ウマ娘 紅の軌跡<再提出>   作:小鳥遊 小佳夏

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好き

しばらくして、トウカイテイオーは生徒会室に向かっていた。出さなければならない書類を置きに行こうと。

同じ時間、シンボリルドルフは職員室に向かっていた。ルドルフも用事があった。

またサイレンススズカはチームの部室に向かっていた。今日のトレーニングをするために。

生徒会室の会長の机の上。職員室の担当教諭の机の上。チームトレーナーの机の上。その全ての上に、ある書類が置いてあった。ウマ娘の退学についての書類。その書類の退学者の名前には、キサラギクレナイと書いてあった。

偶然にも、全員が同じタイミングでその書類を見てしまった。全員、クレナイがひっそりといなくなる気だと察し、そこから今までの言動も併せて、ひっそりいなくなる=死ぬ気ではないのかという結論に達した。

その日、トレセン学園の中で3つの風が駆け巡った。三人共、レースでもなかなか見れないくらいのスピードだったとその風を感じたスペシャルウィークは語っている。

 

そのあとの三人の行動は早かった。見つけた書類を強奪し、クレナイの教室、クレナイが行きそうな場所を駆け巡った。途中で偶然合流し、三人共同じ書類を持っていたことから一緒に探した。そして最後に、寮のクレナイの部屋に行きついた。

部屋にたどり着いたサイレンススズカ、シンボリルドルフ、トウカイテイオーの三人。部屋に飛び込んだ三人の目に入ったのは、右手にデザインナイフを持っているクレナイの姿だった。それを見た三人の頭には、クレナイが自傷しようとしているように見えた。

「「「だめえええええええええええええ!!!!!!!!!」」」

「え、ちょ、なにいいいいいぃぃぃ!?!?」

自傷を阻止しようとクレナイにとびかかる三人。そのまま一番近かったトウカイテイオーがナイフを払い飛ばし、三人共勢い余ってクレナイを押し倒す。これにより、クレナイのケガの回復が少し遅れたとかなんとか。

 

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「あのねぇ、危ないじゃないの、いきなりとびかかってきたら」

そのあと三人に手伝ってもらってベッドに座ったクレナイは三人に説教をしていた。三人は部屋の床に正座でくどくどと続く説教を聞いている。耳も尻尾もペタリと垂れているあたり、みんな意気消沈している。

あの時クレナイはただガンプラを組んでいただけだった。証拠に机の上には、最近発売された、クレナイのウマ娘のプラモデルが組みかけの状態で置いてある。某美少女プラモを手掛ける会社がウマ娘を元にした美少女ウマ娘プラモを発売。この前丁度発売されたのがクレナイだったので、手のリハビリも兼ねて組んでいたのである。なお、下着の模様をどうするかで買った時から未だに悩み続けているクレナイであるが、これは省略。

そのまましばらくくどくどと続けた後、クレナイが問いかけた。

「それで、何の用なの?」

三人一斉に顔をあげ、耳と尻尾がピーンと立つ。

「こんなものを見まして」

「退学とはいったいどういうことかと」

「問い詰めに来たんだよ!!」

スズカ、ルドルフ、テイオーが順につなげる。

それを見たクレナイがばつの悪そうな顔をする。

「ばれちゃったなら仕方ないわね・・・。そうよ、この怪我が治った後だけども、そのまま引退から退学しようかと思っているの」

「「「・・・・・・・・・」」」

それを聞いた三人はおもむろに立ち上がり、まずテイオーがクレナイを押し倒してお腹にのしかかる。そのあと右腕の上にシンボリルドルフ、左腕の上にサイレンススズカが乗っかり、三人でクレナイを押さえつけにかかる。

「え、あの、みなさん・・・?」

そこから抜け出そうとするも、衰え切った体ではどうすることもできず。そして三人の目を見るとなんかハイライトが消えていて、なんとなく空気がじめじめしている気がするというか、間違いなく湿度が上がっている。自然と問いかける声も敬語になる。なんというか、こう、鍛えないとウマ娘には対抗できないっていうのをまざまざと思い知らされるわねこれ。

「もしクレナイが学園をやめるんなら、僕も学園をやめる」

「私もだ。私もクレナイが辞めるのなら、ついていく」

「私も。あなたが退学してもう会えなくなるのなら、私も」

それを聞いた私は、反射的に声を返していた。

「っ、あなた達には関係ない。あなたたちが私についてくることなんかない!! まだ走れるあなたたちが私についてきて走ることをやめたなら、もう罪悪感でいっぱいになる!!

それにテイオー、あなたは最強のウマ娘になると、ルドルフは皇帝の威厳でより良いトレセン学園にすると、スズカはスピードの向こう側を見るという夢は、気持ちは、どうするの!!!」

三人をきっとにらみつけて叫ぶクレナイ。それに対し三人はそれがどうしたと一瞥する。

「クレナイのことなんか知らない。ついていきたいから行くんだ。それに、最強のウマ娘より、クレナイの一番のウマ娘になりたいんだ」

「ああ、私もだな。生徒会活動なら私がいなくても回るようにしてあるし、なんならエアグルーヴに任せてもいい。何としても君についていく所存だ」

「私は今でも走ることは好きよ。でも、アメリカで特訓を続ける中で、あなたの存在が大きくなっていった。あなたに勝つこともそうだけど、あなたと一緒に走りたいと、そんな気持ちも強くなっていった。一人で走るんじゃない。あなたと二人で走りたいの。だからついていく」

三人にそう言われ、何も返すことができないクレナイ。そこに三人は畳みかける。

「ボクは・・・クレナイのことが・・・」

「私は・・・レイのことが・・・」

「私は・・・あなたのことが・・・」

「「「好き」」」

伝えることだけを伝えた三人は、そのまま部屋を去った。

最後にルドルフがこう言い残した。

「とりあえずこれは破棄しておく。勝手に退学など許さんからな」

そのまま放置されたクレナイはベッドにそのまま横になり、言われた言葉を理解しようとしていたが、それにはしばらくの時間を要した。

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