スタンド使いは『ありふれた』   作:枯無 柊

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今回初めて投稿の作品になります。これから出来上がり次第ちょくちょく不定期で投稿したいと思います。そして冒頭部分は6部のシーンを一言一句違えずに抜粋していますのでぜひ楽しんでいってください。(たまにジョジョの様々な部やゲームなどからセリフを抜粋しています。)

注意
・この作品はジョジョの奇妙な冒険の二次創作作品です。
・作者の語彙力と表現力のせいで戦闘描写が下手です。ご了承ください。
・「ジョジョっぽくない」などの意見は受け付けません、なぜならこれは私の自己満足で書いているからです。
・誤字脱字などありましたらコメントなどで教えていただけると幸いです。


第1話

  【天国の時 地獄の門】

 時は2011年ケープ・カナベラル。空条徐倫とその仲間達とエンリコ・プッチの最終決戦が行われていた。

「これだッ!36時間後の『新月』はもう待たなくていいッ!私に必要なのが『新月』のときの『重力』の影響というのなら………!!このまま空中に浮いて同じ重力の条件を体で感じて探せばいいッ!『新月』と同じ重力の影響の位置をッ!」

「我がC-MOONの能力がッ!完璧になれる位置があるはずだッ!落ち着け!位置を探すのだッ!素数を数えて落ち着け!13、17、19」

 プッチは『天国の時』を迎えるために、そのスタンド『C-MOON』を使い位置を探していた。

「逃がすと思うのかっ。どこまでも悪あがきしやがる野郎だぜ!!」

「あいつ何かブツブツ言ってるぞ。」

「重力はそのままだッ!地面の重力は垂直に戻らないッ!!」

「エルメェス、下をみろ、ヤツの落とした銃を拾え。成長したな………徐倫……。」

「…………。………………。」

「手すりにつかまってろ。エルメェス銃を拾ってヤツを撃て。」

『ドバッドバドバッドバッ』

 エルメェスがプッチに向け銃弾を放つ。

「『C-MOON』!!」

 プッチがスタンドを使い弾丸を防御した刹那、

「『スタープラチナ ザ・ワールド』」

 承太郎が時を止めた。

「お前はそのスタンドでこれからその弾丸を防御するのだろうが、時は最大で5秒ほど止まっている。この銛の動きにおまえは気づかない。」

 『オラァッ』

 という掛け声とともにスタープラチナがプッチに向けて銛を投擲する。すると空中で銛が止まる。

「3秒前。」

 停止した時間の中でもちろんプッチは動かない。

「2秒前。」

 依然として止まった時の中でプッチは動かない。

「1秒……。」

 止まった時の中で『ギロリ』とプッチの目が銛の方を向く。

「!!」

 そして時が動き出した。

 『ウシァァァァァ』

「うおおおおおおおおおおおおお」

 プッチを貫くはずだった銛はすんでのところでかわされ、プッチの後方へと飛んでいく。

「銛がはずれた………停止した時の中を………。」

「あ…あいつ、無事だぞ。扉を開けてる、中に乗り込もうとしてるように見える……。」

「スペースシャトルが宙に浮いてるぞォォーーーーーッ!神父が展示用シャトルに乗り込んだァーーーーッ」

「銛をかわしたのか?!……だがどうやって……」

「あいつ……ただ逃げようとしているだけじゃあない…まさか……あいつ…ヤツに与えてはならない何かを知ったんじゃあ…?!あいつの能力を完成させる条件を……」

 しかし徐倫達の予感とは裏腹にプッチは焦っていた。

「な、なぜだッ!今わたしは完璧な位置に来ているはずッなのになぜだなぜ我が『C-MOON』が完成されないのだッ!」

「アナスイだッ!シャトルの外壁に既にのってるぞォッ」

「引きずり出せッ!『ダイバー・ダウン』」

「ぬぐあああ!」

 プッチの体が『ダイバー・ダウン』によって空中に投げ出される。

「そこだなッ捕らえたぞプッチ!」

 徐倫の『ストーン・フリー』が糸状になりプッチを捕らえる。

「なぜッ!なぜなんだッ!主はわたしを選んだはずなのだッ!なのになぜだァァァ!」

 承太郎と徐倫が顔を見合わせる。

「この辺り?」

「そう、そこだ。」

「「ここが一番、拳を叩き込みやすい角度ッ!!」」

 『『オラオラオラオラオラ、オラァッ!』』

『スタープラチナ』と『ストーン・フリー』の鉄拳が容赦なくプッチの全身に叩き込まれる。

「ぐおあああああああ!!!」

 ラッシュの勢いによって吹き飛ばされたプッチは痛みのショックでピクリとも動かなくなっていた。それを見たアナスイがすぐさまプッチに駆け寄る。

「こいつ、既に死んでいる…。きっと二人のラッシュに耐えきれなかったんだ。だが、だがこれは……。」

「おねえちゃん達の勝ちだッ!プッチに打ち勝ったんだ!」

「やったな徐倫!ヤツの野望を阻止したんだッ!これで晴れて自由の身ってことだよ!」

 浮かれる三人を前に徐倫は浮かない顔をしていた。

「なんというか…呆気なさ過ぎるわ……あいつは最後に何をしようとしていたのかしら…『何も起こらなかった』なんてことがあるのかしら…」

 徐倫の表情に気付いた承太郎が声を掛ける。

「今分かることは、徐倫。ヤツが死んだという事実だ。これが分かっているだけでとりあえずは一件落着としておこう。詳しいことは追追分かる。」

 そう、後に一行は、いや全人類が思い知ることになる。この時起きた異変を…

 プッチが『天国の時』の位置に到達した瞬間、たしかにある出来事が起こった。それは『スタンドの発現』であった。それも地球規模のもので、地球上の人口の三分の二がスタンド使いとなっていた。

 

 次第に人々は自身に身についたものを理解し始めた。そしてそれは様々なものに利用され始めた。あるものは人を助け、あるものは犯罪に手を染め、そしてある国々は戦争に使うようになった。

 

 スタンドを用いた戦争は従来のものとは比べ物にならないほど熾烈なものであった。スタンドに関する国際法律が定められた頃には、戦争の多かった紛争地域だけでなく、それまで先進国と呼ばれていた国々もまともな経済活動が行えなくなっていた。唯一被害が少なかったのは日本であった。理由は、ご存知の通り日本は『自分からは戦争を仕掛けない』というのが原則となっているためあまり国内での戦闘が行われなかったからである。

 

 そのため比較的都市が無事であった東北などでスタンド使いの研究者によるスタンドの研究が始まり、教育機関ではそれによって分かった正しいスタンドの使い方やスタンドの能力のことなど様々な教育がなされた。

 

 そしてその激動の時代から約250年程が経ち、世界を脅かすほどの悪意が消えたのに呼応するかのようにジョースターの血統は途絶えてしまった。さらに世界各地ではボロボロになった街の再建が進んでいた。

 

 これはそんなスタンドが恒常化した世界で繰り広げられる、とあるスタンド使いの青年の数奇な日常冒険譚である。

 

   【ピエロの青年】

 

 日本国、運内町(はこないちょう)。ここは日本有数の「幽波紋関連技術高校」の多さを誇る町である。

 

 車通りの少ない閑静な住宅街を親子が歩いていた。しばらくすると子供が転んでしまい、膝を擦りむいたようで泣きじゃくっていた。子供の横では彼のスタンドが彼と同じポーズをとっていた。

「やぁ少年、風船は好きかな。それも犬やうさぎみたいな形をしたやつなんだけど。」

 そう言うとパリッとした制服を羽織り、中にパーカーを着た高校生らしい青年が両手を合わせ、離すとその手の中から犬やうさぎ、花の形をしたバルーンアートが順々に出てきた。

「うわぁすごい!これお兄ちゃんの力で出してるの?」

「そう、これは俺のスタンドで出来てるんだ。面白いだろ?」

「うん!ピエロの人みたいで面白かったよ!」

「うちの子がごめんなさいね。その新しい制服、今日から高校生の子かしら。」

「えぇそうなんです。これから入学式で……、ってやっべぇ開始の時間までもうギリギリだ!もう転んでも泣くなよ少年、またな!」

 そう言うと青年は自分がやってきた方向に走り出した。

「あの子、うちの子を泣き止ませるためにわざわざ寄り道してくれたのね。ほらちゃんとお礼言いなさい。」

「ありがとうお兄ちゃん!転んだ時は風船思い出すね!」

 それを聞き振り返って笑顔を向けてから青年は角を曲がり見えなくなってしまった。

 

   【曇りのち雨】

 

「危ねぇ…ギリギリ間に合った…。」

 息を整えられないまま受付に向かうと受付の体育教師が片付けをしようとしているところだった。

「あ!ちょっと待ってください!俺も今日入学式に出るんで来たんです!生徒名簿に載ってると思うんで確認して貰えませんか?」

「ん?あ〜と君は…あぁまだ来てなかった新入生徒は君だったのか。まだ来ていなかった生徒は1人、名前は『鮗柊吾』(このしろ とうご)君だね。」

「はい、そうっす。」

「君は一年C組、出席番号は十三番だね。もうあと二分くらいで始まるから、入学式会場の体育館の自分の席に着いておきなさい。」

「すみません、ありがとうございます!」

 そう言うと柊吾は体育館に向かってまた走っていった。

「元気な生徒が多くて助かるな。今年は不良が少ないといいんだがな。」

 『ピリリリ、ピリリリ』と体育教師の持っている電話が鳴った。

「はい、もしもし加賀原(かがはら)ですけど、はい、はい、え?体育館裏に不良がたむろしてる?分かりました、今向かいます。」

『鮗君といったか、あの生徒、不良に絡まれてなければいいんだが…。』

 加賀原のこの祈りとも言える心の声はその数分後に裏切られることになる。

 視点は切り替わり、柊吾は体育館前に着いていた。

「ふぅ…またギリギリか…今日はツキがねぇな…。」

「へぇそうかい、ツキがないのかお前。じゃあ今日の入学式という日に俺たちにボコされて有り金全部ここに置いて逃げてくってのもよぉ、ツキがなかったってことで許してくれるよなぁ?」

 柊吾が顔を上げると『ごろつき』という単語が見事なまでに当てはまる生徒が三人、体育館の裏から現れた。

「ん?なんだあんたら。見た感じ同級生ってよりかは先輩って感じだけど。」

「その通りだが、先輩に向かって随分な口聞くじゃあねぇの。そうだよ俺たちゃ三年だよ。というわけで俺たちのスタンドでボコされたくなかったら金置いてけ。」

「いやぁそれは無理なお願いっすね、これ終わったら中学の時のダチと昼飯食いに行く約束してるんで。」

「俺たち先輩の"お願い"が聞けねぇってのかよ。なぁ?」

「それならよ、ボコボコにされても文句は言えねぇわな。」

 そういうと二人のごろつきが柊吾に向かい、スタンド攻撃を仕掛けてきた。

 二体のスタンドはどちらも人型を取っており、感情の伺えない無表情なロボットのような顔をしていた。

『どちらも近距離パワー型っぽいな。』

 そう心の中で言うと

「あんまり登校初日から問題は起こしたくないんすけど。」

 と言いながらスタンドを使うことなく、柊吾は攻撃をかわし後退していく。少し下がったところでごろつきの攻撃がピタリと止んだ。

「この辺までが射程距離の限界ってとこすかね。それならこれで。」

 今朝の少年の時のように柊吾が両手を合わせ、離すと同時にそこから拳銃が現れた。その瞬間不良たちの顔が青ざめる。

「ひぇぇ!銃なんて出しやがったこいつ!やべぇよどうする!」

「バカかお前、ただの高校生が本物の銃なんて持ってる訳ねぇだ…」

 『バキューン!』と、西部劇やスパイ映画さながらの銃声で不良たちの会話は遮られた。

 着弾点はちょうど弾丸の形にへこんでいた。

「じゃあそういうことなんで先輩方、とりあえずは一発ずつくらいは入れときますね。」

「やべぇよこいつ!に、逃げるぞ!」

「カツアゲ相手に本物の銃なんて、こいつまじにイカレちまってるんじゃねぇのか?!」

 三人のうち二人が背を向けて逃げ出す。柊吾はその二人の頭を的確に撃ち抜く。

「こ、こいつ二人を殺りやがった!たかがカツアゲしようとしたくらいで殺すこたぁねぇだろ!」

 あまりの出来事に恐怖すらも忘れたのか、凄むごろつきの横にはごろつき二人の死体が出来上がっている"はず"だった。倒れている二人の、撃ち抜かれたはずの頭からは血の一滴も流れてはいなかった。

「いやいやさすがにこんなことで殺すわけないじゃないすか。エアガンっすよエアガン。まぁ人を気絶させられるくらいには威力上げてるんすけど。」

 その事実に安堵したからか、はたまた先程の恐怖が遅れてやってきたからか、残ったごろつきは体の力が抜けたらしくその場に座り込んでいた。しかしハッとしたかのように喋りだした。

「こ、今回のことはすまなかった!もう二度とお前の前には現れねぇよ!だからもう勘弁してくれ!」

「んー、まぁそうっすね。こればっかりは俺もちょいとやりすぎかと思ってたんで。次で最後っす。」

 はぁ、とごろつきが安堵のため息をつく。しかし自分が直面した事実に気づき表情を強ばらせる。

「つ、次で最後…って…。」

「そう、あんたの番ってことっすよ。」

「う、うわぁぁぁ!」

 座り込むごろつきの眉間にエアガンを押し付ける。

「先輩だかなんだか知らねぇが覚えときな。俺は鮗柊吾、そして俺のスタンドの名は『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』だ!」

 柊吾の口上を聞き終えると同時にごろつきはエアガンに撃たれることなく気絶してしまった。

「はぁ…やっぱり絡まれてたか鮗君…。」

「あ、さっきの先生。さっきはありがとうございました。あと道案内ついでにこれの掃除お願い出来ませんかね。」

「ん?これって言うのはまさか、君一人で三人を相手取って、しかも勝ってしまったと言うのか?」

「ま、まぁ実質二人だったかなぁ、なんて……いや、ほんっとにすんません!じゃあ俺は遅れあそばせながら入学式に行ってくるんで!じゃあ!」

「お、おい、鮗君!はぁ…。とりあえずは保健室に連れて行くか…。」

 柊吾の登校初日はこうして幕を閉じ、平和な普通の学校生活が幕を開ける、はずだった。

 

 

 入学式の翌日の体育館裏……

「すんません浩之さん、幸紀さん!あ、あいつガチにやべぇやつだったんすよ!」

「そうなんすよ!俺たちじゃどうにもならなくて!」

 浩之(ひろゆき)、幸紀(ゆきのり)と呼ばれた二人はごろつき三人を見つめ何も言葉を発さない。

「あいつのスタンド、拳銃みたいな見た目してたんすよ、最初地面に向けて撃った時は本物の拳銃の威力だったのに…。」

「そうなんすよ!俺たちがくらった時は中身いじったエアガンみたいな、殺傷能力まではない威力に変わってたんすよ!」

 そこで初めて二人は表情を少し変えた。

「んで、てめぇらはそのただの拳銃の威力をいじれるだけの能力に負けたわけか?あぁ?」

 浩之が不良たちを罵る。

「まぁまぁ落ち着けって兄さん。それで?それがその君たちをボコした鮗柊吾とかって奴の能力の全容なのか?それを把握してるから僕達に報告してきたんだよな?」

 それを聞いた幸紀は浩之をなだめ、不良たちに確認をとる。

「そ、それは………分かりません…。」

「なるほどね、つまり君たちはなんの成果も出せなかったことを、わざわざ、僕達に報告しに来たわけだ。」

「「「すんません!」」」

 幸紀の氷のように冷たい威圧感に圧倒されたごろつき三人は反射的に謝っていた。

「まぁいいや。兄さん、その男どうする?まぁ答えは決まってるんだろうけど。」

「当たり前だろ、今日のうちにでもそいつをボコしに行くんだよ。善は急げって言うだろ?」

「そうだね、僕達二人なら無敵だ。なにせ僕らは二人で一人、ここらじゃ"あの方"を除いて誰にも負けやしない、双子のスタンド使い鷹野兄弟なんだから。」

「『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』か、楽しみだぜ。鮗柊吾…貴様はきっと『あの方』の邪魔になる…。それにやられっぱなしじゃむかっ腹がたつしなぁ、かならず消すぜ。」

 

 こうして柊吾の学校生活は波乱の展開を迎えたのだった。

 

   【鷹野兄弟が来る】

 

「やっべぇなこれ…かなりまずいぞ…これは…。」

 深刻な表情をして柊吾は自分の机の上を見つめていた。まるでこの世の終わりとでも言うかのような独り言をつぶやきながら。

 すると隣の席の男子が、

「もしかして君その宿題解けないの?僕が教えようか?」

 と話しかけてきた。それを聞いた柊吾の顔がパッと明るくなる。

「まじか!ありがてぇ、えーとあんた名前なんて言ったっけな…桂木、桂木…。」

「蒼太ね。まぁ改めて、僕は桂木蒼太(かつらぎ そうた)。僕はスタンドを持ってないからスタンドの紹介とかは出来ないけど、仲良くしてくれると嬉しいな。」

「おう、よろしくな。というか今どきこの世代で珍しいな、スタンドを持ってないなんてよ。もしかして両親とも非スタンド使いなのか?。」

「いや違うよ、父さんは今は死んじゃったけどスタンドを森林探検家の仕事に活かしてたし、母さんはスタンドを家事に使ったりしてる。正直君たちみたいな人が羨ましいよ。」

「なんか、すまなかったな。まずいこと聞いちまったな。」

「いいんだよ、別にコンプレックスだとかストレスだとかそういう訳じゃあないからね。ところで僕が教えるだけじゃ割に合わないから、鮗君のことも教えて欲しいな。」

「もちろんだ。俺は鮗柊吾、スタンドの名前は『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』。能力は、まぁ追々話すわ。」

「なにか話したくない理由でもあるのかい?それとも今度の授業からのスタンドの実技で有利になるから?」

「まぁそんなとこだな。」

『奴らにつけ狙われてるから、なんて言えるわきゃねぇわな…。』

 柊吾が目線を少し教室のドアの方にやる。そこには昨日のごろつき達が様子を伺っていた。しかし柊吾に見られていることに気がつくとすぐにどこかへ走り去って行ってしまった。

「どうかしたの、鮗君?」

「ん?あぁなんでもねぇよ。あとよ、その苗字とくん呼びやめてくれねぇか、柊吾って呼んでくれ。」

「分かったよ、柊吾。そういえば早速次の授業はスタンドの実技、能力測定だよ。体育館でやるって言うから早く行かないと。」

「おう、そうだな。」

 二人が体育館に着くとそこにはサンドバッグや据え置き型のスピードガン、お坊さんが座禅を組むようなお座敷までもが所狭しと並んでいた。

「すごいね、さすがは日本有数のスタンド関連高校。ステータス測定が本格的だ。ほらあのサンドバッグは破壊力、スピードガンはその名の通りスピード、お座敷のところは多分持久力だよ。きっとあそこに座ってスタンドを発現させ続けるんだ。あ、あの人ちょうどスタンドを出してる最中じゃあないか!」

 そう言う桂木の目はヒーローショーを観る子供のようにキラキラと輝いていた。しかしそれを聞いた柊吾は少しの違和感を感じた。

「ん、ちょっと待て今お前スタンドが見えてるみたいな言い方しなかったか?」

 桂木は柊吾の言葉が耳に入っていないようで設備の方ばかり見ている。

「ごめん、何か言った?聞いてなかったや。」

「いや、なんでもねぇよ気にすんな。」

「それならいいんだけど。というか柊吾も測りに行きなよ、僕もついて行ってあげるからさ。」

「お前さては俺のスタンドがどんなもんか知りたいだけだろ。」

「あ、バレた?まぁでも別にいいじゃないの、僕達友達なんだからさ!」

「あーもうわかったよ。行けばいいんだろ行けば。」

 柊吾達が測定に向かおうと体育館の中央程まで来た瞬間、

「おいお前ら外へ出ろ!鷹野さん方のお通りだ!」

「出ねぇやつはまとめてボコっちまうぞ!」

 と怒号が響いた。声のした方を見るとやはりと言うべきか、昨日のごろつき三人がそこにいた。しかし教室の時と体育館裏の時とは明確に違うことが一つだけあった。

 三人の後ろに髪色と片耳につけたピアスの位置以外ほとんど違いのない二人組がいたのだ。

 その場にいる全員の視線が彼らの方を向くと

「『The・highlows』、爆ぜろ。」

 と二人組が不気味なほどぴったりとタイミングを揃えて言う。その瞬間『ドガァァン!』という鼓膜が張り裂けるかのような音とともに小規模の爆発が起きた。

「きゃあああ!」

「やべぇなんか爆発したぞ!」

「早く逃げろ!」

「おい押すなよ!順番に出ればいいだろうがよ!」

 パニックになった大勢の生徒がその場から逃げ出そうと体育館の出口に群がる。

「ね、ねぇ柊吾。僕らも逃げようよ。アイツら何をする気かは分からないけどここにいたら危険なのは確かだよ!」

 桂木が柊吾の方を見つめ不安そうに言う。

「いやダメだ。奴ら昨日の復讐に自分たちの親分を連れて来たんだ。既に無関係の人も巻き込んでしまっている。奴らはここで仕留める。だからとりあえずお前だけで逃げろ。」

 柊吾の言葉を聞いた桂木は少し戸惑った表情をしたが、すぐに意を決した顔になった。

「それなら僕も残るよ。僕に出来ることがあるとは思えないけど、それでもここで逃げちゃだめな気がするんだ!」

「かっこいいこと言うじゃあねぇか桂木。わかった、お前もここにいてくれ。だがあの二人組のスタンドがどんなものか分からない以上迂闊に近ずいたりは出来ねぇな。とりあえず俺の後ろに下がっててくれ。」

「うん、分かったよ。頑張って!」

「おいおいおいおい?!お前らいつまでくっちゃべってんだ?せっかくこっちから出向いてやったってのによぉ。人を待たせるたぁどういう事だ?!」

 痺れを切らした二人組の片方が怒鳴りたてる。

「いつ俺が先輩方を呼んだんすか。特に用なんてないっすよ。」

「いいやそれは違うな。君は僕たちの使いっ走りをボコした。これは喧嘩を売られたととって問題ないだろう。つまるところ君の行動が僕たちを呼び寄せたのさ。」

「そりゃあ随分なこじつけっすね。そもそもの話、けしかけてきたのはその使いっ走りなんすけど。」

 『ドゴォォォン!!!』と最初の時よりも大きな爆発が、双子と柊吾の間に起こった。

「うるせぇなぁ!その押し問答はどうだっていいんだよ、おらさっさと出せよ。鮗柊吾、お前の『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』をよぉ。」

「君のスタンドは拳銃のビジョン、そしてその拳銃の威力を操作できる能力だと聞いた。」

「可哀想なやつだよな、こいつも。そんな能力じゃあ俺ら双子には絶対に適わねぇ。これは絶対だ、お前のスタンドは俺たちの爆風の前に敗れる。」

「あのーさっきから俺のスタンド、スタンドって何か勘違いしてやいませんかね。俺のスタンドが拳銃のビジョンだって?そいつはどうすかねぇ!」

 そう言うと同時に柊吾が二人に向かって真正面から突っ走り出す。

「はははは!おいおいこいつバカなのか?俺たちに向かって、スタンドも出さずに突っ込んできやがったぞ!」

「ダメだ柊吾!そいつらのスタンド、きっと距離だ!そいつらのスタンドの爆発力には距離が関係している!近づいちゃあダメなんだ!」

 桂木がそう言った時には柊吾は既に双子から5mほどの距離まで近づいていた。

「いいや、もう遅いね!喰らわせろ「The・highlows」!」

 『ドゴォォォン!!!』という轟音とともに今までとは比べ物にならない爆発が起きた。

「柊吾ぉぉ!くそッ!…柊吾が…柊吾が!」

「ふっ、この距離でなら完全に爆死したな。どれ、そろそろ煙も晴れてくるかな。」

 しかし巻き起こった硝煙の中からうっすらと見えたのは焼死体でも、吹き飛んだ肉片でもなく、依然走ってこちらへ向かってくる柊吾の姿だった。

「なぜだッ!なぜ爆死してねぇんだ!」

「違う兄さん!こいつのスタンド、拳銃なんかじゃあなかった!盾だ、機動隊が持っているような盾を構えている!」

 柊吾の前には幸紀の言うように、柊吾をすっぽりと覆う大きさの盾が出現していた。そしてその時既に柊吾は双子から2mも無い距離にきていた。

「…いくら自分の能力でも…ここまで近づかれたらよ…自分達も巻き込んじまってさすがに爆破出来ないよなぁ?」

「な、なるほど!近づけば近づくほど威力が高くなるというなら逆にもっと近づけばいいんだ!柊吾の発想の勝利だ!」

「ということで仕返し、させてもらうぜ。」

 いつの間にか柊吾の持っていた盾は消え、柊吾のそばには所々に機械らしいパーツが見えるアンドロイドのような人型のスタンドが立っていた。

 『セアァ!』

 という掛け声とともにそのスタンドが浩之を一発殴った。殴られた浩之は2mほど吹き飛んだ。

「兄さん!」

「よそ見なんてよ、先輩。してる暇ないんじゃあないすか?……『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』!」

『セアァァァァ!!』

 『ブレイブ・トゥ・トゥモロー』のラッシュが幸紀に炸裂する。

「ぐあああ!!」

 そしてまた幸紀も浩之の所まで吹き飛ばされる。

「に、兄さん…ここからなら…やれる…爆破が出来るよ、だから兄さん…。」

 幸紀が、まだ傷が浅く立ち上がった浩之に手を伸ばす。しかし浩之はその手を振り払った。

「知るかよボケが!お前みてぇなウスノロと能力を分け合ってなかったらなぁ、俺はあいつをボコして、『あの方』に認められていたんだよ!俺一人でなぁ!」

 それを聞いた幸紀が絶望した表情を浮かべる。

「なるほど…負けた瞬間弟に責任転嫁……か、とんだクソ野郎だな…。」

「ハッ……。」

 声のした方を見ると浩之のすぐ後ろに柊吾が立っていた。その柊吾の表情は怒りや恨みとかではなく哀れみの目をしていた。

「………お前の…負けだ…。」

『セェェアァァァァァァァ!!!』

 声を出す間もなく浩之は吹き飛び、体育館の壁に打ちつけられ気絶した。

「お前は『勇気』を捨てたんだ。兄弟二人、力を合わせて戦うという『勇気』を…。人間の素晴らしさは『勇気』の素晴らしさだ。それを失えばその人は何にも打ち勝つことなんて出来やしないんだ…。」

 そう言い終わると柊吾はフラフラと体育館の外へと歩き出した。見かねた桂木が柊吾に肩を貸してともに歩き出す。

「そういえばさ、結局君の能力ってなんだったんだ?拳銃になったり、盾になったり、さっきは人型のビジョンにもなっていた。それに拳銃の時は威力を変えたりしていたっていうじゃあないか。」

「あぁ、俺のスタンド能力は『再現』だよ。俺が分解したりぶち壊したりしたことのあるものを再現出来るんだ。ただあまり知識の無いものは再現率が低くなっちまうんだ。それに自分の体積よりもでかいものだったり、あまりにも精密過ぎるもの、例えばバイクとかは再現出来ねぇ。拳銃の時は威力を変えたんじゃあなくて内部機構だけをエアガンに変えたんだよ。経験上銃に詳しくねぇやつはそれで騙せるからな。」

「じゃあさっきの人型は何さ、能力が再現なら元は誰かの能力なのかい?」

「いやそうじゃあない、あの人型だけは物心がついた時から出せたんだ。まだ何も分解したり、ぶち壊したりしてねぇのにな。多分あれは俺の精神を具現化、つまり精神の形を再現してるんだ。」

「なるほどねぇ…。なんか今まであった中で一番初見で戸惑う能力かもな。」

「ははは、違いねぇな。今まで誰にも見破られたことがなかったからな。」

 命のやり取りをした後とは思えないほど他愛のない会話をしながら、ボロボロの柊吾を連れて、桂木は保健室に向かって歩いていった。




今回登場したスタンドのステータス&概要

スタンド名
→ブレイブ・トゥ・トゥモロー
本体
→鮗 柊吾

スタンド能力
→本体の知っている形、威力に自由に変えることが出来るスタンド。見た目は拳銃、威力は戦車砲などということも可能。形や威力は模写する物の構造や理論を詳しく知るほど精密度は上がる。さらに近距離での戦闘時には人型になり、近距離パワー型となる。ラッシュの掛け声は「セアァ!」

・破壊力 →C(変形時)orA(近距離戦闘時)
・スピード →B
・射程距離 →A(大体6~8m)orD(大体3m)
・持続力 →C
・精密動作性→A
・成長性 →B

スタンド名
→The・highlows(ザ・ハイロウズ)
本体
→鷹野 浩之&鷹野 幸紀

能力
→双子のスタンド使い、鷹野兄弟のスタンド。片方が人型の半分のスタンドを持っており2人揃うと真価を発揮する。兄、浩之は周囲の熱を操る能力、弟、幸紀は周囲の冷気を操る能力。2人の能力を同時に使用すると、温度の変動があまりにも大きすぎるため、爆発が起きる。

破壊力→B
スピード→A
射程距離→B
持続力→C
精密動作性→A
成長性→C
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