シンジは私のもの   作:5の名のつくもの

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空を眺めても悪だくみは進む

「この澄んだ青空は、失いたくない」

 

「君と眺める空は、昼も夜も関係ないね」

 

少年2人が眺める青空は『快晴』の気象用語が当て嵌まった。雲一つない空はこの世を統べる少年の宝物に等しい。夜空の星々も失いたくないが、青々と広がる昼の空も悪くない。

 

「神父さんを買って出てくれて、ありがとう」

 

「いいんだよ。僕の望みは君の望みであるんだ。君が彼女と結ばれて、実母を取り戻し、自然豊かなエデンの園で永遠を生きること。それを叶えるためなら、なんでもしたくて堪らない」

 

「でも、カヲル君が幸せにならないと」

 

「僕は君が幸せになることのお手伝いをしたい。それが僕なりの幸せだからね。初号機の番人を務める彼女も同様さ」

 

神は天使を連れた。NERV本部の上層外部で仰向けになる。昨日まで多忙な日々を送った。心身ともに疲労が積み重なる。一緒に息抜きと空を眺めていた。特に体を動かすこともない。ただ空を眺める。しかし、会話は怠らなかった。

 

昨日は神と女神の結婚式が執り行われる。出席者は極々親しい者どころか一人だけだった。変にたくさんの人に来られても困るだろう。たった一人の理解者で証人がいれば十分である。天使は神と女神の結婚式において、神父さんを買って出ると、式を円滑に進めてくれた。

 

「彼女は相も変わらず、僕を警戒するけどね」

 

「僕から言っておくよ。カヲル君は敵じゃないって」

 

「いや、いいよ。彼女が僕を警戒することは正しい。僕は第一の使徒タブリスだ。それ故に本当は撃滅すべき一体に含まれる。君の温かな慈悲のおかげだ。こうして生き残ることができる」

 

女神様はこの天使の警戒を止めない。そもそも、第一の使徒とこの世に降臨した。神様と女神様に使役されることが喜びと雖もである。使徒の力は絶大で神様と女神様も手古摺りかねない。警戒は至極真っ当な行いだ。

 

「そんな、カヲル君を撃滅するなんて」

 

「仮に服従している姿でも中身は分からない。静かな反乱を起こされる危険性は、微々たるものでも、残されている」

 

「僕はカヲル君を信用している。裏切ることはあり得ない。裏切るぐらいなら、自ら去るでしょ」

 

「いいや、その時は君に握りつぶして欲しいな」

 

神様はカヲル君と呼ぶ天使を全面的に信頼した。天使の彼がいなければ進まない事が多々ある。そんな事物は数え切れない。裏切りや怠慢の一切を心配しなかった。

 

「僕の鼓動が聞こえるでしょ。この鼓動を生み出す機関を君に握り潰して欲しい」

 

「わかった。約束じゃなくて契約しよう」

 

「ほら、鼓動が強くなった」

 

胸に手を当てると確実性に欠ける。ここは胸に直接に耳を当てることで鼓動を捉えた。ドクドクと一定のリズムを刻む鼓動が強まる。鼓動を生み出す機関は元気そうだが、天使が神様と女神様の利益に反する行為を犯した場合は、神様が天使の機関を握り潰すことを約した。

 

「暫くこうしても良いかな?」

 

「僕は構わないけど。バレない限りは」

 

「大丈夫さ。彼女はシリーズ体の調整に頑張っている。冬月先生だけに任せると非効率的な前に老骨に鞭を打ち過ぎだ」

 

神様と女神様が永遠に生き続けるべきである。しかし、この天使も多少の私的な欲望を保有した。女神様に見つかるとカミナリを落とされる。いいや、バレなければ問題なかった。バレても罰を受けるのは天使に限られる。

 

少年2人で青空を眺め続けた。

 

体感は約1時間が経過する。

 

すると、来客があった。

 

「やはり、ここにいたか」

 

「司令…」

 

「いいや、告げ口はしていない。するつもりもない」

 

カミナリを落とされて喜ぶ者はいない。この場を訪れた者はNERV本部を管轄する冬月コウゾウ司令だった。人生経験の豊富なお爺さんは少年の気持ちを汲み取る。決して、告げ口はしておらず、告げ口する気持ちもなかった。

 

「どうかされましたか?」

 

「渚カヲルに頼まれていた物が完成した。リリン、リリンもどき、エヴァを縛るチョーカーが完成した」

 

「なんと、僕は複製しか頼んでいないのに」

 

「プロは頼まれたことだけで終わらない。もっと良い物を作るんだ」

 

「流石です」

 

スクッと立ち上がるが、ちょうど良いので、2人で完成品などを見学しよう。

 

NERV本部はフォースを経て外見は壊滅状態にある。その実際は真逆だ。第三新東京市の都市機能などの不必要を削ぎ落している。フォース以降は逆ピラミッドの建物が本部機能を有した。逆ピラミッドのNERV本部は完全顕現させた黒い月を連れる。

 

渚カヲルと碇シンジは冬月コウゾウに連れられた。

 

「あのチョーカーって、僕が付けていた物ですか?」

 

「そうだよ。君を縛ったDSSチョーカーを解除して無効化に成功した。安全を確保した上で彼が分析している。本来は撃滅対象の第一の使徒タブリスを縛る物だが、彼と同程度に脅威度を高く見積もられた、エヴァのパイロットにも装着が義務付けられた」

 

「向こうが勝手に装着することは構わない。君が縛られることが許せるわけがない」

 

「今度は君が縛るための道具にした」

 

エヴァ関係の区画まで歩きつつ、見学内容の説明を受けている。主に碇シンジ向けの説明であり、噛み砕いた説明を心がけた。とりあえず、Willeの課した縛りことDSSチョーカーの分析が完了する。そして、DSSチョーカーを基にNERV謹製のエヴァ用が開発された。

 

「とにかく、百聞は一見に如かずだな。ついでにMk-7も見ていくと良い」

 

「Mk-7ですか?Mk-4じゃなくて」

 

「Mk-4は量産機は量産機でも、決して、汎用機ではない。04Aは宇宙空間の迎撃戦に特化する。44Aは空中の団体戦に特化した。44BはS2機関による発電と電力供給に特化し、セットの4444Cは陽電子砲の運用に特化した」

 

「つまりは各部門のスペシャリストということ。だから、汎用機のマルチロールと言い難かった。今度の決戦はスペシャリストに対するゼネラリストを投入したい」

 

NERVは各地でWilleを消耗させる攻撃を繰り返した。もちろん、その度に有人機を送りこんではコストパフォーマンスが悪いだろう。そこで、パイロットを気にしなくてよい無人機の量産機を大量投入した。無人仕様の量産機の性能は大きく劣る。Willeに対する攻撃は大半が失敗に終わった。しかし、少なからずの弾薬と燃料などを消耗させる。

 

従来の無人量産機であるMk-4は宇宙や空中、地上、空中のそれぞれに特化した。各部門のスペシャリストと活躍している。今度の決戦の舞台では、逆に非効率的な攻撃となり、中途半端が呈された。マルチロールの汎用機が要され、汎用型のエヴァMk-7が大量建造されている。

 

「すごい。なんて…いうか」

 

「デザインは二の次だ。数を揃えることが最優先である」

 

「髑髏の頭があるだけでも良い方さ」

 

エヴァMk-7の大量建造中を見た。デザインはお世辞にも良いと言えない。良く言っても不気味だった。量産機の飽和攻撃と波状攻撃に使用する。性能やデザインは捨て置かれても仕方なかった。1日も早く製造できる。1日あたりの製造数も多かった。そのために多方面と犠牲が生じざるを得ない。

 

「これは君には関係ないことだ。私がWilleを食い止めるための捨て駒に過ぎん。将棋の歩にもならん」

 

特に深掘りすることも無く通路をズンズンと進んだ。

 

通路を進んだ先に話題の首輪が飾られる。

 

「大きい…」

 

「エヴァに装着するんだ。Willeとの決戦は最終的にエヴァンゲリオン同士の戦闘になる。機体を撃破せずとも構わない。この首輪を与えれば無力化できた。パイロットごと縛る。君の思うがままにね」

 

「僕は本体のみ関わった。プログラムは冬月司令が組んだ」

 

碇シンジが装着させられたDSSチョーカーと姿形は酷似した。しかし、大きさが数倍どころではない。数十倍を超えて百倍になるかもしれない。これがエヴァンゲリオンに与えられる旨の解説を受けて納得した。エヴァに装着させると無力化でき、同時にパイロットも捕縛できるらしい。

 

「君の意思の通りに服従させる装置。これをどう使うかは自由だ」

 

「WilleのパイロットがDSSチョーカーを着用している可能性は否めない。チョーカーはチョーカーで上書き可能なんだ」

 

碇シンジの両眼が怪しく光る。

 

続く

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