マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが   作:ジューク

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どうも皆さん、ジュークです。


スレNo.18『騒乱の終着駅』

「パンツァー!」

 

 

 レオが音声入力コマンドを唱えた直後、白虎のような鎧を着た大男…呂剛虎の双手突きがレオの胸に突き刺さり、レオの身体が水平に飛んでバリケードの車両に激突した。

 

 

 現在、レオ、エリカ、摩利の三人は魔法協会横浜支部を襲撃してきた呂剛虎と戦闘を繰り広げていた。しかし、前回と違って万全の状態である呂剛虎は強かった。そして呂剛虎はレオにトドメを刺そうと襲いかかり…

 

 

「グオオオッ!!??」

 

 

 後方から飛んできたエネルギー弾に弾かれた。呂剛虎が憎々しげに振り返ると、そこにいたのは前髪を8:2分けにし、シアン色の銃…ネオディエンドライバーを持ち、腰に橙色の鐔がある剣…無銘剣虚無を納刀した覇剣ブレードライバーを装着した男…怪人王ニキこと暗宮(くらみや)耀真(ようま)と、以前に鑑別所で自分を黒焦げにしたあの白狐の面を被り、紅い鐔がある剣…火炎剣烈火を納刀した聖剣ソードライバーを着けた男…頼斗だった。無論呂剛虎は頼斗の方を力強く睨みつけた。摩利は目を見開いて驚くが、これは無理はない。しかし、エリカの目は虚無と烈火を見て見開かれていた。

 

 

「…さ、いこうぜ」

 

「おう!」

 

 

 そう言って耀真はオレンジと黒で塗られた本、頼斗は淡い水色の本と同じサイズの真紅の本を両手に持ち、不敵な笑みで呂剛虎と向かい合った。

 

 

【エターナルフェニックス!】

 

【曽てから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる…!】

 

【エレメンタルドラゴン!】

 

【そして、太古の力と手を結び!全てを救う神獣となる!!!】

 

【プリミティブドラゴン!!!】

 

【エレメンタルドラゴン!】

 

【GET!!!!】

 

 

 二人はそれぞれワンダーライドブックをドライバーに装填し、柄を握る。そして二人は顔を見合わせて頷くと、同時に剣を引き抜いて叫んだ。

 

 

【抜刀…!】

【烈火抜刀!!!!】

 

「「変身!!」」

 

【エターナルフェニックス!!】

 

【虚無!漆黒の剣が無に帰す!】

 

【バキッボキッボーン!】

 

【メラ、メラ、バーン!!】

 

【シェイクハンズ!】

 

【エ、レ、メンタル、ドラゴン!!!】

 

【エレメントマシマシ!キズナカタメ!】

 

 

 耀真の背中から燃える鳥の翼が生え、耀真を包み込む。更に頼斗の後ろに紅い本…エレメンタルドラゴンワンダーライドブックを装填した白い本…プリミティブドラゴンワンダーライドブックが出現し、展開されると同時に赤と白の二体のドラゴンが現れ、頼斗の周りをグルグルと飛ぶ。そして二体のドラゴンは握手をするように手を絡めて頼斗の胸にぶつかった。

 

 

 炎の翼が消えると耀真はオレンジの猛禽類があしらわれた黒と橙色をベースにした鎧を纏うライダー…『仮面ライダーファルシオン』に、頼斗は左に炎の、右に骨のドラゴンが埋め込まれたライダー…『仮面ライダーセイバー:エレメンタルドラゴン』に変身した。

 

 

「物語の…」

 

「結末は…」

 

「「俺たちが決める!!」」

 

 

 その言葉と共に、二人は各々の得物を構えて呂剛虎に突進した。

 

 

「ハアアアッ!!」

 

「おりゃあぁい!」

 

 

 頼斗が呂剛虎と衝突し、剣と拳がぶつかる。その上を耀真が飛び越え、背後に回り込む。その意図を察した呂剛虎は体を半回転させて二人の剣撃を受け止める。しかし二人はチャンスとばかりにピタリと息が合ったコンビネーションで連携攻撃を仕掛けた。呂剛虎の周りをグルグルと激しく位置を変えながら繰り出される剣撃は、一種の舞、剣舞のようになっている。レオは傷口を押さえ、その様子を茫然と見るしかなかった。

 

 

「………スゲェ…」

 

「……アンタ、ブランシュの件って覚えてる?」

 

「え?………まさか!!?」

 

「ええ。あのドラゴンの剣士が例の怪物、でしょうね。でも見た感じ嫌な感じはしないわ。てかあたしはそれ以前にあの剣の方が気になるんだけど…一度で良いから使ってみたいわね」

 

「………あ、そ…」

 

 

 レオが呆れながら頼斗たちの戦いに目を戻すと、ちょうど二人が最後の仕上げに入ろうとしていた。

 

 

【必殺黙読…!】

 

【必殺読破!マシマシ!!】

 

【抜刀…!】

【烈火抜刀!!!!】

 

「カラミティ・ストライク!!」

「森羅万象斬!!!」

 

【不死鳥無双斬り…!】

!!!

 

「「オオオオオオ!!!!!」」

 

「グアアアアアアア!!!???」

 

 耀真は炎の翼をはためかせ、頼斗は虹色の光を剣に宿して二方向から同時に呂剛虎を斬り裂き、その瞬間にフッと軽く笑いながらすれ違った。そして呂剛虎の鎧にバチバチとスパークが走ると、次の瞬間、閃光と共に大爆発した。

 

 

「………ん?」

 

「どした?」

 

「…………船艦?そのまま沈めたらダメなのか?ヒドラジン燃料電池?何それ………なるほどな。オッケーオッケー。すぐ行く」

 

 

 耀真は左耳を押さえながら何か会話を始める。不思議に思った頼斗が問いかけると、耀真はばつが悪そうに手を合わせて言った。

 

 

「悪い、俺ちょっとやることできたわ。悪いけど後は頼む」

 

「いいよいいよ全然。どうせ俺も挨拶だけしたらもう帰るし」

 

「あそう?んじゃまた後で」

 

「ありがとなー!」

 

「おーう!」

 

 

 バサリと翼をはためかせ、耀真は横浜の街へと戻っていった。そのまま頼斗も向かおうとしたのだが、残念ながらそれは叶わなかった。

 

 

「………一つ聞きたいんだけど」

 

「へ?」

 

 

 声の主…エリカに止められ、ちょっとマズいなと思いながら頼斗は振り返った。

 

 

「アンタ、ブランシュのアジト潰した奴でしょ」

 

「………そうだ、と言ったら?」

 

 

 金尾ボイスを無理矢理作りながら、頼斗は最悪の場合を想定して若干構えを取った。が…

 

 

「その剣ちょっと触らせてくれない?」

 

 

 この一言で盛大にずっこけたのであった。

 

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

 数分後、大亜連合の偽装揚陸艦の中は絶賛大パリメイクの真っ最中だった。

 

 

「おい何だこの揺れは!?」

「も、モニターに映します…れ、列車です!!!橙色の巨大な作業用列車とおぼしき列車に本艦は運搬されています!!」

「列車だと!?事前調査の中に列車が走る線路は無かったはずだ!!構わん、砲撃しろ!!」

『…だ、ダメです!!すべての砲塔及びミサイル発射口が粘着質の…蜘蛛糸のような物で塞がれてしまっており、撃てば暴発しかねません!!』

『こ、こちら甲板!口に刀を咥えた剣士がやって来…ぎゃああぁぁ!!?』

「おいどうした!?甲板!応答しろ!!!」

「摩醯首羅といい、作業用列車といい………一体何がどうなっているんだ!!??」

 

 

 艦内が狂気の沙汰になっている頃、外では……

 

 

「横浜中央公園だな?了解した!頼むぞ!」

『わかってるよ!』

『バランス補助はワイらに任せて、落とさんよう頼むで!!』

 

 

 洗濯バサミやら、緑の十字の下に『安全第一』と書かれている板が打ち付けられた列車操縦室…ビルドレッシャーの中で明人が二人…『仮面ライダーガオウ』に変身した時喰王ニキことキバオウと、『仮面ライダーネガ電王』に変身した耀真に指示を出した。と言うのも、現在の彼はビルドレッシャーで偽装揚陸艦をサルベージして牽引し、列車が揚陸艦ごと転倒しないように船底をキバオウのガオウライナーと耀真のネガデンライナーで持ち上げながら横浜中央公園へと列車で運搬しているのだ。揚陸艦の装備は、リューマと米花ニキこと雲波(くもなみ)糸司(いとじ)が無力化を終えている。飛行ニキことツバサはビルドレッシャーらを護衛するようにポケモンたちと空を飛んでおり、刃牙ニキこと力宮(りきみや)刃牙(バキ)と霊我は横浜中央公園に先回りして準備している。

 

 

 と、そうこうしている間にビルドレッシャーは目的地である横浜中央公園に辿り着いた。そして後は用無しとばかりに明人はビルドレッシャーから揚陸艦を吊るすワイヤーを切り離した。当然揚陸艦は先ほどとは比べ物にならない震動に見舞われる。

 

 

「ぬわああぁっ!!?」

「お、今度は何事だ!外で何が起きている!?」

 

 

 慌てて兵士がモニターに外の様子を映すと、驚きの光景が広がっていた。

 

 

「烈車合体!!」

 

 

 揚陸艦を運搬していたビルドレッシャーが、下部の烈車をギャリギャリと鳴らしながら折れ曲がる。そしてほぼ90度になるまで折れ曲がると、前方に回転して脚になった。更にガコンという音と共に明人がいる操縦室が動き、上部の烈車の中央に移動する。その直後、クレーンの部分が回転して、顔が露になった。

 

 

「乗車完了!ビルドダイオー!」

 

 

 ビルドレッシャーは巨大ロボ…ビルドダイオーに変形した。加えて右手の部分からウィィンと出したのは、大きさに見合った巨大なショベルだ。

 

 

「お前らいくぞ!!準備はいいか!?」

 

 

 明人がインカムに向かって叫ぶと、威勢のいい声が全員から放たれた。そして、転生者たちは最後の大仕事に取りかかった。

 

 

「『バケットブレイク』!!!」

 

 

 強力なエネルギーを纏って繰り出されたビルドダイオーのショベルによるアッパーを受け、揚陸艦は空高く吹き飛ぶ。そして邪魔は無くなったとばかりに他の転生者たちも総攻撃を放った。

 

 

「ネガデンライナー一斉放火!」

「ガオウライナー一斉点火や!」

「シメの『はかいこうせん』!」

「憑依合体『モリアーティ』!!喰らえ、『終局的犯罪』!!!」

「激烈刃牙圧!!!!」

 

 

 耀真とキバオウはそれぞれが乗る列車の武装の全てを、ツバサはレックウザ、ボーマンダ、カイリュー、チルタリスに命じて四体のはかいこうせんを一本に纏めた全てを滅ぼすビームを、霊我はモリアーティを己の体に取り込み、光の弓を引き絞って極太の矢を、刃牙は刃牙は右腕を異常にパンプアップさせて最初のものの数十倍の威力の風圧を、揚陸艦に向けてオーバーキルとばかりに叩き込んだ。

 

 

 当然ただの揚陸艦が世界を越えて集った選りすぐりの転生者たちの本気の総攻撃に耐えられるはずもなく、揚陸艦はすべての攻撃を受けて文字通り木っ端微塵となって消し飛んだ。後に残ったものは申し訳程度の細かな瓦礫。たったそれだけが揚陸艦の中にいた彼らの遺物となったのである。

 

 

「………チッ、参ったな」

 

『どしたんや6号ニキ?』

 

 

 明人が突然どこかを見て打った舌打ちを疑問に思ったキバオウが問いかけると、明人はいきなり烈車合体を解除してビルドレッシャーを走り出させた。

 

 

「逃げろ!国防軍だ!捕まると後が面倒なことになってくるぞ!紫ネキ『隙間(ゲート)』頼む!」

 

『はいはい』

 

『あ、ちょい待って!?イッチがさっきお礼言いたいって言ってたんだけど』

 

「スレでやれ!今はここから逃げる方が先だ!」

 

 

 空間に突如現れた眼の様な穴にレールを敷き、明人は自分の世界へと帰還した。

 

 

「怪人ニキ、気持ちはわかるけど今は逃げるが勝ちや!ほなまた後でな!」

 

「………ごめんイッチ!」

 

「後で謝ろう!レックウザ、頼む!」

 

「そいじゃあ俺も帰りますか!」

 

「よっと」

 

「俺もゥッ!」

 

「追い込み逃げ足、いずれもマッハアァ!!!」

 

 

 キバオウが隙間を潜ったのに続き、地上にいた転生者たちは、全員が空を飛ぶ黒い兵士…国防軍の独立魔装大隊の追っ手の前から姿を消した。

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

「…よし、修行僧ニキ。俺たちも帰るぞ」

 

「お疲れ様でした」

 

「またスレで会おう」

 

 

 そう言い残して、地下シェルターの前にいた二人の転生者たちも各々の世界へと帰還を果たした。

 

 

 こうして、本来の歴史からは大きく外れた形で『横浜事変』は幕を下ろした。

 

 

 ちなみに、この後の第一高校では数ヶ月程の間一世紀前の列車について調べる五十里や両手と口に竹刀を携えて「へったいにはのへんひゅふをはふたーひへはふ!(訳:絶対にあの剣術をマスターしてやる!)」と言いながら素振りをしている桐原の姿と、それに半ば呆れる壬生の姿が見られたそうな。

 




さてさて、いかがでしたか?
怪人王ニキなんですが、ネオディエンドや白ウォズのように、アナザーライダー=怪人になったことがあるライダーにも変身できます。ネオディエンドライバーが使えるのもそれが理由です。

個人的にエターナルフェニックスの後にエレメンタルドラゴンってそれぞれの文章が繋がってる感じで気に入ったので入れました。
いや~!楽しかった!!やっぱいいですね、趣味を詰め込めれるって。
転生者たちのラストのオーバーキルを気に入った人は是非コメントと高評価を!
特に評価最近になってオレンジバーになっちゃったからマジでお願いいたします!!(切実)

そして次回より来訪者編、開幕です。
では、また次回でお会いしましょう。

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