ガールズバンドに振り回される日常 作:レイハントン
はい、誠申し訳ないのですが、気づいたらこんなに月日が経ってしまいました。
リアルが忙しいのと、そこまでモチベが保てなかったのが主な要因です……。たまにはラブコメのラノベを読んでモチベを保たなければいけませんね(作者はラブコメの小説を読むと書きたい欲が出てきます笑)
あとSAOとのクロスオーバーの設定をせこせこ書いていたのもあります笑
何はともあれストックが結構できたのでまた週一投稿します。
第41話 Afterglow
CiRCLE ロビー
放課後のバイトが始まって数時間が経過した頃。受付に戻ると天堂さんが資料と睨めっこをしていた。
「戻ったか。旭日、休憩行ってきていいぞ」
「わかりました。あとお願いします」
今日はバイトが出来る時間ギリギリまで居るからな。30分の休憩がある。
「ガルジャムの件は大丈夫そうだな」
「はい。当日も観に行ってきます」
「そうか。引き止めて悪かった」
「いえ」
ワイヤレスインターホンを受付に置いてカフェテラスへと向かった。
見てないようで見ている人だ。
CiRCLE カフェテラス
「先輩、お疲れさまです」
「お疲れ。美竹たちも休憩か?」
「はい」
俺が受付に居ない間に休憩するためにカフェテラスへと出てきたんだろう。外に出てくる姿は見受けられなかったからな。
「よかったらご一緒してくださいよー」
「モカ……お前なー、いつも夕先輩に奢ってもらおうとしてないか?」
「まさか〜。そんなことないよ〜」
「構わないさ。紙袋いっぱいのパンをねだられるより紅茶やケーキを奢った方がマシだ」
そう言ってから、まずはコーヒーを買ってくるためにレジの方へと向かった。今日はスタッフさんしか居ないため、すんなり購入することができた。バイトがいるとこうは行かない。もちろん一部の人間だけだが。
コーヒー片手に5人の近くの席へと腰を下ろした。
「そうだ。結局あの後はどうなったんだ?」
「えっと……結構大変でした」
俺の問いかけに羽沢が苦笑いを浮かべながら答えてくれた。なんとなくの予想はつくがやはり大変だったんだな。
「モカは相変わらずマイペースだったしな」
「夜寝られない代わりに授業中寝てるとか言ってたよね……」
「モカらしいな」
「えへへ〜」
「褒めてはいない」
授業中寝てるってことは話を聞いていないのも同然。それなのになぜこうも成績に差が出るのか………睡眠学習が実は最強だったり…? そんなわけはないか。
「羽沢は週明けから学校行ったんだろ?」
「はい。でもなんで知ってるんですか?」
「前にお店に行った時に聞いてな」
その時にお礼として飲み物の割引券をもらった。しかも何回でも使えるときたもんだ。
「でも結局あの後モカと蘭が喧嘩しちゃって大変だったんですよ」
「あたしたち全員看護師さんに怒られましたし」
「だろうな。巴と美竹じゃなくて、モカと美竹がか。なんだか不思議な展開だな」
よくよく話を聞いてみると、美竹のことを思ってモカが煽ったのが始まりらしい。そこからヒートアップして思ってることを全部吐き出して。つまり口喧嘩だな。
だが、隣に居るだけじゃダメっていうことに早く気づけたことは大きいと思う。俺は………それに気づくのに結構かかってしまった。そのせいで紗夜に辛い思いをさせてしまったからな。
「言えた義理じゃないが、時には口喧嘩っていうのもいいもんだと思う。お互い心の奥底にある想いはなかなか言い出せないだろうし。モカの行動は正しかったと思う」
「ゆー先輩に褒めてもらった〜」
「まぁ病室で騒いだのは褒められたことではないがな」
「そこは反省してます……」
俺がその場に居たら喧嘩を止めてしまっていたかもしれない。病室っていうのもあるが、この5人が口喧嘩しているのを見てはいられなかったと思う。出会った時から仲が良かったからな。
脳裏に浮かぶのは母さんと仲良さげに話す5人の姿。
「5人で続けられそうでなによりだ」
「あーその点は……」
今度は上原がなんだか微妙な表情を浮かべた。
「まだなにか問題があるのか?」
「ガルジャムの演奏次第って感じです。父さんに聴いてもらって考えてもらいます」
「そうか。今のAfterglowなら大丈夫だと思う」
この手のライブには毎回参加しているバンドも居る。それが結構有名なバンドだったりするわけだが……美竹たちのことだ。やってやる的な感じでやる気に変えてくれるだろう。
「新曲は……流石に厳しいか」
「やります」
「マジで言ってるのか? あと1週間でどうにかするってことになるぞ」
……そうか。愚問ってことだな。目を見ればわかる。ここに居る全員が諦めているような目は1人もしていない。むしろやる気に満ち溢れている気がする。
「今回の歌詞、蘭っぽくないんですよ〜」
「ぽくないってどういうことだ?」
「雰囲気というか……素直っていうか」
「ちょっとモカ! 先輩にわざわざ言わなくていいって!」
「ら、蘭ちゃん、落ち着いて!」
なんだかごちゃごちゃしてきたが、要約すると。美竹の書いた歌詞がいつもと違うということか。それが良い方に転ぶか、悪い方に転ぶかはまだわからない。今回に限っては悪い予感はしないな。
「セットリストを考え直すのとアレンジで結構ギリギリな感じか?」
「そうですね。でもやってみせますよ!」
「期待してる」
俺をよそに騒ぐ美竹とモカ。それを止める羽沢と巴。そしてなんだか嬉しそうにその姿を眺める上原。ずっと心配してたんだろうな。人1倍に。
「よかったな。上原」
「な、なにがですか?」
「やっとひとつになれて」
「はい!」
ここ最近で1番の笑顔を浮かべて上原が返事をする。いつもと変わらない日常が戻りつつあることを改めて実感すると共にすっかり休憩ということを忘れていた。
ガールズバンドジャム会場
時が過ぎるのはとても早い。あっという間にガールズバンドジャム当日になった。
「結構人が多いね」
「割と有名なフェスだからな」
なんとか寝坊せずに起きることが出来た(紗夜に叩き起こされた)俺は紘翔と共にガルジャムの会場へと訪れた。まりなさんには感謝してもしきれない。
おそらく涼子も来ているだろう。確か友達と見に行くと言っていたからな。
「Afterglowのメンバーは大丈夫かな?」
「羽沢は緊張してるだろう。あと意外と美竹も緊張してたりしてな」
「どうだろう。緊張するようなイメージはないけど」
「内面まではわからないからな」
緊張しなさそうな今井があんな感じだったことを考えると、どうもそういうイメージがついてしまう。緊張しなさそうな人に限って緊張している的な。
この緊張っていうのは難しい。し過ぎてもダメだし。しなさ過ぎてもダメ。ちょうどいいっていうのがなかなか見つからない。
「こればっかりは俺たちが心配してもどうにもならないからな」
「そうだね。早めに会場に入っておく?」
「そうするか。人で溢れかえりそうだし」
まだ人が増えると予想した俺たちは、早めに会場内へと向かった。
ガールズバンドジャム 会場内
さすがガルジャムといったところか。人も多い上にあちこちから聞いたことがある名前のバンド名が話に上がってくる。ガルジャムについては散々涼子から話を聞いたからな……。話だけならお腹いっぱいだ。
「そういえば、智紀君は来ないんだね」
「Roseliaの時はたまたま部活が休みだっただけで、基本アイツは来れない」
「そっか。残念だね」
まぁそうでもない。サッカーバカなだけあって毎日ボールを追い回しているような奴だからな。来たら来たでうるさいし。こういった場には居て良いことの方が少ない。俺は静かに見たいんだが、アイツはどうもしつこく話しかけてくる。
「新曲もセットリストも間にあってよかったね」
「だな。1週間みっちり練習してたし」
「毎日遅くまで延長してたしね。羽沢さんもなんともなくてよかった」
「また倒れたりしないか心配していたが、必要なかったな」
一度あんな状況になればもう大丈夫だろう。それに、1番辛いのは結局自分だ。周りに心配をかけたくないって強く思う人間ほどその気持ちは大きくなる。
─────☆
いよいよAfterglowの出番が訪れた。前に演奏していたバンドでかなり盛り上がったことを考えると少しプレッシャーか。
だが、そんな心配は何ひとつ要らなかったらしい。
今回の出来事。1つ1つが彼女たちを成長させたのは言うまでもない。おそらくAfterglowを知らない人がほとんどな中、プレッシャーに負けることなく演奏している。
「Afterglowだっけ……はじめて見たけど、けっこういいカンジじゃん」
「だよね! ボーカルの子の声、超カッコイイ!」
どうやら受けもいいらしい。
「次で最後の曲です。あたしが、道に迷った時……そばにはいつもメンバー達がいてくれた。今、ここに立っていられるのも、4人のおかげだって思ってる」
この会場にいる全員が蘭の言葉に耳を傾けている。
「……みんな。あたしは、もう迷わない。どんなに迷っても、逃げたりしない。……だから、その気持ちを歌にして、届けたい──!」
彼女たちの力強い演奏に。
夕は目が離せなかった。
──────☆
ライブ終了後。
「いい演奏だったな」
「うん。前に聴かせてくれた時のような情熱がこもっててよかった」
「ガルジャムに推薦してよかったよ。本当に」
あのまま出場が危うかったら、色々と大変だったからな。こうして丸く収まってなによりだ。また何かライブがあればAfterglowを推薦しやすくもなるいいライブだった。特に最後の曲は。
「Afterglowのみんなを待つ?」
「いいや。CiRCLEで会った時に話でもすれば───」
話しながら歩いていると肩が他の人に当たってしまった。
「すいません」
「いえ、こちらこそ。ん? 君は……陽子さんの息子さんじゃないか」
「はい?」
よく見るとぶつかってしまったのは美竹のお父さんだった。前に話した時、ライブを観にきてくれると言っていたな。
「お久しぶりです。お葬式……以来ですね」
「そうだね。元気にしているようで、なによりだ」
「ありがとうございます」
美竹のお父さんも母さんと仲の良かった人の1人だ。なぜ花道の家元と仲が良かったのかはわからないが……。
「娘さんのライブはどうでしたか?」
「……お遊びかと思っていましたが、なかなか良いライブでした」
「蘭さん達はいろいろ壁にぶつかりながらも進んできました。悪いはずがないです」
「そうですか。君が見守ってくれていたおかげかもしれません」
「いいえ。たまに話を聞いてただけなので、俺はなにもしてません」
どんな選択をして先に進むのかを決めたのは紛れもない。Afterglowのメンバー全員だ。俺はほんの少しだけ彼女たちの道を1つ示しただけ。道を示してやれるほど、経験や知識はないからな。
「だが蘭たちは君に感謝していましたよ?」
「そう…なんですか?」
「話を聞いてくれるだけでも何か与えることが出来ていたんだと私は思います」
美竹たちが言ってたってことはもう会って話してきたのか。家のことも問題なさそうでよかった。この先、Afterglowはもっと伸びるだろう。湊たちもうかうかしてられないな。
「そろそろ失礼します」
「はい。CiRCLEでもAfterglowはライブしているので、今度よかったら来てください」
「そうさせてもらいます。では」
よくよく見たら門下生? らしき人たちも居たらしい。その人たち含めて見送り、少し息を吐き出した。
やっぱり貫禄ある人と話すのは疲れる。何か失礼があったらって考えると尚更な。
「あの人が美竹さんのお父さんなんだね」
「そうだ。華道の家元」
「よく緊張せずに話せるね。凄いよ」
「緊張はしないが、気疲れはするさ」
さてと。この後どうするか………。
「紘翔は早く帰らないといけないんだよな?」
「ごめんね、今日の夜は外に食べに行くってなってて」
「気にするな」
このまま家に帰ったところで暇なことは変わりないしな。こういう時は羽沢珈琲店にでも行って、コーヒーを飲んでから家に帰る。この選択肢が1番有意義だ。
「とりあえず帰るか」
「そうだね」
俺と紘翔はガルジャムの会場を後にした。
ふと会場の方へと振り返り思う。今日のライブも素晴らしいものだったと。
あと4話でバンドストーリーが全て終わります。
そのあとはアニメ一気の話をしていこうと思っているので、ポピパ好きにはぜひ読んでもらいたいです。ちなみにちょいちょいアニメの話は入れてました笑 文化祭からスタートです。
もちろんヒロインは出てくるので安心してください。
次回もよろしくお願いいたします。