ヤバい…オリジナル長編を出す度にお気に入りがどんどん減っている…!
なんなら評価も減っている…!
お気に入り数を、我が手に…!
というわけで、どうぞ!
爆煙は濃く、広範囲を包んでいる。
そこへ強い風が吹き、爆煙を払っていく。
そこにあったのは、防御の体勢を取っている頼斗と、何が起こったのか理解できていないオウジ、洗脳された深雪と、深雪に向かい合っていた達也の姿だった。
「なんだ、今の………!?」
いつまで経っても攻撃が来なかったので、恐る恐る目を開けた頼斗は、何かが雄叫びを上げながら接近してくるのを視認する。それが何なのかわかった頼斗は、思わず声を出した。
「…ガオウライナー!!」
黄金の鰐を模した列車…神の列車とも呼ばれるガオウライナーが線路を形成しながらこちらに突っ込んできた。その意味を悟った頼斗は達也に向かって走り出し、彼を右肩に担ぎ上げた。
「!?何を」
「いいから黙って!ここは一旦離脱するよ!!」
そう言った頼斗は一瞬深雪の方を見た後、目の前に来たガオウライナーにタイミングを見計らって飛び乗る。一瞬で頼斗たちを回収したガオウライナーは虹色の穴を作り、その向こう側へと消えていった。オウジはその数十秒のできごとに理解が追いつかなかったが、すぐに意識を取り戻した。
「…!おのれ!!アナザー電王!」
オウジが手を振るうと、ドス黒い門が現れる。血のように紅い文字で『2007』と書かれた門が開いて、両目からそれぞれ一本ずつ、赤く禍々しい角が生えた怪人…アナザー電王が出てきた。アナザー電王はそのままオウジの前で跪く。
「追え!奴らを決して逃がすな!!」
ガシャリと頷いたアナザー電王は異空間への穴を作り、その向こう側へと走っていった。
「………フン、ガオウライナーごときで俺から逃げられると思うな…………」
そう言ってオウジもゲートを作り、それをくぐろうとした時。
「ぬあぁっ!?……おのれ、どこのどい…!!」
オウジはそのとてつもない圧力に堪えきれず、地面をゴロゴロと転がった。そして怒りを募らせながら立ち上がったオウジの先にいたのは…
「…………オーマ、ジオウ………!!??」
怒りのオーラをその身体に宿す、黄金の仮面ライダー…オーマジオウだった。
「天界輪廻刑法第5条に則り、貴様を排除する」
「この世界の王は俺一人だ!排除するとはこちらのセリフだ!!ここから消え去れ偽物!!!!」
「消え去るのは貴様だ!これ以上仮面ライダーを貴様ごときに汚させん!!!」
互いの叫びと共に、二人の王の拳が激突した。
「………達也君、怪我は…?」
「…ありません」
ガオウライナーの内部、デンライナーのようなカフェがある車両の床に寝転び、変身を解除した頼斗は達也に問いかけた。と、プシューと空気が抜けるような音と共にガオウライナーのドアが開いた。そこから出てきたのは、所々が角張った、特徴的な茶髪の男…キバオウだった。
「ギリギリ間に合うたみたいやな。大丈夫…ではないわな。しかし、アナザーオーマジオウ相手によう持ちこたえたわ。命あっただけでも奇跡やで」
「ありがとうございます時喰お…キバオウさん。にしても、なんでこっちに?」
「紫ネキから連絡来てな。だいぶ急ぎな上に言っとること滅茶苦茶やから何かと思ったが…思ったより深刻やな。あと、来とるのはワイだけやないで」
「よっす。大丈夫だったか?」
「耀真!」
キバオウの後ろからひょっこりはんとばかりに顔を出したのは、頼斗と同じ十九歳で仮面ライダーの暗宮耀真だ。
「…そういや、アイツは追って来ないのか?」
「あぁ、それな…。今、オーマニキが足止めしてくれとるわ。ある程度は大丈夫やろうけど、なるべく早よ加勢に行かんと危ないで」
「そうだな。アナザーオーマジオウは全ての平成ライダーの力を無効化する。オーマジオウですら例外とは言い切れない。俺がアナザーオーマジオウになれたら楽なんだろうけど…この世界にアナザーオーマジオウウォッチがあって、それをアイツが使ってる以上俺はアナザーオーマジオウになれない……早くしないと、状況は更に悪化する。てかこの中で戦えるの実質俺と頼斗だけだし」
「ちょい待ち。ワイを忘れとらんか?」
「いや、だってキバオウさんはガオウにしかなれないじゃんか。俺は滅亡迅雷とかストリウスとかになれるけど」
「ナンデヤ!!!?」
キバオウと耀真が言い合いを始めていると、達也は重々しく口を開いた。
「………深雪…」
「達也君。残酷かもしれないけど、君もアイツと戦うなら覚悟を決めないといけない。君がこのままじゃ、深雪ちゃんも苦しいだけだよ」
「…お前に…」
『!!』
「深雪は俺のたった一人の妹だ!それを攻撃しろと言うのか!!?
達也から放たれたのは、彼とは思えないほどの怒りを持った叫びだった。頼斗はそれを、無表情な顔でただただ聞いていた。
「…………確かに、至極尤もな意見だ。けどね。君の言葉の中には一つだけ間違いがある」
「…は?」
頼斗はまるで、何か遠い昔の思い出を語るような顔で話し始めた。
「…俺ね…昔、妹がいたんだ。病弱だったけど、笑顔が素敵な優しい妹が。けど…妹は殺された」
「………!!」
「犯人は、妹に一方的で、独善的な恋心を持っていた。けど、妹はそれを拒んだ。勿論警察にも言ったさ。けど…警察は取り合おうとしなかった。ソイツはある大企業のボンボンでね。こっちの弁護士を買収して、無理矢理示談を成立。てか事件そのものを無かったことにされた。その時ぐらいかな。この世に『正義』なんてない。本当の正義は自分で持つものだって考え出したの」
「………」
「…………だから俺、案外早く割り切ったんだ。妹は自分より他人を優先するような奴だったし、もし生きてたら「私のことなんか気にしないで、元気出せ」って言ったろうから……だから、俺は後悔しないよう生き続けたんだ。アイツの想いを無駄にしたくないから」
「それにな、達也君。君はあの時気づいてたかどうかわかんないけど…深雪ちゃん、泣いてた」
「!!」
「例え洗脳されたとしても、あの娘にとって君は大切な家族なんだ。そんな家族を自分の手で傷つけて、悲しいはずはない。でも、このまま君は彼女の手を汚させ続けるのか?君がやってるのは、深雪ちゃんの心を更に抉ることだ。だからこそ、君は深雪ちゃんを倒してでも止めるべきだ。多分それは、君にしかできないことだから」
「………俺にしか、できないこと…」
達也が頼斗の言葉を繰り返した直後、けたたましい警報のような音が車両内に鳴り響いた。
「何だなんだ!?」
「ちょい待ち!……これは…!!何かがこっちにえげつない速度で向かって来よる!多分アイツの追手や!!」
「………ってことは、アナザー電王か!」
「オイ、アレ見ろ!こっちに来てる!!」
耀真が窓の外を覗くと、後方から猛スピードで走行してくる、先頭車両がアナザー電王の顔を模したような電車…アナザーデンライナーが見えていた。アナザーデンライナーはそのままガオウライナーに追いつくと、自爆上等とばかりに体当たりしてきた。その衝撃でガオウライナーの内部はガクガクと大きく震動している。
「うおおお!?」
「このままやとアカン!迎撃するで!」
「「了解!!」」
そう言って、頼斗、耀真、キバオウはそれぞれベルト…デンオウベルト、少し黒っぽいデンオウベルト、ガオウベルトを装着し、それぞれボタンを押す。そして三人同時にパスを構え、叫んだ。
三人はそれぞれのライダー…『仮面ライダー電王:ソードフォーム』、『仮面ライダーネガ電王』、『仮面ライダーガオウ』に変身し、頼斗と耀真はそれぞれの時の列車…デンライナーとネガデンライナーへと飛び移った。
「ぶっ飛ばすぞ!!」
「元からそのつもりや!!」
そうして三台の列車はアナザーデンライナーを囲うような形で並走し始める。そしてガオウライナーは車両の屋根を開けて中からミサイルを光らせ、デンライナーとネガデンライナーは装備をフル展開して照準をアナザーデンライナーに合わせた。
「最大火力の一斉砲火で決めるぞ!!」
「「おう!」」
三人が同時にパスをベルトにセタッチすると、全ての武装に強いエネルギーが迸る。そして放たれたミサイルや砲弾、ビットなどの攻撃が瞬く間にアナザーデンライナーを鉄屑へと変えた。そしてアナザー電王は吐き出されるのと同時に爆発、消滅した。
「………やったか…って皆!後ろだ!!」
「へ?…うおおおお!!??何やアレェ!?」
「あれって…」
頼斗がモニター越しに見たのは、銀色のボディの内部から赤い光を見せる、デンライナー並みのサイズの巨大なロボだった。
「…ダイマジーン!!」
「アレまで送り込むとか頭おかしいんか!?」
「てかこのままだとジリ貧だぞ!!?しかもアレ意外と足速いし…カオナシかよ」
「ジブリとか今は心底どうでもええわ!それよりアレをどうすんねん!」
「見た感じ二体いるけど…」
「う~ん………あ!そうだ!」
「どしたんや」
「いや、ちょっと試したいことがあってさ…」
そう言った耀真は、二人に自身のアイデアを一通り説明した。
「……って感じでいけないかな?」
「冗談やろ!?いくらなんでも無茶苦茶や!」
「いや…案外いける気がする」
「は!?」
「やってみようぜ!てかアレに並の攻撃効かないだろうし、ここでやらないと全滅必至!だったらいっちょう懸けてみようぜ!」
「…あ~も~!わかったわかった!!その代わり真ん中はワイでいくで!」
「あいよ!!それじゃあやるぞ!!」
その言葉と同時に、デンライナー、ガオウライナー、ネガデンライナーはそれぞれ横一列に走行を始める。そして接触ギリギリの距離までガオウライナーに他の二台が挟み込むように近づくと、火花を散らして連結した。更にその左右から二台の列車…ゼロライナーとその後ろに連結したデンライナーレッコウ、デンライナーイスルギとその後ろに連結したデンライナーイカヅチが接近してきた。そして二台はまるで腕となるようにゼロライナーは右側のデンライナーに、デンライナーイカヅチの前部車両は左側のネガデンライナーに、それぞれジョイントパーツを展開して連結した。
そして仕上げとばかりにデンライナーとネガデンライナーから火花が散り、連結した列車はムクリと起き上がった。更にデンライナーとネガデンライナーの先頭が正面を向き、ガオウライナーが上部のギザギザを噛み合わせるように折り畳む。
最後に、縦二つに割れた仮面ライダーガオウのゲイタースキャンアイの様なヘッドギアを付け、バイザーを下げた無表情な巨人の顔がガオウライナーからせり上がった。
「ってほんまに合体できたんかい!!!」
「うぉ~、かっけ~!!」
「てか合体の仕方まんまトッキュウオーだな…」
「………ん?」
「どしたんだ?アニキ」
「……いや、何か…とんでもないものを見逃した気がしてな…」
「…?」
新幹線超進化研究所大宮支部にて、虹橋明人は蒼い空を見上げていた。
さて、いかがでしたか?
最後のロボは個人的にやってみたかったので捩じ込みました。
あとオーズの映画控え目に言ってヤバかったです。
ホーリーライブもかっこいい…これが本当の東映の力か!
ではでは、また次回で。