硝煙を喰らう   作:鹿屋通信

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あらすじにも書きましたがもう一度記載。
この作品は『艦これTRPG』でプレイした内容を加筆修正したものです。
中身のプレイヤーによって『序盤は一部キャラ崩壊の可能性』があります。

現状二人が凄い事になっています。


Session1【近海攻略】
01.異動、着任


 ある晴れた日の朝。

 海辺に座る黒い軍服姿の提督と、武装して戦う兵器として扱われている女の子の姿があった。

 二人共ポニーテールをしており、提督は黒髪、女の子は銀髪だった。

 

「いやあ、ようやくだね。久々の海でちょっと晴れやかな気分だ」

 

 提督は女の子にそう呟いた。

 その声はとても中性的で透き通っている。

 呟いた後に提督は乾いた笑い声を上げるが、それを聞いても男か女かの判別は難しかった。

 苗字は藤井、名前は不明。

 銀髪の女の子と提督は長い付き合いであるにも関わらず、女の子は提督の下の名前を知らなかった。

 

「嘘つき。顔見れば分かるんだから」

「うーん、そうかなぁ……ははは」

 

 彼女の名前は夕張と言った。

 銀髪のポニーテールを緑のリボンでまとめ、黒いセーラー服、橙色のリボンタイ、緑色のスカートと全体的に緑の目立つ女の子だ。

 左腕には少し汚れの付いた桃色のリストバンドをしていた。

 元々そういう色なのかもしれない。

 夕張は常に元気の良い女の子だったが今日は何となく“こうなるだろう”と分かっていたので元気の良い挨拶は避けた。

 些細な事でも気付けるくらい長い付き合いなのだろう。

 提督は被っていた帽子を深く被った。

 表情を隠す為である。

 

 鹿屋基地。

 今日はその新しい仕事場へ異動して仕事をする初めての日だった。

 前まで仕事をしていた設備の充実した場所と違って、この鹿屋基地は近海の警備すら上手くいっていない。

 提督の顔に不安が見えるのも当然だろう。

 

「足柄達は異動先、決まったの?」

 

 夕張が提督の隣に座って声を掛けた。

 自身もあまり乗り気になって聞いている訳ではないようだった、でも聞いておかなければならない、そんな表情をしている。

 

「……羽黒と足柄は横須賀だったかな。そこの新設の第四艦隊の旗艦に足柄が選ばれたらしい。餓えた狼とか言われてたのに、浮かばれない顔をしていたようだ」

「神通達は?」

「あー……神通も同じだったかもしれない。記憶が定かじゃないから全員違うかもしれないけどな。他は出会ってから数日で異動しちゃったから分からない」

 

 そっか。

 夕張は小さくそう言って会話を終わらせた。

 かつての仲間を思うのはもう少し後でも良い、今は今を頑張るのだ。

 思い出話をするのは素面の時ではないと夕張は目を瞑り、強く思った。

 

「さあ!今日も頑張りましょ?」

「……そうだね。張り切って行こうか」

 

 夕張は提督の手を取って新しい仕事場へと足を踏み入れた。

 秘書艦夕張。

 最初の仕事は就役する新しい艦娘の紹介だ。

 彼女はこの最初の仕事が秘書艦を担う上で一番難しいんだろうなと感じていた。

 そして自分が苦労した後は提督が苦労するのだろうと確信していた。

 何故なら、その艦娘達が予想を遥か上回る形で特徴的だからだ。

 

 

――――――――――

 

「じゃあこの鎮守府に配属された艦娘の紹介に入るけど良い?」

「うん……にしても随分……」

「良いの良いの」

 

 提督の言葉に夕張が口を挟む。

 藤井提督の前にいるのは偏狭な地に似合わない戦場で大活躍出来そうな戦艦級の艦娘ばかりで、最高でも重巡洋艦しか指揮した事ない提督は思わず一歩下がってしまう。

 

「長門型戦艦のネームシップ、長門だ。よろしく頼むぞ」

 

 一人目、長門。

 黒髪ロングで高身長、背中には大きなバックパックみたいな武装。

 艤装って言うんだっけか。

 この偏狭な地に場違いな高火力戦艦。

 上が何を考えているのかサッパリわからないとやや呆れ顔になると、長門は自分の顔に何か付いているのかとキョトンとした表情で聞いてくる。

 君じゃない。

 ……まあ、問題を起こした戦艦なのだろうと割り切って考える事にした。

 

「私は愛宕。長門さんと同期なの。提督、覚えてくださいね?」

「私は同期になりたくてなった訳じゃないぞ」

「なーがーもーんー?」

「……やめろ」

 

 二人目、愛宕。

 重巡洋艦で金髪ロング、群青色の軍服に身を包んだ女性。

 その胸は豊満であった。

 長門と愛宕がいがみ合っている間に夕張が提督の袖の端を掴んで揺すり、彼女達の情報が乗せられた書類が手渡された。

 正確に書かれたパラメータが乗っており、命中力、火力、回避力、装甲力の他にアビリティなんて欄もある。

 個性って事だろうか。

 特筆欄には長門は人脈が良く、マジメ、指揮も出来るが補給が苦手でアイドル×と書かれている。

 アイドルが苦手なんだろうか。

 それとも本人がアイドル志望なんだけどその才能がないって事なんだろうか。

 そもそも何でアイドルって特筆されているのか全く分からない。

 ちなみに愛宕は夜戦、えっち、面倒見と書かれているだけだった。

 夜戦で意味深、えっちで確信って感じなんだけど大丈夫ですか。

 いや多分大丈夫じゃないだろうけど。

 

「……響だよ。よろしく」

 

 三人目、響。

 駆逐艦なので身長は一番小さい。

 不死鳥と呼ばれるくらい凄かったらしい。

 愛宕や長門と同期という訳ではないようだ。

 透明感ある白髮とたまに出るロシア語が特徴らしい。

 提督はそれを見てザンギエフとかいうロシア系格闘家を思い出していた。

 おそロシア。

 対空砲撃が出来たらシベリアンブリザードと名付けよう。

 

「翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴です。翔鶴姉から提督の話は少しだけ、聞いてます」

 

 四人目、瑞鶴。

 少し明るい黒髪ツインテールと弓道着が特徴的だ。

 その自己紹介はそれまでの艦娘の雰囲気と違って少し暗い感じがした。

 いや、響も結構暗かったけど。

 翔鶴姉というのは翔鶴型航空母艦一番艦の事だろう。

 ……何か悪い話でも聞かされたのか。

 翔鶴の事に関しての特筆はなく、特筆欄には加賀と書かれているのみである。

 加賀、ねえ。

 仲が悪いんだっけ。

 パラメータは正確に書かれているのに特筆欄に気の抜けたようなコメントを残すのはやめてほしい。

 一体誰が書いたんだろうか。

 よくお疲れさまですって言ってくれる受付嬢みたいな人が一番怪しいような気がする。

 名前を聞いた事がないので提督はクエスト娘と呼んでいる。

 

「ヘーイ!提督!モテモテの金剛デース!」

 

 五人目、金剛。

 夕張も提督も目を合わせずにツッコミも入れずに淡々と処理をしてきたが、当然順番が回ってくるのでいずれ触れる事になるのは分かっていた。

 金剛はジャージ姿だった。

 金剛はジャージ姿だった。

 青いスポーツ系のやつだった。

 提督は夕張の方に目を向けるが夕張は壁の方に目をやって視線を避けた。

 夕張の肩を掴んで説明を求める。

 

「あれは何だ」

「あ、いやその……知りませんよ!」

 

 特筆欄にはダサイ、不幸女とか書かれている。

 おしゃれが苦手とか書いておいてくれればいいのに何でそう傷口を抉ろうとしているんだ。

 

「英国では五人の男性と交際中デース!」

「そうか、じゃあ次」

 

 嘘っぽいから恋愛×ってしっかり特筆欄に書き込んでしまおう。

 

「榛名です!エロエロです!でも榛名は大丈夫です!」

 

 最後、榛名。

 何がそうさせているのか分からないけど金剛型は全員はっちゃけているようだ。

 金剛型は肩がむき出しになっている巫女服が特徴的で、榛名はミニスカートの色が赤なので一番巫女っぽく見えるんだそうだ。

 まあ今は比べる相手がいるはずなのにいない。

 ……うーん。

 もう一度夕張に視線を向けるが夕張はまた視線を避けた。

 

「これから君ら六人で一つの艦隊を作って色々と任務をこなしてもらう。先輩の夕張にも出てもらう事もあると思うが基本は六人だ。仲の良い友人くらいは作っておいてほしい」

「提督はここに着任したばかりでしばらく慌ただしいから何かあったら私に言ってね。明石さん、基地内の案内お願いしても良い?」

 

 明石。

 工作艦である。

 ピンク髪のちょっと元気な……よくショップの店番任されている女の子だ。

 前の仕事場で二度三度顔を合わせた事があるので夕張も提督も少し仲が良かった。

 飲みに誘えるくらいの仲だ。

 

「じゃあ案内しますね。じゃあ提督、お仕事頑張ってください」

 

 明石が一向を連れてこれから生活する鹿屋基地の案内へ向かった。

 夕張と提督がその場に取り残され、提督の鋭い視線が夕張に突き刺さる。

 二人きりの部屋でその視線から逃れるのは不可能だった。

 

「何だあれ……」

「一応、長門さんと愛宕以外は新人さんだって聞きました」

「ああ…そうですか」

 

 提督の脳裏には榛名と金剛を艦隊から抜いて、明石を入れる未来しか見えてこなかった。

 




誤字脱字、艦娘の台詞で違和感ある場所がありましたら教えて頂けると助かります。

小説に登場させてほしい艦娘等がいましたら何らかの形で教えて頂ければ、
物語の本筋を揺らさない程度に登場させようと考えています。

お読みいただきありがとうございました。
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