シンジは私のもの   作:5の名のつくもの

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計画通りに進んでいる

「よっと、はっと」

 

「碇さん、碇さん!」

 

2機のエヴァンゲリオンは疑似シン化形態にある第十三号機へ一直線に向かった。例のエヴァは空中浮遊して届きそうにない。幸い、フォースインパクトの発動時に地表から瓦礫という瓦礫が持ち上がった。この瓦礫を足場に蹴って上昇を試みている。

 

「ヴンダーさえ無事だったら。楽なんだけどね~」

 

「それより、どうやって、碇さんを!」

 

「まぁまぁ、落ち着きなさい。あれはパイロットが2名による『ダブルエントリーシステム』なのか。おそらく、片方でも強制排出できれば効力を失うはず」

 

「わかりました。強制排出を…」

 

NERVの新型機(エヴァ第十三号機)がパイロット2名のダブルエントリーシステムを採用する。したがって、パイロットがどちらかの片方が欠けると、フォースの効力を喪失させられると予想した。そして、エヴァは外部からプラグを強制排出させる仕組みを備える。中のパイロットが拒絶しようと関係なく、文字通りの強制的に脱出させた。

 

「いいや、そうも簡単にいかないの。機体本体が無事の場合も継続される」

 

「つまり、パイロットと本体の両方とも無力化しないといけない」

 

「そういうことよん」

 

緊張を解きほぐすために軽い口調である。しかし、伝達した内容は非常に重要で聞き逃しは厳禁だった。現在進行形のフォースは第十三号機とパイロット2名を元手にする。どちらかの片方が欠けると効力を失うことに納得しては早計なのだ。NERVがこのような甘い対応をするとは思えない。おそらく、いいや、間違いなくだ。フォースは第十三号機とパイロットが相互に保険を為している。

 

したがって、機体とパイロットの両方を無力化することが要求された。

 

「あれがロンギヌスの槍だから、エヴァの装甲を貫いて機能を停止させられる」

 

「わかりました」

 

時間的な猶予は少ない。ピョンとピョンと瓦礫と瓦礫を飛んだ。

 

第十三号機は疑似シン化形態への強制的な進化を経ている。

 

八号機が正面から飛びかかり、伍号機が背後から獲りついた。

 

「熱いっ! でも、碇さんの苦しみや辛さに比べれば。こんな火傷はどうでもいいんですぅ!」

 

強烈な高温から火傷の恐れを生んだ。反射的に掴んだ手足を離そうとする。目標は強制的な覚醒により超高熱を帯びた。ミトンを装着しない限りは長時間の接触は火傷を招く。八号機と伍号機はフィードバックを通じて熱傷を覚えた。

 

「私が助けますからぁ!」

 

もっとも、同じ頃の第十三号機内は誰よりも落ち着き払う。

 

「カヲル君の肆号機はWilleの弐号機と相討ちか。しかし、神殺しのヴンダーは中破と大破の間に追い込んでいる」

 

「それに黒い月の完全なる顕現も果たされた。私とシンジの勝利を祝いましょう」

 

搭乗機が疑似シン化形態に突入すると非常に暇だ。インパクトは自動的に遂行される。フォースの中止を試みるエヴァが肉迫した。特段の対応は採ることもない。2人で仲良く手を繋いで流れに身を任せた。第十三号機はアツアツにもかかわらず、Willeのエヴァ2機は一生懸命に無力化を目指す。

 

「2本の槍で機体を損傷させる。僕とアスカを強制排出させる。そうして、フォースは中途半端に終わる。全ては計画通りに進んでいった」

 

緑色の伍号機が2本のロンギヌスの槍を強奪した。そして、第十三号機の腹部に突き刺した。普通はフィードバックの激痛を覚えるが痛みも違和感も何にも起こらない。大人アスカも少年シンジも仲良く人を超越して神と同等の存在に昇華した。ロンギヌスの槍は第十三号機を覚醒させたかと思えば、今度は一転して、第十三号機の活動を停止させる。

 

「第十二の使徒を吸収しておいてよかった」

 

「一度でも覚醒すれば人の痛みは消える。素晴らしいことだね」

 

槍の前には如何なる防御も通用しなかった。さらに、インパクトを中断させることが可能である。第十三号機はロンギヌスの槍に腹部を貫かれた。白色恒星の如き光源を失って活動を停止する。重力に従って落下し始めた。

 

驚くべきことに、上空のガフの扉は依然として開かれる。

 

「やはり、2人ともフォース・インパクトの保険か!」

 

「そっちは頼みます!」

 

先に読んだ通りだった。パイロット2名が残存する場合は、フォース・インパクトが継続される。

 

Willeのマリの八号機とサクラの五号機は共に対象へ語り掛けた。

 

「あらあら、イスカリオテのマリアが介入者なんて」

 

「元の世界のオリジナルさんより厄介なことだけど、大人しく、言うことを聞きなさいなぁ!」

 

「私だけのシンジ。必ず迎えにいくからね」

 

まずは片側のプラグが強制排出された。プラグ自体に推進装置が備えられ、自力で安全圏まで退避する。マリの八号機も装甲の限度があるため、逆側はサクラの伍号機に任せ、自分も安全圏まで離脱していった。

 

その場に残されるは碇シンジと鈴原サクラに収まる。

 

「どうして、どうして。自ら傷つきに向かうんですかぁ!」

 

涙の混じった声であるが、痛みに依るものでなく、エヴァを挟んだ先の人を想った。

 

「サクラさんこそです。僕を受け入れてください。僕を受け入れていただけるなら。幸せな生活を保障するのに」

 

「それは違います! 絶対に碇さんを救うので、今だけは、従ってくださいぃ!」

 

かなりどころか全てを感情に突き動かされた。しかし、プラグを強制排出させる手順は忘れていない。先と同様にプラグを第十三号機から脱出させた。地面への着弾までギリギリだが無事に安全圏へ退避するだろう。

 

機体への重大な損傷とパイロット2名の脱出により、エヴァンゲリオン第十三号機は完全に機能を失った。上空のガフの扉は急速に萎んで閉め切られる。あれだけフヨフヨと浮いた大小さまざまな瓦礫は一様に着弾した。

 

フォースは中途半端に終わる。

 

~旧NERV~

 

各種モニターで周囲の様子を確認して回った。

 

「酷い有様だな。フォースが中途半端に終わっている。葛城大佐のWilleによる妨害は激しかったが、殆どが計画通りに進んでおり、修正すべき箇所の修正も不可能じゃないか」

 

「こんなL結界密度の高いところで、よく指揮できますね。流石は冬月コウゾウ司令です」

 

「お帰りなさいだが、随分と早いじゃないか」

 

旧NERVに対する被害も尋常じゃなかった。フォースに伴い地下に眠っていた黒い月が完全顕現する。廃墟は片っ端から突き上げられ、ありとあらゆる物が破砕を被っているが、いわゆる、断捨離を断行したに過ぎなかった。

 

「僕の肆号機は相討ちでした。厳密に言うと、WIlleの弐号機が自爆しました。お互いにエヴァを1機ずつ損耗している」

 

「肆号機はフォースに留めた。Mk-6と同様に解放された。これを良かったと言うべきだろう。それより、彼と彼女の迎えに行かんでいいのかね」

 

「エヴァを失った僕ですよ?」

 

渚カヲルはWilleの総旗艦たるヴンダーに奪取を仕掛けた。第十三号機の覚醒に便乗して肆号機は機体をコアに変える。さらに、接触した相手にハッキングを行うことができた。そもそも、ヴンダーの前身はNERVの建造した大戦艦である。渚カヲルと肆号機は所有者を代理して動いた。

 

ちょうど良くWilleの弐号機が救援に間に合う。肆号機と弐号機は激闘を繰り広げた。あいにく、全身がコアの肆号機を撃破することは不可能に近い。Willeのアスカは覚悟を決めた。弐号機の自爆という最後の抵抗に出ている。

 

かくして、弐号機と肆号機は相討ちの引き分けだった。

 

なお、パイロットは共に緊急脱出している。

 

WIlleとNERVはエヴァを1機ずつ失った。

 

「そうだったな。ならば、迎えに行こうか」

 

「今すぐに行きましょう」

 

続く

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