マッドでヤベーイやつにしか変身できないんだが   作:ジューク

59 / 72
どうも皆さん、ジュークです。
500000UA達成、そしてガッチャード第1話放送に合わせて投稿という記念すべきスレNo.51(スレがあるとは言ってない)です。
というわけで、どうぞ!


スレNo.51『知った正体、新たな形態』

 

 

「ふぁ~…」

 

「ほんっとコイツは………後先考えるって言葉を知らねぇのかよ…」

 

 

 顔を酔いが回ってると言わんばかりに紅くし、フラフラと千鳥足になっている真由美を、時折体勢を崩しかけるのを支えながら頼斗は呆れていた。

 

 

 というか、アレキサンダーはかなりアルコール度数が高く、あまつさえそれを何杯もガブガブと飲んでいたらこうなるのは至極当然のことである。

 

 

「こんなのが十師族の長女とか、いよいよ日本もヤバいかもな…おーい、大丈夫かー」

 

「らいじょぶらいじょぶ~♪ほ~ら~」

 

「おい、酔っ払ったまま勝手に…!」

 

 

 完全に頭がパーになっている真由美は、頼斗の肩を振り払いながら、フラフラとホテルの正面玄関へ走り出した。そもそもエレベーターとは方向から違うため、頼斗が真由美を追いかけようと正面玄関の方を向いた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正面玄関の窓ガラスの向こう側から極太の茨が此方に飛んでくる(・・・・・・・・・・・・・)のが見えた。
 

 

 

「へ?」

 

「伏せろ真由美!!」
 

 

「きゃっ!!?」

 

 

 咄嗟に、自身の山勘の『避けろ』という警告に従った頼斗は真由美の肩を抱き寄せ、真由美に覆い被さるように押し倒した。

 

 

【JA! JA! JA! STRIKE!!!】
 

 

「うわあああぁぁ!!!?」

 

「キャアアアァァァ!!!」

 

 

 その直後、頼斗の背中のわずか数センチ上を幾本もの棘が付いた茨が正面玄関の窓ガラスを突き破りながら通り過ぎ、ロビーの床に突き刺さった。

 

 

 

 

「…危なかった…!真由美、怪我は無いか?」

 

「は、はい………いったい………!?」

 

 

 茨によって割られたガラスがまだ数人の客とホテルの従業員がいるエントランスに散らばる音と、彼らの悲鳴と逃げ惑う騒がしい足音。更に、ガラスが割られたことで鳴り響くけたたましい防犯サイレンのおかげで、真由美の酔いはすっかり醒めた。

 

 

 そして真由美が目にしたのは、鼻から下の上顎が異常に下へ伸びた骸骨に似た怪人…ポーンジャマトを幾体も従えてこちらへ向かってくる、ポーンジャマトの左目だけが妖しい緑色に肥大化し、伸びた上顎の部分が頭部から切り離され、だぼだぼの棘付き首輪の下から黒と黄金色に変色して生え、謎の蔓が生えた頭部とアーマーを着用した胸部、左足を持つ怪人…ジャマトライダーだった。

 

 

 だが、二人の視線はジャマトライダーの腰に向けられていた。

 

 

「仮面ライダー…!…いえ、違う…怪人…!?」

 

「嘘だろ…なんでアイツらがアレを…!」

 

 

 真由美はジャマトライダーを一瞬仮面ライダーと認識しかけたが、あまりにも人間離れし過ぎた見た目から怪人だと認識し、頼斗はなぜ怪人であるジャマトが自分と同じドライバーを使うのかに歯噛みした。

 

 

ゼラテウ(やれ)

 

『『『イズス(はっ)!!』』』

 

 

「!?ちっ!おらっ!!ふっ!」

 

「はぁっ!!」

 

 

 ジャマトライダーが手を振るうと、ジャマトたちは一斉に頼斗たちに襲いかかった。頼斗は格闘術で、真由美は『ドライ・ブリザード』などの魔法で応戦するが、あまり効いていない上に数が多い。やがて二人は行き止まりまで追い込まれた。

 

 

「くそ…!」

 

 

 頼斗は葛藤していた。変身自体はできる。変身すればこの状況は一瞬で片付く。それは間違いない事実だ。

 

 

 だが、それができない心的理由があった。

 

 

「(もし七草が俺が変身したのをアイツに報告したら…!!)」

 

 

 そう、真由美の…より正確には彼女の父である弘一の存在だった。

 

 

 もし頼斗が仮面ライダーだと知れば、弘一はどんな手段を用いてでも頼斗を手駒にするだろう。自身の娘さえも餌にしたのだ。自分だけでなく、リーナや嶺平、シルヴィアやミアなど、頼斗の周りの人間までも巻き込むのは容易に想像できる。

 

 

 その可能性が、頼斗が変身を躊躇う枷になってしまっていた。

 

 

 しかし、変身しなければジリ貧で死ぬ。

 

 

 二つの矛盾する選択肢に挟まれた頼斗がふと右を見ると、そこには顔に擦り傷を負っても尚戦意を目に宿した真由美がいた。

 

 

「(こんな状況、普通ならビビって逃げ出すのが当たり前だってのに、コイツは……何バカなこと考えてたんだ俺は)」

 

 

 頼斗は先ほどまでの自分を思い出し、鼻で笑い飛ばした。

 

 

 もう少し考えたらわかる話だった。怪人に対抗し得る力を持ってもいない後輩(真由美)が諦めていないのに、自分は一体何を迷っていたんだ、と。

 

 

 

何より、目の前の手の届く生命すらも救えずに、どの面を下げて仮面ライダー(憧れの名)を名乗れる、と。

 

 

 一度瞑想するように閉じ、再び開かれた頼斗の目に、最早迷いの色は無かった。

 

 

「………真由美」

 

「何ですか、頼斗さん」

 

 

 二人は目の前の怪人(ジャマト)から目を剃らさずに会話を始めた。

 

 

「今のこの状況、一発でひっくり返せる手段があると言ったらどうする」

 

「あるんですか?」

 

「ある。だが、この手段を使うなら、お前に一つ約束してもらう」

 

「約束…?」

 

「今からお前が見るもの、ここで起きることを、絶対口外するな。特に、お前の親父には死んでも言うな」

 

「………それってどういう」

「約束しろ!でなきゃ二人共ここで死ぬ!答えは二つに一つだ!」
 

 

 

 思わず頼斗の方を見て真由美が問いかけるが、尚もジャマトから目を剃らさないその横顔には普段の頼斗からは感じ取れない鬼気迫る圧力があった。

 

 

 それを見た真由美に、断る選択肢はなかった。

 

 

「…本当に、助かるんですね」

 

「約束する」

 

「………お願いします」

 

「ッ!!」

 

 

DESIRE DRIVER
 

 

 

 その言葉を予知していたと錯覚させるほどのタイミングで、頼斗は腰に装置…デザイアドライバーを押し当て、装着する。更にスーツの内ポケットから、中央に穴が空き、赤いハンドル…ブーストスロットルマークⅡが付いた装置…ブーストマークⅡバックルを取り出した。

 

 

「先輩…それってまさか…!?」

 

 

BOOST

 

 

BOOST
BOOST
 

 

SET
 

 

 

 

BOOST      BOOST
 

 

 

 頼斗がバックルをドライバーにセットすると、頼斗の背中に五つのブーストのホログラムが五角形を描くように浮かび上がる。そのまま狐を象った手を大きく回して額に近づけ、ジャマトたちに向けてスナップして静かに言い放った。

 

 

「変身」
 

 

【BOOST】

MARK

 

 

 

 頼斗がブーストスロットルマークⅡを捻ると、折り畳まれていたバックルの四つの排気筒…ブレイキングエグゾーストが全て同時に展開され、紅い炎を吹き出す。

 

 

 そのままホログラムが回転して炎に燃やされ、アーマーを形成していく。そしてアーマーが完成した直後、骨の腕のレールが5本延びてアーマーを掴み、頼斗に押し付けて装着させた。

 

 

 そうして頼斗は紅い四肢…バーミリオンパンチャーとバーミリオンキッカーを持ち、黄金のパーツが付いた胸部のみを覆うアーマー…バーミリオンブイツインを纏った炎の狐のようなライダー…『仮面ライダーギーツ:ブーストフォームマークⅡ』に変身した。

 

 

「頼斗さん…貴方は………」

 

 

「『仮面ライダーギーツ』…」
 

「その言葉を…」
 

「お前は信じるか?」
 

 

 

READY…
 

FIGHT!!!!!
 

 

 

 戦いを告げる音と同時に、頼斗はゆっくりと歩き出す。そして…いきなり踏み込んで急加速し、ジャマトライダーのドライバーに速く、重い一撃を入れた。

 

 

『――――――!!!??』

 

 

 声にすらならない悲鳴を上げながらジャマトライダーは反対側の壁へ叩きつけられる。そして致命的な大きさの亀裂が入ったドライバーとバックルからバチバチと蒼いスパークが走った直後、轟音と共にジャマトライダーは爆発した。床には基盤が剥き出しになったドライバーとバックルが転がり、白い煙を上げている。

 

 

『ジャ…!?』

 

『『『『『ジャーー!!』』』』』

 

 

 一瞬だけ怖気づいたポーンジャマトたちだったが、すぐに頼斗に襲いかかる。

 

 

 しかし、頼斗は目にも止まらぬ速さで加速と停止を繰り返し、その度にポーンジャマトたちは宙を舞う。やがて、変身してから2分も経たずにジャマトの軍団は完全に壊滅した。

 

 

「………頼斗さん、貴方が仮面ライダーだったんですか…?」

 

「…そういうことだ」

 

 

 未だに信じられない様子で歩み寄ってくる真由美に、頼斗は変身を解除しながら答えた。

 

 

「…でも、なんで今まで黙っていたんですか!?こんな危険なことを、貴方一人で――」

 

「俺以外に、できないことだからだ」

 

「…それは………だったら、せめて私たちに言ってくれれば、協力は」

 

「それはできない。少なくとも、お前には…お前の『家』には」

 

 

 食い気味に頼斗を心配する言葉を放つ真由美だったが、最後の言葉を頼斗は自身の言葉で遮る。

 

 

「どうして!?七草家なら、私が父を説得して絶対に頼斗さんの助けになるのに!」

 

「少なくとも、自分の娘たちと怪人を餌に俺を誘き寄せるやつに頼るわけにはいかない」

 

「…娘たち………!まさか、香澄ちゃんと泉美ちゃんが誘拐された…あれを父が仕組んだって言うんですか!?」

 

「そうだ」

 

「…そんな………嘘……嘘ですよね…!?いくらあの人でも、実の娘を…」

 

 

 頼斗から放たれた事実に、真由美は茫然となる。そして、信じたくないと言わんばかりに必死になって、頼斗の言葉が嘘だと繰り返した。

 

 

「まずお前が知らない事実から言おうか。俺が組んでるのは九島家だけじゃない。四葉家とも怪人を倒す目的で協力関係にある」

 

「四葉家と…!?」

 

「お前の妹二人が拐わせたあの事件を、いくらなんでも不自然だと思った俺は四葉家当主の真夜さんに調べて貰った。その結果、幾つもの人間を介して足がつかないようにした上で、犯人に怪人を生み出すアイテムを横流ししてたことがわかった。そしてその目的が、俺を捕らえて自身の手駒にしよう、ってふざけたものだったわけだ」

 

「………」

 

「…だからこそ、お前の父親にだけは俺の正体はバレるわけにはいかない。バレたら最後、俺の周りの人間にも危害を加えるのは容易に想像できる。信じたくないのはわかる。けど、お前は事実を知る必要がある」

 

「これは…」

 

 

 頼斗が真由美に投げ渡したのは、以前使ったフロッグポットだった。ギジメモリを挿し、ガジェットモードになっている。

 

 

「俺が使ってるサポートアイテムの一つだ。それに、名倉さんの死の真相が記録されている」

 

「名倉さんの…!?」

 

「俺から受け取ったことさえ伏せてくれれば、それをどう使おうがお前の自由だ。ただ…最後にこれだけ言っておく。名倉さんの死は、元々あの人自身が選んだ道だった。今まで自分が受けてきた黒い仕事のことを、お前に隠し続けてきたケジメだ、ってな」

 

「………先輩。ありがとう、ございました…」

 

「…」

 

 

 静かにフロッグポットに記録されていた会話を聞いている真由美の口から放たれた言葉を背に、頼斗は無言で去っていった。

 

 

 後ろから微かに聞こえてくる、嗚咽と涙が床に落ちる音は聞こえないフリをしながら。

 

 

 

 




さて、いかがでしたか?
もうガッチャード始まったのにこっちは漸くブーストマークⅡですよ。投稿頻度終わってるなぁ…(諦念)
というわけで、ギーツロスも乗り越えて頑張ります!
ては、また次回で。

もうすぐ500000UAだけど、何かした方がいい?

  • 何かして?しろ(豹変)
  • 何もせんでええ…無茶するな…
  • 勝手にすりゃいんじゃね?(鼻ほじー)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。