ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんにちは。

お気に入りが100になり、新たに評価がついていたので嬉しく思いました。
マイペースに更新してますが、50話以上書いてることに驚いてます笑


第48話 君らしく

第48話 君らしく

 

花咲川高校 教室

 

 昼休み。夕のスマホを覗きながら涼子が口を開いた。

 

「お〜カフェに決まったんだね」

「香澄がまとめているにしては、まともな意見だ」

「強く否定は出来ないけど、そんなことないと思うよ?」

 

 どうもいつもの友人が休みらしい。今日は珍しく涼子が夕たちの輪に混ざっている。

 

「涼子ちゃんは香澄に1番甘いからな〜」

「えーいつもご飯奢ってる人に言われたくないけどなー」

「後輩に金を出させるわけにはいかないっしょ。なあ紘翔」

「ん〜奢られてばかりだと気が引けちゃうんじゃない?」

「あいつの気が引ける姿を見てみたいな」

「イメージすら出来ねぇ」

 

 もちろん香澄も奢ってもらうことが当たり前とは思っていない。行事ごと。例えばバレンタインとかハロウィンはお菓子なんかをよくくれていた。そう言う所は本当にしっかりしている・・・ように見えて本人はただ楽しんでいるだけだったりするのはなんとなくわかっている。

 

「まっ、香澄のことだしなんとかなるんじゃね?」

「こういう行事ごとには強いからねー」

「そうなの?」

「ああ。いつも輪の中心だ」

 

 変に気負わなければの話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CiRCLE ロビー

 

 今日は放課後すぐにCiRCLEへと来ている。ここ最近は花女を行き来きすることが多くなった。書類や備品の貸し出し。ほぼ生徒会の使いっ走りがあるため1時間程ずらしていたのだ。

 

 今日のメンバーは四十崎李乃と鈴音ユキの2人。彼のやることはほぼないと言っていいだろう。

 

「こんにちはー」

 

 挨拶をしながらお店に入ってきたのは割と久しぶりに会う今井リサと湊友希那だ。

 

「いらっしゃい。今日も来たのか」

「まぁねー。あれ? 旭日君って最近見なかったような気がするけど」

「タイミングの問題だな。最近は来る時間が遅いし、ロビーに居ることが少なかった」

「サボっていたわけではないのね」

「そんなわけあるか。ぼーっとするのは受付に居る時と決めている」

「うん。それはそれでダメだからね?」

 

 彼女がこの場に居たら怒られるんだろうと心の底で考えるというフラグを立てると大体居たりするものだ。

 

「2人の後ろに紗夜が居たりしないよな……?」

「あっははは。流石に居ないよ〜」

「今度、紗夜に伝えておくわ」

「善意か? それとも純粋な悪意か?」

「さぁ、どっちかしらね」

 

 後者な気がしてならないが、この際前者だということを信じるしかない。でなければ小一時間はお説教に時間が一瞬で泡のように消える。

 

「最近居ない理由って花女の文化祭と関係ある?」

「まぁな。うちの学校から備品の貸し出しをしていて、それを運んだりだ」

「パシリね」

「否定はしない」

 

 会話をしながら受付を済ませると、2人はスタジオの方へと歩き始めた。

 

「あまり遅くならないようにしろよ」

「わかってるわかってる」

 

 返事をした今井がこちらに向かって手をひらひら振っていった。ほんの一瞬で確信はえられなかったが、以前よりも絆創膏が多い気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花咲川女子学園付近

 

 バイトの日の翌日。

 

 今日の勤め(学校)を終えた夕は羽沢珈琲店へと向かっていた。最近紘翔とのシフトが合わない日が多いからか1人で居ることが増えた。

 

 最近香澄たちは文化祭の準備で忙しいらしい。全く姿を見ない。こうやって1人で帰る時は高確率で遭遇していたのが昔のように思える。

 

(いや、待て。自らフラグを立てるのは良くない)

 

 ただ真っ直ぐ羽沢珈琲店に向かっていただけ。それ以上でも以下でもない。

 

「夕せんぱーい!!」

 

 遠くから聞こえる声は気のせい。そう言い聞かせながら今日はいつもは頼まないケーキでも頼むとしようと考える。甘さ控えめなやつを。

 

「おまっ香澄! 遠くから大声で呼ぶなってこの前言われてただろ!」

「えー? そうだっけ?」

(思い切ってコーヒー以外を頼んでみるのもありか)

 

 基本は自分の好みのものを頼むことが多いが、たまには冒険もありだろう。

 

「なら近くで叫ぶのは?」

「もっとダメだろ!」

 

 聞こえないフリというのも大変だ。自らフラグを立てたが、律儀に回収はしなくてよかったと神様に問いかける。

 

 一旦立ち止まり、ため息を吐き出す。すると追いついたのか目の前に香澄が現れた。

 

「夕先輩。このあと時間ありますか?」

「羽沢珈琲店に行くだけだが?」

「今からさーやの家行くんですけど、一緒にどうですか?」

 

 どういう流れで誘われているんだろうと思う。誘われたあたり文化祭の打ち合わせかなにかではなさそうだ。

 

「俺がその場に居る意味はあるのか」

「試食とかするのでどうかな〜って」

「香澄、それじゃ伝わんねぇだろ。えっと……山吹さんが男の人も来るだろうから、意見が聞きたいって言ってました」

「そういうことか。役に立つかはわからないが、俺でいいなら構わない」

「やったー!」

 

 安請け合いしてしまっまたが、本当によかったんだろうか。考えても後の祭りだ。

 

 

 

 

 

 

山吹家

 

 大人しく着いてきたが夕は空気に徹していた。エプロンに装飾を付けているようで目的まではまだ時間がかかる。

 

「これで……OK」

「やったー!」

 

 どんな小さなことでも喜ぶ自身にはない感性にはいつも不思議に思う。

 

「みんなもOK?」

「うん!」

「はあ~♪」

「なんで私まで……」

 

 よくよく考えれば有咲は別のクラスなはず。だとするとその言葉も頷ける。

 

「可愛いじゃない。みんなうちで働く? お客さんたーくさん増えそう♪」

 

 沙綾の母親が人数分の飲み物が乗ったトレイを持って来るなり、そんなことを言った。

 

「旭日先輩も?」

「なぜ俺も頭数に入ると思った?」

「夕君が居ればお父さんの力仕事が楽になるわね」

「すごいですね。バイト決まりましたよ」

「申し訳ありませんが、早朝は守備範囲外です」

 

 なんとも不毛な会話をそれとなく終わらせエプロン1つで会話が広がる後輩たちの様子を眺める。

 

 香澄やりみはともかく、たえと有咲がパン屋さんでバイトは全くイメージが出来ない。前者は不思議な言動でお客さんを困らせて、後者はそもそも家から出てバイトってイメージが出来ないという理由に尽きる。

 

 そんなことを考えてると母親の陰に隠れていた沙綾の妹に香澄が話かけた。

 

「さーなんも着る?」

「さ…ーなん?」

「また変な……」

(フィーリングが過ぎるぞ香澄)

 

 額に手を当てて呆れていると。

 

「えー可愛いよー。いい?」

「うん」

 

 しかし嫌がることなく沙南は頷いた。

 

「可愛いぃぃー!!」

「いちいち反応が大袈裟だ」

 

 今度はリビングのドアが開いて、山吹の弟が入ってきた。今は入ってこないほうが身のためだぞと思ったが時すでに遅し。

 

「あっ、また来てる」

「じゅんじゅんだ!」

 

 どう足掻いても助けることは不可能だ。不憫だが犠牲になってくれと何も見なかったといわんばかりに目を逸らした。

 

「じゅんじゅん~」

 

 特に反応がないというよりはフリーズに近い状態。ドアを開けたまんまの姿で固まっている。

 

「う◯こ! う◯こ! う◯こ! う◯こー!」

 

 卑猥な言葉を連呼して2階に上がっていってしまった。さすが小学生の男の子と言うべきところか。

 

「えぇ~」

「純! こらー!」

「元気なもんだな。俺が小学生の時はあんな感じではなかった」

「あっ、わかります」 

「雰囲気で察するな」

 

 たえの言葉にツッコミを入れている間にも話は進んでいく。

 

「ごめんね~。お姉ちゃんの友達が来て照れてるだけだから」

 

 右手を頬に当てながら言う山吹の母親をよそに夕はある人物に視線を向けていた。

 

「うっふふふ。うん───」

「有咲ちゃんダメ!」

 

 さっきと同じことを言おうとした有咲の口を間一髪の所でりみが塞いだ。意外な一面に夕は彼女から目が離せなかった。

 

「あっ……すいせません」

「まぁ……そういう時もあるさ。気にするな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山吹家 玄関

 

 時は流れてあっという間に夜。試食だけというのも悪い気がして夕はお店を閉める手伝いをかって出た。なかなか出来るような経験ではなかったからか、個人的にはいい経験と思い苦ではなかった。

 

「曲出来たら送るねー。歌詞頑張って」

「頑張る……」

「てか……山吹さんが付き合うことなくね?」

「それは俺も同意見だ」

 

 なぜ関係ない沙綾が香澄の面倒を見るのだろうか。彼女の面倒見がいいのは確かだが甘やかすのはあまり本人の為にならない。

 

「だって……1人だと寝ちゃう~」

「2人でも寝ないといいが、その方が安心か」

「ふふっ。明日お店休みだし、うちは構わないので」

「ありがと~♪」

 

 そう言ってくれる沙綾に抱きつく香澄。しかし手慣れている為か、「はいはい」と軽く流されていた。

 

「寝てたら叩き起こして」

「いい考えだ」

「2人共酷い~」

 

 わからないことを考えるとすぐに寝るだろ、お前はという言葉をぐっと飲みこんだ夕。テスト勉強の時、散々涼子に怒られていたことを忘れていないのかと心配になるレベルだ。

 

「心配だったら泊まればいいのに」

「うっ……泊まりとか…急に」

 

 彼女の言葉に突然有咲が戸惑い始めた。

  

「なに緊張してるの?」

「うっせぇー! 私はそんな軽い女じゃねぇんだよ! じゃあな!」

 

 1人暗い道を歩いて行ってしまった彼女を横目に夕は視線を2人に戻す。一方でたえとりみはよくわからない会話を交わして帰っていった。

 

「時間がないのは事実だ。ここが頑張りどころだぞ香澄」

「はいっ!」

「それでいい」

 

 きっと大丈夫だろう。そう信じて時間も時間なので、夕は有咲の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道

 

 早歩きで言ってしまった割にはすぐに追いつくことが出来た。見えている間だけ早歩きしていたんだろうか。

 

「待ってくれ市ヶ谷さん」

「は、はい?」

 

 呼び止めると一旦その場で立ち止まり、振り返ってくれた。

 

「こんな時間だ。送っていく」

「い…いや悪いですよ」

「別に構わない。早く帰らないといけない理由もないしな」

「それなら…はい。お願いします」

 

 素直に聞いてくれたので、2人並んで歩き始める。他の生徒に見られたら面倒なことにもなるが、1人で暗い道を歩かせて問題が起きた方が個人的には嫌だ。

 

「市ヶ谷さんのクラスはもう決まってるのか?」

「劇をやるみたいなんですけど、正直あんまりというか……なんというか」

「まぁ気持ちはわかる。俺も香澄たちほど乗り気ではない」

「ですよね」

 

 今更だが互いのことをまだ知らない。ただの知り合いという関係である以上、仕方のないことだ。今日みたいに香澄に連れて行かれる以外は特に会ったりもない。

 

「あの……こういう話をするのもなんですけど……」

 

 話の引き出しが少な過ぎることに困っていると、なにやら申し訳なさそうに口を開いた。

 

「か、香澄から聞いて……いつか話せたらって思ってて」

「香澄から?」

「はい。その…旭日先輩のお母さんのことです」

 

 どうやら彼女も旭日陽子と接点があったらしい。中等部とはあんまり関わりがないって言ってたはずだが、彼女は自主休校が許されるくらい頭は良い。接点として考えられるのはそこら辺だろう。

 

「母さんのことか。別に口籠る必要はない。話が聞けるなら俺はそれでいい」

「……はい。先生にはいろいろお世話になりました。家にまで来てくれたりして。すげぇフレンドリーな感じでした」

「母さんらしい。でも市ヶ谷さんの話は聞いた覚えがない。家では1人でずっと話してるような人だったから、そんなはずはないと思うんだが……」

 

 真面目に聞いてる時と聞いてない時が俺にもあったことを今更ながら後悔してしまう。真面目に聞いていない時だったんだろう。テスト期間でもお構いなしに部屋に入ってきて、缶ビール片手に騒いでた。あれは迷惑の一言に限るためほぼ無視していた。

 

「だが中等部の市ヶ谷さんとは接点があるようには思えないんだが、そこはどうだったんだ?」

「確か体育の先生が産休? で……居なかったので、その代わりに教えに来てくれてました」

 

 へべれけで話してた気もするが、そんな話もあったことを断片的に思い出した。

 

「その時に接点が出来たわけだな。大変だったろう。家にまで押しかけてきて」

「そんなことは……! ……少しだけ」

「シラフなだけまだマシだ。酒があると何十倍にもめんどくさくなる」

「あー……なんとなく想像つきます。すげぇめんどくさそう」

 

 他人から見ればただのお節介と思われてもおかしくはない行動。それでも、動かない人間よりは遥かにマシだと思っている。人のことは言えない部分があることは自覚している。

 

(難しいな……行動に移すと言うのは)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 母親の話を聞いているうちに市ヶ谷家に着いたらしい。話していると時の流れは本当にあっという間だ。

 

「今日はありがとうございました」

「ああ。母さんの話も聞けたし構わないさ」

「ならいいんですけど」

 

 そう苦笑いを浮かべながら答える有咲。こうして話してみるとしっかりした子だと改めて感じる。香澄たちと話していると時とはまた違う感じで、オンオフがはっきりしている。

 

「話し方。わざわざ丁寧にしなくてもいい」

「はい?」

「少し砕けた感じの方が君らしくて俺は良いと思った。それだけだ。香澄みたいにフレンドリーにしてくれても構わない」

「そ、そんな……香澄みたいには」

「あまりかしこまらなくていいってことだ。今日は話をしてくれてありがとう。また今度」

「はい。また今度」

 

 別れの挨拶を告げて夕はこの場を後にした。途中で振り返ることをしなかった彼には背中に感じる視線に気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

「君らしくて……か。先生とおんなじ……優しい人だな」

 




最近ホロライブやらぶいすぽっ!やらにハマって永遠に切り抜きとアーカイブの往復を繰り返してます笑

と、同時にSAOとのクロスオーバー作品の設定を詰めていたりもしてます。NFOがメインの話ですね。

話のストックがなくなる前にPoppin'party結成編だけでも書ききらなければ……
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