マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが   作:ジューク

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どうも皆さん、ジュークです。
九校戦は一応この話の次で完結予定です。
そこまで脳細胞をトップギアにして頑張ります!
なのに、今回はまさかの掲示板無し!?
貴様…フザケルナァ!!!(自暴自棄)
というわけで久々のシリアス回、どうぞ!


スレNo.12『黒き王の憤怒』

 あの試合の後、リーナはすぐさま医務室へと運ばれた。幸い、魔法演算領域のオーバーヒートや目立った後遺症などは無く、今後についても心配はないようだ。

 

 

 一応医務室へお見舞いに行ったら、全開の笑顔で抱きついてきた。可愛い。そのままよくやったなと褒めていると、深雪ちゃんと達也くんが遅れてやって来た。一応空気を読んで下がると、深雪ちゃんとリーナは互いの健闘を讃えて握手していた。青春っていいなぁ。ただ、ミラージ・バットは大事を取ってほのかちゃんに代わることとなった。リーナは残念そうだったが、アイスピラーズ・ブレイク優勝だけでも大きな結果だ。

 

 

 その後はモノリス・コードで事故が起きたりしたが、なぜかミッションとしては知らされなかった。その選手は以前ライドマッハーを吹き飛ばした生徒だったのだが、神様ももしかしてアイツ嫌いなのかな?やっぱり気が合うな。ちなみになぜか達也くん、レオくん、それともう一人幹比古くんという男子生徒の三人が代理で出た。君たち二科生だよね?と思ったら優勝候補の三高、それも十師族の『一条家』の御曹子がいるチームに勝っちゃった。マ?

 

 

 その後のミラージ・バットも余裕のワンツーフィニッシュ。今年の一高総合優勝も見えてきたところで、優勝すれば一高の優勝が決まる九校戦九日目の本戦ミラージ・バット。

 

 

 第一試合である現在は小早川という三年生と彼女を担当している平河小春と言う生徒…どらちも頼斗の後輩で、かつて自身が教えを説いた二人が頑張っていた。尚、渡辺はこれ以上はダメだと七草たちに止められ、深雪ちゃんが代理をすることになっている。無傷といえども、さすがに心配は大きかったようだ。

 

 

 そうこうしてると、第一ピリオドが終了した。現在はトップだが、思ったより三高の選手が齧りついている。まぁ、このペースを維持できれば問題ないだろう。

 

 

 

 そんなアホらしい考えを持っていたのが災厄を招いたのだろうか。

 

 

 突然小早川のCADから濁った色の電光が走ったと思ったら、魔法が切れて落下し始める。

 

 

 その直後、俺は通路を走り、人気の無い場所へ向かっていた。

 

 

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

――なんで、こんなことに…

 

「私の所為だ……私がちゃんとCADをチェックしなかったから……」

 

 

――違う、お姉ちゃんのせいじゃない…

 

「平河先輩、落ち着いてください」 

 

「でもっ!」 

 

「恐らく誰かにCADを細工されたのでしょう。それも平河先輩がしっかりと調整した後に」

 

――なゼ?

 

――ナゼ貴方ニソンナコトガワカルノ?

 

――そうか

 

――貴方は気づいていたんだ

 

――小早川先輩のCADの異変に

 

――ふざけるな

 

――ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 

――神様

 

――もし居るのなら、時間を戻してください

 

――小早川先輩が墜ちる前に、戻して…

 

――お姉ちゃんが悲しむ前に戻して…!

 

 

【HYPER CLOCK UP】

 

 

「…え?」

 

 

 何かが起きた。理解できたのはそれぐらいだ。

 

 

 小早川先輩が墜ち始めた直後、瞬間移動の様に現れた、カブトムシのアーマーを着けたそれがお姫様抱っこのように小早川先輩を受け止め、足場にゆっくりと下ろしたと思ったら、とてつもないスピードで夜空へ飛び立ってしまった。

 

 

 恐らく、以前のバトル・ボードで渡辺委員長と七高の選手を助けた人物と同じ存在だと思う。

 

 

 にしても、何故だろうか。まるで何かに絶望したような感覚があったのだが、如何せん思い出せない。まるでなかったことにされたようだ。

 

 

「………何だったんだろ」

 

 

 私…平河千秋は彼が消えた夜空を見て呟いた。

 

 

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

 

「………あそこか」

 

 

 横浜周辺で最も高さのある建築物である『横浜ベイヒルズタワー』の屋上北側。眼下には美しい夜景が広がっている。

 

 

 小早川を助けた『ハイパークロックアップ』を使えるライダー…『仮面ライダーカブト:ハイパーフォーム』を解除した頼斗は、遠くに見える中華街の一角にある、横浜グランドホテルの最上階のレストランを視認していた。

 

 

「……目の前で三人も後輩を傷つけられたんだ。あんなもんを見せてくれた礼はしなきゃな」

 

 

『珍しいな。貴様がそこまで怒っているとは』

 

「そりゃあ怒るさ。人間だもの。………行くぞ、キバット」

 

『うむ』

 

 

 赤黒い蝙蝠…キバットバットⅡ世と共に頼斗はオーロラカーテンへと入った。

 

 

 ミッションで出された、今回の九校戦で自分の後輩たちを傷つけた『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』を壊滅させるために。

 

 

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 一方その頃、『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』の幹部たちは本来の歴史よりも早く日本を脱出するために極秘の資料や荷物を整理していた。

 

 

「まさかジェネレーターが収穫ゼロで捕らえられるとは想定外だ」 

 

「しかも日帝軍の特殊部隊がしゃしゃり出てくるとはな」 

 

「まったく、おかげで我々は夜逃げの真似事だ」 

 

「そんな事より、我々の計画を悉く邪魔した餓鬼の始末の方が先だろ」 

 

「どんな名前だ?」 

 

「『司波達也』だ」

  

 

 片付けの手を休める事無く、無頭竜のメンバーは達也のデータに目を通す。その顔は疑念と怒りを称えていた。

 

 

「何だこのデータは?もっと詳しくは調べられないのか」

 

 「どれだけデータバンクをハッキングしても、『司波達也』のデータはこれしか出ないんだ」 

 

「ふざけるな。日本は比較的パーソナルデータがしっかりしてるはずだろ。これだけな訳が無い」 

 

「だが、出ないものは出ない……まるで何かを隠してるようにこのデータしか表示されないんだ」 

 

「ただの餓鬼じゃないと言う事か?そういえば、あの仮面の男は何者かわからないのか?」

 

 

 忌々しい謎の仮面の戦士。奴がいなければもしかしたら計画…裏賭博で三高を優勝させ、一高にベットした裏の連中からたんまりと金を頂く計画は上手くいったかもしれないのに、悉く邪魔された。二つの種類がいたことから、恐らく二人いると思われる。

 

 

「そちらに関しては更に不明だ。本名があるわけでもなく、まして素顔などわかるはずもない」

 

「………おのれ、このままで終わると思うなよ」

 

 

 幹部の一人がそう憎々しげに言った時だった。

 

 

「いや。お前らはここで終わる」

 

 

『!?』

 

 

 幹部たちがそちらを慌てて向くと、狐の面を被った二十歳前後の男とパタパタホバリングしている赤黒い蝙蝠がいた。

 

「行くぞキバット」

『ふむ、よかろう』

 

『ガブリッ!!』

 

 

 赤黒い色の蝙蝠…キバットバットⅡ世が青年…頼斗の手に噛みつくと、赤黒い稲妻のような模様が頼斗の頬に表れる。そしてジャラジャラと鎖が腰に巻き付き、ベルトとなった。

 

 

「変身」

 

 

 そしてベルトに収まったキバットバットⅡ世からエメラルドグリーンの波が放たれると、銀の膜が頼斗を包み、弾ける。

 

 

 

 その姿は、まさしく赤黒い吸血鬼だった。

 

 

 ファンガイアの王たるキングを守るために生み出された闇の鎧たる『ダークキバの鎧』を纏ったライダー…『仮面ライダーダークキバ』に変身した頼斗は、仮面の奥で幹部たちと護衛…意思無き改造人間の『ジェネレーター』を睨みつけた。

 

 

「『覚悟しろ、『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』。貴様らの絶望に夜明けはない』」

 

 

 

 その後、何が起きたのかは彼しか知らない…

 

 

 

 

      ⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

「………む?」

 

 

 九島烈は、貴賓室で紅茶を一人で嗜んでいた。そこへ銀の幕…オーロラカーテンが現れる。水面のように不思議な模様を作り、崩すそこから出てきたのは赤黒い吸血鬼…『仮面ライダーダークキバ』に変身したままの頼斗だった。烈は一切身じろぎせずに紅茶を皿に置いた。

 

 

「…君か」

 

「手土産だ」

 

 

 ドサリと床に置いたのは大量の資料…先ほど『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』のいたレストランから拝借した極秘資料の数々だった。

 

 

「【『無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)』の極秘資料の盛り合わせ】ってな。どうやら奴らが今回の九校戦の黒幕だったそうだ」

 

「…やはりか」

 

「知ってたのか?」

 

 

 まさかの返答に、頼斗は変身を解除して質問した。烈は頼斗に座るよう促して続ける。

 

 

「先ほどわかったのだが、奴らが一高のCADに仕込んでいたのは『電子金蚕』と言う、大陸系のSB魔法だ。プログラムではなく、電子回路を直接狂わせる魔法でな。大会のCADチェック員が仕掛けていたのだが、なるほど奴らだったのか」

 

「…どうやら奴らは裏賭博で大儲けするために一高を妨害してたそうだ。この資料に載ってたぜ」

 

 

 頼斗がドサリと机に置いた資料を、烈は読み始める。その顔はほとんど変わらないが、怒りがこみ上げていたのが頼斗にはわかった。

 

 

「奴らのボスに関しても情報を引っ張り出しておいた。活用してくれ」

 

「感謝する」

 

「それじゃ、俺はこれで」

 

 

 再びオーロラカーテンを出して、その中へ消えた頼斗を見送った烈は独り言のように呟いた。

 

 

「仮面ライダー…か」

 




さてさて、いかがでしたか?
次回、頼斗が何をしたのか明らかになります。
ではでは、また次回で。
そういえば、たまにはこんな掲示板無しも良いかどうか感想もできればお願いします。

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