お待たせしました。オリジナル長編、完結です。
ビヨジェネのエンディング聴きながら書いてたらなぜかこっちが泣いてしまいました。
そんな感動のラスト(個人の感想です)を、是非お楽しみください。
ではでは、どうぞ。
「何なんだ…何なんだその姿は!?そんなライダーは存在しないはずだ!!」
「!?」
オウジがヒステリックに叫んでいると、威厳溢れる声が響いた。オウジはそちらを見て、更に眼を見開いた。
「オーマジオウ…!?貴様、俺の前に負けたはずじゃなかったのか!!?」
「くだらん。あんなもの隙を見定めるための演技に決まっている。アナザーオーマジオウといえど所詮天界から与えられた力。貴様のようなバカの力と我の力を同列扱いするなど傲慢甚だしい」
「ぐううぅ…!!!」
「…とはいえ、これはお前の戦いだ。我は精々、最後の〆に加勢するだけにしよう。存分に戦え」
「ありがとうございますオーマニキ。いくぞ!」
「ああ!」
二人は互いに頷き、オウジに飛びかかった。
「はっ!フッ!!たぁっ!!!」
「らっ!セイヤっ!!」
「ぐはっ!!?くそぉ……!!」
二人のパンチと蹴りに後ずさったオウジは、未だ感傷に浸っている達也たちを目にした。
「こうなれば…!!死ねぇえぇ!!!」
「!!」
オウジの拳が達也たちに迫るが…
「はぁっ!!」
赤く量子化した頼斗が割り込み、竜巻を模した歯車状のエネルギーを展開して盾のように拳を防いだ。
「達也君!今の内に深雪ちゃんと避難を!」
「すみません!」
「後の事は俺たちに…任せと、けっ!!」
一際大きく力を込めると、エネルギーはグルグルと激しく回転し、オウジの拳を弾き飛ばした。
「ぐぉおっ!!?」
「やるぞ耀真!!」
「上等!!」
そう言った二人…耀真は左手の円盤…タジャニティスピナーの蓋を開け、ドライバーにセットされていた三枚と身体から出した四枚、計七枚のコアメダルを装填してオースキャナーを構え、頼斗は再びサイクロトロンドライバーの両面を叩いて地面を踏み締め、限界まで地面を蹴ってサイクロトロンドライバーの右サイドを叩いた。
先ほどの竜巻を模した歯車状のエネルギーを纏った頼斗の右ストレートと色とりどりの光を宿した炎をタジャニティスピナーに纏わせた耀真の左ストレートは、正確にオウジの鳩尾に直撃した。二人の拳は大きな爆発と共にオウジを吹き飛ばす。
「ごはぁっ…!?くそ…!ぬああああぁ!!!」
二人の攻撃を受けて倒れたオウジは、空高く飛び上がり、毒々しいエネルギー弾を乱射して火山弾のように降らせる。
「!お前たち!!この一撃で終わらせるぞ!!」
「はい!」
「わかった!!」
そしてオーマジオウは身体を浮遊させ、耀真は輝かしい翼を羽ばたかせ、頼斗はフワリと風に乗ってオウジに接近していった。オウジはエネルギー弾を連射するも、三人は軽々と避けてそれぞれの最後の攻撃体勢に入った。
「覚えておけ、オウジ・へイーゼ・トキワ!!」
「ぐおおおおお!!!??」
オーマジオウ、耀真、頼斗の三人の必殺キックは、オウジの身体を捉え、激しく火花を散らせる。
「…俺、は…また…貴様に、敗けるのか…!?」
「ああ、敗ける。お前が生前の力に縋る限り……過去を捨て、未来を見つめない限りずっと………お前が俺に勝つことはない!!」
「………!!」
「前に進め!!!俺は未来へ………前に進んで、最高の未来を創り出す!!」
「…あり得ない…お、れハ、サイきョう、の…」
最後の断末魔と共にオウジは大きく爆発する。そして空中にアナザーオーマジオウウォッチが排出された次の瞬間、ウォッチは澄んだ音を立て、真っ二つに割れて塵となった。
そして頼斗が着地すると、塵となったアナザーオーマジオウウォッチが更に細かく、淡い光となって頼斗の後ろに集束し、人…ツインテールの少女を形作っていく。そして少女はゆっくりと口を動かし、微笑みながら頼斗の背中に話しかけた。
『…ありがとう。お兄ちゃん』
「…さようなら、瑠奈。俺の未練………」
変身を解除して歩き去る頼斗の後ろで、少女は微笑みながら光の粒となり、戦いの終わりを告げるような微風と共に空へと消えていった。
歩き去っていく頼斗の背中は少し寂しげだが、とても堂々としていた。
世界の存亡を懸けた戦いから丸1日が経った。
達也と深雪の二人は、
「…にしても、こうして街を見ていると、全てが夢だったようです」
「ああ。まさか…」
「…オーマニキ」
「…ん?どうした?」
「一つだけ、お願いがあるんですが」
「何だ?今回の件では天界のミスで迷惑をかけたからな。余程無茶苦茶なものでなければ構わん。言ってみろ」
「………」
「………………『この一件で死んだ人々と壊れた世界を元通りにしてくれ』と言って、その通りにしてしまうとは…改めて仮面ライダーの規格外な力には脱帽するしかないな」
「何にせよ、深雪はまたお兄様や皆と平穏な日常が送れることを心から嬉しく思っています」
「………あぁ…」
そうだな、と達也が相槌を打とうした時、どこからか汽笛のような音が響くと同時に達也と深雪が乗っているコミューターの隣に線路が展開され、一台の黒い牛のような装甲列車…ゼロライナーがコミューターに並走してきた。その後方には、達也たちに手を振る人影…頼斗がいた。
「お~い!!二人とも~!!」
「!」
「華貫…さん!?」
「最後に、一つだけ言いたいことがあってさ!!達也君!!」
「…?」
「………はい!!」
「それじゃっとと!?っと!さようなら~!!」
片手を大きく振る頼斗を乗せ、ゼロライナーは空高く走る。そして虹色の穴を開け、その向こう側へと消えていった。と、そのすぐ後にコミューターは一高の最寄駅へと到着した。
「あ、来た来た。お~い!達也君!深雪~!」
「道の前で叫ぶなよ…」
「何よ。嬉しくないっての?」
「いや、そうじゃねぇけどよ…」
「そうだよ、エリカ。気持ちはわかるけど」
「でも…私も達也さんに大声で挨拶したいです」
「わかるけど落ち着いて、ほのか」
校門の前には、彼ら兄妹の級友たちがいた。
「………」
「…行きましょう、お兄様♪」
「…ああ。そうだな」
再び、彼らの日常は進み始めたのだった。
とある青年が叶えられなかった、或いは、これから叶えるだろう姿が、そこには確かにあった。
さて、いかがでしたか?
賛否両論ありましたが、オリジナル長編がようやく完結いたしました。
次回からダブルセブン編、突入です。
まだまだ頑張っていきますので、応援お願いします。
では、また次回で。