シンジは私のもの   作:5の名のつくもの

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別作品の更新も同時並行でやっているため、更新頻度は下がります。また、活動報告にありますが1月4日から3週間ほど活動のお休みをいただきます。


喫茶店デート

たっぷりのお金をもらったアスカとシンジは港から街へ向かった。港から街まではシャトルバスで移動したので、まだまだ時間には余裕がある。今回のデートでは緻密な予定を練っていればよかったが、残念なことにその場でデートが決まっていた。よって、計画は何にもない。仕方なく、その場における希望に従うしかなかった。シンジは午前中のお墓参りだけで今日分の満足をしていたため、このデートではアスカの希望に沿うことを選んだ。

 

では、そのアスカは何を希望したのか。

 

「あの戦いで疲れたし、なんか甘い物が食べたいなぁ」

 

「そうだね。時間的にもちょうどいいね」

 

甘い物を食べたいと彼女は望んだ。シンジは彼女に同調して周囲を見回すと、丁度良く喫茶店を見つけた。チェーン店ではない。この街で生きてきた、昔からの小さな喫茶店と見える。あそこに行こうとなり、2人は喫茶店に入った。

 

~喫茶店~

 

店内はTHE昔ながらの喫茶店という感じで、レトロ調の室内となっていた。メニューも懐かしい感じで、且つ数は少なすぎずの多すぎずの充実さであった。これなら迷わないし、選択肢が限定され過ぎない。メニューを数分程じっくりと見て、注文を確定する。

 

「あたしはケーキ(ショート)をホットココアで。あと、シンジは?」

 

「僕は…軽食セットのAかな」

 

アスカは希望通りで甘いショートケーキと温かココアを選んだ。対して、シンジは小腹を満たすために軽食セットを選んだ、これはパンケーキ2枚とコーヒーが一緒のセットになっている。単品ごとの注文と比べて100円ほど安く、彼らのような学生にはとても嬉しい。ただし、今回はお爺さんから大金(電子マネー)を渡されている。金額で気にすることは一切ないだろう。

 

「すいませ~ん」

 

従業員のお姉さんを呼び、各々が注文を伝える。後は完成した物が出てくるの待つだけである。当然のことだが、その待つ時間を黙っているわけがない。2人は清純なカップルである。ワイワイと楽しく会話していた。話題は今回の使徒戦で、守秘義務のかかる内容を全部切り落とした上で語らう。その話題の中で、シンジはアスカのことを褒め称えた。

 

「すごいなぁ。本当にアスカは。空中であんな動きが出来るんだもん」

 

「まぁ、昔からやって来たからね。ありとあらゆる戦況や状況で戦えるように、嫌と言う暇が与えられなかった。それ程まで辛くて苦しい訓練を積んだわ。おかげでエヴァが嫌いになりそうだったけど、あの空中機動戦闘が持ち前の得意技にできた。その意味では感謝すべきかな」

 

やはりと言うか、あの華麗な空中機動は猛訓練の賜物らしい。訓練を積んで、完璧に己の持ち技にしてしまう彼女の力量と努力には敬服する。

 

「でもさ。そういうシンジだって、十分に強いじゃない。陸上戦では、私たちの中でも、誰よりもガッツがある。根性って表現するのかしら」

 

「それって…強みなのかなぁ」

 

「根性があれば、どんな状況でも耐えることができる。限界を超える苦しみを負っても、耐えて、耐えて、ひたすら耐えた先に栄えある勝利が待っている。私たちみたいに、常に苦しい人間には一番の才能と言えると思うわよ。少なくとも、私はシンジのことをすごいって言う」

 

「ありがとう。アスカ」

 

どこか自分を卑下しがちな彼を彼女は褒めちぎった。これで結果的には、お互いに褒め合うことになったが、それはそれで仲が良くて素晴らしいことだ。人間として求められるスキルは多岐にわたるが、意外と取得難易度が高いものが他者を素直に認める力である。人間は人の強み・良い所を見つけると仮に表では褒めていても、実際の裏では無意識で妬む生き物。意識せず、まったくの純粋な気持ちで人を褒める・認めることが出来る人は意外と少ない。間違いなくシンジは人を純粋な気持ちで認めることが出来る人間だった。

 

さて、そんな会話をしていると。

 

「お待たせしました。彼女さんにはショートケーキとホットココア。彼氏さんには軽食セットですね。あと、こちらお店からのサービスです」

 

まず2人が頼んだものが運ばれてきた。その上でお店側のご厚意としてサービス品が贈られた。それは、カットフルーツやクリーム、チョコレートが詰め詰めされた豪華なパフェだ。そして、奇妙なことに、掬って食べる用のスプーンが1個しかない。

 

とどのつまり?

 

「それでは、ごゆっくりどうぞ~」

 

運んできてくれた店員さんが戻ると。

 

「いいお店じゃない。「お互いに食べさせ合え」って言っているわ」

 

「…やっぱり?」

 

「えぇ。さぁ、そんな厚意を無駄にしちゃいけないわよね?」

 

スプーンが1個しかないということは、2人でラブラブしろと言うお店からの厚意であろう。おそらくだが、少年少女のカップルで清らかな付き合いをしていることを見たマスターが気を遣ったと思われる。

 

ということで。

 

「はい、あ~んして」

 

「…(大きく口を開ける)」

 

ここで拒否すれば彼女の機嫌を損ないかねない。それにお店の気遣いを蹴ることになってしまう。真面目なシンジにとって、そんな酷いことをするのは絶対に嫌だった。また、今はデートなのだ。盛大に乗っかるのが男たるもの。

 

差し出された一口をパクリと食べる。

 

「うん、美味しい。甘すぎなくていいね」

 

「それは良かったけど、まったく。世話かけさせるわね」

 

パフェ自体は非常に美味であったが、食べた本人のシンジは困りものだった。クリームが口の端に付いている。アスカは「とってあげる」と言ってお手拭きを持つ。シンジは「ごめん」と言いながら顔を彼女に突き出す。

 

ペロッ!

 

「ちょっと、アスカ」

 

「へへっ。シンジを食べちゃった」

 

お手拭きは使わず、彼女は自分の舌を以てしてクリームを舐めとった。普通なら気持ち悪い行為になるだろうが、この2人はお互いに体も心も全部を許していて、時間があれば愛し合う仲である。このぐらいはどうってことない。

 

この後、2人は本当に仲良くパフェと各々の頼んだ物を食べ進めた。

 

そして、味も空気も甘い時間を過ごしたのであった。

 

続く

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