マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが   作:ジューク

27 / 64
どうも皆さん、ジュークです。
ヤバい…オリジナル長編を出す度にお気に入りがどんどん減っている…!
なんなら評価も減っている…!
お気に入り数を、我が手に…!
というわけで、どうぞ!


スレNo.EX4

 爆煙は濃く、広範囲を包んでいる。

 

 

 そこへ強い風が吹き、爆煙を払っていく。

 

 

 そこにあったのは、防御の体勢を取っている頼斗と、何が起こったのか理解できていないオウジ、洗脳された深雪と、深雪に向かい合っていた達也の姿だった。

 

 

「なんだ、今の………!?」

 

 

 いつまで経っても攻撃が来なかったので、恐る恐る目を開けた頼斗は、何かが雄叫びを上げながら接近してくるのを視認する。それが何なのかわかった頼斗は、思わず声を出した。

 

 

「…ガオウライナー!!」

 

 

 黄金の鰐を模した列車…神の列車とも呼ばれるガオウライナーが線路を形成しながらこちらに突っ込んできた。その意味を悟った頼斗は達也に向かって走り出し、彼を右肩に担ぎ上げた。

 

 

「!?何を」

 

「いいから黙って!ここは一旦離脱するよ!!」

 

 

 そう言った頼斗は一瞬深雪の方を見た後、目の前に来たガオウライナーにタイミングを見計らって飛び乗る。一瞬で頼斗たちを回収したガオウライナーは虹色の穴を作り、その向こう側へと消えていった。オウジはその数十秒のできごとに理解が追いつかなかったが、すぐに意識を取り戻した。

 

 

「…!おのれ!!アナザー電王!」

 

 

 オウジが手を振るうと、ドス黒い門が現れる。血のように紅い文字で『2007』と書かれた門が開いて、両目からそれぞれ一本ずつ、赤く禍々しい角が生えた怪人…アナザー電王が出てきた。アナザー電王はそのままオウジの前で跪く。

 

 

「追え!奴らを決して逃がすな!!」

 

 

 ガシャリと頷いたアナザー電王は異空間への穴を作り、その向こう側へと走っていった。

 

 

「………フン、ガオウライナーごときで俺から逃げられると思うな…………」

 

 

 そう言ってオウジもゲートを作り、それをくぐろうとした時。

 

 

突然発生した衝撃波に吹き飛ばされた。

 

 

「ぬあぁっ!?……おのれ、どこのどい…!!」

 

 

 オウジはそのとてつもない圧力に堪えきれず、地面をゴロゴロと転がった。そして怒りを募らせながら立ち上がったオウジの先にいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と派手にやってくれたな。アナザーオーマジオウ………否、転生番号2019082509、オウジ・へイーゼ・トキワよ」

 

「…………オーマ、ジオウ………!!??」

 

 

 怒りのオーラをその身体に宿す、黄金の仮面ライダー…オーマジオウだった。

 

 

「天界輪廻刑法第5条に則り、貴様を排除する」

 

「この世界の王は俺一人だ!排除するとはこちらのセリフだ!!ここから消え去れ偽物!!!!

 

「消え去るのは貴様だ!これ以上仮面ライダーを貴様ごときに汚させん!!!」

 

 

 互いの叫びと共に、二人の王の拳が激突した。

 

 

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

「………達也君、怪我は…?」

 

「…ありません」

 

 

 ガオウライナーの内部、デンライナーのようなカフェがある車両の床に寝転び、変身を解除した頼斗は達也に問いかけた。と、プシューと空気が抜けるような音と共にガオウライナーのドアが開いた。そこから出てきたのは、所々が角張った、特徴的な茶髪の男…キバオウだった。

 

 

「ギリギリ間に合うたみたいやな。大丈夫…ではないわな。しかし、アナザーオーマジオウ相手によう持ちこたえたわ。命あっただけでも奇跡やで」

 

「ありがとうございます時喰お…キバオウさん。にしても、なんでこっちに?」

 

「紫ネキから連絡来てな。だいぶ急ぎな上に言っとること滅茶苦茶やから何かと思ったが…思ったより深刻やな。あと、来とるのはワイだけやないで」

 

「よっす。大丈夫だったか?」

 

「耀真!」

 

 

 キバオウの後ろからひょっこりはんとばかりに顔を出したのは、頼斗と同じ十九歳で仮面ライダーの暗宮耀真だ。

 

 

「…そういや、アイツは追って来ないのか?」

 

「あぁ、それな…。今、オーマニキが足止めしてくれとるわ。ある程度は大丈夫やろうけど、なるべく早よ加勢に行かんと危ないで」

 

「そうだな。アナザーオーマジオウは全ての平成ライダーの力を無効化する。オーマジオウですら例外とは言い切れない。俺がアナザーオーマジオウになれたら楽なんだろうけど…この世界にアナザーオーマジオウウォッチがあって、それをアイツが使ってる以上俺はアナザーオーマジオウになれない……早くしないと、状況は更に悪化する。てかこの中で戦えるの実質俺と頼斗だけだし」

 

「ちょい待ち。ワイを忘れとらんか?」

 

「いや、だってキバオウさんはガオウにしかなれないじゃんか。俺は滅亡迅雷とかストリウスとかになれるけど」

 

「ナンデヤ!!!?」

 

 

 キバオウと耀真が言い合いを始めていると、達也は重々しく口を開いた。

 

 

「………深雪…」

 

「達也君。残酷かもしれないけど、君もアイツと戦うなら覚悟を決めないといけない。君がこのままじゃ、深雪ちゃんも苦しいだけだよ」

 

「…お前に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前に何がわかる!!?」

 

『!!』

 

「深雪は俺のたった一人の妹だ!それを攻撃しろと言うのか!!?大切な人を失ったことがない(・・・・・・・・・・・・・)お前に何がわかる!!!!」

 

 

 達也から放たれたのは、彼とは思えないほどの怒りを持った叫びだった。頼斗はそれを、無表情な顔でただただ聞いていた。

 

 

「…………確かに、至極尤もな意見だ。けどね。君の言葉の中には一つだけ間違いがある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺だって、大切な人を失ったことはあるさ」

 

「…は?」

 

 

 頼斗はまるで、何か遠い昔の思い出を語るような顔で話し始めた。

 

 

「…俺ね…昔、妹がいたんだ。病弱だったけど、笑顔が素敵な優しい妹が。けど…妹は殺された

 

「………!!」

 

「犯人は、妹に一方的で、独善的な恋心を持っていた。けど、妹はそれを拒んだ。勿論警察にも言ったさ。けど…警察は取り合おうとしなかった。ソイツはある大企業のボンボンでね。こっちの弁護士を買収して、無理矢理示談を成立。てか事件そのものを無かったことにされた。その時ぐらいかな。この世に『正義』なんてない。本当の正義は自分で持つものだって考え出したの」

 

「………」

 

「…………だから俺、案外早く割り切ったんだ。妹は自分より他人を優先するような奴だったし、もし生きてたら「私のことなんか気にしないで、元気出せ」って言ったろうから……だから、俺は後悔しないよう生き続けたんだ。アイツの想いを無駄にしたくないから」

 

「それにな、達也君。君はあの時気づいてたかどうかわかんないけど…深雪ちゃん、泣いてた

 

「!!」

 

「例え洗脳されたとしても、あの娘にとって君は大切な家族なんだ。そんな家族を自分の手で傷つけて、悲しいはずはない。でも、このまま君は彼女の手を汚させ続けるのか?君がやってるのは、深雪ちゃんの心を更に抉ることだ。だからこそ、君は深雪ちゃんを倒してでも止めるべきだ。多分それは、君にしかできないことだから」

 

「………俺にしか、できないこと…」

 

 

 達也が頼斗の言葉を繰り返した直後、けたたましい警報のような音が車両内に鳴り響いた。

 

 

「何だなんだ!?」

 

「ちょい待ち!……これは…!!何かがこっちにえげつない速度で向かって来よる!多分アイツの追手や!!」

 

「………ってことは、アナザー電王か!」

 

「オイ、アレ見ろ!こっちに来てる!!」

 

 

 耀真が窓の外を覗くと、後方から猛スピードで走行してくる、先頭車両がアナザー電王の顔を模したような電車…アナザーデンライナーが見えていた。アナザーデンライナーはそのままガオウライナーに追いつくと、自爆上等とばかりに体当たりしてきた。その衝撃でガオウライナーの内部はガクガクと大きく震動している。

 

 

「うおおお!?」

 

「このままやとアカン!迎撃するで!」

 

「「了解!!」」

 

 

 そう言って、頼斗、耀真、キバオウはそれぞれベルト…デンオウベルト、少し黒っぽいデンオウベルト、ガオウベルトを装着し、それぞれボタンを押す。そして三人同時にパスを構え、叫んだ。

 

 

「「「変身!!」」」

 

 

【SWORD FORM】

【NEGA FORM】

【GAOH FORM】

 

 

 三人はそれぞれのライダー…『仮面ライダー電王:ソードフォーム』、『仮面ライダーネガ電王』、『仮面ライダーガオウ』に変身し、頼斗と耀真はそれぞれの時の列車…デンライナーとネガデンライナーへと飛び移った。

 

 

「ぶっ飛ばすぞ!!」

 

「元からそのつもりや!!」

 

 

 そうして三台の列車はアナザーデンライナーを囲うような形で並走し始める。そしてガオウライナーは車両の屋根を開けて中からミサイルを光らせ、デンライナーとネガデンライナーは装備をフル展開して照準をアナザーデンライナーに合わせた。

 

 

「最大火力の一斉砲火で決めるぞ!!」

 

「「おう!」」

 

 

【FULL CHARGE】

 

 

 三人が同時にパスをベルトにセタッチすると、全ての武装に強いエネルギーが迸る。そして放たれたミサイルや砲弾、ビットなどの攻撃が瞬く間にアナザーデンライナーを鉄屑へと変えた。そしてアナザー電王は吐き出されるのと同時に爆発、消滅した。

 

 

「………やったか…って皆!後ろだ!!」

 

「へ?…うおおおお!!??何やアレェ!?」

 

「あれって…」

 

 

 頼斗がモニター越しに見たのは、銀色のボディの内部から赤い光を見せる、デンライナー並みのサイズの巨大なロボだった。

 

 

「…ダイマジーン!!」

 

「アレまで送り込むとか頭おかしいんか!?」

 

「てかこのままだとジリ貧だぞ!!?しかもアレ意外と足速いし…カオナシかよ」

 

「ジブリとか今は心底どうでもええわ!それよりアレをどうすんねん!」

 

「見た感じ二体いるけど…」

 

「う~ん………あ!そうだ!」

 

「どしたんや」

 

「いや、ちょっと試したいことがあってさ…」

 

 

 そう言った耀真は、二人に自身のアイデアを一通り説明した。

 

 

「……って感じでいけないかな?」

 

「冗談やろ!?いくらなんでも無茶苦茶や!」

 

「いや…案外いける気がする」

 

「は!?」

 

「やってみようぜ!てかアレに並の攻撃効かないだろうし、ここでやらないと全滅必至!だったらいっちょう懸けてみようぜ!」

 

「…あ~も~!わかったわかった!!その代わり真ん中はワイでいくで!」

 

「あいよ!!それじゃあやるぞ!!」

 

「「「タイム合体!!!」」」

 

 

 その言葉と同時に、デンライナー、ガオウライナー、ネガデンライナーはそれぞれ横一列に走行を始める。そして接触ギリギリの距離までガオウライナーに他の二台が挟み込むように近づくと、火花を散らして連結した。更にその左右から二台の列車…ゼロライナーとその後ろに連結したデンライナーレッコウ、デンライナーイスルギとその後ろに連結したデンライナーイカヅチが接近してきた。そして二台はまるで腕となるようにゼロライナーは右側のデンライナーに、デンライナーイカヅチの前部車両は左側のネガデンライナーに、それぞれジョイントパーツを展開して連結した。

 

 

 そして仕上げとばかりにデンライナーとネガデンライナーから火花が散り、連結した列車はムクリと起き上がった。更にデンライナーとネガデンライナーの先頭が正面を向き、ガオウライナーが上部のギザギザを噛み合わせるように折り畳む。

 

 

 最後に、縦二つに割れた仮面ライダーガオウのゲイタースキャンアイの様なヘッドギアを付け、バイザーを下げた無表情な巨人の顔がガオウライナーからせり上がった。

 

 

「「乗車完了!『ライナーロボ』!」」

 

「ってほんまに合体できたんかい!!!」

 

「うぉ~、かっけ~!!」

 

「てか合体の仕方まんまトッキュウオーだな…」

 

 

⚪⚫⚪⚫⚪⚫⚪⚫

 

 

 

「………ん?」

 

「どしたんだ?アニキ」

 

「……いや、何か…とんでもないものを見逃した気がしてな…」

 

「…?」

 

 

 新幹線超進化研究所大宮支部にて、虹橋明人は蒼い空を見上げていた。

 

 

 




さて、いかがでしたか?
最後のロボは個人的にやってみたかったので捩じ込みました。
あとオーズの映画控え目に言ってヤバかったです。
ホーリーライブもかっこいい…これが本当の東映の力か!
ではでは、また次回で。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。