すみません。話組み立ててたら思ったより白熱しちゃいまして。
ライダー大戦は次回にお預けです。
ではでは、どうぞ!!
「………流石に今日はもう客来なさそうだな」
「そうだねぇ…」
土曜日の夜、それも冬となれば、喫茶店に来る客は少なくなる。午後の八時ということもあったので、頼斗は看板を『CLOSED』にひっくり返すために外に出た。
そして、ドアの突起に掛けられていた看板を持った時だった。
突然、通りの向こうからフラフラと一人の人物が店の方へと歩いてきた。疑問に思った頼斗は、振り返って声をかける。
「あ~、すみません。もう今日は店閉めるん…」
そしてその人物を見た時、頼斗は絶句した。時間にして数秒沈黙した後、頼斗はようやく正気に戻って驚愕の声を出した。
「達也くん!?どうしたんだ!?」
服装には異常は無い。しいて言うならば、顔。いつもは冷静沈着な彼の顔は絶望の色に染まっており、そこに生気は見られない。
「ライト?どうし…ってタツヤ!?なんで………あれ?ミユキは?」
頼斗の声に反応したのか、リーナも外に出てきて達也の顔に驚いたが、それ以上に、普段彼とほぼ四六時中一緒にいるはずの深雪がいないことに気づいた。が、達也は何も喋らない。
「…取り敢えず中に入って。話聞くよ」
「…どう?落ち着いた?」
「…はい」
取り敢えず店に入り、嶺平のコーヒーを飲んだことで多少の落ち着きを取り戻した達也は、頼斗に向き直った。
「…で、何があったんだ?」
「………実は…」
そして達也は、これまでの経緯を話し始めた。
「さぁ、蹂躙を始めようか」
通常よりも大きなウォッチ…ディケイドライドウォッチをD´3スロットに装填し、オウジは再びジクウサーキュラーを回した。
ジクウサーキュラーを回すと、アーマーの欠片を持つ灰色の影が環状に展開され、オウジと重なる。そして、複眼にネオングリーンの文字で『ディケイド』の文字が、右肩には白い文字で同じく『ディケイド』の文字を、左肩から胸部にかけて『バーコード』を刻んだ『仮面ライダージオウ:ディケイドアーマー』にフォームチェンジした。
「も一つ追加だ」
ネオングリーンの本体にネオンピンクのウェイクベゼルを持つライドウォッチ…エグゼイドライドウォッチをディケイドライドウォッチのスロットに装填すると、オウジは二人…肩の『ディケイド』の部分が『エグゼイド』に、胸のバーコードが『ダブルアクションXXL』の文字に変わり、ネオンブルーを基調とした『仮面ライダージオウ:ディケイドアーマーエグゼイドフォームL』と、Lとはネオンブルーとオレンジの位置が入れ替わり、肩のバーコードが『ダブルアクションXXR』になった『仮面ライダージオウ:ディケイドアーマーエグゼイドフォームR』に分裂した。
「分裂した…!?」
「まさか………逃げろ深雪!」
「おせぇんだよ!!」
達也が深雪を逃がそうとしたが、それよりも早くオウジが襲いかかった。Lは刀身に『ヘイセイバー』と刻まれた長剣…ライドヘイセイバーを、Rは『ケン』と刻まれたミドルソード…ジカンギレードを持って。
「くっ!」
「おらおらどうしたぁ!?」
「ふっ!…!?」
「効かねぇよ…お前の蹴りなんかな!」
「ぐはっ!?」
達也の蹴りを、そのスペックに任せて受け止めたオウジ(L)はカウンターとばかりに達也の鳩尾に拳を入れた。深雪は思わず立ち止まって振り返り、自身の兄を案じる声を出してしまった。
「お兄さ……あっ!!?」
「へっへ…捕まえたぞ?司波深雪ィ…!」
「深雪!ぐはっ!?」
「まずは自分の心配しろよオイ…無視とは舐められたモンだぜ」
「この………うぐっ!!」
街灯に照らされにくい位置に回り込んだオウジ(R)が、深雪を腕を襷にするようにホールドして捕え、持っていた携帯端末型CADを叩き落とした。それに気を取られた達也はLのライドヘイセイバーに背中を斬られたが、『再生』ですぐに治療する。しかし、Lに体勢を崩され、地面に押さえつけられた。
「さて、愛しの愛しの妹は捕えた。お前はこれで役立たずだ。何せこんな所で『
「……ッ!深雪をがっ…!?」
「これ以上『再生』は使うな。お前の選択肢は二つだ。俺たちの奴隷になるか、愛しの妹と二度と会えなくなるか、だ……期限は夜明け。ブランシュのアジト跡地で待つ。時間切れは、妹との別れだ。良い答えを待ってるよ……アハハハハハ!!アーハハハハハ!!!」
「待て!!深雪を返せ!深雪を……返せ…!!」
達也の叫びも虚しく、オウジと深雪はオウジが出したオーロラカーテンの中へと消えていった。
事情を聞き終えた頼斗は、軽く息を吐いた直後本題に入った。
「………なるほど。事情はわかった。けど、なんで俺たちの所にそれを言いに来たんだ?」
「…奴に対抗できるのが、貴方だけだからです」
リーナは絶句するが、頼斗はほぼ表情を変えず質問を続けた。
「…誤魔化しは効かないみたいだね。認めよう。確かに俺は仮面ライダーだ。一応聞きたいんだけど、いつ俺が仮面ライダーだってわかったの?」
「……九校戦で、委員長を貴方が助けた時です。あの時貴方が使っていた武器は、以前リーナを迎えに来た時に持っていた物と同じでした」
「……あー、あれか。なるほど。だけど、それと同時に君が今までしてきたこと、わかってる?」
「………今までのことならいくらでも詫びます。だからどうか、深雪を助けてください…!」
「………なら、俺と契約しろ」
「ライト!」
頼斗の見下したような態度にリーナは怒ろうとしたが、頼斗は立ち上がり、ポンと達也の肩に手を置いて言った。
「「………え?」」
その一言に、達也とリーナは二人揃って間抜けな声を出した。
「…その顔は『オッケー』で良いんだよね?」
「………はい…」
「よっし!契約成立!父さん、留守番頼める?」
「わかった。気をつけて」
「百も承知!リーナと達也君も、ボサッとしてないで行くよ」
「………うん!」
「………ありがとうございます…!」
「お礼は全てが片付いた後だ。これ使って」
「場所はブランシュのアジト跡地だよね!?」
「はい!」
「リーナはこっち」
「わかってる!」
「行くよ!全部取り返しに!!」
ガレージにて、ビルドフォンを変形顕現させたマシンビルダーを達也に貸し、頼斗はライドストライカーの後ろにリーナを乗せ、ガレージのシャッターを全開にする。そして、派手にエンジンを吹かしながら二台のバイクがブランシュのアジト跡地へと走り出した。
「………っ……うぅ………?」
暗い部屋の中で、椅子に拘束された深雪は目を覚ました。
「お目覚めか?ここはブランシュのアジト跡地。今のお前は人質だ」
「………なぜこんなことを」
「お前のお兄様が言ってたろ?俺はスターズ総隊長。エネルギー・質量変換魔法『質量爆散』を持つアイツをスターズのものにするために来た。奴を意のままに操れば、世界なんざ簡単に制圧できる。そ、こ、で、だ。この俺が、わざわざ来てやったんだぜ?さっきは生意気な態度だったが、もし俺の女になるなら、愛しのお兄様は見逃してやるぞ?クハッ!クハハハハハ!!」
「………下劣な…!」
「何とでも言え。抵抗もできない足手纏いが何言ってもそよ風だけどな。アハハハハ!!!」
悔しがる深雪を煽るように、オウジは顔を近づけて笑い声を上げる。彼の顔には、愉悦、優越感…自身が上であるという絶対的な自信があった。
が、そんなものは容易く壊れるものである。
突如、轟音を轟かせて二台のバイクが部屋のシャッターを吹き飛ばし、オウジと深雪が居る方の反対側からダイナミックに侵入してきた。
「なっ!?いったい何だ!?誰だお前ら!!?」
「『名乗るバカはいないと思わねぇのか?』だったか?オウジ・ヘイーゼ・トキワ」
「………何だと?…見たところ警察や国防軍じゃねぇみてぇだが………殺されに来たのか?」
「殺されに来るバカはいないさ。いるとすれば、今俺の目の前にいるけど」
「………お前は…そうか。
「…人の話もまともに聞けないバカ、と付け加えるべきだったか」
「………あ"?」
オウジはヘルメット着けていないリーナを見て笑い声を上げるが、そのリーナの前にいる、ヘルメットを被った男の台詞に一転、ドスの効いた声を出した。
「………あぁいや失敬。バカにもわかるように名乗らないとな」
そう言って、男…頼斗はバイクから降り、ヘルメットを取って投げ捨てた。
「改めましてごきげんよう。俺は『華貫頼斗』。華貫麗奈の兄ちゃんだ」
「何だお前?あとな、その女は麗奈じゃねぇ。アンジェリーナ・クドウ・シールズ!俺の所有物なんだよ!!勝手に妹扱いしてんじゃねぇぞ!!」
「アンジェリーナ・クドウ・シールズ?知らないな。スターズの中で、その人は『死亡』扱い。ここにいるのがそのアンジェリーナ・クドウ・シールズだって証拠は無い。麗奈が俺の義妹であり、家族であり、日本人だっていうのは国籍が証明してくれる」
「黙れ!!
「端役上等。お前はこの世界を漫画か何かだと勘違いしてるみたいだが、ここは
「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れぇぇええぇ!!!」
「どうだ!これが主人公の証だ!端役風情が俺の前で生意気にしやがって…土下座しろよ!!土下座して赦しを乞え!!」
「する気も無いし、赦しを乞う気も、ない…」
「?………それは!?なんでお前がそれを!!」
頼斗は不敵に笑って、マゼンタ色のカメラのようなアイテム…ネオディケイドライバーを出し、腰に装着した。そしてハンドル…サイドハンドルを引いてバックルを回転させ、腰にあるケース…ライドブッカーから一枚のカード…カメンライド:ディケイドを出し、オウジの前に翳した。
「何なんだ…何なんだお前はァ!!??」
頼斗はネオディケイドライバーにカメンライドディケイドを装填し、サイドハンドルを叩いてバックルを戻す。すると十九人のライダーの影が頼斗と重なり、バックルからライドプレートが射出される。そして影が完全に頼斗と重なってスーツを形成し、ライドプレートは頼斗の顔に埋まって覆面となり、仕上げに額の光…シグナルポインターが紫に輝いた。こうして頼斗は『仮面ライダーディケイド:激情態』に変身した。
「仮面ライダー………ディケイド…!!?」
「さぁ、始めようぜ。ライダー大戦」
今まさに、二人のライダーがぶつかり合おうとしていた。
さてさて、いかがでしたか?
次回、激突です。
全力で書きます。
そして9以上の高評価、8でも良いのでお願い致します!またオレンジバーになっちった…(泣)
外伝の方もお願いします!
ではでは、また次回で。