 

 オリジナル曲はキーボードありきで作ってたのか。バンドの問題はよく聞くけど曲とかどういうことを具体的にしてるのかはわからないな。

 

「でもそれってさ。せっかく作った曲を、ベストな状態で聴かせられないってことだよね……?」

「そうなるだろ。さっきも言ったがここまで揃っただけ良い方だ。集まらない所なんて半年くらい集まらなかったからな」

 

 それでも諦めきれないきれないのか今井が珍しく食い下がってきた。

 

「……ちょっと待って! アタシ友達なら多いし、音楽の経験とか関係なしに知り合い全員に電話してみる……っ」

 

 珍しいこと? というか、ここまで本気なんだなってことを改めて感じる。半端な気持ちでこのバンドには居られないからな。主にきびしー2人が居るから。今にも噛みついてきそうな目してるし。

 

「あっ! じゃああこも! "自分達だけの頂点"……"あこらだけの"カッコイイ、やりたいもん!!」

 

 そう言うとあこも誰かに電話をかけ始めた。こういう悪あがきって大事なんだよな。意外と。よく格闘ゲームをしているとあがきって聞くけど、やるのとやらないのでは変わってくるからな。まぁ、憐歌が言ってたんだけど。

 

「止めないのか?」

「休憩中だから良いわ。それに……」

「それに?」

「なんでもないわ」

 

 もしかしたら。なんてことにかけたくもなるか。気持ちはわかる。こうなったらいよいよ憐歌に頼んでみるしかないか。

 

 一旦スタジオを後にしようとするが、さっきからなんかじっと見られている気がする。俺の顔に何か付いてるのだろうか。

 

「湊、なんか俺の顔に付いてるか?」

「いいえ。あなたの雰囲気誰かに似てる気がするのよ」

「誰かに?」

 

 音楽に詳しい湊のことだ。もしかすると俺の母さんのことを知っているのかもな。でも今話すことじゃない。いずれ話す時は来るんだろうけど。

 

「気のせいだろ」

「そう……かしら」

 

 いつもなら気にも止めないのに今日に限ってはなんだ。ややこしいことになる前に俺はさっさと退散するとしよう。まだバイト中だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラウンジを後にした俺は外の空気を吸うためにCiRCLEの外に出た。

 

「この歌ってDiVAのだよね?」

「そうそう。もう解散しちゃったけど」

 

 DiVA。2人組の音楽ユニットだったな。確か片方は引退して、もう片方はまだ残ってたはず。名前は……そう。東雲早希だ。

 

「懐かしい歌だな」

 

 ふと左に視線を向けると、私服姿の人が立っていた。お客さん……それともスタッフの人か? 少なくともバイトの人ではないと思う。

 

「あなたは……」

「まりなさんから聞いてないのか? オレは狩場虚生(かりばきょう)。ここのスタッフだ」

 

 狩場虚生…さん。初めて聞く名前だ。

 

「はじめまして。旭日夕です」

「まりなさんから聞いている。頼れる人物って」

「そんなことは………」

 

 あるとはとても言い切れないな。普段のバイトをしている態度を考えると。……それにしてもこの人はなんだか話しやすいな。初めて話すはずなのに。

 

「狩場さんは今までどこへ?」

「オーナーの手伝いとか、いろいろとな。やっとこっちに戻ってこれた」

「そうだったんですね」

「何かあったら言ってくれ」

 

 そう言い残すと狩場さんはCiRCLEの中へと入っていった。

 

 天道さんとはまた違った感じで頼れる雰囲気がある人だ。2人が揃ったら本格的に言われたことをやっているだけで良さそうだな。

 

 なんて考えながらお店の中へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜。バイト終わりに夜ご飯の買い物して帰宅。すぐに風呂、ご飯という流れでやることを済ませた。ちゃんと父さんの夜ご飯も用意したし大丈夫だろう。

 

 部屋に行って早速パソコンの電源を付けた。いつものゲーミグチェアに座り、憐歌にメッセージを飛ばす。返事が返ってくる間にNFOを立ち上げておかなきゃな。割と良い性能だから立ち上がるのも早いし、PCゲームはだいたい快適に出来る。ちなみに自作だ。

 

 少しすると憐歌からメッセージが返ってきた。どうやら今日は1人でNFOをやっているらしい。メッセージのやりとりはめんどうなので電話をかける。

 

『おつかれさま』

「おう。今日は大輝居ないんだな」

『今日は予定あるって』

 

 人にはいろいろ予定があるからな。毎度言ってるが俺は基本ネットサーフィンをしているか寝ているかだ。最近は悩ませる出来事が多いからぼーっと考え事をする機会が多いな。

 

「そうだ。この前話したピアノが弾ける人の件なんだんだが、解決しそうだ」

『本当? ならちょうどよかった』

「よかった?」

『ゲーム友達なんだけどね。今日ちょうど連絡あって、バンドのキーボード? のテスト受けるみたい』

 

 そういうタイミングがいいこともあるんだな。湊達はちょうどキーボードが出来そうな人を見つけて、憐歌のゲーム友達はキーボードの誘いを受けたわけだ。………別々のバンドだよな?

 

「その受けるバンド名聞いたか?」

『ううん。でも確か、最近バンドを組んだらしいよ? もともとソロ活動してたみたいだけど』

 

 ってことは。俺の考えが正しければ………休憩中に電話した相手は恐らく憐歌のゲーム友達。憐歌に頼もうとしていた相手も憐歌のゲーム友達。つまりどっちにしろ同じ相手にたどり着いていたわけか。世の中意外とせまいな。

 

 でも人前に出るのが苦手なのに大丈夫なのだろうか。いろいろあこから聞いているはずだからその点も含めて了承はするだろう。人前なんて慣れていくしかどうしようもないからな。

 

『夕君? 聞いてる?』

「あー悪い。ちょっと考え事してた」

『そっか。今日はイベント高速周回でいいんだよね?』

「ああ。まだ報酬受け取りきれてなくてな」

 

 毎回恒例になりつつあるイベント周回。バイトで忙しいからな。こういう時じゃないとたくさん回れない。まぁ普通は毎イベント周回ってキツいいはずなんだけど、憐歌が居ると出来るのがすごいところだ。のほほんとしてるけど聞けばあれやこれや答えが返ってくる。

 

「今日もよろしくな」

『任せて』

 

 こうして夜更かし確定コースへと足を踏み入れた。

 

 23時過ぎに紗夜から『夜更かしはほどほどに』というメッセージが来ていたが、それに気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。今日も俺はバイトだ。

 

「ふぁ〜。眠い……」

「夜中までゲームしているからでしょう?」

 

 1時までしかしてないからセーフ。と言いたい所だが、次の日の用事があることをゲームの最中にすっかり忘れていたからアウトのようだ。

 

 そもそも今日のテストに俺は必要か? 合格かどうか判断するのはあくまでも湊と紗夜。関係ない俺は不必要………と言いたいが、前回のセッションのようなことが起こらないとも限らないから行く。

 

「そういえば今日、白金さんの友達も来るって言ってたわね」

「そうだな。もともとその友達にピアノ弾ける子が居るって聞いてたんだけど」

 

 あ、ヤバい。口が滑ってしまった。

 

「なぜそれを言わなかったの?」

「他に居るかもって思ったから最後の最後にしたんだよ」

 

 

紗夜の鋭い視線が刺さるが、今回は見逃してくれたらしい。

 

 なんとか取り繕えた……のか?

 

 ま、結局白金燐子さんにたどり着いたわかだが。なんか聞いたことあるような、ないような名前なんだよな。NFOをたまに一緒にやってるRin Rinさんってことくらいしか知らないはずなんだけど。

 

 確か紗夜は同じクラスだったはず。前にそんな話を聞いたような聞いてないような。大人しい子らしい。大人しい…….…子?

 

 俺の頭の中にはすごい量のチャットの文面が頭に浮かんでいた。ほぼ俺と同じ速度で返ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩きCiRCLEがある最寄りの駅まで移動すること数分。目的地にたどり着いた。

 

 2人でポツリポツリ会話しながら待っていると、ちょうど見知った顔が1人と前にCiRCLEのライブで見たことがある人が現れた。

 

「おはよう、夕君」

「おはよう。その子が例の?」

「うん。君の知ってるRinRinだよ」

 

 長い黒髪。大人しそうな雰囲気。NFOしてる時はめちゃめちゃ頼りになるけど、リアルだと優しくていい子そうだ。小言も言ってこなさそうだな。なぜそこを重要視しているのだろうか。

 

「とりあえず歩きながら話そう」

 

 そう言ってCiRCLEのある方に歩き始めた。恐らく湊と今井は先に行っているはずだ。後はあこも。俺達が合流すればとりあえずは揃うか。

 

「はじめまして、氷川紗夜さん。話はあこちゃんからよく聞いてますよ」

「宇田川さんから?」

「オンラインゲームやる時よく話を聞くから」

 

 憐歌って意外とコミュニケーション能力高いんだよな。初めて話した時も俺からじゃなくて向こうから話しかけてきたくらいだし。ゲームやってる時もそうだが、気が効くんだよな。

 

 紗夜と憐歌が話しているのを後ろから眺めながら、隣を歩く白金に声をかけた。

 

「はじめまして……ではないか。NFOではいつも助かってる」

「いえ……こちら…こそ。タンクじゃないのに……タゲ取ってくれて…助かってます」

 

 繋がりが今のところゲームしかないから会話はこんなもんだろう。リアルでこうして話すのは苦手そうだし、あまり話しかけないでおくか。

 

「(な、何か…‥.話さないと)」

「旭日さん……は、いつから……NFOやって……るんですか?」

「高1の時だな」

「そう……ですか」

 

 なんだろう。気を使われてるような。

 

「無理して話題見つけなくても大丈夫だ。無言は慣れてるし」

「(私が…話の苦手なこと……気づいたのかな?)」

 

 俺はあまり話しかけられる方ではないんだよな。無表情な上に目つきが多少悪いらしい。もちろん素行不良なわけでも、絶賛反抗期なわけでもない。そんな余裕はなかったしな。

 

 よくは説明出来ないけど、白金との無言の空気は嫌いじゃない。嫌いでもずっと黙っていることには変わりないけどな。

 

 しばらく歩いているとようやく集合場所が見えてきた。

 

「燐ちゃん、大丈夫?」

「うん…少し緊張……してるけど。大丈夫」

 

 いよいよだな。もしかすると今日、5人目のメンバーが決まるかもしれない。そうしたらいよいよフェスに向けての練習が始まる。そう簡単な道のりではない。だけど、心のどこかで不思議といける気がしている。

 

 

 

 

 

 

 運命という歯車が今。少し動き出した。

 

 




新キャラは増えていってしまうものなんですね……きっと笑
関係ないキャラではないので、またそのうちひょっこり出てきます。

そしてようやく燐子が登場。そろそろ5人が揃いそうな雰囲気ですね。

物語とは関係ない話ですが、今日は紗夜さんの声優さんの誕生日です!作者はあまり芸能人等に興味はなかったのですが、なぜか紗夜さんの声優さんには惹かれました笑

それではまた次回。
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