ガールズバンドに振り回される日常   作:レイハントン

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こんにちは。レイハントンです。

なんとか間に合いました……実を言うとホワイトデーの回を書くのを忘れてました笑
ここ数日で頑張って書いたので、読んでもらえると嬉しいです。

それではどうぞ。


ホワイトデー

ホワイトデー

 

 写真の整理を一通り終えた俺たちはリビングへと移動していた。時間はあっという間にお昼過ぎ。もうすぐ13時に差し掛かるところまできていた。

 

 やることがあると時間が過ぎるのはとても早く感じる。それは紗夜も例外ではない。時計を見るなり、「もうお昼なのね」と言っていた。

 

 そしてリビングに来るなり、少し慌ただしくお昼の準備をし始めた。普段ならお昼は食べずに昼寝をしているとこだが、今日はそんなこともできない。

 

 俺は座っているだけでいいらしい。仕方なくテレビを見ている。

 

「お腹空いて……いるわけないわね」

「減っているわけでもなく、いっぱいってわけでもない」

「朝、ぎりぎりまで寝てたのだから当たり前だわ」

 

 朝ご飯よりも睡眠派なもんで。まぁそんなことを言えば怒られるのは目に見えているが……。

 

 紗夜に視線を向けると、なんだか鋭い視線が向いていた。あまり隠し事は出来ないらしい。

 

「寝過ぎて逆に体調を崩さないように気をつけるのよ」

「わかってるさ」

 

 なんだかんだ言ってはくるが、結局のところ心配してくれているだけなんだよな。

 

 視線を紗夜からテレビに向けると、なぜかホワイトデーの話をしていた。今年のホワイトデーは去年の倍は大変だったな。貰った数もそれなりに多かったから、返すのも一苦労だ。

 

 ふと一昨年のことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホワイトデー。

 

 主にバレンタインデーにお菓子をもらった男性が、3月14日に相手の女性にお菓子をお返しする日のこと。発祥は意外にも日本だったりする。そして起源はやはりお菓子会社の政策だ。バレンタインといいホワイトデーといい考えた人はすごいな。

 

 なんて考えながらリビングのソファーに寝転がりながら天井を見上げていた。

 

 今日は3月13日。明日はホワイトデー。そして買ったものなどない。………つまり大変まずい状況ということだ。

 

「ゆーうくーん。一応聞いておくけど、明日の準備はしたのかなー?」

 

 珍しく休みの母さんがダイニングテーブルの方から話しかけてくる。さっきまで雑誌読んでただろうに……なんで急に思い出す。

 

「お母様、明日のことは明日の自分に任せておりますので大丈夫かと」

 

 なんて、適当なことを言ってみる。あながち適当でもないが。

 

「今日の自分がなにも出来て居ないのは気のせいかしら?」

「俺がそう何度も同じ轍を踏む人間に見えます?」

「見えてるから言ってるのよ」

 

 おかしいな。完璧に隠せていると思っていたんだが。やはり母親という存在はなんでも見抜いてしまうらしい。恐ろしい………。

 

「寝てばかりいないで、早く買ってきなさい。貰った数少ないんだから」

「残酷な現実をよく息子に堂々と伝えられるな」

「興味ないでしょ?」

「ないけど」

 

 実際貰った個数は今年は去年と変わらずだった。涼子、香澄、日菜、紗夜の4人。まぁ貰っても貰わなくても対して気にはならない。イベントごとには興味ないからな。もらえるものは貰っておく。ただそれだけだ。

 

 ふとちょうど1ヶ月前のことを思い出した。紗夜からチョコを貰ったことを。

 

「イベントに興味がなかったとしても貰ったものはキチンと返しなさい」

「返さないとは言ってない」

「態度が物語ってるわよ……」

 

 ソファーに寝転がりながら天井を見ているこの行動が、返さない態度に見えると? 確かに動く気は今の今までなかったが。

 

「後で後でって言ってるから行く気がなくなるのよ。お金渡すから早く行ってきなさい」

「はいはい」

「返事は1回」

 

 とりあえず行ってくるとしよう。買うものはショッピングモールで売ってる良さそうなもので大丈夫だろうし。そうと決まれば早速。

 

 こういう時の行動力はあるらしく、さっさと着替えて家を出た。お金とついでだからと言って買い物のメモを渡されたが………。

 

 

 

 

 

 

駅前のショッピングモール

 

 やはりこういう大型の商業施設に来て正解だ。あちこちでホワイトデー限定やらなんやらやっている。さっさと買って帰ることは出来そうだ。

 

 しかし、そう上手くいかないのは世の中。たくさんあるものの、種類が多すぎる。正直どれもこれも同じに見えて仕方ない。

 

 ちょうど立ち止まった売り場の前に並ぶホワイトチョコレートを見る。そもそもホワイトチョコレートってなんだ? チョコがただ白くなっただけなのか? こう言ったことに一切の興味がない俺だが、調べたら面白そうとは思う。

 

 商品の隣に置いてあるポップに視線を移す。そこには……ホワイトチョコレートとチョコレートの違いが書いてあった。こんな奇跡があるのだろうか………。

 

 難しいことがたくさん書いてあるが、要するに原料にカカオマスなるものが入っているかいないからしい。あとはチョコレートの定義的なものが書いてあるが……よくわからん。

 

 カカオ分が35%以上、水分が全重量の3%以下…ただしカカオ分が全重量の21%を下らず………なるほどな。チョコレートにも定義があるってことはわかった。

 

 一旦この売り場を後にして、別の売り場へと向かった。

 

 見れども見れども同じに見える商品の中から選ぶのは至難の技だ。特に俺みたいな奴にはな。これは骨が折れそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 本当に折れそうだな。あれから1時間彷徨っているが、一向に決まらない。なんでも良いかと思っていた自分をぶん殴りたい。もういっそのことくれた本人に聞いた方が解決するんじゃないかって思う………そうか。なにも難しいことはない。聞けばいいんだ。

 

 決まらなさ過ぎてぼーっと売り場やら別のところを彷徨っていたのはここだけの話。

 

 

 

 

 

 

 結局最初の売り場に戻ってきた。ここでお店の人に聞いて……と思ったんだが。なにやら俺と同じ雰囲気を漂わせる同い年くらいの男が1人。茶色い髪に青色を中心とした服。

 

 すでに片手には2つの箱が。よく見ればこの売り場で1番減っているものだ。つまり売れているということか。

 

「あのー……もしかして邪魔になってます?」

「あ、いえ」

 

 ふと目が言う。澄んだ青色の瞳。それにどこかで会った気が……。

 

 じっと見過ぎてしまったようだ。もういっそのこと聞いてしまおうか。

 

「それ、お返しですか?」

「えっ……そうですね…あなたもお返しを探してるんですか?」

「そうですね」

「これ、おすすめって書いてあったので」

 

 なるほど。おすすめって書いてあったからか………そんな感じでいいのか? そもそも俺が難しく考え過ぎていただけ……。

 

「お返しって難しいですよね」

「普段あげ慣れていないとそうですね。わかります。でも……」

 

 そう言うと笑顔で俺の方へと商品を1つ手に取って渡してきた。

 

「高価なものよりも気持ちのほうが大事だって。お母さんが」

「気持ち…か。そうですね。そっちの方が大事ですね」

 

 商品を受け取ると、会釈をして相手は行ってしまった。なんだろう……とても言葉では言い表せないような気持ちだ。

 

 まぁ今はそんなことよりも、チョコを買って帰ることが先決だな。だいぶ時間が経ってしまったし。

 

 とりあえず3つだけ買ってこの売り場を後にした。もちろんラッピングをしてもらって。

 

 

 

 

 

 残り1つ買って帰りたいんだが………決まらん。なんとなく……紗夜にはちゃんと選んだものをあげたい。考えてくれなかったら俺の好みなんて知らないと思うんだ。まぁそう簡単に決まったら苦労はしてないが。

 

 本人に聞いた方が早いのはわかっている。今度はなんて聞けばいい───

 

「夕? こんな所でなにをしているの?」

 

 売り場を見回っていると、ちょうどいいタイミングというか。悪いというか。なんとも言えないタイミングで紗夜に出会った。

 

「いや…バレンタインデーのお返しをな」

「珍しいわね……と言いたいけれど、おばさんに言われて来たのでしょう?」

「まぁな……」

 

 よくわかってるな。・・・この際だ。聞いてみるか。

 

「紗夜、この後何か予定あるか?」

「特にはないけれど……」

「聞きたいことがあってな」

 

 そう言って今居る売り場の方へと視線を向けた。

 

「紗夜なら……どれを貰ったら嬉しい?」

「え?」

「いいから」

 

 割と種類が多い中から選ぶのは大変か。俺が同じようなことを言われたら時間かかるな。好きな味がないから余計にな。

 

 そうだ。紗夜もあんまり甘いものを好んで食べているのは見たことがなかったな。コーヒーもブラックだし。スイーツとかも───。

 

「これ……かしら」

 

 紗夜が指を差したチョコに視線を向ける。

 

「これか。少し待っててくれ」

「え、ええ」

 

 指差したものを手に取って会計を済ませに向かった。本人が選んだものだが……ちゃんと喜んでくれるのか?

 

 不安と期待が入り混じる中、会計を済ませた。ラッピングをしてもらい紗夜の元へと戻る。

 

「待たせたな。俺はもう帰るんだが……紗夜はどうする?」

「私も用事は済んでいるから帰るわ」

「じゃあ帰るか」

 

 あとは帰りに渡せばいいだろう。それにしてもバレンタインといい、ホワイトデーといい紗夜に遭遇する確率が高い気も……たまたまか。

 

 

 

 

 

 帰り道

 

 紗夜と帰っている時は無言の時間も多い。お互い普段からおしゃべりをする方ではないのもある。別に会話がないことに不満はない。むしろこの無言すら心地いいと感じる。

 

 だがいつまでも無言というわけにはいかない。なぜならば、さっき買ったチョコを渡さないといけないからだ。ホワイトデーは明日だが……。

 

「紗夜。少しいいか?」

「どうかしたの?」

「いや……明日渡そうと思ったんだけどな」

 

 一旦立ち止まって袋から最後に買ったチョコを取り出して紗夜に渡した。

 

「1日早いが受け取ってくれるか?」

「これって……」

「紗夜の好みがよくわからなくてな。どうせなら好きなものをあげたいと思ったから聞いたんだ」

 

 渡したものを受け取ると、紗夜が微笑んだ。

 

「ありがとう。……ちゃんと考えてくれていたのね」

「俺の好みを知っててくれたからな。逆に知らなくて悪いと思う」

 

 見ているようで、見てなかったんだな。普段からぼーっとして考えことをしているだけだし、言い訳は出来ない。

 

 そもそもなぜ俺は紗夜にだけ………。

 

「ここまで来て悪い。先に帰っててくれるか?」

「何か買い忘れたの?」

 

 まさにそうなんだよな。お返しに悩み過ぎて大変なことを忘れていた。

 

「母さんにおつかい頼まれていたのを忘れていた………」

「はぁー……早く行って来なさい」

「そうさせてもらう」

 

 全部が全部。上手くいくわけではない。それを思い知った。……後で怒られるんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 今思えば紗夜のことが好きだったから、ちゃんとしたものをあげたいと思ったんだろうな。その気持ちは紗夜も同じだったんだろうか………。

 

「夕、お昼の準備終わったわよ」

「今行く」

 

 テレビをつけたまま、ダイニングテーブルに向かうと、用意してくれたのはうどんらしい。

 

「うどんか」

「一昨年食べたいって言ってたじゃない」

「……そうか。よく覚えたな」

「言った本人は覚えていないようだけれど」

「些細なことも覚えてくれているんだな。ありがとな」

 

 お礼を言いながら椅子に座った。それにしてもよくうどんなんてものが家にあったな。正直なにがあって、なにがないのかは把握出来ていない。特に冷蔵庫に入ってない食材。

 

「午後も作業でいいのよね?」

「そうだな。まだまだやることが残ってる」

 

 今度は…どんな思い出を、思い出すのだろう。

 

 

 




本編も進めなくては……
そろそろRoseliaの前半のストーリーくらいは終わらせたいです笑

作者はバレンタインは絵師さん方の素晴らしいイラストなどが見れる日と思っています笑 もらえる相手なんていないので笑 お返しをする相手ももちろんいないですね笑

次回は本編投稿します。

それではまた次回。
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