街のお花屋さん   作:坂ノ下

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第20話 アーセナル

「お嬢様っ!」

「おじょーさま!」

 

 フラワーショップ、アマノの店先に新たな客人が二人現れる。彼女らは麻嶺の前までやって来ると、もう逃がすまいと言わんばかりに仁王立ちした。

 そんな二人に対し、麻嶺より先に天葉と樟美が反応する。

 

「ごきげんよう。やっぱりだ。麻嶺の付き添いで来たの?」

「ごきげんよう」

 

 百合ヶ丘お決まりの挨拶をすると、相手の方も返してくる。

 

「ごきげんよう、天葉様、樟美。まあ、そんなところです」

「ごきげんよう。もー、散々走り回ったわよ」

 

 肩で息をし、眉を吊り上げている方は金箱弥宙(かなばこみそら)。マイペースに愚痴を零しているのは森辰姫(もりたつき)。共にかつてのアールヴヘイムに所属した、天葉の後輩である。

 

「それより、お嬢様。一人でフラフラしないでください」

「その呼び方は止めてって言ったでしょ、弥宙ちゃん」

「捜す身にもなってくださいよ。これから百合ヶ丘に向かうっていうのに」

 

 小言めいた抗議の声を上げる弥宙に対し、麻嶺は飄々としたもの。応えた様子は見られない。ひょっとして、いつもこんな調子のやり取りを繰り広げているのだろうか。

 弥宙と辰姫は麻嶺の実家、天津重工開発部に勤めている。現役時代、新潟外征で共闘した縁で、アールヴヘイムのアーセナルだった二人を天津側がスカウトした形になる。麻嶺は二人にとって上司というわけだ。

 

「その百合ヶ丘の件だけど。私は顔を出すだけ出したら、すぐにお暇するつもり」

「チャームを見ていかないんですか?」

「相模の方にも行こうと思ってるのよ。そこで、百合ヶ丘については弥宙ちゃんと辰姫ちゃんに任せるわ」

 

 突然の麻嶺の発言に、彼女の部下は色めき立つ。

 

「たつ……私たちが好きに見ていいんですか?」

「いいわよ。使用感やら改善点やら、思うままに調査してきてちょうだい」

「やった!」

「フフッ、やる気があってよろしい」

 

 大のチャーム好きである辰姫は諸手を挙げて喜んだ。上司抜きという点も、奔放な彼女にとっては嬉しいことなのだろう。

 しかしながら、もう一人、弥宙は冷静に麻嶺へ質問する。

 

「報告の方はどうします?」

「勿論、あとで提出してもらうわよ。調査報告書、レポート用紙60枚」

「ろくじゅう!?」

 

 辰姫は目を見開き、口をあんぐりと開ける。一方の弥宙は予想していたのか、諦めたように首を左右に振った。

 

「原稿用紙60枚より簡単でしょ」

「ムリ、ムリです……」

「やればできる。気合よ」

「そんな……」

 

 辰姫の懇願も虚しく、指示が下された。

 普段の飄々とした態度で忘れられがちだが、麻嶺は剛のガーデン柳都女学館のリリィだった人物だ。少なくとも仕事に関して、甘い話があるはずもない。

 

「私が相模から戻るまでに纏めておきなさい。宿はもう取っているから。ま、里帰りみたいなものだと思って」

 

 弥宙と辰姫は止む無くといった様子で頷いた。

 そんな二人に天葉も同情するが、他にできることと言ったら、街の変化を教えてあげるぐらいだろうか。ゆっくり散策する暇があれば良いのだが。

 だが何はともあれ、今は麻嶺だ。彼女は彼女で忙しない。

 

「ゆっくりしていけないんだ」

「悪いわね、ソラ。まあ、縁なんてそのうち巡ってくるでしょう」

「忙しくても、依奈には会っていってね」

「分かってるわ。泣かれちゃあ堪らないから」

 

 天葉と麻嶺で軽く笑い合ってると、店の奥から樟美が戻ってくる。樟美が両手に抱える紙袋の中には、ポリポットに植えられたミントの苗が幾つか入っていた。

 

「お買い上げ、ありがとうございます。また、いらしてください」

「ありがとう、樟美さん。ソラのことお願いね」

「はい」

 

 そうして麻嶺はお気に入りのミントの香りに上機嫌になりながらアマノをあとにする。後ろに憂鬱気味な二人の部下を従えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、アマノ店内。

 

「二人とも、レポートはいいの?」

 

 天葉が心配してそう尋ねた。つい昨日、上司から無茶ぶりを振られた後輩たちが店で油を売っているのだから、至極当然の反応だ。

 

「開き直って鎌倉観光することにしました」

「うちは観光名所じゃないんだけどなあ」

 

 得意げに宣言する辰姫に、天葉は頬を掻きながら苦笑した。

 

「すみません、天葉様。営業中に押し掛けるのは止めなさいって言ったんですが……」

「ああ、それは別に構わないよ。今日は暇そうだしね」

 

 弥宙の謝罪を手で制する。実際、本日は朝から続く雨のためか客足は少なかった。今は午後三時だが、晩まで止みそうにはない。

 

「今日は由比ヶ浜で釣りの予定だったのに」

「仕方ないでしょ、この天気じゃあ」

「釣り糸を垂らしたら考えが纏まって、レポート30枚ぐらい進みそうなのに」

「あんたに限ってそれはない」

 

 遠慮ない弥宙の突っ込みが辰姫に刺さる。この彼女らの余裕綽々な調子だと、時間自体はたっぷりありそうだ。最終的に完遂できるかどうかは置いておくとして。

 麻嶺も相模からすぐに帰って来ることはないはず。何だかんだ言って、本当に里帰りさせてやりたかったのかもしれない。無論、レポートの件も本気だろうが。

 

 そんなわけで、再びアマノの暖簾をくぐった二人。店の奥から持ってきてもらった椅子に腰を下ろし、売り場の隅っこの方で駄弁っている。営業中の店としては、如何なものかと思う人間もいるだろう。

 しかしアマノに限って言えば、特段弥宙たちが問題視されたりはしなかった。店の雰囲気も常連客も店主も、それぐらい気にしない程度には緩かったのだ。

 あえて問題を挙げるとするならば、口を閉じていれば美人の辰姫が来店者の目を惹いたことか。人見知りな辰姫は他人に対して大人しくなるため、尚更知らない人の目にはお淑やかな女性に映っただろう。

 

「それで、レポート60枚はともかくとしても、チャームは見に行くんでしょ」

「はい。早速明日の朝から百合ヶ丘の工廠科に行ってきます」

「何だか随分とスムーズだね。やっぱり、麻嶺もただフフフラしてただけじゃなかったか」

「お嬢様……麻嶺様は昔からあちこちのガーデンを渡り歩いて交流を持ってましたからね。百合ヶ丘もその一つです」

「うん、よく知ってる」

 

 弥宙と天葉が昔を思い出すかのように語る。

 麻嶺の交流範囲の広さは、天津重工開発部のコネクションの広さとなっていた。伊達にさすらいアーセナルなどと呼ばれていたわけではない。

 

「じゃあ弥宙と辰姫は? 何か変わったことあった?」

「何もありませんよ? ……ああ、辰姫が他人のチャームも弄るようになりましたね。ま、やらなきゃクビになるんだけど」

「弥宙は本当に何も変わってないわ。身長も。もっとたくさん食べないと」

「これ以上食べても横にしか成長しないわよ」

 

 軽口を叩き合う後輩たち。それはかつてと変わらない光景で、当時のアールヴヘイムの控室を呼び起こさせるものだった。主将を務めた天葉にとって、懐古の念は人一倍である。

 しかしながら、この二人に関しては、天葉もただ懐かしんでばかりもいられなかった。変わってもらわないと困る点があったのだ。

 

(これは、もしかして、進展してないのかな。してないんだろうなあ……)

 

 弥宙たちのやり取りを見て、天葉は内心残念に思う。弥宙と辰姫の関係が、良くも悪くも変化していないように感じられたから。

 彼女らが交際を始めたのは高等部二年の頃だった。かれこれ四年の月日が経つ。

 別れたとも聞いてないので、そこまで心配する必要は無いのかもしれない。だがいい加減、何か進展して欲しいという気持ちもある。完全に天葉のお節介なので、口に出したりはしないのだが。

 

「弥宙ちゃん、辰姫ちゃん。自炊はしてる?」

 

 不意に、カウンターに立っている樟美が話を振ってきた。天葉の心境を察し、話題の転換を図ってくれたに違いない。

 

「うっ……あまりしてないかも。忙しいと、つい出来合いのもので済ませちゃって」

 

 言葉を詰まらせかける弥宙。樟美が食に拘りを持っていることは、元アールヴヘイムならば当然知っている。

 

「辰姫は自分でちゃんと作ってるわよ。釣ってきた奴を捌いたりして」

「あんたは魚だけでしょ」

 

 一方で自慢げに胸を張る辰姫。弥宙の突っ込みも気にしていない。一人称が「辰姫」になっているのは、周りが友人ばかりで安心している証拠である。

 確かに、プロでもないのに釣りも魚の調理も全て自分で出来るというのは自慢になるだろう。特にヒュージ出現後の世界においては尚更だ。魚()()という点は些か不安になるが。

 

「二人とも、会社の寮の部屋、隣同士なんだよね? 一緒に作ったら楽になるのに」

 

 樟美のナイスアシスト。心の中で天葉はサムズアップする。

 

「あー、ダメダメ。辰姫ったら本当に魚だけなんだから。アジの刺身ばかり大量生産したり。アユの丸焼き何尾も出された時は、どうしようかと思ったわ」

「何よ。アユの丸焼き、定番でしょ」

「せめて塩ぐらい振りなさいよ!」

「弥宙なんて、スーパーの総菜コーナー頼りじゃないの」

 

 またもや口喧嘩が始まってしまう。

 思惑が外れた樟美はどうすべきか分からないのか、天葉の方へチラチラと視線を送ってくる。しかし残念ながら、天葉にも良い手が思いつかなかった。

 ただ、何のかんのと言って互いに料理を持ち寄っている事実は微笑ましい。今はそれで良しとすることにした。

 

「まあ仕事も頑張りつつ、鎌倉観光も楽しむといいよ。何なら今日の夕食、うちに食べに来る?」

「いえ、いきなり押し掛けてそれは流石に……。樟美のご飯は次の機会にしておきます」

「そう。残念」

「それに、ちょっと気になる所があるんで」

 

 天葉からの誘いを遠慮した弥宙だが、どうやら既に夕飯の当てがあるようだ。

 もっとも、すぐ横で辰姫が目をパチクリとしているので、彼女の方は初耳らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっ? イタリア料理ぃ? そんな小洒落たものより、辰姫はもっと腹持ちしそうなものが食べたいわ」

 

 弥宙から話を聞いた当初、辰姫はあからさまに不平不満を訴えていた。

 とてもお嬢様学校出身者とは思えない発言である。確かに辰姫は本来お嬢様ではないし、弥宙とて壱や依奈ほどのお嬢様でもない。だがしかし、幾ら何でもこの発言は如何なものか。

 

「騙されたと思って付いて来なさいよ。たまには変わったものを食べるのも良いでしょう」

「おお、コンビニのカップ麺買い込んでる人間の言葉とは思えない」

「一言多い」

 

 ぶつくさ言い合いながらも、二人の足は同じ方角へと進む。

 時刻は宵の口、場所は鎌倉市街の中心部。この頃になると雨は止んでおり、弥宙たちも持っていた折り畳み傘は仕舞っていた。

 

 街を行き交う人々の中を掻い潜り、やがて目的の地へと到着する。そこは、辰姫が想像していたであろう雰囲気のお店とは趣を異にしていた。

 

「最近首都圏で勢力を伸ばしてきたイタリア料理のお店なのよ。チェーンの」

「チェーン店?」

「そう。だから肩肘張らずに食べれるってわけ」

 

 意外そうに目を丸くする辰姫を尻目に、弥宙はすたすたと店内に入っていく。

 夕食時ということもあって、客の入りは結構なものだった。だが幸いにも座る席が見つからない事態は回避でき、弥宙の先導で店内の奥まった箇所へと歩き出す。

 

「樟美に自炊してるか聞かれたばかりなのに」

「自炊は、まあ、明日やるわ」

「明日って、いつの明日?」

「明日は明日よ」

「弥宙ってばダメ人間みたい」

「あんたに言われたくない!」

 

 賑やかなやり取りの中、簡素な座席に座った弥宙は辺りを見回してみる。事前に下調べしてきたとはいえ、実際に利用するのは弥宙自身も初めてなのだ。

 値段が高くなりがちなイタリア料理を比較的リーズナブルに楽しめる。そのコンセプトが復興期の日本において見事にはまり、若年の女性や家族連れを中心にヒットしたのだとか。現に今も、視界に入る他の客は女性の割合が多かった。

 しかし急成長した存在には()()()()も付き物である。

 

 安っぽい人間が行くような安い店――――

 

 SNS上ではそういった営業妨害紛いの誹謗中傷も見られた。

 けれども、それが虚しい虚勢であることは、店の繁盛ぶりを見れば明らかだろう。いつの世も商売の世界では、数字こそが明確な正義である。

 ともかく実際に口の中へ入れればはっきりするはず。弥宙は辰姫をせっつき、テーブルに備え付けのメニューを開かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弥宙は別に、食通などではない。何しろインスタントのカップ麺を好んで食べるほどである。ジャンクなフードに抵抗があるどころか、むしろ利便性も含めて評価していた。

 そんな庶民的な舌だから、というわけではないが、弥宙にとってこの店の料理は満足できるものだった。無論、高級店の品に及ぶほどではない。しかし、下手に奇をてらわないスタンダードで濃いめの味付けが、弥宙の好みに合ったのだ。

 予想以上の収穫。

 だがそれにも増して予想以上なのは、辰姫の反応だった。先程まで弥宙相手に文句を垂れていたその口で、一生懸命料理にパクついていたのだから。

 

「美味しそうね」

「おいし~っ」

 

 皮肉交じりの視線と共に声を掛けても、辰姫は全く意に介さずにスプーンとフォークを動かし続けている。底の深い皿の中に、タラの切り身やアサリにミニトマト等々。魚介類をオリーブオイルやトマトと一緒に煮込んだナポリ料理、アクアパッツァである。

 手頃な価格が売りのこの店では、コストが嵩みがちな魚料理は売れ筋とは言い難いらしい。それでも魚好きな客からのオーダーはある。ちょうど今の、辰姫のように。

 

「ほんと、美味しそうに食べるわね」

 

 弥宙自身はボローニャ風ミートソースのパスタをフォークに絡ませつつ、向かいの席の食べっぷりを鑑賞する。

 顔を綻ばせ、大きく口を開き、尖った八重歯を覗かせて。言葉にせずとも、料理に対する感想を雄弁に語っているようだった。

 

 そこで弥宙はふと気付く。自分たちのテーブルが周囲からちょっとした注目を浴びていることに。原因は十中八九、辰姫だろう。

 

(ま、無理もないけど)

 

 弥宙にとっては驚くべきことではない。それは辰姫の豪快な食べっぷりのみならず、彼女の見た目に理由があった。

 セミロングの銀髪に、釣り目がちな三白眼の弥宙。そんな弥宙は樟美と大して変わらぬ背丈であり、年齢不相応な華奢な体型もあって、しばしば高校生に間違われる。酷い時にはそれ以下にも。

 それに比べて、モデル張りのスタイルを持つ亜羅椰や麻嶺ほどではないにしろ、辰姫は背が高い。色素の薄いさらさらの髪に、透き通った白い肌。黙っていれば、人形と見紛う美しい容姿だ。黙っていれば。

 加えて、今は暦の上では秋に間違いないが、気温的に厚着をするにはまだ早い日々が続いている。したがって辰姫も薄着。薄手のシャツブラウスの上から、弥宙とは対照的な豊かな胸が威容を誇っていた。

 店内の客層は女性が中心。数少ない男性も家族連れやカップルばかりなので、じろじろ見てくるような者は居なかった。しかし近くの女性客に限って言えば、辰姫のことが気になっているようだった。

 

(……何の心配してるんだ、私は)

 

 弥宙はそう心の中で自嘲した。

 こんなことを考えてしまう原因は分かっている。天葉や樟美とのやり取りだ。

 別に、直接自分と辰姫との関係について触れられたわけではない。だがそれでも、気を遣われているのだと何となく分かってしまった。「何かしら進展はないのか」と。

 勿論、弥宙と辰姫が付き合っていることは間違いない。一緒に買い物に出掛けたり、食卓を囲んだり、()()()()()になったら寝床を共にしたり。

 しかし、そこで止まっているのもまた事実。その関係のまま、先に進む気配が全く見られない。そして何より、弥宙自身がこの状態を心地好いと感じていたのである。

 

(樟美や壱っちゃんや月詩やあかねえとは大違い)

 

 幼稚舎からの幼馴染たちと比べてしまう。他の四人は形は違えど、先に進んいる。自分たちだけが取り残されている。弥宙にはそう思えてならなかった。

 

「食べないの?」

 

 不意にそう言われて、弥宙は思考を現実に引き戻す。

 フォークを皿に横たえたまま、手が止まっていた。真正面では、辰姫がいかにもクエスチョンマークを浮かべてそうな表情でこちらを見つめていた。

 

「食べるわよ」

 

 短くぶっきら棒に弥宙が答えると、辰姫は再び自分の食事に集中し始める。

 フォークで突き刺した魚肉を口の中で頬張って、何度も噛み締め味わってから飲み込む。その度に、まるで花が咲いたかの如く笑みを湛えていた。

 本当に美味しそうに食べる。本当に幸せそうに食べる。

 そんな辰姫を見ている内に、小難しく考えていたことが馬鹿らしくなってきた。

 

「そうよ、そもそも樟美や壱っちゃんが早過ぎるのよ。まだ二十歳じゃない」

 

 ぶつぶつと独り言を漏らしても、辰姫の耳には届いていないようだった。その代わり、辰姫は弥宙の視線が気になったらしい。

 

「ずっとこっち見て……。さては、弥宙も欲しいのね?」

「はぁ? 要らないし」

「素直じゃないわねえ。仕方ない、辰姫のを一口分けてあげよう」

 

 フォークごと突き出されたタラの切り身を、弥宙の口は避け切れなかった。まさか吐き出すわけにもいかないので、そのまま渋々ながら咀嚼する。

 

「……美味しい」

 

 気のせいか、タラに染み込んだトマトソースがやけに甘かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弥宙たちの席から少し離れたテーブル。友人同士でディナーに来たのだろう。大人のお姉さんが二人向かい合って座っていた。

 

「見て見て、あの子たち」

「食べさせてもらってる、可愛い~。中学生かな?」

 

 弾んだヒソヒソ声が弥宙にも聞こえてくる。トマトほど真っ赤にはならなかったが、弥宙は眉間に皺を寄せ口をへの字に曲げた。

 一方で辰姫には聞こえていなかったようだ。それがまた弥宙の不機嫌を強める。

 

「弥宙のパスタも頂戴よ」

「絶対イヤ」

「けちー」

 

 

 




みそたつはまだまだ希少なので自給自足していきます(カプ厨並感)

麻嶺様は身内のことは呼び捨てしそうなものですが、この二人は元々百合ヶ丘の生徒だし、新潟編において麻嶺様の前で百由様がちゃん付けしてたので、ここでもちゃん付けにしました。
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